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子どもがカツアゲで逮捕された! 刑罰や解決へ向けて家族にできること
未成年の子どもがカツアゲをして逮捕されてしまったら、保護者の方は、自分の子どもが今後どのような処分を受けるのか不安になるはずです。逮捕されたことで、将来への影響はどれほどあるのか、子どものために家族として何をするべきなのかなどの疑問もあるでしょう。
子どものカツアゲ事件は、いじめから発展したというケースも少なくありませんが、犯罪行為ですので逮捕されることもあれば、悪質なケースでは厳しい処分を受けることもあります。
今回はカツアゲがどのような犯罪にあたるのか、逮捕された後の流れや処分の内容とあわせて解説します。
1、カツアゲは犯罪行為
カツアゲとは、人を脅したり暴力をふるったりして金品を差し出させる行為です。不良少年がおこなう「ちょっとした悪さ」ではなく、れっきとした犯罪行為です。刑法の恐喝罪(第249条)や、場合によっては強盗罪(第236条)にあたります。
恐喝罪は、暴行や脅迫によって人を怖がらせ、金銭などの財物を交付させる犯罪です。
恐喝罪が成立するには以下の要件(構成要件)を満たす必要があります。
- 恐喝の故意があること
- 暴行や脅迫を用いたこと
- 暴行や脅迫によって被害者が怖がったこと
- 怖がった被害者が金銭などの財物を差し出したこと
- 財物が加害者または第三者に渡ったこと
ここでいう故意とは、暴行や脅迫をして金銭を交付させ、自分の好きに扱おうという意思を指します。たとえば金銭に興味はなく、単に困らせてやろうと思っていたのなら恐喝の故意はなかったことになります。
殴る・蹴るなどの行為が暴行、「金をださないとボコボコにしてやる」などと言うのが脅迫です。暴行や脅迫の程度は、相手を怖がらせる程度で足ります。さらに怖がった被害者が実際に金銭を差し出すと恐喝罪が成立します。
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2、恐喝罪と脅迫罪の違い
恐喝罪の場合、前述のとおり、財物の交付や財産上の利益の移転という結果がともなえば既遂、結果が生じなければ未遂となります。
脅迫罪は、本人またはその親族の生命、身体、自由、名誉、財産に対して害を加える旨を告知する犯罪です。ただ脅すだけで成立する犯罪なので、未遂の規定はありません。
害悪の内容が「本人または親族」に限定されている点も異なります。たとえば「言うことを聞かないとお前の彼女をいためつけてやる」と脅してお金を差し出させれば恐喝罪が成立しますが、脅迫罪にはあたりません。恋人は本人または親族には該当しないからです。
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(1)刑罰の違い
恐喝罪の刑罰は「10年以下の懲役」です。罰金刑はないため、有罪になって執行猶予がつかなければ刑務所へ収監されます。初犯であるなどの有利な事情があれば執行猶予がつく可能性はありますが、被害金額が大きい、凶器を使ったなどの悪質なケースでは初犯でも実刑判決となる場合があります。
脅迫罪の刑罰は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」です。罰金刑または執行猶予つき判決となれば刑務所へ収監されることはありません。 -
(2)未成年も罪に問われる
未成年がおこなったカツアゲは、その年齢によって処遇が異なります。
まず、14歳未満は触法少年といいます。触法少年は、警察による調査の結果重大な刑罰法令に触れると判断された場合、警察から児童相談所長に事件が送致されます。さらに児童相談所長による調査の結果、家裁での審判が適当と判断されれば、事件が家裁に送致されます。その間、一時保護として身柄が自宅ではなく児童相談所に預けられることもあります。事件が家裁に送致された後の流れは、14歳以上の場合と処遇は大きく変わりません(ただ、触法少年の場合、後で説明する逆送は通常ありません)。
14歳以上の場合は犯罪少年といい、通常は警察官の捜査の後に検察官に事件が送致され、検察官の捜査の後に事件が家裁に送致されます(例外的に罰金刑以下の刑に当たる犯罪の場合は警察から家裁に直接事件を送致します)。犯罪の嫌疑がないなど例外的な場合を除き、犯罪少年の場合捜査機関はすべての事件を家裁に送致します。
触法少年と犯罪少年の処遇上の違いとしては、①警察が事件を通常送致する先が、触法少年の場合は児童相談所であるのに対し、犯罪少年の場合は検察庁であること、②犯罪少年の場合、事件は全件家裁に送致されるのに対し、触法少年の場合は事件が家裁に送られるのは児童相談所長が家裁での審判が適当と判断したものに限られます。
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3、少年事件における恐喝の態様
中学生や高校生などの少年が起こした恐喝事件には、いじめから発展して恐喝にいたったというケースは少なくありません。
相手が抵抗できず、言うことを聞くのをいいことに、行為がエスカレートしてカツアゲをするのが典型的です。たとえば「5000円よこせ」と言って下級生から金を巻き上げるなどのケースです。
