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不同意性交等(旧強制性交等・強姦)で逮捕されたら? 早期釈放のポイント


不同意性交等罪は、重く処罰されることもあり得る重大な犯罪です。逮捕された場合、すぐに釈放されるのか、それとも長期間拘束されるのか不安に思う方も多いでしょう。
重要なのは逮捕直後の対応です。早い段階から弁護士に相談して、早期の釈放を目指しましょう。
本記事では、不同意性交等罪で逮捕された人が釈放されるタイミングや、早期釈放を目指すための対応などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、不同意性交等罪(旧強制性交等罪・強姦罪)で逮捕! 釈放されるタイミングは?
不同意性交等罪で逮捕された人が、釈放される可能性がある主なタイミングは以下のとおりです。
段階 | 期間 | 釈放の可能性 |
---|---|---|
逮捕直後 | 逮捕後48時間以内 | 警察が留置の必要なしと判断すれば即時釈放(刑事訴訟法203条) |
検察官送致後(勾留前) | 逮捕後72時間以内 | 検察官が留置の必要なしと判断すれば釈放(刑事訴訟法205条) |
勾留後(起訴前) | 最大20日間 (逮捕後23日以内) |
勾留請求が却下されるか、勾留取消が認められた場合に釈放 |
起訴後 | 裁判終了まで(2か月ごとに更新) | 保釈申請が認められた場合に釈放(刑事訴訟法89条) |
判決確定後 | 【無罪・執行猶予の場合】 判決確定後すぐ 【実刑の場合】 仮釈放、刑期満了まで |
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以下で、ひとつずつ詳しく解説します。
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(1)【検察官送致前】逮捕後48時間以内に釈放
最初に釈放される可能性があるのは、警察官によって逮捕された後、検察官へ事件が送致される前の段階です。
被疑者を逮捕した警察官が留置の必要があると考えた場合、逮捕から48時間以内に事件を検察官へ送致しなければなりません(刑事訴訟法第203条第1項)。
留置の必要がないと警察官が判断した場合は、被疑者は直ちに釈放されます。
ただし、誤認逮捕であることが明らかな場合などを除き、検察官送致前に被疑者が釈放されるケースはまれです。 -
(2)【検察官送致後・勾留前】検察官送致後24時間以内(逮捕後72時間以内)に釈放
事件が検察官に送致された後でも、検察官が留置の必要がないと判断すれば、被疑者は釈放されます。
一方、留置の必要があると判断した場合は、検察官は、被疑者を受け取った時から24時間以内に、裁判官に対して勾留を請求しなければなりません(刑事訴訟法第205条第1項)。
また、勾留請求は逮捕後72時間以内に行うことが義務付けられています(同条第2項)。 -
(3)【勾留後・起訴前】勾留後20日以内(逮捕後最長23日以内)に釈放
検察官が勾留請求を行った場合、裁判官は罪証隠滅や逃亡のおそれなどを考慮し、勾留の必要性などを判断します。
裁判官が勾留の必要があると判断すれば、最長20日間の身柄拘束が行われます。逮捕日から通算すると、身柄拘束の期間は最長23日間です。
勾留期間内に、検察官は起訴または不起訴を決定します。不起訴となった場合は、その時点で被疑者は釈放されます。 -
(4)【起訴後】保釈が認められた場合に釈放
検察官が被疑者を起訴した場合は、「被疑者」から「被告人」へと呼び方が変わり、引き続き身柄が拘束されます。起訴後勾留の期間は当初2か月間で、裁判官の判断で1か月ごとに更新が認められています。
起訴後勾留へ移行した後、被告人は裁判所に対して保釈を請求することができます。保釈が認められた場合は、裁判所に保釈保証金を預けることを条件として、被告人が一時的に釈放されます。
ただし、刑事裁判で禁錮以上の有罪判決が宣告された場合は、保釈の効力が失われ、その場で再度被告人の身柄が拘束されます。 -
(5)【判決確定後】無罪・執行猶予・刑期満了などにより釈放
起訴された被疑者の有罪・無罪および量刑は、刑事裁判によって審理されます。
刑事裁判において以下の判決が宣告された場合には、その時点で被告人は釈放されます。
- 無罪判決・執行猶予(全部執行猶予)付きの有罪判決
これに対して、実刑判決が確定した場合には、しばらく拘置所で身柄を拘束された後、刑務所へ収監されます。刑務所において刑期を満了するか、仮釈放が認められると、ようやく身柄拘束から解放されます。
不同意性交等罪の逮捕後の対応について、詳しくはこちらをご覧ください。
2、不同意性交等罪とは? 有罪になったらどうなる?
