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中学生の子どもが恐喝してトラブルに! 問われる罪と取るべき行動とは
人を脅して金品を交付させる行為は恐喝罪にあたります。成人が恐喝事件の加害者になった場合には逮捕・起訴され、刑罰を受ける事態が想定されます。
しかし、加害者が未成年、それも中学生という低年齢の場合、どのような行為が恐喝にあたるとされ、同様の処分を受けるのでしょうか。
本コラムでは、中学生が恐喝事件の加害者となった場合に本人が受ける処分・刑罰、本人およびご家族が何をするべきかについて解説します。
1、恐喝罪とは
「恐喝罪」とは、人を恐喝して財物を交付させ、または財産上の不法の利益を得て、あるいは他人に得させる犯罪です(刑法第249条)。成人であれば「10年以下の懲役」に処せられる、大変重い罪です。
恐喝とは、相手方に対して、その犯行を抑圧するに至らない程度の脅迫又は暴行を加えて、財物交付を要求することを言い、脅迫とは相手方を畏怖させるような害悪の告知をいいます。
恐喝罪における暴行は、相手方を畏怖させる性質の暴行で足りると考えられています。
恐喝罪は、暴行または脅迫を用いて相手方に財産的被害を生じさせる犯罪という意味で、刑法第236条の「強盗罪」と類似しています。
両罪を区別するのは暴行・脅迫の程度です。暴行または脅迫が相手の反抗を抑圧する程度に至った場合は、より重い罪である強盗罪が成立します。
また恐喝罪は、人を脅す犯罪という意味で刑法第222条の「脅迫罪」にも類似しています。脅迫罪は人を脅して怖がらせる犯罪ですが、恐喝罪は人を脅して怖がらせたうえで金銭を差し出させる犯罪です。つまり両罪は相手方に財産的被害を生じさせているかどうかによって区別されます。
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2、中学生のどんな行動が恐喝行為にあたるのか?
恐喝罪は、暴行または脅迫を用いること、その目的が金銭などの財産に向けられていることによって成立します。したがって、中学生のした行為でもこれらの要件を満たせば恐喝罪にあたることになります。
典型的には、以下のようないじめから恐喝行為に発展するケースが挙げられるでしょう。
- ほかの同級生とともに集団で被害者を取り囲み、指を鳴らしながら殴るそぶりなどの威嚇をしたうえ、財布を取り上げる
- LINEで「金を持ってこないと川に飛び込ませる」などと送り、現金を持ってこさせる
- 「もしゲームが手に入らなかったら痛い目にあわせる」などと脅しゲームソフトの発売日に店頭へ並ばせ、ソフトを購入させて取り上げる
いじめから発展する恐喝行為は、1回の被害金額がそれほど多くなくても、何回も繰り返すことで被害金額が膨れあがるケースが少なくありません。同級生や上級生と複数人で恐喝行為におよぶケースや、LINEなどを使って親や教師にばれないように脅すケースが多数あります。
ほかにも、道行く人や下級生などに対して因縁をつけて現金を受け取る「かつあげ」や、同級生や上級生と集団になって中高年の男性に暴力をふるい、現金を巻き上げるいわゆる「おやじ狩り」なども恐喝罪にあたる可能性がある行為です。
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3、中学生が恐喝で科される可能性がある刑罰は?
