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飲酒後に迷惑防止条例違反で逮捕! 記憶がなくても罪は成立する?
ある日、警察から「ご家族がわいせつ行為をはたらき、迷惑防止条例違反で逮捕されました」と連絡があったら、どのように対応すればよいのでしょうか。
たとえば本人は飲み会帰りで酒に酔っており、迷惑行為をはたらいた記憶がまったくないような場合、「罪から逃れることができるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
そこで本コラムでは、飲酒や酩酊の程度がどのように処罰内容に影響するのか、迷惑防止条例の罰則はどのように定められているのか、また逮捕後にどのように対応すべきかについて、弁護士が解説します。大切な家族が突然逮捕され、お悩みのときは、ぜひ参考にしてください。
1、迷惑防止条例とは
迷惑防止条例は、各都道府県が制定している条例の総称です。条例の正式名称は都道府県によって異なります。条例というと軽いルールのようなイメージがあるかもしれませんが、法律と同じように罰則規定があり、違反すると刑事責任を問われます。迷惑防止条例違反として刑事裁判にかけられることもありますし、有罪になれば前科がつくことになるのです。
迷惑防止条例では、公衆の場における粗野・乱暴な行為、卑わいな行為などを規制しています。禁止される行為や各行為の定義は都道府県によって異なりますが、一般的には以下のような行為が禁じられています。
- 痴漢行為
- 盗撮行為
- のぞき行為
- つきまとい行為
- 粗暴行為
- 押売行為
- ダフヤ行為(乗車券等の不当な売買行為)
- 不当な客引き行為
- ピンクビラ・迷惑ビラ配布行為
など
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2、飲酒のうえでの違反は処罰されるのか?
迷惑行為は酒に酔った状態で行われることもあります。こうした場合、「意識が定かでない状態で行ったことなのだから、責任能力がなくなるのではないか?」と考える方がいるかもしれません。
しかし、迷惑行為をはたらいたときに飲酒によって酩酊していたからといって、直ちに責任能力が否定されるわけではないのです。
たしかに刑法第39条には「心神喪失者の行為は、罰しない」「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する」と規定されています。ここで重要なのは、酒による酩酊の場合、どれほど酩酊していれば心神喪失・心神耗弱状態とみなされるのかという点です。
そこでポイントになるのが、次に挙げる酩酊状態の分類です。
・単純酩酊
俗にいう「ちょっと飲みすぎてしまった」というような状態です。人柄が変わったり、感情が不安定になったりと、通常の状態と異なる点は見受けられるものの、異常な行為を起こすまでには至りません。この状態で迷惑行為をはたらいた場合には、酒に酔っていないときと同様に完全責任能力が認められます。
・複雑酩酊
単純酩酊よりも一段酔いが進み、アルコールの影響で著しい興奮状態に陥っている状態です。単純酩酊とは違って、異常な言動が見られます。記憶が断片的になることも多いですが、周囲の状況をすべて見失っているというわけではなく、大枠の記憶は保たれています。複雑酩酊状態での迷惑行為では、限定的に責任能力が認められるのが一般的です。
・病的酩酊
複雑酩酊よりもさらに進んだ状態です。アルコールによる意識障害が発生し、幻覚や妄想が生じることがあります。この状態では、自分がおかれている状況を認知することができません。ここまで酩酊が進んでいると、責任能力がなかったとされる可能性があります。
上記のとおり、酔っていたことを理由に、減刑となったり無罪となったりする可能性は極めて低いといえます。
特に飲酒によって粗暴な行為等迷惑行為をはたらく可能性があることを認識しながら、あえて飲酒した場合には、自らの意思にもとづき飲酒を行い、結果として迷惑行為をしている以上、刑事責任を問われる可能性が高いといえるでしょう。
したがって、たとえ記憶がないほど酔っ払っていたとしても、迷惑行為の刑事責任を免れるのは難しいと考えたうえでの対応をおすすめします。
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3、迷惑防止条例違反の罰則
迷惑防止条例に違反した場合、どのような罰則が与えられるのでしょうか。罰則の内容は都道府県によって差がありますが、ここでは一般的なケースについて説明します。
また、行為の程度によっては迷惑防止条例だけでなく他の罪にも問われるおそれがありますので、その際の罰則もあわせて紹介します。
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(1)迷惑防止条例違反の場合
・痴漢行為や嫌がらせ行為などの罰則