いじめの場合は一度で終わることがなく、何度も金銭を交付させるため、事態の発覚までに多額の金銭が移転しているケースも珍しくありません。昨今はスマートフォンを持っている学生も少なくありませんので、LINEを使うなどして人目につかずに脅迫するケースも考えられます。
また、少年の年齢では学校や町など狭いコミュニティーの中で日常を送るために仲間意識が強く、複数人で恐喝するケースも少なくありません。
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4、少年事件の逮捕後の流れ
少年が恐喝罪で逮捕された後は、72時間以内に取り調べを受け、最長20日間、勾留されます。ここまでの流れは成人の事件とほぼ同じで、警察から検察に事件が送致されます。ただし、成人の事件では勾留満期までに検察官が起訴・不起訴を決定しますが、少年事件では上記のとおり原則としてすべての事件が家庭裁判所に送られます。
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(1)家庭裁判所への送致
家庭裁判所に送致された後、調査官による調査や審判の検討がおこなわれます。その間、少年は観護措置として原則2週間(ただし通常は4週間まで延長)、最長で8週間、少年鑑別所にて身柄が拘束されます。観護措置の決定がなされなければ在宅のまま手続きが進められます。
調査では面談や心理テスト、行動観察、学校への文書照会などが実施されます。 -
(2)少年審判
調査の結果を踏まえ、裁判官は少年審判を開くかどうかを決定します。少年審判に付す必要がなければ「審判不開始」となり、身柄の拘束を解かれます。
少年審判は非公開でおこなわれます。 -
(3)処分の決定
少年審判の結果はおおきくわけて次の4つの処分があります。
① 不処分
不処分は、非行事実が認められない場合や保護処分の必要性がない場合の処分です。犯行が悪質でなく、結果も重大ではないなどの事情があれば不処分となる可能性があります。
② 都道府県知事または児童相談所長送致
都道府県知事または児童相談所長送致は、18歳未満の少年を対象とし、非行の程度や家庭環境などから児童福祉機関の措置に委ねるのが適当な場合の処分です。少年の指導や里親への委託、児童養護施設への入所などから措置が決定されます。
③ 保護処分
保護処分には、少年院送致、児童自立支援施設または児童養護施設送致、保護観察の3種類があります。
少年院は、社会生活の中での更生が困難で非行の度合いが強い少年が入所する施設です。規則正しい生活の中で指導や教育を受けながら過ごし、社会復帰を目指します。
児童自立支援施設や児童養護施設は、原則として18歳未満の少年が入所する施設です。少年院よりは解放された環境での生活指導が相当と判断された場合に入所します。
保護観察は、保護司や保護観察官と定期的に面談・指導を受けながら社会生活の中で更生を目指す処分です。
④ 検察官送致
検察官送致は、犯罪の内容や情状に照らして、刑罰を科すのが相当と判断された場合の処分です。いったん検察庁から家裁に送致された事件を、家裁が逆に検察官に送致することになるため「逆送」と呼ばれます。裁判が開かれ、成人と同じように刑罰を受けることになります。ただし、触法少年の場合、このような逆送は通常ありません。
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5、少年事件で弁護士に相談すべき理由
もし、ご自分の子どもがカツアゲをしてしまった場合には、なるべく早く弁護士へ相談されることをおすすめします。弁護士のサポートを受ければ、事態の悪化を回避できる可能性が高まります。
まずは、取り調べに対するアドバイスです。少年は知識や判断能力が不十分で、取調官の誘導に応じて、自身に不利な供述をしてしまうおそれがあります。弁護士が何度も少年と面談をし、取り調べでどのように対応するべきかアドバイスをおこないます。
被害者との示談交渉も重要です。被害者へ謝罪の気持ちを伝えて被害弁償をし、示談が成立した場合には、観護措置の判断や処分の決定に際して有利にはたらく可能性が生じます。当事者の保護者同士が交渉すると、感情的になるなどして決裂するおそれもあるため、弁護士を介した交渉が適切です。
ほかにも社会復帰後のサポートとして、退学回避に向けた学校側との交渉や、家族との関係修復などもおこないます。非行に走る少年は親への不満がある場合や、上級生に脅されて仕方がなく犯行にいたったなどの事情を抱えたケースも少なくありません。弁護士が第三者の立場として、客観的にアドバイス・サポートします。
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6、まとめ
カツアゲは、立派な犯罪行為です。少年の場合は、いじめがエスカレートしてカツアゲしてしまうケースも少なくありません。しかし、被害者が存在する以上は「子ども同士のいざこざ」などと簡単に片付けることはできません。逮捕され処分を受ければ、今後の人生に多大な影響をおよぼす可能性もあります。
ご自身の子どもがカツアゲで逮捕された場合は、弁護士へ相談されることをおすすめします。弁護士は、処分の減刑に向けた働きかけや被害者との示談交渉など、さまざまな場面でサポートします。まずは、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。
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