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刑事弁護の用語集

裁判所とは

読み方 さいばんしょ

裁判所(さいばんしょ)とは、三権の一つである「司法権」を有する国家機関です。

司法権とは、具体的な争いごとについて法を適用し宣言することにより、これを裁定する国家の権能をいいます。
つまり裁判所は、管轄権を有する民事・刑事・行政上の事件について、具体的な事実関係に沿って法を適用・宣言することで、紛争を解決することを職責としているのです。

三権分立の文脈では、司法権を有する裁判所は、立法権を有する国会および行政権を有する内閣との間で、権力同士が相互に牽制・抑制し合う関係を築いています。

国会との関係では、裁判所は国会が制定した法律を執行する機関ではありますが、一方で国会による立法が憲法に照らして適切であるかを審査する「違憲立法審査権」を有しています。

内閣との関係では、裁判所のトップである最高裁判所長官は内閣によって指名され(日本国憲法第6条第2項)、それ以外の最高裁判所裁判官は内閣により任命されます(日本国憲法第79条第1項)。
その一方で、裁判所は行政訴訟や国家賠償請求訴訟などを通じて、内閣による命令・規則・処分などの適法性を審査する権限を有しています。

このように、司法権を有する裁判所は、国会・内閣と相互に牽制し合うことによって、権力の均衡を保ち、国家権力の暴走を防ぐ一翼を担っているのです。

司法権が裁判所に属することは、日本国の最高規範である日本国憲法において定められています。

日本国憲法第76条は、「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」と定めています。
最高裁判所以外の下級裁判所については、「裁判所法」という法律で設置が定められており、高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所の4つがあります。

裁判所の職務でもっとも中心的なものが、訴訟手続きを主宰することです。
訴訟手続きには、大きく分けて刑事訴訟・民事訴訟・行政訴訟の3種類があります。

刑事訴訟は、罪を犯した疑いのある者(被告人)に対する刑事処分の内容を決定することを目的としており、検察官と被告人が、有罪・無罪および量刑について争います。

民事訴訟は、当事者同士のトラブルに対して解決案を示すことを目的としており、原告と被告がそれぞれの主張を戦わせます。

行政訴訟は、国や公共団体による行政処分に対する不服申し立てを取り扱うことを目的としており、国・公共団体に対して、個人・法人が行政処分の取り消しなどを求めて争うことになります。

裁判の対審及び判決は公開の法廷で行うことが必要であり(日本国憲法第82条第1項)、希望者は傍聴することが可能です。

日本の訴訟においては、原則として「三審制」が採用されています。

三審制とは、裁判所法の定めるルールに従い、訴訟当事者は原則として3回まで裁判所による審理を受けられる(つまり、2回まで不服申し立てを行うことが認められる)ことを意味しています。
三審制は憲法上の要請ではありませんが、司法の判断が国民の生活などに与える影響の大きさに鑑み、審理・判断に慎重を期すために採用されたものです。

第一審を担当するのは、基本的には地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所のいずれかの裁判所となります(ごく一部の例外として、高等裁判所が第一審を担当する事件もあります)。

家庭裁判所は、離婚・相続などの家事事件に関する第一審を担当します。
簡易裁判所は、民事訴訟のうち、訴額が140万円以下などの要件を満たすシンプルな事案等を担当します。刑事訴訟では、罰金以下の刑に当たる罪及び窃盗や横領など比較的軽微な罪の刑事事件について,第一審の裁判権を持っています。
地方裁判所は、家庭裁判所と簡易裁判所が第一審を担当しない事件のほとんどを担当します。
なお、行政訴訟については、すべて地方裁判所が第一審を担当します。

第一審の判決に不服がある当事者は、上級裁判所に対して「控訴」を行います。
控訴先となるのは、第一審が地方裁判所または家庭裁判所の場合は高等裁判所、第一審が簡易裁判所の場合は地方裁判所です。

控訴審判決に対してさらに不服がある当事者は、さらに上級の裁判所に対して「上告」を行います。
上告先は、控訴審が高等裁判所の場合は最高裁判所、控訴審が地方裁判所の場合は高等裁判所です。
ただし、上告は常に受理されるわけではなく、憲法違反や判例違反などの一定の要件を満たす場合に限って受理されます。

裁判所が訴訟において言い渡し、確定した判決は、当事者に対して法的拘束力を有します。

すなわち刑事訴訟であれば、確定判決の内容に基づいて、被告人は刑務所への服役や罰金の支払いなど、刑事罰に服することを義務付けられます。

民事訴訟であれば、金銭の給付や不動産の引き渡しなど、裁判所が確定判決において命じた内容について、債権者が債務者に対して強制執行の手続きを取ることができるようになります。

