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傷害罪とはどういう犯罪? 暴行罪や傷害致死罪との違いや逮捕後の対処法を解説
誰かを殴ったり蹴ったりして怪我を負わせた場合、傷害罪に問われます。
警察庁の公表する犯罪統計(平成30年)によれば、平成30年の傷害事件の認知件数は2万2523件、そのうち検挙件数は1万8747件となっており、1日あたり平均で50件以上もの検挙件数があることになります。ある意味では、それだけ身近な犯罪とも言えるでしょう。
そこで今回は、家族が傷害事件を起こして逮捕されてしまった場合に、前科はついてしまうのか、また前科がつかないようにする方法はないのかについて、弁護士が解説します。
1、傷害罪の構成要件は? 刑罰について
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(1)傷害罪の成立要素
犯罪を成り立たせる要素を「構成要件」と言います。ある行為が、法律上や判例上の要件に当てはまることで、特定の犯罪行為と判断されるのです。
傷害罪の構成要件は、大きく分けて4つあります。第1に傷害罪の実行行為があること、第2に傷害という結果が生じたこと、第3に実行行為と結果との因果関係、第4に故意があることです。たとえば、殴るという実行行為があり、被害者が怪我を負い、殴ったことで怪我をさせたという関係が認められ、殴ったのは意図的だった、というように判断がなされます。
なお、傷害罪は親告罪ではないため、起訴されるにあたって、被害者からの告訴は要しません。 -
(2)傷害罪の刑罰
傷害罪で有罪となった場合、15年以下の懲役または50万円以下の罰金が刑罰として科されます。再犯や未遂の場合、また未成年の場合の取り扱い、懲役刑の期間については、それぞれ状況が異なるため、以下で詳しくご説明します。
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2、傷害罪の初犯、未遂の場合は刑罰がある?
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(1)初犯と再犯の場合
法律上「初犯」という用語に明確な定めはありませんが、一般には前科前歴のないことと捉えられます。
これに対し、「再犯」には定義があります。懲役刑を科された者が、刑の執行が終わるか執行を免除された日から5年の期間内に再度罪を犯し、有期懲役に処せられたときです(刑法第56条第1項)。再犯の場合、再犯加重といって刑罰が重くなることがあります。懲役刑の長期の2倍以下というのがその定めです(刑法第57条)。 -
(2)未遂の場合は刑罰を受けるか
傷害罪の未遂とは、傷害罪の実行行為はあったものの傷害という結果が生じなかったケースです。この場合、実行行為が暴行に当たるのであれば暴行罪の構成要件を満たし、刑罰を受ける可能性はあります。ただ、傷害罪に未遂罪の処罰規定はないため、暴行に当たらなければ犯罪は不成立となります。
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(3)未成年でも逮捕されるのか
未成年でも14歳以上の子どもであれば、被害届の提出や告訴によって事件が明らかになり、逮捕され少年事件として扱われる可能性があります。未成年の場合、処罰よりも更生が主な目的とされるため、よほど行為態様が悪質といった事情がない限り、刑罰が下されるケースは少ないと言えるでしょう。ただ、子どもだからといって逮捕を免れるわけではありません。
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3、傷害罪と暴行罪の違いについて
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(1)類似した犯罪の区別
一見似たような犯罪行為でも、刑法上は別の犯罪として構成要件が定められていることがあります。刑罰の重さも異なるため、どのような犯罪に当たるのかは、取り調べや起訴の段階で厳密に区別されます。
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(2)傷害罪と暴行罪
傷害罪と暴行罪は、行為自体は大きく変わりませんが、程度や結果が異なります。簡単に言えば、相手を負傷させてしまった場合は傷害罪となり、怪我まではさせなかった場合は暴行罪となります。もっとも、傷害という結果は肉体的なものであれ精神的なものであれ、被害者の自己申告ではなく、医師の診断により厳格に判断されます。
また、相手に傷害を負わせた場合、暴行についての故意さえあれば傷害罪が成立します。 -
(3)傷害罪と傷害致死罪
暴行により傷害を負わせ、それによって被害者が死亡してしまった場合、傷害致死罪が成立します。加害者の行為によって被害者の死亡という結果が生じているという点では殺人罪と同じように見えますが、故意の内容が異なります。殺人罪は殺意があった場合で、傷害致死罪は傷害や暴行についての故意があった場合に成立する犯罪です。
なお、傷害や暴行の故意なく相手を結果的に死なせてしまった場合は、過失致死罪が成立します。
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4、傷害罪に時効はあるのか?
