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「商標侵害」と訴えられた! 訴えが成立する要件や、罰則について解説
商品やサービスの名称やロゴマークは、知的財産権の一種である「商標権」によって保護されています。
知らないうちに他社の商標を侵害してしまい、「商標侵害」として訴えられるケースも存在します。海外では、iPhoneで有名なApple社が商標侵害を理由に中国企業へ賠償金約48億円を支払ったという事例もあるのです。
グローバル化に伴い、商標をはじめとする知的財産の管理の重要性と、訴訟リスクは高まっています。
そして、他人の商標を侵害する行為は法律によって禁じられており、厳しい罰則が規定されている犯罪なのです。
本コラムでは、どのような行為が商標侵害とみなされるのか、侵害行為にはどのような罰則が科せられるのかについて、べリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、商標とは何か?特許との違いは?
昨今では、知的財産権の保護に対する意識が高まっています。
しかし、知的財産にあたるものは何か、商標とはどのようなものを指すのか、といったことについての正しい知識は、なかなか周知されていない状況にあります。
商標の定義や、特許との違いについて解説いたします。
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(1)「商標」とは
商標とは、事業者が自社の取り扱う商品やサービスを他社や他人のものと区別するために使用する、識別標識のことです。
一般的には、商品名やサービスのネーミング、ロゴマークなどが「商標」とみなされます。
また、平成27年4月からは「色彩」「音」「動き」「ホログラム」「位置」も「商標」として認められることになりました。
これらのうち、特許庁に出願したうえで登録にまで至った商標には「商標権」が認められます。
商標権が認められた商標を他社や他人が無断で使用した場合には、「商標侵害」が成立する可能性があります。
このような商業を無断で使用した場合にも、商標侵害が成立して、使用の差し止めや損害賠償といった請求を受けるおそれがあるのです。 -
(2)商標と特許の違い|知的財産権の種類
知的財産権には、商標のほかにも、以下のようなものがあります。
- ●著作権
映画や音楽などの「著作物」を保護する権利 - ●意匠権
デザインや形状模様などの「意匠」を保護する権利 - ●特許権
「発明」を保護する権利 - ●実用新案権
発明には至らない程度の「考案」を保護する権利
このように、知的財産権は、種類によって保護する対象が異なるのです。
侵害した場合の罰則も、財産権の種類によって異なります。 - ●著作権
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2、商標侵害した場合の罰則
商標法第37条では、正当な権利や権利者の承諾を受けないまま、登録商標や類似商標を使用する行為は商標侵害とみなされる旨規定されています。
さらに、商標第78条では、「商標権を侵害した者について、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらを併科する」ことが定められているのです。
商標侵害に対して科せられる懲役の年数や罰金の金額は、刑法に定められている窃盗や暴行といった犯罪と比較しても、格段に重くなっています。非常に厳しい刑罰が科せられる、重罪なのです。
また、商標侵害は、検察官が起訴する際に被害者の告訴が必要される「親告罪」ではありません。商標を侵害された被害者は厳しい処罰を求めない場合であっても、検察官の判断によって、起訴されてしまう可能性があるのです。
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3、どのような行為が商標侵害になるのか
商標侵害にあたる行為の種類について、解説いたします。
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(1)商標を無断で使用する行為
権利者の許可を得ないまま、登録商標を無断で使用した場合には、商標侵害とみなされます。
具体的には、以下のような事例があります。- 自社が販売する商品名に、他社の登録商標である名称を使用した
- 他社が登録しているロゴマークを、自社の商品に表示した
たとえば、すでに販売実績が高い商品の名称を自社の商品に使用すると、消費者が人気商品だと誤認して購入してしまう可能性があるでしょう。
また、ブランドの商標を使用するには高額なライセンス料が必要になってしまうため、無断でロゴマークをあしらった模造品やコピー商品を製造して流通させる業者がいます。
商標侵害に厳しい刑罰が科せられるのは、このような行為を防ぐためなのです。 -
(2)類似する商標を使用する行為
「商標の一部を改変すれば商標侵害にならない」と考えて、既存の商標にわずかに改変を加えたものを使用とする場合もあるでしょう。
しかし、登録商標に改変を加えても、別の商標として認められるとは限らず、商標侵害を回避できるわけではないのです。