「不同意性交等罪」は、被害者が同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、「性交等」をした場合に成立します(刑法第177条)。
「性交等」の具体的には以下の行為が該当します。
- 性交
- 肛門性交
- 口腔性交
- 膣または肛門に身体の一部(陰茎を除く)または物を挿入する行為であって、わいせつなもの
また、13歳未満の子どもに対して上記の行為をした場合や、16歳未満の子どもに対して5歳以上年長の者が上記の行為をした場合は、被害者が同意していても不同意性交等罪が成立します。
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(1)不同意性交等罪の法定刑(刑罰)
不同意性交等罪の法定刑は「5年以上(20年以下)の拘禁刑」です。
さらに、性交等の機会に被害者を死傷させた場合は「不同意性交等致死傷罪」が成立し、「無期または6年以上の拘禁刑」に処されます(刑法第181条第2項)。
不同意性交等罪は重罪であるため、嫌疑が確実であれば起訴される可能性が極めて高く、身柄拘束の期間も長引く傾向にあります。
※拘禁刑は2025年6月から施行されます。それ以前の犯罪には従来の懲役刑が適用されます。 -
(2)不同意性交等罪の前科が社会生活に及ぼす影響
不同意性交等罪の前科があると、社会生活において以下のような悪影響が生じることがあります。
- 職業の制限:一部の職業(公務員、教職員など)に就くことができない可能性がある
- 就職、転職への影響:前科を隠して就職活動をした場合、発覚すると内定取り消しや懲戒解雇のリスクがある
- 住居の制限:賃貸物件への入居を拒否されることがあり、住居探しが困難になる場合がある
- 再犯時の刑の加重:再犯とみなされると刑罰がより重くなる可能性がある
特に性犯罪は、メディアやSNSを通じて拡散されるケースが多く見られます。性犯罪者として一度名前が公になると、普通に生活や仕事をするのが難しくなってしまうかもしれません。
- ※お電話は事務員が弁護士にお取次ぎいたします。
- ※被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、早期釈放や不起訴を目指すためにできること
不同意性交等罪で逮捕されそうな状況にある場合は、早期釈放や不起訴を目指すため迅速な対応が求められます。以下の対応を速やかに行いましょう。
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(1)できるだけ早く弁護士に相談する
弁護士への相談は、早期釈放や不起訴を実現するための最も重要なステップです。
逮捕直後から弁護士に依頼することで、証拠集めや示談交渉などの準備に時間をかけることができ、早期釈放や不起訴の可能性が高まります。
また、取り調べに臨む際の心構えや注意点などについても弁護士からアドバイスを受けることで、不利な供述を避けることができます。
警察から連絡があった時点で、すぐに弁護士へ相談しましょう。 -
(2)被害者と示談交渉をする
被害者との示談が成立して被害弁償を行えば、その事実が被疑者・被告人にとって有利に働き、早期釈放や不起訴の可能性が高まります。
被害者の心理的な抵抗感を軽減しながら、適正な条件で示談進めるためには、弁護士を通じて交渉を行うことが望ましいでしょう。
弁護士による示談交渉について詳しくはこちらをご覧ください。
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(3)刑事裁判を見据えて、証拠を確保・整理する
仮に起訴されたとしても、刑事裁判で冤罪だと主張することはできます。
冤罪を主張する場合は、犯行時刻に別の場所にいたことや、相手方が性交等に同意していたことなどを示す証拠を確保しておきましょう。
具体的には以下のような証拠を確保しておくことが重要です。
- アリバイの証拠(防犯カメラ映像、GPS履歴、目撃証言)
- 同意の証拠(LINEやメールの履歴)
- DNA鑑定などの客観的証拠
また、それぞれの証拠を弁護士と整理し、刑事裁判で有効に活用できるよう準備しておくことも大切です。
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(4)家族などに身元引受人や再犯防止の協力を求める
刑事裁判で不同意性交等の事実を認めつつ、情状酌量を求めるためには、更生をサポートする家族の協力が必要不可欠です。
家族が身元引受人となり、再犯防止のための支援を約束すれば、その事実が被告人にとって有利に考慮され、量刑が軽くなる可能性があります。
4、釈放されるためにお金はどのくらい必要?
