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無免許運転をしたら逮捕や前科がつく? 免停中や免許外運転も対象に
無免許運転は、自動車免許を取得したことがない方の運転に限らず、免停中や免許を取得していない車両区分の運転も含まれます。
また、無免許運転のほとんどは罰金刑に処されますが、罰金刑でも前科はつくのでしょうか?
本コラムでは、無免許運転に該当する運転行為や罰則内容、実刑となる場合や前科がつくケースについても触れながら、逮捕された本人のために家族ができることを解説します。
1、無免許運転を取り締まる法律
無免許運転とは、公安委員会による運転免許の交付を受けないで、自動車または原動機付自転車を運転することです。
もし無免許で運転した場合には、単なる交通違反であるだけではなく、それ自体が危険な行為であるため、道路交通法違反として刑罰の対象とされています。
道路交通法64条1項にて「何人も、第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない」と、規定されています。
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2、初犯の場合は前科処分となる可能性がある
無免許運転をしてしまうと、たとえ初犯であっても前科がついてしまう可能性があります。
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(1)刑罰
無免許運転による道路交通法違反の刑罰は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です(道路交通法第117条の2の2)。
無免許で運転する行為自体に人身や財産を害する危険が認められることから、免許不携帯の罰則が2万円以下の罰金または科料(道路交通法121条1項10号)であることと比べると、その刑罰の重さは顕著です。 -
(2)初犯でも前科になりうる
無免許運転による罰則は、懲役刑と罰金刑がありますが、一部の悪質な場合を除き、ほとんどの場合は略式裁判※を行い、罰金刑となります。そのため無免許運転で逮捕されたとしても「お金を納めれば済む」と思う方もいるかもしれませんが、罰金といえども刑罰ですので、前科がつきます。
※略式裁判とは…100万円以下の罰金または科料の事件について、正式な裁判は行わずに、検察官が提出した書面のみで審理する簡易的な裁判のことをいいます。
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3、無免許運転で実刑になりやすいのはどのような場合?
無免許運転は、ほとんどの場合が罰金刑となりますが、悪質な場合には懲役刑が科せられます。実際に刑務所に収容される実刑となる場合とはどのような場合なのでしょうか?
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(1)無免許運転罪の常習犯
過去に無免許運転罪で逮捕され、前科・前歴がある場合です。交通ルールを守るという意識や過去の行いに対する反省が認められず、厳格に対処されることになります。
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(2)執行猶予期間中の無免許運転
無免許運転罪で実刑となる多くのケースが、この執行猶予期間中の無免許運転です。執行猶予がつけられた事件が飲酒運転やスピード違反といった交通事犯の場合は、ほぼ確実に実刑となってしまいます。
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(3)無免許運転で人身事故
無免許運転中に人に接触し、その結果、死亡あるいはケガをさせた場合には、無免許過失運転致死傷罪が成立します。刑罰は6か月から10年の懲役刑のみで、罰金刑はありません(自動車運転処罰法6条、6条4項)。
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(4)人身・物損事故を起こして逃走した
運転中に事故を起こした場合、道路交通法上、直ちに車両等の運転を停止して、警察に連絡しなければなりません(道路交通法第72条1項)。また、警察官が命じたときは、警察官が来るまでその場で待機しなければなりません(同条2項)。しかし、無免許の事実を警察に知られたくなくて、とっさに逃げ去ってしまうケースは少なくありません。この場合、交通ルールが遵守されていないだけではなく、逃亡・証拠隠滅行為により刑事手続きをも妨害したとして、たとえ初犯であっても実刑となる可能性が高くなります。
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4、無免許運転に該当する運転行為
懲役刑もありうる無免許運転ですが、具体的にどのような行為を指すのでしょうか?
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(1)無免許運転の種類
- 純無免許 運転免許証の交付を受けた経験がない方が自動車などを運転する場合です。
- 停止中無免許 運転免許停止期間中に運転した場合です。交通違反や事故によってついた違反点数が一定基準にまで累積すると、免許停止処分(免停処分)になります。その期間中に運転したケースです。
- 取り消し無免許 運転免許取り消し処分を受けた後に運転した場合です。交通違反などでついた違反点数が一定基準まで累積したため運転免許取り消し処分を受けた場合は、無免許運転になります。
- 免許外運転 運転免許は取得しているものの、運転資格のない車両を運転した場合です。たとえば普通自動車運転免許しか持っていないのに、大型トラックを運転したようなケースです。
- 免許失効後の運転 運転免許の更新をせずに運転資格が失効したのにもかかわらず、車両を運転する場合です。
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(2)無免許運転とは区別される免許証不所持・免許条件違反
無免許運転に似ている違反行為に免許証不所持と免許条件違反があります。
- 免許証不携帯 免許証の交付は受けたものの、免許証を携帯しないまま運転する行為は免許証不携帯(道路交通法95条)です。免許証の携帯義務に違反してはいるものの運転技能に問題がない点で、無免許運転とは区別されます。
- 免許条件違反 運転免許には一定の条件が付けられることがあります。たとえば、免許証に記載される「AT車に限る」や「眼鏡等」などの条件です。このような条件があるのにAT車以外のマニュアル車を運転する場合や、眼鏡やコンタクトレンズを着用せずに運転する場合に免許条件違反となります。
個別の条件に反するものの免許証の交付は受けているという点で、根本的に運転資格を持たない無免許運転とは区別されます(道路交通法91条)。
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5、もしも無免許運転で逮捕されてしまったら
無免許運転が発覚して逮捕された場合、家族はどのようなことができるでしょうか?逮捕直後から裁判にいたるまで、なすべきことを具体的に説明します。
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(1)弁護士に相談する
逮捕された直後は、まず弁護士に相談しましょう。
自分の家族が逮捕されたとなれば、いち早く駆けつけて面会したいと考える方は少なくありません。しかし、通常は逮捕から72時間後の勾留決定があった後でなければ家族は面会できません。
これに対して、弁護士であれば逮捕直後から面会が可能です。弁護士は、面会を通じて被疑者本人の不安を和らげると同時に、今後の手続きの流れを説明します。さらに本人が深く反省していればその様子を警察や検察に主張して釈放を求め、あるいは勾留を回避するように働きかけます。また、裁判においては量刑に悔悛(かいしゅん)の情を考慮してもらうように弁護活動します。 -
(2)身元引受人になる
逮捕、すなわち身体拘束は逃亡するおそれがあると判断されたときに行われます。そこで、逮捕された被疑者の身元を証明することで逃亡の可能性がないと判断されれば、釈放される可能性が高くなります。
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(3)再犯を防止する環境を整える
具体的には、勝手に自動車運転をしないように家族が鍵を管理する、社用車で無免許運転を行った場合には上司に監督する旨の誓約書を作成してもらうなど、無免許運転を繰り返さない環境を整えるためのサポートをします。
再犯防止にむけた取り組みは、刑事裁判になった場合の量刑においても有利な事情となります。
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6、まとめ
たとえ事故を起こさなかったとしても無免許運転は犯罪行為です。免許を持っていても停止中や有効期限が切れている場合の運転も、無免許運転に該当する行為として、処罰の対象となる可能性があります。「必要に迫られてやむを得ず運転した」「うっかり更新するのを忘れていた」など、誰もが起こしてしまいそうな犯罪ですが、その刑罰は実刑もありうる重いものです。
無免許運転で家族が逮捕されてお困りの場合は、解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。
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