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傷害罪における懲役刑の相場は? 傷害罪の刑罰と逮捕から判決までの流れを解説
身内が傷害事件を起こしてしまい、すでに逮捕されてしまった場合、ご家族としては心配でたまらない気持ちになるでしょう。
必ず懲役刑になってしまうのか、なるとすれば何年くらい刑務所に入ることになるのか、相場を知りたいと思う方も多いはずです。
この記事では、傷害罪の刑罰について解説するとともに、逮捕後の流れや弁護士へ相談するべき理由にも触れていきます。
1、傷害罪とは
傷害罪は、刑法第204条に定められています。「人の身体を傷害した」とは、人の生理的機能を害したことをいいます。典型的には、喧嘩中に人を殴り、全治何か月といったけがを負わせた場合がこれに当たりますが、けがに限らず、病気に感染させる、睡眠障害や精神症状を生じさせるなどの場合に傷害罪が適用されることがあります。
暴行の結果として傷害が生じた場合(典型的には、喧嘩中に人を殴った場合)は、被害者に傷害を負わせるつもりはなかったとしても傷害罪に問われることになります。
暴行を手段としない場合(何度も電話をかけて被害者をノイローゼに追い込むなど)は、被害者に傷害を負わせるつもりでなければ傷害罪は成立しません。
傷害罪の刑罰は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
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2、傷害罪の処罰の相場について
傷害罪には罰金刑の規定があります。また懲役刑でも執行猶予がつく可能性があります。ですので、必ずしも刑務所に収監されるわけではありません。罰金刑や執行猶予つき判決の場合でも前科がつきますが、ただちに刑務所に入ることなく日常生活を送ることができます。懲役刑を科される場合、原則として1か月以上15年以下の懲役が科されます。
傷害罪を犯してしまい、罰金で済むのか、懲役刑が科されるのか、懲役刑を科されたとして執行猶予が付くのか、実刑を科されたとして何年くらいの刑期になるのかは傷害事件の内容によります。処分が重くなる要素としては、たとえば次のようなものがあります。
- 傷害の結果が重大
- 凶器を使うなど犯行様態が悪質
- 被害弁済や被害者との示談が済んでいない
- 被害者の処罰感情が大きい
- 同種前科がある
初犯であっても、悪質で重大な結果をもたらしたのであれば、実刑判決もあり得ます。
反対に、処分が軽くなる要素としては次のようなものが挙げられます。
- 初犯で悪質性が低く、結果も軽微である
- 十分な弁済と示談が済み、被害者から宥恕意思を得ている
- 家族の監督など再犯防止のための取り組みがなされている
- 事件が起きた経緯として必ずしも加害者だけが悪いとはいえない
どの程度の量刑になるのかは個別の事件を確認しなければ判断できませんので、傷害罪に詳しい弁護士に相談しましょう
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3、傷害罪で逮捕された後の流れ
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(1)通常逮捕と現行犯逮捕
逮捕には3つの種類がありますが、主に見られるのは通常逮捕と現行犯逮捕です。
通常逮捕とは、傷害罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある場合、逮捕状にもとづき、主に警察官によって逮捕されることです。逮捕状の発布には裁判所の許可が必要となりますので、捜査機関の独断で逮捕することはできません。現行犯逮捕は、傷害行為をまさに行っているところ、もしくは傷害行為が終わった直後に現場で警察官や私人に逮捕されることをいいます。 -
(2)逮捕から判決までの流れ
逮捕されると警察官から取り調べを受け、さらに身柄拘束が必要だと判断されると48時間以内に検察庁へ事件と身柄が送られます。
送致後は検察官による弁解録取手続が行われ、さらに身柄拘束が必要と判断された場合には、送致されてから24時間以内に裁判官に対して勾留請求がなされます。勾留請求が認められるとそこから10日間、さらに捜査のために勾留延長の必要があるが認められるとさらに最大10日間の身柄拘束が継続します。そして、多くの場合、勾留の期限が来るまでの間に検察官は起訴・不起訴の判断をします。
不起訴になれば前科はつきません。身柄拘束されていた場合は、釈放されます。 起訴されると刑事裁判の手続へと移行します。
刑事裁判の手続には、略式手続と公判があります。
略式手続は、100万円以下の罰金刑が相当と検察官が考えた場合、被疑者の同意を得た上で、罰金刑を下すように請求する手続です。裁判官がその請求を相当と考えた場合、裁判は開かれずに100万円以下の罰金刑が科されます。裁判官が一方的に罰金刑を下すので、被疑者の言い分は聞いてもらえませんが、裁判が開かれずに終わるので、公開法廷に立たされたりしないし、公判の裁判の期日に長々と拘束されたりしないというメリットもあります。
公判は正式な刑事裁判です。ここで有罪となった場合、処罰は罰金刑だけとは限りません。懲役刑、さらに執行猶予が付されないとなれば、刑務所へ収監され、期日が満了するまで刑に服します。罰金刑となれば定められた金額を検察庁へ納めます。罰金の納付を無視すれば労役場留置の可能性があります。 -
(3)傷害罪で逮捕、起訴される可能性はどれくらい?
