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弁護士コラム

2023年05月16日
  • 暴力事件
  • 暴行罪
  • 罰金

暴行罪で逮捕されたら罰金刑? 懲役刑? 暴行罪における量刑とは

暴行罪で逮捕されたら罰金刑? 懲役刑? 暴行罪における量刑とは
暴行罪で逮捕されたら罰金刑? 懲役刑? 暴行罪における量刑とは

口論やささいなもめ事が発展して、相手に暴力をふるってしまうというケースは決してめずらしくはありません。しかし、たとえ軽い暴力でも、法律の規定に照らせば刑法の「暴行罪」にあたる可能性があります。

令和4年版犯罪白書によると、令和3年中に全国の警察が認知した暴行事件の数は2万6436件でした。うち2万3257件・2万3993人が検挙されており、検挙率は88.0%と非常に高い数字を示しています。全刑法犯の検挙率の平均は46.6%なので、暴行罪は「検挙されやすい犯罪」だといえるでしょう。

本コラムでは「暴行罪」が成立する要件などに触れながら、法律上はどのような刑罰が定められているのか、実際にどの程度の量刑が言い渡されているのかなどを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、暴行罪とは? 罪になる行為や科せられる刑罰

暴行罪は、刑法第208条に定められている犯罪です。
条文によると「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に処罰の対象となります。

  1. (1)暴行罪が成立する要件

    暴行罪が成立する要件を分解しながら確認していきましょう。


    • 暴行行為がある
      暴行とは「人の身体に対する有形力の行使」と定義されています。人の身体に直接触れる行為のほか、音・光・電気などを利用する非接触の危害も含まれると考えるのが定説です

    • 傷害するに至らなかったとき
      暴行行為があったものの、相手を負傷させなかったという結果が生じている状態です。暴行によって相手を負傷させた場合は刑法第204条の傷害罪に問われます。

    • 暴行の故意がある
      人の身体に対して有形力を行使するという認識があることを意味します。

    • 適法とされる行為ではない
      たとえばボクシングなどの競技や警察官による暴漢の制圧も人の身体に対する有形力の行使にあたりますが、これらは刑法第35条の「正当行為」という規定によって適法とされます。暴行罪が成立するのは、このような適法とされる理由のない行為です。
  2. (2)暴行罪が適用される典型的な行為

    暴行罪が適用されるもっとも典型的な行為として挙げられるのは、こぶしで殴ったり平手でたたいたりする、足で蹴るといった行為でしょう。これらの攻撃的な暴力行為が暴行罪となるのは当然ですが、本罪が処罰の対象とする行為の範囲はさらに広く、次のような行為も含まれます。


    • 相手の胸倉をつかむ
    • 首を絞める
    • 羽交い絞めにする
    • 胸を強く押す
    • 頭髪を引っ張る
    など


    また、直接接触せずとも危険度の高い行為は処罰の対象となると解釈されています。嫌がらせやいたずら半分でも、思いがけず暴行罪に問われることもあるので注意が必要です。

  3. (3)暴行罪で科せられる刑罰

    暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です。数ある犯罪のなかでは、比較的軽い刑罰が定められているといえます。

    ただし、最大で2年にわたって刑務所への収容を強いられる可能性もあるので、決して軽視してはいけません。

2、暴行事件を起こすと逮捕される?

日ごろから目にするニュースなどのイメージだと「事件を起こせば逮捕される」という感覚をもっている方が多いでしょう。やはり暴行事件を起こすと逮捕されるのでしょうか?

  1. (1)暴行事件を起こしても必ず逮捕されるわけではない

    新聞やニュースなどで報じられる事件の多くは逮捕を伴う事案ですが「罪を犯すと必ず逮捕される」という考えは間違いです。

    刑事事件には、逮捕を伴う「身柄事件」と、逮捕されず任意で捜査が進められる「在宅事件」とがあります。令和4年版の犯罪白書によると、令和3年中に検察庁が処理した暴行事件の総数は1万4643件でした。
    うち、逮捕されなかった事件は8375件、警察に逮捕されたものの検察官へと送致される前に釈放された事件は1260件で、身柄事件の割合は34.2%です。

    単純に数字だけをみれば、暴行罪に関していえば「事件を起こしても必ず逮捕されるわけではない」といえます。

  2. (2)暴行事件で逮捕されやすいケース

    暴行事件は、口論から軽い小競り合いに発展したなど、悪質性が低く被害も軽微というケースが多いです。通報を受けた警察官が駆け付けたとしても、素直に事実を認めてありのままの状況を説明できれば、在宅事件として処理される可能性は高いでしょう。

    一方で、その場から逃げた、証言や防犯カメラの映像などから犯行が明らかであるのに否認しているなどの状況があると「逃亡・証拠隠滅を図るおそれがある」と判断され、逮捕されてしまう可能性が高まります

    たとえば、無関係な通行人に暴力をふるって逃げたといったケースは、その場から逃亡しているため逮捕される可能性が高いでしょう。その場に証拠を残していなくても、防犯カメラの映像解析や目撃者の証言などから被疑者として特定されてしまうかもしれません。

    「逮捕されてしまうかもしれない」とおびえながら生活を続けるのは、精神的に強い苦痛を伴います。責任から逃れようとするよりも、積極的な解決を目指すほうが賢明です。

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3、暴行事件で起訴される可能性は? 懲役・罰金のどちらが科せられる?