行政訴訟であれば、裁判所による判決が確定した時点で、自動的に行政処分の取り消しなどの効力が発生します。

裁判所の取り扱う業務は、訴訟だけにとどまりません。

たとえば民事調停・家事調停などの調停事件や、家事審判・労働審判などの審判事件も担当しています。

調停とは、私人間で発生したトラブルなどについて、当事者同士の話し合いだけでは解決が難しい場合に、裁判官らの仲介による紛争の解決を試みる手続きをいいます。

調停事件においては、裁判官と調停委員が紛争解決の仲介者としての役割を果たします。
裁判官は、調停委員を法的な観点から適宜指揮しつつ、当事者が納得して同意できるような調停案の作成を行います。

審判事件では、訴訟よりも法的な手続きが緩和されているものの、裁判所が「審判」という形で強制力を伴う解決案を提示します。
当事者が審判の内容に不服がある場合には、不服申し立てを行って訴訟手続きへ移行することが可能です。

調停や審判は、国民のニーズに合わせて、訴訟以外にも多様な紛争解決手段を提供するという意味において、裁判所が担う重要な職責であるといえます。

また、裁判所は破産・民事再生・会社更生の各種法的倒産手続きを主宰する機関でもあります。
多重債務状態に苦しむ個人・法人の方にとっては、裁判所の有する権力を活用して抜本的に債務問題を解決することで、生活や事業の再スタートが切りやすくなるメリットがあります。

加えて、刑事事件に関する逮捕令状・捜索差押令状の発行や勾留請求の審査は裁判官が行っているほか、保釈請求の審査は裁判所が行っています。

このように、裁判所は三権の一つである司法を担う国家機関として、多様な法的手続きについて、さまざまな形で関与しているのです。

さらに、これから裁判官・検察官・弁護士になろうとする司法試験合格者(司法修習生)に対して研修を行うことも、裁判所の職務の一つです。

司法試験に合格した人のうち希望者は、基本的には全員、最高裁判所所属の司法修習生に任命されます。
司法修習生は、約1年間にわたって裁判所・検察庁・弁護士事務所などを回りながら、各職業の実務について研修を積みます。

司法修習の期間は、司法修習生に多様な実務に関する知識と経験を備えさせるという第一義的な目的に加えて、裁判所から見れば裁判官になる人のリクルート期間という側面も有しています。

裁判所は、司法修習生が各プログラムにおいて収めた成績や、人格面などを総合的に考慮して、裁判官としての適性があるかどうかを見極めるのです。
結果として裁判官になることができるのは、司法修習生の中でも上位の成績を収めた優秀な人のみであり、司法修習は裁判所の長期的な人材確保に大きく寄与しているといえるでしょう。

裁判所では、当然裁判官が中心的な役割を果たしますが、それ以外にも裁判所書記官・裁判所事務官・家庭裁判所調査官・司法行政部門などの職責が存在します。

地方裁判所の事件を担当する部は、民事部と刑事部に分かれており、裁判官は必ずどちらかの部に所属します。

なお、各部の数は地方裁判所の規模によって異なります。
たとえば東京地裁では、民事部は第51部まで、刑事部は第18部までありますが、小規模庁では民事部・刑事部が1部ずつしかないというところもあります。

地方裁判所の裁判官が担当する事件には、単独事件と合議事件の2種類があります。

単独事件では、判事(経験年数10年以上)または特例判事補(経験年数5年以上10年未満で、最高裁判所が指名する者)が一人で裁判を行います。

一方合議事件では、同じ部に所属する裁判官3名が合議により裁判を行います。
この際、経験年数が多い裁判官から順に、裁判長・右陪席・左陪席と呼びます。

裁判所書記官は、法律の専門家として一定の権限を与えられている専門職です。
裁判所書記官の業務としては、法廷への立会い・調書の作成・法令や判例の調査・弁護士や検察官との打ち合わせなどがあります。
裁判所書記官に登用されるには、裁判所事務官として一定期間勤務した後に、所定の研修を受けなければなりません。

裁判所事務官は、裁判所書記官の補佐的な役割を果たす事務官です。
たとえば、法廷での当事者の出頭確認・手続きの案内・裁判に関する書類の作成や発送などを担当しています。

家庭裁判所調査官は、家庭裁判所に所属する行動科学の専門家です。
離婚などの家事事件においては、法律に基づく画一的な処理を行うだけでは足りず、家庭の実情をよく観察したうえで、実態に合った判断を下さなければなりません。 そこで、問題となっている家庭に家庭裁判所調査官が赴き、当事者や関係者などからのヒアリングを行って資料を作成し、裁判官に対して判断の材料を提供します。 家庭裁判所調査官として登用されるには、家裁調査官補として採用された後、所定の研修を受けなければなりません。

司法行政部門は、裁判所における総務・人事・会計などの事務方を担当します。
裁判官をはじめとする法律スタッフが、法律事件への対応に集中できるように、司法行政部門が裁判事務の合理的・効率的な運用をサポートしています。

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