傷害事件を起こしても必ずしも逮捕、起訴されるわけではありません。参考までに平成30年版犯罪白書のデータを確認してみましょう。
平成29年における傷害罪の検察庁既済事件数は、2万2911件です。このうち、警察および検察による逮捕者数は1万3012人です。傷害事件を起こした者は、約56%の割合で逮捕されていることになります。
逮捕人員のうち身柄付送致された者は1万1917人です。逮捕されると約91%の割合で検察庁へ送検されていることが分かります。
さらにこのうち、起訴された者が7221人、不起訴となった者が1万3344人です。つまり、起訴率は約35%です。
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4、暴力行為等処罰法
傷害行為の態様によっては、暴力行為等処罰ニ関スル法律(以下「暴力行為等処罰法」といいます。)違反の罪が成立することがあります。傷害の意思を持って銃砲刀剣類で人を傷つけると銃砲刀剣類傷害罪(暴力行為等処罰法第1条ノ2)、常習的な傷害罪は常習傷害罪(暴力行為等処罰法第1条ノ3)に問われることがあります。
処罰はいずれも1年以上15年以下の懲役です。普通の傷害罪と比較して行為の性質が悪質なので、罰金刑では済まないし、最低でも1年の懲役刑が科されます。
また、このように重い罪に問われるので、普通の傷害罪よりも逮捕、勾留されるおそれが高くなります。
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5、傷害罪で懲役刑を回避・軽減のために弁護士ができること
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(1)逮捕前の役割
逮捕前の段階であれば被害者に対して謝罪を行い、示談を成立させ、逮捕を免れる可能性が残されています。しかし、加害者本人やそのご家族が直接示談を行うのは難しいケースもあるでしょう。そこで、弁護士を介することで冷静な話し合いをして、示談交渉をスムーズに進めることができます。
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(2)逮捕後の役割
すでに逮捕されている場合は、早期の身柄釈放や不起訴処分を目指すことになります。しかし勾留された事件では起訴・不起訴の判断までに時間的な制限がありますので、できるだけ早く対処しなくてはなりません。そのためにはご家族の迅速な行動が鍵を握ります。
弁護士は依頼を受けた後、速やかに本人と会い、今後の見込みや取り調べに対するアドバイスを行うほか、精神的なサポート、ご家族との連絡も行います。 被害者の連絡先が不明な場合や、加害者本人に教えてもらえなかった場合は、捜査機関を通じて弁護士が連絡先を教えてもらえる可能性があります。
弁護士が被害者と連絡する手段を得られれば、被害者への謝罪と示談交渉を行い、被害者に渡した謝罪文の写しを検察官に提出する、事件の経緯を説明するなどし、不起訴処分になるよう働きかけます。 -
(3)起訴後の役割
起訴されてしまった場合でも弁護士の継続した弁護活動により、普通の傷害罪であれば罰金刑で済む可能性があります。懲役刑となっても執行猶予がつけば、猶予期間を何事もなく過ごし終えることで刑務所に行かずに済みます。
傷害罪で懲役刑となれば長期にわたり自由を奪われ、社会から断絶されることになりますので、出所後の再就職などにも影響があるでしょう。そのため弁護士による弁護活動が非常に重要となります。
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6、まとめ
傷害罪は懲役刑もあり得る重い罪です。暴力行為等処罰法違反の罪なら懲役刑以外はありません。
もし懲役刑になれば、自由が制限されるだけでなく、今後の生活への影響も免れないでしょう。そのためできる限り早めに対応する必要があります。
ご家族が逮捕された場合は、なるべく早く弁護士へ相談することをおすすめいたします。刑事事件の弁護実績が豊富な弁護士が尽力しますので、ベリーベスト法律事務所までお早めにご連絡ください。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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