消費者が出所を混同してしまうほどに似ている商標は、「類似商標」とみなされて、商標侵害であると判断されます。
類似商標の具体例としては、以下のようなものがあります。- ひらがな表記をカタカナやアルファベットに置きかえた
- ロゴマークの配色のみを変えた
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4、商標権を侵害してしまった場合の影響
商標侵害は法律で禁止されている犯罪行為です。
さらに、商標侵害をしてしまった会社や業者には、刑罰に加えて、以下のような影響も生じるのです。
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(1)商標権者からの損害賠償請求を受ける
登録商標を無断で使用して利益を得るなどの行為があれば、権利者が得るはずだった利益分などについて損害賠償請求を受けるおそれがあります。登録商標が生む利益が大きいほど賠償額も高額になるため、思いがけず莫大な請求を受けてしまう可能性もあるのです。
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(2)商品回収や謝罪を迫られる
商標法第36条では、「商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」と規定されています。これを、「差止請求権」といいます。
差止請求権を行使されると、すでに市場で流通している商品であっても、侵害状態を解消するために回収などの対応を迫られることになります。
そのため、請求権を行使された側としては、多大な損害を被ることになるのです。
また、新聞などに謝罪広告を掲載するように要求される場合もあります。 -
(3)ブランディングに悪影響を与える
自社が商標侵害をしたことが世間に周知されたら、「知的財産権保護の意識が低い」というイメージが付いてしまうでしょう。
法人が他社の商標を侵害したという情報は、ネットニュースなどでも注目を集めやすく、権利者が有名であればあるほど大々的に報じられてしまうおそれがあります。
そのため、自社のブランディングに悪影響を与えて、商標侵害をしていない別の事業にまで支障が生じる可能性があるのです。
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5、商標侵害かもしれないと思ったら弁護士に相談を
他社から商標侵害の警告を受けた場合や、自社が使用している商標が他社の商標権を侵害しているかもしれないと気がついた場合には、ただちに弁護士に相談することが重要です。
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(1)商標侵害が事実なのかを確認できる
商標権の侵害に関するトラブルへの対応は、まず「商標侵害が事実なのか」を確認する作業から始まります。
同一または類似の商標であることの判断は、非常に専門的で難しい問題となる可能性があります。
商標に関する知識と経験をもつ弁護士に相談して、商標侵害の有無を正確に判断させることで、その後の対処も適切に行うことができるでしょう。 -
(2)商標侵害の訴えに効力があるのかを確認できる
商標侵害に関する問題では、「侵害された」と訴えた相手の主張が、法律的には効力がない可能性も少なからず存在します。
商標権の業界には、使用する予定のない商標を大量に出願して権利化し、侵害を理由に大金を搾取しようとする、「商標トロール」と呼ばれる業者が存在します。
警告をしてきた相手が真正な権利者ではない場合や、登録しているだけで商標を実際には使用していない場合、また、商標権の権利期間を過ぎている場合もあります。
そのため、もし「商標権を侵害されている」と訴えられた場合にも、慌てて対応せず、訴えに効力があるのかどうかを弁護士に確認させることをおすすめします。 -
(3)権利者との和解が期待できる
商標侵害の訴えが事実であった場合には、刑事告訴や多額の損害賠償請求を受けてしまうおそれがあります。しかし。弁護士を代理人として権利者との示談をすすめて、和解を申し入れれば、刑事告訴の取り下げやライセンス契約の締結による賠償請求を回避できる可能性があるのです。
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6、まとめ
思いがけず他社や他人の商標を侵害してしまった場合には、弁護士に相談して、示談をすすめることが最善でしょう。
一方で、商標侵害を訴えられても実際には相手の商標権が認められず訴えを退けられる可能性もあります。この場合にも、まず弁護士に相談して、相手の訴えに効力があるかどうかを専門家に判断させることが重要になるのです。
「商標侵害の警告書が送られてきた」「突然、事件として訴えられた」といった事態が起きた方は、べリーベスト法律事務所にまでご相談ください。
商標侵害トラブルの解決実績を豊富にもつ弁護士が、お客様のために尽力いたします。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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