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脅迫の意味と脅迫罪になりえる言葉とは? 脅迫容疑の対処に弁護士が有効な理由
脅迫するつもりはなかったが、ついカッとなって相手を脅すような言葉を口にしてしまった経験は誰にでもあります。しかし自覚はなくても脅迫罪になる可能性はゼロではありません。匿名性が高いSNS上でも同様のことがいえます。
タレントの堀ちえみさんのブログに「死ね」、「消えろ」といった誹謗中傷の言葉を繰り返し書き込んだことで50代の主婦が脅迫容疑で書類送検されていた事件がありました。主婦に脅迫をした意識はないようですが、十分脅迫罪になりえる言動です。
まずはどういった言葉や行動が脅迫罪になりえるのかを理解しておくことが大切です。また万が一、脅迫の疑いを受けた場合にも、できることなら警察沙汰にせず円満に解決させるために弁護士への相談が有効な理由について、解説いたします。
1、脅迫の意味とは?
脅迫文、脅迫メール、脅迫電話など、脅迫という言葉を使った単語はいくつかありますが、具体的な意味について検証しましょう。
脅迫とは、相手に何か行動を起こさせる目的で脅すことを指します。
脅迫の手段は、直接相手と相対したときに行う方法だけでなく、メールやLINEなどのメッセージを通じて行われる場合もあります。また、当人同士にしか見られない個人的なやり取りのみならず、不特定多数の人が目にするインターネット上の掲示板やSNS上で行われることもあります。
続いて、刑法上の脅迫の意味についてみていきましょう。
一般的に使われる脅迫の目的が、相手に何かをさせることであるのに対して、刑法上の脅迫とは他人に恐怖心を与えることです。相手になんらかの危害を告知すると、刑法上の脅迫が成立します。
つまり相手に恐怖を感じさせるために行われた言動は、脅迫罪に抵触する可能性があります。裏を返せば、相手に恐怖を感じさせる目的で行っていなければ問題ないとも考えられます。
ただし、ネット上の書き込みや手紙電話などによる行為は内容次第によって判断は分かれ、脅迫罪が成立するかどうかの判断が難しいケースが多々あります。
たとえば「訴えるぞ」という言葉について考えてみましょう。
実際には訴えるつもりはなく、相手を脅そうとして口にしたのであれば、刑法上の脅迫に抵触する可能性があります。
一方、本当に警察に被害届を出して訴えようと思っており、それを口にした場合は、正当な権利を行使すると告げたに過ぎず、脅迫に該当する可能性は低いといえるでしょう。
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2、脅迫罪になる可能性がある言葉とは?
脅迫罪とは、生命、身体、自由、名誉、財産などに対して危害を加えると相手に告げることです。これを法律用語で「害悪の告知」といいます。
危害を加える対象となる人物は本人だけに限定されません。
相手の子どもや親族など、害悪が及ぶことで本人に利害が生じる相手であれば対象となります。
脅迫という言葉は、相手に恐怖を感じさせることが目的にあげられますが、脅迫罪が成立するには実際に相手が恐怖を感じたかどうかまでは問われません。害悪の告知を行った時点で、脅迫が行われたと判断され脅迫罪が成立します。未遂を罰する規定もありません。
どのような言葉が脅迫罪にあたる可能性が高いのかを具体例をあげてご紹介します。
- 生命への害悪の告知 →本人や親や子どもなどを殺すと脅すこと。
- 身体への害悪の告知 →蹴るぞ、痛い目に合わせるぞと脅すこと。蹴るジェスチャーをみせるのも脅迫になる可能性があります。
- 自由への害悪の告知 →このまま帰れると思うな、子どもを誘拐するぞ、閉じ込めてやるなどと脅すこと。相手が帰れないように威圧的に前に立ちはだかることも、脅迫に該当することがあります。
- 名誉への害悪の告知 →職場に言いふらすぞ、ネットで拡散するぞ、など知られたくないことを公にするなどと告げること。
- 財産への害悪の告知 →放火するぞ、持ち物を壊すぞ、など財産に危害を加えると告げること。
脅迫罪が成立すると、2年以下の懲役刑もしくは30万円以下の罰金刑が科せられます。親告罪ではないため、被害者が告訴をしなくても警察に逮捕される可能性があります。
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3、脅迫の疑いを受けた場合の対処法
脅迫の疑いを受けた場合は、できるだけ早く相手との示談交渉を進めることをおすすめします。
