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弁護士コラム

2021年03月15日
  • 交通事故・交通違反
  • 飲酒運転

飲酒運転の罰則とは? もし事故を起こして逮捕された場合はどうなる?

飲酒運転の罰則とは? もし事故を起こして逮捕された場合はどうなる?
飲酒運転の罰則とは? もし事故を起こして逮捕された場合はどうなる?

警察庁の調べによれば、飲酒運転による交通事故は飲酒なしと比べて7.9倍も死亡事故につながる可能性が高いことが分かっています。しかし飲酒運転による死亡事故はなくならず、令和元年は176人もの大切な命が失われました。このような現状をみれば、飲酒運転の取り締まりがますます厳しくなっていくのは必至でしょう。

もし自分の家族が飲酒運転をして逮捕されてしまったら、刑罰を科される可能性が高く、あわせて免許取り消しなどの行政処分も受けることになります。

本コラムでは、飲酒運転の定義を説明したうえで、飲酒運転によって適用される罪名や刑罰の内容、家族が逮捕された場合に何ができるのかについて解説します。

1、飲酒運転とは? 酒気帯び運転と酒酔い運転の違い

飲酒運転とは、酒類を摂取し、体内にアルコールが残っている状態で車両を運転することを指す言葉です。

「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類があり、それぞれに厳しい行政処分が定められています

  1. (1)酒気帯び運転

    酒気帯び運転とは、体内にアルコールを呼気1L中0.15mg以上含んだ状態で車両を運転することをいいます。数値で明確に基準が設けられているため、警察の呼気検査などで検知されるケースが多数でしょう。

    行政処分の内容は、アルコール濃度によって異なります


    • アルコールが呼気1L中0.15mg以上0.25mg未満
    • 違反点数13点となり、前歴0回の場合は90日間の免許停止処分を受けます。
      前歴が1回以上の場合は免許が取り消され、欠格期間(新たに免許を取得できない期間)は前歴回数に応じて最大4年です。

    • アルコールが呼気1L中0.25mg以上
    • 違反点数25点となり、免許が取り消されます。
      欠格期間は、前歴0回または1回の場合は2年、前歴2回以上は回数に応じて最大5年です。

  2. (2)酒酔い運転

    酒酔い運転とは、アルコールの影響により、車両の正常な運転ができない状態で運転することをいいます。具体的には、蛇行運転をする、標識を守れない、まっすぐに歩けないといった状態に陥っていれば酒酔い運転にあたるでしょう。


    行政処分は、違反点数が35点と無条件で免許取り消しとなり、欠格期間も前歴に応じて3年から8年と、酒気帯び運転よりも重く定められています。

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2、飲酒運転で問われる可能性のある刑罰

飲酒運転をすると行政処分を受けるだけにとどまらず、罪に問われて刑罰を科される可能性があります。

どのような罪に問われるのか、また刑罰はどのくらい重いのかについて以下で見ていきましょう。

  1. (1)人身事故を伴わない場合

    人身事故を起こしていなくても、飲酒運転をすれば以下の刑罰を科されます


    • 酒気帯び運転……3年以下の懲役または50万円以下の罰金(道路交通法第117条の2の2第3号)
    • 酒酔い運転………5年以下の懲役または100万円以下の罰金(同法第117条の2第1号)


    飲酒運転は道路交通法違反の中でも悪質な違反行為なので、いずれの場合も不起訴処分や無罪判決にならない限りは前科がつきます。

  2. (2)人身事故を伴う場合

    飲酒運転によって人を負傷または死亡させてしまうと、次の罪に問われる可能性があります


    • 過失運転致死傷罪
    • 自動車の運転上必要な注意を怠り、人を死傷させた場合に問われる罪です(自動車運転処罰法第5条)。

      刑罰は「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」となります。

    • 危険運転致死傷罪
    • アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させると、危険運転致死傷罪に該当します(自動車運転処罰法第2条)。これは、危険な運転であることの認識(故意)がありながら自動車を走行させ、かつ人の死傷という重大な結果を引き起こす犯罪です。

      たとえばハンドルやブレーキ操作がうまくできない、距離感がつかめないといったケースでは「正常な運転が困難な状態」と認められる可能性があるでしょう。

      刑罰は人を負傷させた場合が「15年以下の懲役」、人を死亡させた場合が「1年以上20年以下の懲役」です。

    • 過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪
    • 飲酒運転によって死傷事故を引き起こした者が、飲酒運転の発覚を免れる目的でその場を離れる、さらにアルコールを摂取するなどの行動をとった場合に成立します(自動車運転処罰法第4条)。

