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弁護士コラム

2020年09月20日
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隣人から騒音で通報された!騒音が原因で逮捕されることはあるの?

隣人から騒音で通報された!騒音が原因で逮捕されることはあるの?
隣人から騒音で通報された!騒音が原因で逮捕されることはあるの?

令和2年6月、北海道札幌市に住む無職の男性が隣人女性の自動車を傷つけた器物損壊の容疑で逮捕される事件が起こりました。
警察の取調べに対して、男性は「水道を止める蛇口の音がうるさくて腹がたっていた」と供述したそうです。

日々生活をするなかで、生活騒音を原因としたトラブルはいつ起こるかわかりません。
たとえば、子どもが走る音やテレビ・オーディオの音、掃除機の音やドアを閉める音が、隣人の平穏な生活を害する騒音になっているおそれもがあるのです。

生活騒音の問題は、民事訴訟による損害賠償請求の対象となりえます。また、限度を超えた騒音は、罪に問われるおそれもあるので注意が必要です。本コラムでは、生活騒音が犯罪になってしまうケースや騒音が原因で通報された場合の対応について、べリーベスト法律事務所の弁護士が解説いたします。

1、生活騒音の定義とは

騒音トラブルに発展する生活騒音について、定義や特徴などを解説いたします。

  1. (1)生活騒音の定義

    生活騒音とは、毎日の暮らしのなかから発生する騒音のことです。東京環境局は、住居用の地域の環境基準を昼間は55デシベル以下、夜間は45デシベル以下と定めています。環境基準とは、“健康や生活環境を維持できる”とされる騒音の基準です。

    また、音の響き方や伝わりは時間帯によっても異なります。一般的に夜は音が響きやすく、環境基準では10デシベルもの差が設けられています。隣人や近隣住民の許容範囲も「昼間ならともかく夜間は我慢できない」と変化します。客観的な基準だけでなく、隣人や近隣の人が騒音と感じるかどうかなどの主観的な要素も、騒音トラブルに影響するのです。

  2. (2)生活騒音の一例

    生活騒音の具体例としては、下記のようなものが挙げられます。

    • 洗濯機や掃除機、冷蔵庫などの家庭用機器が発する音
    • エアコン、風呂・トイレの給排水、ドアの開閉音など、家庭用の設備や住宅の構造から生じる音
    • テレビやステレオ、PCやテレビゲームなどの音響
    • ピアノやギターなどの楽器
    • 乳幼児の泣き声、子どもが走ったり飛び跳ねたりする音
    • ペットの鳴き声など
    • 家人の話し声や笑い声、飲み会などの騒ぎ声
    • 車やバイクのエンジン音、空吹かしの音


    そのほか、窓際につけた風鈴の音であっても、生活騒音と見なされる可能性があるのです。

2、生活騒音を規制する法律はない?

生活騒音そのものは、法律では直接には規制の対象となっていません。
「騒音規制法」という法律は存在しますが、この法律は工場などの施設や建設工事から発生する騒音、自動車から発生する騒音を規制するものであり、生活騒音は対象外となっています。
後述するように、生活騒音に伴う問題は、軽犯罪法などに違反する可能性があります。騒音規制法の対象にはならないといっても、「騒音をたてても犯罪にはならない」というわけではないことに注意してください。

  1. (1)受忍限度とは

    刑事罰の対象にはならないとしても、隣人や周辺住民の騒音のない平穏な生活を送る権利を侵害した場合は、民事訴訟によって損害賠償請求を受けるリスクがあります。
    この被害者の損害賠償請求が裁判所などに認められるかどうかに関係する判断基準が、“受忍限度”です。受忍限度とは、「社会生活のなかで我慢するべき限度」のことです。

  2. (2)受忍限度の判断基準

    これまでの判例をみると、生活騒音の受忍限度は騒音の被害を受けた個人の主観的な感覚と、騒音のデジベル値などの客観的な基準の組み合わせによって判断されています。そのほか、騒音が発せられた時間や発しつづけられた期間、騒音によって被害者にもたらされた影響なども、裁判所による判断に影響しています。

3、騒音が犯罪として成立する可能性とは?