相手側の連絡先を知っている場合は、直接謝罪と話し合いをするために連絡を取ることが可能です。
しかし、相手の連絡先が分からない場合、警察など捜査機関に問い合わせたとしても教えてもらうことはできません。この場合は、弁護士に間に入ってもらい連絡先を確認してもらうことになるでしょう。
示談が成立すれば、不起訴処分になったり、もし起訴されたとしても刑事処分が軽くなる可能性があります。不起訴となれば前科がつかずに済みます。
示談は相手に対しての謝罪に加えて、示談金として相手に賠償金を支払うこととなります。示談金は、悪質性や被害者感情など案件にもよりますので、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。
ただし、たとえ相手とお互いの連絡先を知っているような仲だとしても、加害者本人からの示談の申し入れに対して被害者側が拒否したり、冷静に話し合いができなかったりする場合も多くあります。その点、第三者である弁護士が間に入ることで、被害者側が冷静に交渉に応じてくれるケースも少なくありません。
「お金で解決してほしくない」と感じる被害者もいるため、まずは真摯に謝罪することが大切です。
脅迫容疑で、万が一警察に逮捕された場合は、以下のような流れになります。
逮捕されると、48時間以内に検察に送致されるかどうかが判断されます。送致された場合は、さらに24時間以内に勾留の要否が決定されます。勾留は最大20日間続くため、合計すると23日間拘束される可能性があります。
また、逮捕から72時間以内は親族であっても自由に面会などができません。
できるだけ早く自宅に戻れるようにするためには、逮捕後すぐに示談交渉などの対策を講じる必要があります。
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4、脅迫を警察沙汰にせず解決するなら弁護士に相談を
脅迫はまったくの他人に対してより、比較的関係が近い恋人や知人、友人などに対して起きるケースが多くみられます。
勢いでつい軽口をたたいてしまった、お酒が入ったことで気が大きくなり脅迫めいた言葉を吐いてしまい、相手は脅迫されたと感じてしまったというケースも少なくありません。
被害者としても、脅迫をされたことに悲しみや怒りなどの不快な感情を抱きつつも、相手が近い関係だけに警察沙汰にまではしたくないと考える人が多いのも事実です。
相手とのこれまでの関係性を考えると、警察に被害届を出して、法的処置や処分を望むのではなく、脅迫行為を止めることを切に願っています。
ただし脅迫の意識がない場合や、悪気がなくしてしまっている場合などは、どこまでが脅迫にあたるのかの判断も自分ではつきづらいものです。
当人同士で話し合いができればそれに越したことはありませんが、脅迫行為によって相手から恐怖感や不信感を抱かれている可能性もあります。大抵の場合、何度かそれとなく注意はされたものの、同じことを繰り返しているケースが多いものです。
また、被害者と加害者の関係性が近いだけに、冷静にスムーズな話し合いがしづらいというデメリットも生じます。
脅迫の疑いをかけられたときは、再発防止も含め第三者を間に入れた話し合いが効果的です。表沙汰になっていないだけで、このようなケースは潜在的にありふれています。
弁護士に相談することで、示談交渉はもちろん、相手との関係性を含めた解決までのサポートを受けることができます。
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5、まとめ
脅迫罪は比較的身近にある犯罪であり、誰もが意図せずとも加害者になる可能性があります。警察沙汰になってしまうと、長期間にわたる身柄拘束を受けたり、民事で訴えられて不利な立場になってしまったりと、大きな不利益を受けてしまうでしょう。
起訴されてしまうと前科もついてしまうことになるため、できるだけ早く相手との示談交渉をする必要があります。ただし、被害者が加害者との直接の交渉を避けるケースも多く、弁護士が間に入ることでスムーズに問題を解決することができます。
脅迫の疑いがかかった場合は、当人同士で話し合いが難航して事態が混迷してしまう前に、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。脅迫事件をはじめとした刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が、あなたを強力にサポートさせていただきます。
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