      現場から逃走して水を飲み体内のアルコール濃度を下げようとするような隠ぺい工作を防ぐために設けられている罪です。

      同罪の刑罰は「12年以下の懲役」ですが、ひき逃げとの併合罪となった場合には、懲役の上限が「18年」にまで引き上げられます(道路交通法第117条2項、刑法第47条)。

  3. (3)そのほかの刑罰

    飲酒運転の発覚をおそれて警察の呼気検査を拒否した場合も罪に問われる可能性があります。

    警察による呼気検査は、任意で実施される職務質問などと異なり、拒否すれば道路交通法違反に該当します。呼気検査拒否罪と呼ばれるものです

    呼気検査を拒み、または妨げる行為をすると「3か月以下の懲役または50万円以下の罰金」に処せられます(道路交通法第118条の2)。

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3、車両提供者や酒類の提供者への刑罰は?

飲酒運転をした本人だけでなく、その人に対して車両や酒類を提供した人も厳しく処罰されます

  1. (1)車両提供者への刑罰

    酒気帯び運転の禁止に違反して車両を運転するおそれのある者に対して、車両を提供する行為は禁止されています(道路交通法第65条2項)。これに違反して車両を提供した者は、運転者の状況によって次の刑罰に処せられます。


    • 運転者が酒気帯び運転をした場合……3年以下の懲役または50万円以下の罰金(同法第117条の2の2、4号)
    • 運転者が酒酔い運転をした場合………5年以下の懲役または100万円以下の罰金(同法第117条の2、2号)


    上記は飲酒運転をした本人とまったく同じ刑罰です。飲酒運転をするおそれがある者に車両を提供する行為は、運転者と同様に悪質とみなされていることがわかります。

    また車両の提供者が運転免許を保有していた場合は、運転者と同じく免許の取り消しまたは停止処分の対象となります。

  2. (2)酒類提供者への刑罰

    酒気帯び運転の禁止に違反して運転するおそれのある者に対し、酒類を提供したり、飲酒をすすめたりする行為は禁止されています(道路交通法第65条3項)。

    これに違反して酒類を提供した者は、運転者の状況に応じて次の刑罰を科されます。


    • 運転者が酒気帯び運転をした場合……2年以下の懲役または30万円以下の罰金(同法第117条の3の2、2号)
    • 運転者が酒酔い運転をした場合………3年以下の懲役または50万円以下の罰金(同法第117条の2の2、5号)


    このケースも、酒類の提供者が運転免許を保有していた場合は、免許取り消しまたは停止処分の対象です。

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4、同乗者も罪に問われる可能性がある

車両や酒類の提供者だけでなく、飲酒運転の同乗者も、次の要件を満たす場合には罪に問われます(道路交通法第65条4項)。

  • 運転者が酒気を帯びていることを知っていたこと
  • 運転者に対し、自己の運送を要求し、または依頼したこと


運転者が飲酒している事実を知りながら自分を車に乗せるよう要求・依頼すれば、自らが運転していなくても責任を問われるのです。

飲酒運転が発覚すれば運転者と同様に同乗者も捜査が実施されるでしょう。したがって、運転者と一緒に飲酒した後に要求・依頼して同乗したようなケースでは、「知らなかった」との言い訳は通用しません

同乗者の刑罰は次のとおりです。

  • 運転者が酒気帯び運転をした場合……2年以下の懲役または30万円以下の罰金(同法第117条の3の2、3号)
  • 運転者が酒酔い運転をした場合………3年以下の懲役または50万円以下の罰金(同法第117条の2の2、6号)


同乗者についても、刑罰のほかに免許取り消しまたは停止の行政処分が下されます。

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5、飲酒運転における逮捕後の流れ

飲酒運転をすると人身事故の有無を問わず、逮捕される可能性があります。ほかの刑事事件と同じように刑事手続きを受けるわけですが、どのような流れで手続きが進められるのでしょうか。

飲酒運転で逮捕された後の流れを解説します。

  1. (1)逮捕・送致

    逮捕されると48時間以内に警察から取り調べを受けて検察庁へ送致され、今度は検察官から24時間以内に取り調べを受けます。ここまでの72時間で、検察官は被疑者を起訴するか不起訴とするのかを決定します。