先述したとおり、生活騒音そのものを取り締まる法律はありませんが、生活騒音に関する諸問題が刑法に抵触して、犯罪として成立する可能性はあります。
生活騒音の問題が抵触する可能性のある法律の具体例は、下記のようなものになります。

  1. (1)軽犯罪法

    軽微な不法行為を取り締まる法律である「軽犯罪法」では、騒音に関する規制も設けられています。軽犯罪法第1条14号では「公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きくして静穏を害し近隣に迷惑をかけた者」を「拘留または科料の刑罰に処する」と規定されているのです。

    たとえば、近隣住民からの騒音行為について苦情があり、警察官に注意を受けたのにもかかわらず、騒音行為を改善しない場合には軽犯罪法違反と見なされるおそれがあります。しかし、注意を素直に受け止めて、騒音をたてる行為をやめれば、処罰を回避できます。

  2. (2)暴行罪

    刑法第208条では、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処する」と定められています。

    暴行罪の対象は、殴る・蹴るといった直接的な暴力行為だけに限定されません。室内でブラスバンド用の太鼓を連打して相手をもうろうとさせた事件に関して、「音による暴行」が認められた判例もあります。生活騒音が猛烈な場合にも、暴行罪が成立するおそれがあるでしょう。

  3. (3)傷害罪

    刑法第204条では「人の身体を傷害した者」を傷害罪として罰すると定めています。音による暴行の結果、相手が聴覚障害や睡眠障害、精神障害や体調不良などに陥った場合には、傷害罪が成立する可能性も考えられるのです。

    傷害罪が適用されると、15年以下の懲役または50万円以下の罰金を科せられます。具体的な損害を与えているため、軽犯罪法違反や暴行罪と比べて格段に厳しい刑罰が下されるおそれがあるのです。

4、騒音で通報された場合の対処法

自分が起こした生活騒音について近隣の誰かが通報して、トラブルに発展してしまった場合でも、すぐに警察に逮捕されるわけではありません。落ち着いて対応することで、事態の悪化を防ぐことができます。
騒音で通報されてしまった場合の具体的な対処方法について、解説いたします。

  1. (1)騒音を減らす工夫をする

    近隣の人が「うるさい」「不快だ」と感じるような騒音を自分が発している場合には、騒音を減らす努力を行ってトラブルの元を絶つことが最善だといえます。
    生活騒音のように音が発生する機会を完全になくすことができない場合でも、防音仕様の壁紙・床材に交換するなどの対策をとることで、騒音を改善することが可能です。
    良識のある相手であれば、誠意ある対応を行うことで、逮捕などに発展することなくトラブルを解決できる可能性が高くなります。
    もし誠意ある対応を行って騒音の元を絶った後にも、相手が対応を受け入れずに警察への通報などを続ける場合には、第三者や弁護士への相談が必要となるでしょう。

  2. (2)第三者に相談する

    自分が騒音を発していないことが明らかであるときや、少々の生活騒音を起こしているとはいえ受忍限度を超えるような騒音ではないといったときに通報されてしまうと、対策の施しようがない可能性があります。いやがらせのために騒音を理由として言いがかりをつけてくる人や、悪意を持って警察に通報してくる人が相手の場合には、当事者同士で話し合いを行うことでトラブルがより深刻化してしまうおそれがあります。
    このようなケースでは、自分だけでトラブルを処理しようとすることは悪手です。マンションの管理組合や管理会社、大家などの第三者に相談することを検討してください。

  3. (3)弁護士に相談をする

    生活騒音への対策を講じているにもかかわらず相手が執拗に苦情を申し立てたり警察に通報したりしてくる場合や、第三者が介入しても話し合いにならないという場合には、弁護士への相談を検討してください。法律の知識に詳しく、トラブル処理の経験も豊富な弁護士であれば、トラブル解決に向けた対応を行うことが可能です。
    トラブルが深刻化してしまうと、相手と顔を合わせて交渉することも難しくなる可能性があります。そうした場合でも、弁護士に依頼すれば、苦情を申し立てた相手との交渉を任せることができるのです。

  4. (4)訴訟に発展した場合は事実に基づく反論を行う

    もし相手が裁判所に訴えて訴訟にまで発展した場合には、相手の訴えが事実に基づいているかどうかが重要です。
    相手の訴えが主観に基づいたものであるか、デシベル値などの客観的な基準に基づいたものであるかによって、必要となる対応も変わります。
    弁護士に相談すれば、相手の訴えが法的根拠に基づく内容かどうかを判断してもらうことができます。訴訟になった場合にも、弁護士に依頼すれば、裁判で不利とならないような弁護活動をしてもらうことができるのです。

5、まとめ

生活をする以上は、生活音を発さずに日々を過ごすことは不可能だといえるでしょう。
しかし、我慢できる騒音の限度には、個人の感覚によって大きな差があります。自分では騒音だと思っていなくても、苦情を受けてトラブルになるおそれはあるのです。
騒音行為は、民事訴訟によって損害賠償を請求されるおそれがあります。また、軽犯罪法や暴行罪などに抵触する可能性もあるのです。

生活騒音をめぐって近隣の住民とトラブルになってしまい、無理な要求や執拗ないやがらせをされたり、警察への通報や民事訴訟による賠償請求などを行われたりした場合には、法律の専門家である弁護士に相談してみましょう。
ベリーベスト法律事務所では、生活に関するさまざまなトラブルの相談や解決に向けたサポートを提供しています。生活騒音にかかるトラブルの相談や相手との交渉・和解にも対応しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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