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(1)2つの時効
時効とは、一定期間の経過により法的効果が生じたり消滅したりすることを言います。
一般に、相手に被害を与えた場合の時効は2種類あります。刑事の時効と民事の時効です。これらは時効にかかる対象も期間も異なるため、区別して考える必要があります。 -
(2)刑事の時効
傷害罪において刑事の時効とは、公訴時効を指します。公訴とは刑事事件に関する訴訟のことで、この時効が過ぎれば検察官の公訴提起権限が消滅し、起訴ができなくなります。
公訴時効は対象となる犯罪の刑罰の重さによって決まっています。傷害罪の場合、懲役刑が最長で15年と定められているため、公訴時効は10年となっています(刑事訴訟法第250条第2項)。公訴時効は傷害行為が終わったときから進行します。
また、中には告訴期間を時効と表現するケースもありますが、傷害罪は親告罪ではなく被害者の告訴は起訴の要件とされていないため、関係ありません。 -
(3)民事の時効
傷害罪において民事の時効とは、傷害によって生じた損害賠償請求権の消滅時効を指します。たとえば治療費や通院交通費などを被害者が加害者に請求する権利です。この時効が過ぎれば、被害者は加害者に損害賠償を請求できなくなります。
傷害によって生じた損害賠償請求権の消滅時効は3年間です。被害者が損害および加害者を知ったときから時効は進行します。傷害罪の場合、被害者は一般的に行為の際に損害があったことを知りますが、たとえば顔を隠して犯行を働いたケースなどでは、加害者の住所氏名などを知って損害賠償請求が可能となった時点から時効が進行することになります。
ただし、相手の請求を3年間無視し続ければ請求権が消滅するわけではありません。請求を受けたり裁判を起こされたりすることで時効は中断します。
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5、傷害事件で前科がつく可能性はある? 初犯の場合は執行猶予がつくのか?
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(1)傷害事件と前科
前科とは、起訴されて有罪の判決が下った事実を指します。いわゆる刑務所に入ったかどうかは関係ありません。前科をつけたくなければ、不起訴処分となるか、裁判で無罪の判決を受ける必要があります。
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(2)傷害事件と執行猶予
執行猶予とは、あくまでも刑の執行が猶予されるという処分に過ぎず、有罪判決自体は下っています。したがって、前科はつくのです。ただ、執行猶予判決を受けた場合、本来は懲役刑だったとしても、直ちには刑務所へ行かなくてもすみます。
刑務所へ収監された場合、経歴にも空白期間が生じますし、当面はあらゆる日常生活上の自由が制限された状態となります。仮に起訴されてしまったのであれば、執行猶予判決を得ることを目指すべきと言えるでしょう。 -
(3)執行猶予判決を得るために
初犯であり、傷害の程度も比較的軽い場合は、起訴されたとしてもよほどのことがない限り執行猶予がつく可能性は高いと言えます。ただし、きちんと反省の意思を示すことが重要です。
反省の意思を示す方法の1つに、被害者との示談交渉があります。被害者と示談を行い、損害を金銭で埋め合わせると共に、被害者から許してもらい示談を成立させることで、裁判官の心証も良いものとなります。早期に示談交渉をしておけば、裁判まで至らずに不起訴処分を獲得できる可能性もあります。
しかし、逮捕されてしまった場合、被疑者本人は直接被害者と示談を行うことができません。
被害者は心身共に傷ついています。示談は、そうした被害者の心情にも配慮しながら、慎重に行わなければなりません。そこで、示談交渉の代行が法律上認められている弁護士に任せることをおすすめします。
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6、まとめ
つい激昂して相手に暴力を振るってしまったり、相手に食べさせたものが傷んでいて食中毒となってしまったりと、傷害罪は日常生活において決して珍しい犯罪ではありません。
もしご家族が傷害罪の容疑で逮捕されてしまうようなことが起きたら、できるだけ早く弁護士までご相談ください。早ければ早いほど、被害者との示談や取り調べへのアドバイスといった対応を迅速に行えるため、不起訴処分を受けやすくなります。
刑事事件の解決について豊富なノウハウを持つベリーベスト法律事務所では、丁寧で親身な対応を心がけております。早期釈放から執行猶予判決の獲得まで、傷害事件へのさまざまな対処についても、安心してお任せください。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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