中学生は未成年なので、恐喝行為は少年事件として扱われ、少年法の適用を受けます。原則として成人のように刑罰を受けることはありません。ただし、何の処分も受けない、逮捕されないということではありません。
中学生の犯罪行為は14歳を境に扱いが異なりますので、14歳未満と14歳以上に分けて解説します。
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(1)恐喝をしたのが14歳未満の中学生だった場合
14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした子どもを「触法少年」といいます。
刑法第41条では「14歳に満たない者の行為は、罰しない」と定めているため、14歳未満は刑事責任を問われず、逮捕されることもありません。警察から児童相談所へ通告され、児童福祉法上の措置を受けます。ただし、警察の調査を受けることはありますし、児童相談所で一時保護されることもあります。
また、一定の重大事件や家庭裁判所の審判に付するのが適当だと判断された事件では、児童相談所へ送致された後に家庭裁判所へ引き継がれ、少年審判が開かれて処分を受けることがあります。 -
(2)恐喝をしたのが14歳以上の中学生だった場合
14歳以上で刑罰法令に触れる行為をした子どもを「犯罪少年」といいます。
犯罪少年は成人と同様に刑事責任を問われるため、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合には警察に逮捕される可能性があります。
その後は検察庁へ送致されますが、成人と異なり捜査が終わった事件はすべて家庭裁判所へと引き継がれます。家庭裁判所に送致された後は調査官による調査を経て、少年審判が開かれる場合、次のいずれかの処分が決定します。- 都道府県知事または児童相談所長送致
- 保護観察処分(保護司の指導を受けながら社会の中での更生を目指す処分)
- 児童自立支援施設または児童養護施設送致
- 少年院送致
- 不処分
また、成人と同様に刑罰に処せられるのが相当と判断された場合は、検察庁へ逆送されます。送致を受けた検察官は原則として起訴しますので、刑事裁判が開かれ、有罪判決が確定すると刑罰を受けることになります。
恐喝罪は懲役刑の規定しかないため、執行猶予がつかなければ少年刑務所(14歳以上16歳未満のときは少年院)へ収容されます。 -
(3)どのような点が処分に影響するのか
成人の恐喝事件では、前科前歴の有無や被害金額の多寡、犯行様態の悪質性などをもとに量刑が決まります。
中学生の恐喝事件でもこうした点は見られますが、刑罰による制裁ではなく更生・教育に重きが置かれるため、少年自身の性格や生育歴、周囲の環境などが調査され、非行の原因や少年の問題点などを明らかにしたうえで、処分が決定する傾向にあります。
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4、中学生が恐喝をして捕まった場合に本人・家族がすべきこと
恐喝行為をして逮捕・保護されてしまった本人や、家族が何をするべきかを解説します。
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(1)被害者との示談交渉
恐喝事件では被害者との示談を成立させることが重要です。
示談にしてもらうためには、被害者へ真摯(しんし)に謝罪をすることが大前提になります。それには、加害者の子ども自身が事件の重大性を認識し、被害者がどれだけつらい思いをしたのかをしっかりと考えなければなりません。
そのうえで、差し出させた金銭の弁償はもちろん、精神的苦痛に対する慰謝料などを含めた示談金を支払い、許してもらうことが必要です。 -
(2)学校への対応
中学生の子どもが逮捕されると、警察と学校の相互連絡制度により、基本的に学校へ連絡が入ります。仮に警察から連絡が入らなかったとしても、同級生への恐喝行為であれば捜査の過程で知られる可能性が高いでしょう。
したがって学校への対応としては、学校での指導教育を約束してもらう、退学させないよう働きかける(私立中学の場合)といった活動が中心になります。学校は子どもが今後更生するために重要な場所なので、将来のために何が必要なのかを学校長や担任と十分に協議することが大切です。 -
(3)本人へのサポート
事件を起こした本人は逮捕・保護された事実に傷つき、将来への大きな不安を抱えている可能性もあります。
中学時代は多感な時期で精神的にも未熟であることから、自分ではどうすることもできない状況に陥っているケースも多く、以下のような周囲のサポートが不可欠です。- 子どもの長所をほめ、将来どんなことができるのかを伝えるなどして励ます
- お金の価値観や粗暴性を改めさせるための教育をおこなう
- 被害者の立場に立って物事を考えさせ、内省を促す
- 携帯電話を解約させる、親が管理するなどして交友関係を改善させる
- 家庭環境を整えて生活態度を改善させる
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(4)弁護士への相談
未成年が加害者となった事件では、成人による加害事件以上に弁護士への相談が重要となります。弁護士の活動は多岐にわたりますが、主に次のようなサポートが期待できます。
- 捜査機関や家庭裁判所への働きかけによって早期の釈放に導く
- 逮捕された本人と面談して取り調べのアドバイスをおこなう
- 本人・保護者の代理で示談交渉をおこなう
- 学校への説明、交渉を代理でおこなう
- 謝罪文を書かせるなどして本人の反省を深めさせる
- 親子関係の修復に向けたサポートをする
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5、まとめ
いじめがエスカレートして金銭を要求する、同級生と共謀してのかつあげするなどの行為は恐喝罪にあたる可能性があります。中学生の子どもであっても逮捕される可能性や重い処分を受ける可能性がありますので、保護者としては適切な対応を取らなければなりません。
被害者へ誠実に対応するのはもちろん、子どもの将来や更生のためにも速やかな行動が望まれますので、恐喝行為をしてしまった場合は弁護士のサポートを受けましょう。
少年事件の経験が豊富なベリーベスト法律事務所が力を尽くしますので、ご家族だけで対処しようとせず、まずはご相談ください。
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