  2. (2)勾留

    逮捕後の72時間では十分な捜査が尽くされず、起訴・不起訴を判断できなかった場合には、検察官は裁判官に対して勾留を請求します。裁判官が勾留を認めると勾留となり、勾留請求の日から原則10日間、延長を含めると最長で20日間の身柄拘束が続きます。

    もっとも、人身事故を伴わない飲酒運転の場合は、すでに証拠がそろっていて証拠隠滅のおそれが低いため、勾留される可能性はそれほど高くないでしょう。しかし、明らかな証拠があるのに否認すれば勾留のおそれが生じるため、飲酒運転が事実であれば捜査に協力することが大切です

  3. (3)起訴または不起訴

    勾留が満期を迎えるまでに、検察官は起訴または不起訴を判断します。不起訴となれば即日で身柄を釈放されますが、起訴されると刑事裁判までさらに身柄が拘束されるでしょう。

    ただし起訴後は保釈の請求ができるため、保釈が認められれば裁判まで一時的に釈放されます。

  4. (4)刑事裁判

    刑事裁判には、法廷で審理される正式裁判と、書面による簡略的な手続きの略式裁判があります

    人身事故を伴わない酒気帯び運転で、かつ初犯であれば、略式裁判により罰金刑となる可能性があると考えられます。一方で、酒酔い運転の場合は正式裁判が開かれる可能性が高く、同種の前科・前歴があれば実刑判決を受けるおそれもあります。

    危険運転致死傷罪に該当するような重大な人身事故を起こした場合にも正式裁判が開かれます。飲酒運転による人身事故は社会問題となっており厳罰化の傾向にあるため、事故の悪質性や被害の大きさなどに応じて厳しい量刑が言い渡されるでしょう。

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6、飲酒運転で家族が逮捕されてしまったら

自分の家族が飲酒運転をして逮捕されたら、ご家族は以下の行動を通じて本人をサポートしましょう。

  1. (1)事実確認をする

    警察から逮捕の連絡が入ったら、いつ、どこの警察署に、どんな容疑で逮捕されたのか、また被害者がいるのかなどの事実確認をしましょう。

    これからご家族が弁護士へ依頼する際、これらの情報があれば弁護士がすぐに動くことが可能です。

  2. (2)弁護士を依頼する

    逮捕された本人は精神的な動揺から取り調べで不利な発言をしてしまうおそれがあります。しかし逮捕後72時間は、たとえご家族でも本人との面会が許されないため、直接励ますことができません。

    弁護士であれば制限なく本人と面会して精神的な支えとなり、取り調べに関する重要なアドバイスも与えられます。

    できるだけ早い段階で弁護士へ相談すれば、弁護士の活動の選択肢が広がり、早期に釈放される、適用される犯罪や量刑が変わるといった可能性がでてきます

    勾留を回避する、懲役ではなく罰金が選択されるなどすれば、日常生活への影響も最小限に抑えられるでしょう。

  3. (3)示談交渉

    人身事故を伴う飲酒運転の場合は、被害者との示談が成立していることで、起訴・不起訴や量刑の判断に際してよい事情として扱われるでしょう。

    ただ、交通事故では保険会社が示談交渉をおこなうケースが多く、被害者の治療の進み具合によっては示談成立までに時間がかかる場合があります。

    また保険会社は刑事事件の示談で重要な「被害者は加害者を許す」という内容まで盛り込んで交渉するわけではありません

    そのため、早めに弁護士から被害者へ連絡し、謝罪を含めて示談交渉を進めることが重要です。

  4. (4)環境改善

    被害者はもちろん、検察官や裁判官に対しても、本人が深く反省し、再犯防止に取り組む姿勢をみせることが非常に大切です。再犯のおそれが低いとみなされると、実刑判決を回避し、執行猶予がつく可能性が高まります。

    免許の返納や車の売却などを通じて今後は運転しないことをアピールする、ご家族が本人の監督を誓約する、アルコール依存症の場合は治療を開始するなど、具体的な防止策が必要となるでしょう。

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7、まとめ

飲酒運転は非常に危険な行為なので、免許取り消しなどの行政処分を受けるだけでなく、刑事事件として扱われ、刑罰も科されます。特に人身事故を伴うケースでは実刑判決の可能性も高いでしょう。

家族が飲酒運転をして逮捕されてしまったら、今後は二度と飲酒運転をしないよう環境改善をサポートすると同時に、早期の身柄釈放や刑の減軽に向けた活動によって日常生活への影響を抑えることが必要です。

飲酒運転に関する事件・事故の解決には弁護士の助力が不可欠となるため、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所へご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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