懲役……6か月~1年以下
罰金……50万円~100万円以下
・常習の場合の罰則
懲役……1~2年以下
罰金……100万円以下 -
(2)それ以外の罪に問われる場合
痴漢行為は、強制わいせつ罪(刑法第176条)や公然わいせつ罪(刑法第174条)に問われる可能性があります。
- 強制わいせつ罪の罰則
6か月以上10年以下の懲役 - 公然わいせつ罪の罰則
6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料
盗撮行為は、住居侵入罪(刑法第130条)や、児童ポルノ製造罪(児童ポルノ規制法第7条5項)に問われる可能性があります。
- 住居侵入罪の罰則
3年以下の懲役または10万円以下の罰金 - 児童ポルノ製造罪の罰則
3年以下の懲役または300万円以下の罰金
つきまとい行為は、ストーカー規制法違反となる可能性があります(同法第18条)。
- ストーカー行為の罰則
1年以下の懲役または100万円以下の罰金
(禁止命令等に反した場合、別の定めあり)
- 強制わいせつ罪の罰則
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4、迷惑防止条例の逮捕基準
迷惑防止条例に違反する行為をした場合、現行犯逮捕されるケースが多い傾向にあります。現行犯逮捕とは、犯罪を現に行っている、または行った直後の犯人を逮捕することで、現行犯逮捕は、警察官や検察官だけでなく、一般人でもすることができます。たとえば、わいせつ行為をした場合には、被害者本人や、近くで見ていた人に逮捕されるケースがあるでしょう。
迷惑防止条例違反には現行犯逮捕が多いからといって、「その場で逮捕されなかったから安心」というわけではありません。もちろん、通常逮捕されることもあります。通常逮捕は、被害届などによって事件が発覚したあと、捜査が進んで犯人を特定できる状況になってから、警察官や検察官が逮捕状にもとづき逮捕することです。つまり、防犯カメラや、周囲の人によって撮影された動画が証拠となって、後日に逮捕されるケースもあります。
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5、早期に弁護士へ相談を
迷惑防止条例に違反して逮捕された場合、「酔っ払っていたので当時の記憶がない」という抗弁はほとんど意味をなしません。なるべく有利に裁判を進めるためには、弁護士に弁護活動を依頼するのがベストな対応でしょう。
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(1)逮捕後に弁護士が行える対応
迷惑防止条例違反で逮捕された場合、逮捕から起訴されるかどうかが決定するまでの間だけでも、最長で23日間の身柄拘束を受ける可能性があります。拘束が長期におよべば、社会生活にも大きな影響を与えてしまう可能性は否定できません。また、身体的にも精神的にも負担となる状況の中で、思ってもみないことや、自分にとって不利になることを供述してしまう危険性もあります。
そこで、なるべく早期に弁護士に相談することが重要になります。弁護士は、事実確認や捜査を受ける際の助言を行います。特定の被害者が存在する場合には、示談交渉を進めて起訴を回避し、短期間での身柄解放を目指します。 -
(2)被害者との示談成立を目指す
たとえ逮捕されても、起訴前に示談が成立して当事者間で問題が解決できれば、不起訴の獲得も見込めます。不起訴となれば前科がつくこともありません。
わいせつ行為などの迷惑行為を受けた被害者は、加害者本人やそのご家族との示談交渉を避ける傾向があります。また、捜査機関側も、加害者関係者に被害者の個人情報を教えてくれることはありません。
しかし、弁護士であれば交渉ができるケースは少なくありません。そのため、弁護士を依頼することによって、交渉のスムーズな進行と示談成立への期待が高まるのです。
早期に示談を成立させることで、社会生活への影響も小さく抑えることができるでしょう。本人がなるべくスムーズに元の生活に復帰するためにも、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
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6、まとめ
過度の飲酒で記憶をなくしていたとしても、わいせつ行為や乱暴な行為などの公衆に迷惑をかける行為をはたらけば、迷惑防止条例違反や強制わいせつ罪などの処罰を受けるおそれがあります。
このような行為によって逮捕されてしまった場合、被害者との示談交渉を進めて解決を図ることで、不起訴処分にも期待できます。飲酒による迷惑行為で家族が逮捕されてお困りの方は、ベリーベスト法律事務所にぜひご相談ください。刑事事件の弁護実績が豊富な弁護士が全力でサポートします。
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