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客引き行為で通常逮捕! 迷惑行為を取り締まる条例や法律について解説
飲食店が立ち並ぶ歓楽街では、禁止されているにもかかわらず客引き行為が依然としておこなわれています。
取り締まりが強化されるなか、私服警察官による警戒によって検挙される事例もめずらしくありません。生活費を稼ぐために違法と知りながらやむを得ず客引きをしたケースはもちろん、違法とは知らずに行為におよんだ場合も、逮捕や刑罰のリスクを負います。
本コラムでは「客引き行為と逮捕」をテーマに、適用される法令や通常逮捕されるケース、罰則などを弁護士が解説します。
1、客引き行為とは
客引き行為とは、相手方を特定して営業所の客となるように勧誘することを指します。
客引き行為と類似する行為として、客待ち行為・勧誘行為・勧誘待ち行為なども規制の対象です。
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(1)特定の相手に対して、つきまとう行為
客引き行為とは、飲食店や風俗店などの従業員やアルバイトなどが、店舗への勧誘を目的に、通行人など特定の相手に対してつきまとう行為を指します。歓楽街などで行われる「キャバクラなんてどうですか」といった声かけは、まさに店舗への勧誘を目的とした客引きの典型例でしょう。
ただし、店舗への勧誘を目的としている場合でも「いらっしゃい、いらっしゃい」と不特定多数の通行人に呼びかける行為は「呼び込み行為」と呼ばれ、客引きにはあたりません。客引きとみなされるのは「特定の相手」につきまとったりする行為に限られます。 -
(2)客引きとの類似行為
客引き行為とよく似た行為のうち、客待ち行為・勧誘行為・勧誘待ち行為も違法です。
- 客待ち……客引きのために通行人などを待つ行為
- 勧誘行為……飲食店・性風俗店などへのスカウト行為
- 勧誘待ち行為……スカウトのために通行人などを待つ行為
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2、客引き行為で通常逮捕されてしまうケースとは?
客引き行為で逮捕されてしまうケースは、警察による一斉摘発や近隣住人などによる通報が発端となります。
ほとんどが実際に客引きをしている現場をおさえられて現行犯逮捕されますが、悪質なケースでは参考人への聴取などによって証拠が固められて通常逮捕されることもあります。
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(1)逮捕されるタイミング
客引き行為は、警察による一斉摘発を受けやすい違法行為です。事前に内偵捜査が尽くされているため、ほぼ確実に客引き行為が現認できる日程を選定して実行されます。
また、歓楽街の近隣住民からの通報や、ライバル店舗からの密告、いわゆる「タレコミ」などによってもマークされて逮捕にいたる場合があります。 -
(2)逮捕されるケース
客引きで逮捕されるほとんどのケースが、実際に客引き行為をしている最中に警察官によって確保される現行犯逮捕によるものです。一斉摘発や警戒中の警察官に客引き行為をしてしまい現行犯逮捕されるケースもめずらしくありません。
ただし、客引きは「現行犯逮捕でしか検挙されない」というわけでもありません。客引き行為が常習化していることが確認されている悪質な事例では、実際に客引きを受けた客などを参考人として逮捕状を請求し、通常逮捕することもあります。逮捕状が発付されるほどの事件になると、客引きと店舗のつながりも捜査されて、店舗内の捜索や店舗責任者の逮捕といった事態にも発展するおそれがあるでしょう。
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3、客引き行為を取り締まる法律
客引き行為を取り締まる法律は2つです。
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(通称:風営法または風適法)
- 都道府県が定める迷惑防止条例
なお、客引き行為にかかわらず、他人の進路に立ちふさがったり、他人につきまとったりする行為は、軽犯罪法の規制対象にもなっています。
風営法第22条では、風俗営業に該当する店舗の営業についての客引き行為や、客引きのために公共の場所で人の身辺に立ちふさがる、またはつきまとう行為を禁止しています。
違反した場合は6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらが併科されます(同法第52条)。
風営法が規制対象とする「風俗営業」とは、一般的にイメージする性風俗店だけにとどまりません。飲食業としては「キャバレー・待合・料理店・カフェ」などのほか「喫茶店・バー」も風俗営業の対象となります。
ここから解釈すれば、キャバレー・クラブ・キャバクラ・スナック・バーといったさまざまな飲食店のほか、居酒屋なども対象です。また、パチンコ店・マージャン屋・ゲームセンターなども規制対象に含まれています。もちろん、ソープランド・ファッションヘルスといった店舗型の性風俗店や、デリバリーヘルスなどの無店舗型の性風俗営業なども風営法の規制対象です。
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4、迷惑防止条例と罰則
風営法は「風俗営業の健全化・適正化」を目的とした法律で、客引きの規制についても風俗営業を営む者を対象にしています。
実際の客引き行為は、市民の平穏な生活に対する迷惑行為を規制する「迷惑防止条例」によって規制されることが多く、迷惑防止条例を根拠として客引きが検挙された事件も多いです。
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(1)条例の目的
迷惑防止条例は、各都道府県などが独自に制定している条例です。
そのため、規制する行為や罰則などに多少の差異はありますが、条例が果たす目的は「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為などを防止し、市民生活の平穏を保持する」という点で共通しています。 -
(2)罰則内容
迷惑防止条例では、公共の場所において不特定の通行人などに対しておこなわれる客引き行為を禁止しています。
わいせつな見せ物・売春類似行為・異性による接待をして飲酒させる店舗などへの勧誘を目的とした客引きのほか、これらの営業形態に限らず次に挙げる執拗(しつよう)な客引き行為の全般が規制対象です。- 身体や衣服をとらえる
- 所持品を取り上げる
- 進路に立ちふさがる
- 身辺につきまとう
罰則は東京都の迷惑防止条例の場合、50万円以下の罰金または拘留もしくは科料ですが(第7条1項1号、8条4項)、各都道府県によって多少の違いがあります。
また、迷惑防止条例とは別に、客引き行為のみに特化した「客引き防止条例」を制定している自治体も存在します。たとえば、仙台市は平成31年4月に客引き防止条例を施行しており、行政罰として5万円以下の過料が科せられるほか、違反した事業者名・氏名などの公開を受けることもあります。
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5、早期に弁護士に相談すべき理由
客引き行為で警察に逮捕されてしまったら、直ちに弁護士に相談して弁護活動を依頼しましょう。
警察に逮捕されてしまうと、逮捕から72時間以内は家族であっても面会が拒否されます。
逮捕の状況や伝言をつたえるためには、いつでも自由に接見できる弁護士の助けを得るほか方法がありません。
弁護士が連絡役となったうえで、逮捕された方へのアドバイスを提供することが可能です。事件の内容によっては示談の相談もできます。
また、早期の釈放や不起訴処分の獲得を目指すなら、弁護士による捜査機関へのはたらきかけが必須でしょう。悪質な客引き行為ではなかったことを合理的に証明できる証拠を示せば、処分の軽減も期待できます。
刑事事件の弁護は「スピードが命」といわれています。起訴までのタイムリミットは最長でも逮捕から23日間しかないことが多いので、逮捕されたら直ちに弁護士に相談しましょう。
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6、まとめ
飲食店などに客を呼び込むためには、積極的な営業活動が必要になることもあります。ただし、執拗(しつよう)・強引な客引き行為とみなされた場合は犯罪となり、法律の定めに従って処罰を受けるおそれがあるので注意が必要でしょう。
客引きの容疑で逮捕されてしまった場合は、早急な対応が求められます。客引きをはじめとした迷惑防止条例違反事件で早期釈放や不起訴処分の獲得を目指すなら、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にお任せください。
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