暴行事件を起こして警察の捜査を受けても、必ず処罰されるわけではありません。
検察官が起訴して刑事裁判が開かれ、裁判官が有罪判決を下さない限り、刑罰は科せられないのが法律の定めです。

  1. (1)暴行事件の起訴率

    法務省が公開している検察統計によると、令和3年中に暴行事件で起訴されたのは3856人、不起訴となったのは9940人でした。起訴率は28.0%なので、検察官のもとへと送致されても起訴されるのは3人に1人以下という計算です。

    なお、検察官が取り扱った全事件の、起訴率の平均は33.2%でした。この点からも、暴行罪は必ず起訴されるわけではないといえます。

  2. (2)暴行事件における量刑判断の基準

    暴行罪に科せられる可能性があるのは、懲役・罰金・拘留・科料の4種類です。


    • 懲役
      自由を制限する「自由刑」のひとつです。刑務所に収監され、刑務作業という労働を強いられます。

    • 罰金
      数10万円の金銭徴収を受ける刑罰です。財産を対象とすることから「財産刑」に分類されます。

    • 拘留
      自由刑のひとつで、1か月未満の刑事施設への収容を受ける刑罰です。懲役とは異なり、刑務作業に従事する義務はありません。

    • 科料
      財産刑のひとつで、1万円未満の金銭徴収を受ける刑罰です。


    令和2年度の司法統計によると、全事件の終局人員のうち拘留は6人・科料は4人でした。
    この統計からみると、暴行事件でも拘留・科料の判決を受けることは考えにくいので、懲役・罰金のいずれかが下されると考えたほうがよさそうです。

    過去にも暴行罪や傷害罪・器物損壊罪・公務執行妨害罪といった粗暴事件を起こして刑罰を科せられた経歴があると、新たに暴行事件を起こせば「反省していない」と評価されて、懲役が言い渡される可能性が高まります
    反対に、過去に前科・前歴がなく、暴行に至った経緯にもくむべき事情があるようなケースでは、罰金となる結果が期待できるでしょう。

  3. (3)罰金でも前科がつく

    罰金は、言い渡された金額を納めれば刑の執行が終わります。
    考え方次第では「お金さえ支払えば問題が片付く」ように感じられるかもしれませんが、そう簡単な話ではありません。

    罰金は法律で定められている刑罰であり、罰金を納付しても「前科」がついてしまいます

    前科の情報は極めて厳格に管理されているので外部に漏れることはありませんが、刑事裁判は公開されるので注目度が高い事件ならマスコミに報道されてしまうかもしれません。
    インターネット上に記事が残ってしまえば判決結果が半永久的に公開された状態になるので、就職や転職で不利になったり、結婚の際に相手方の家族から指摘されたり、近隣住民から非難されるといった不利益を受けるおそれもあることは心得ておく必要があります。

4、暴行事件で刑罰や前科を回避したいなら弁護士に相談を

暴行罪にあたるトラブルを起こしてしまい、厳しい刑罰や前科がつく事態を避けたいと望むなら、事件後すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)被害者との示談交渉による事件解決が期待できる

    弁護士に相談すれば、被害者との示談交渉の対応を一任できます。
    事件後、早い段階で示談交渉がまとまれば、警察への届け出の回避や被害届の取り下げによって事件を穏便なかたちで解決できるでしょう

  2. (2)検察官へのはたらきかけによる不起訴が期待できる

    警察の捜査を受けても、検察官が起訴を見送って不起訴にすれば刑事裁判は開かれません。
    被害者に対する謝罪や弁済を尽くしている、本人が深く反省している、家族や同僚・知人などが寛大な処分を嘆願しているなどの状況を示すことで、検察官が不起訴とする可能性が高まります

    どのような事情があれば有利な方向へと作用して不起訴を得られるのかはケース・バイ・ケースです。個人で必要な対策を選別するのは難しいので、経験豊かな弁護士のサポートは欠かせません。

  3. (3)刑事裁判での対応で有利な判決が期待できる

    刑事裁判は、検察側・被告人側がそれぞれ提出したさまざまな証拠を裁判官が審理するかたちで進行します。暴行にあたる行為が存在したのが事実なら有罪判決は免れられませんが、過去に犯罪経歴がない、深く反省しており二度と暴力はふるわないと誓っているなどの有利な事情を示せば、懲役に執行猶予がついたり、罰金で済まされたりする可能性が高まるでしょう。

    刑事裁判の対応には豊富な経験が問われます。できる限り有利な結果を望むなら、数多くの刑事事件を解決してきた実績豊富な弁護士に相談してサポートを求めるのが最善です。

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5、まとめ

暴行罪は比較的軽い刑罰が定められている犯罪ですが、裁判官の判断次第では懲役が科せられる可能性もあるので決して油断してはいけません。逮捕や厳しい刑罰を避けるためには、事件を起こしたあとの対応が重要です。

暴行事件を起こしてしまったことに後悔しており、逮捕や刑罰を避けたいと望んでいるなら、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。
経験豊富な弁護士が、穏便な解決を目指して全力でサポートします。

本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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