不同意性交等の疑いで逮捕された被疑者・被告人が釈放されるまでには、弁護士費用・示談金・保釈保証金などが必要になります。
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(1)弁護士費用
資力が十分でない方は無償で国選弁護人の選任を請求できますが、そうでない場合は私選弁護人に依頼することになります。
また、刑事弁護の経験が豊富な弁護士に依頼したいなら、国選弁護人を選任できる方でも、私選弁護人に依頼することをおすすめします。
私選弁護人に依頼する場合は、弁護士費用を支払う必要があります。ベリーベスト法律事務所の刑事弁護費用については、以下のページをご参照ください。
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(2)示談金
被害者と示談をする際には、示談金を支払う必要があります。
不同意性交等に関する示談金の額は100万円から300万円程度が標準的ですが、実際の金額は示談交渉によって決まります。適正額でスムーズに示談を成立させるためには、弁護士を通じて示談交渉を行いましょう。 -
(3)保釈保証金
起訴後に保釈が認められた場合は、裁判所に保釈保証金を納付する必要があります。
保釈保証金の額は、被告人の資力などを考慮して決定されます。150万円程度とされるケースが多いですが、資産や収入が多い場合はさらに高額の納付を求められることがあるのでご注意ください。
5、不同意性交等罪で逮捕された場合のQ&A
A. 不同意性交等罪は、被害者の告訴がなくても起訴できる「非親告罪」であるため、被害届が取り下げられても必ず釈放されるとは限りません。
ただし、被害届が取り下げられた事実は、被疑者・被告人にとって有利に働き、釈放や刑の減軽の可能性が高まります。
Q. 示談交渉のタイムリミットは?
A. 明確なタイムリミットはありませんが、示談成立は早い方が望ましいです。特に起訴前に示談が成立すれば、不起訴処分となる可能性が高まります。
Q. 刑事裁判になったら有罪になる確率は?
A. 日本では、刑事裁判で被告人が有罪となる割合は99%以上と非常に高くなっています。
ただし、令和5年の刑法犯の起訴率は36.9%で、約6割程度が裁判には進まず起訴猶予か不起訴処分となっています。
刑事罰を免れるには、早い段階から不起訴に向けた弁護活動が重要です。
Q. 再犯の場合はどうなる?
A. 拘禁刑の執行を終えた後、5年以内に再び罪を犯した場合は、再犯となります。
再犯の場合は法定刑の上限が2倍となる可能性がありますが、拘禁刑の上限は30年とされています。そのため、再犯として不同意性交等罪で有罪判決を受けた場合は、拘禁刑30年が上限です。
なお、執行猶予期間中に再犯をした場合は執行猶予が取り消されます。また、再犯では執行猶予が付きにくく、実刑判決を受ける可能性が高い点にもご注意ください。
Q. 冤罪の場合はどう証明すればいい?
A. 被告人が冤罪を証明する必要はなく、「他に犯人がいるかもしれない」「被害者は同意していたかもしれない」などの疑いが残る状態にすれば無罪となります。
弁護人と協力して、犯行時刻に別の場所にいたことや、相手方が性交等に同意していたことなどを示す証拠を裁判所に提出しましょう。早い段階で弁護士に相談し、証拠の確保と整理を進めることが、冤罪を証明するための重要なポイントとなります。
6、不同意性交等罪は重罪! 釈放を目指すには早期の弁護活動が重要
不同意性交等罪の疑いで逮捕されたら、早い段階から弁護士に相談して、早期釈放や不起訴に向けた弁護活動を依頼しましょう。特に、被害者との示談交渉が成立すれば、短期間で釈放される可能性が高まります。
ベリーベスト法律事務所は、刑事事件に関するご相談を随時受け付けております。元検察官の弁護士も所属する刑事専門チームが、早期釈放を目指して全力でサポートいたします。
警察に不同意性交等罪を疑われている方や、家族が不同意性交等罪の疑いで逮捕されてしまった方は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

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