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半グレとは? 暴力団との違いや代表的な犯罪について解説
半グレとは、暴力団には属さない新興の反社会的勢力を指す言葉です。
近年は半グレ集団による特殊詐欺事件や強盗・窃盗事件、恐喝事件などがあとを絶たず、ニュースなどでもたびたび取り上げられています。
10代、20代の若年層が加入するケースが目立ち、「自分の子どもが半グレ集団に所属して事件を起こしてしまった」といった悩みを抱える親も少なくありません。
本コラムでは、「半グレとは何か」をテーマに、暴力団との違いや代表的な犯罪やその罰則などについて解説します。
1、暴走族OBなどが作る不良集団「半グレ」とは
「半グレ」「半グレ集団」とは、暴走族のOBや地元の遊び仲間などで構成された、反社会的なグループのことです。暴力団ほどの組織性はないものの、集団的・常習的に暴力行為や詐欺行為などの犯罪行為を繰り返し、都市部を中心に勢力を拡大しています。
半グレという言葉は、裏社会に詳しいジャーナリストが著書の中で名付けたとされています。「堅気とヤクザの中間的な存在である」という意味を込めて、黒でも白でもない中間色のグレーや、グレーゾーンのグレーにかけて呼んだようです。
捜査関係者の間でも「半分グレている」との意味で半グレという言葉が浸透しており、積極的に取り締まるケースが増えています。
ただし半グレは暴力団のように明確に組織化された集団ではないため、実態がつかみにくく、摘発が難しいという現状があります。
また、暴力団と共謀しているケースや、解体(解散)した暴力団の構成員の移行先になっているなど、暴力団との関わりも問題視されています。
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2、半グレと暴力団の違いとは
暴力団は、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(通称:暴力団対策法(暴対法))で「その団体の構成員が集団的にまたは常習的に暴力的不法行為等を助長するおそれがある団体」と定義されています(第2条)。
暴力団の大きな特徴は、親分を頂点として、若頭や理事長などの上位構成員とそのほかの構成員というピラミッド型の組織が構築されていることです。擬制血縁関係によってその絆は強固に結びついており、親分や兄貴分などからの命令は絶対的とされています。
また、暴対法や都道府県が定める暴力排除条例の適用を受け、事業者との契約や銀行口座の開設など日常生活上のさまざまな行動が制限されています。
これに対して半グレには法律上の定義がありません。
暴走族のOBや地元の先輩・後輩などが仲間意識で集団化したグループが半グレと呼ばれます。半グレは、暴力団のような強固な上下関係が構築されているわけではないため、リーダーの入れ替わりが頻繁におこなわれているようです。
暴力団とは異なり、暴対法や暴力団排除条例の対象外です。
そのため、暴力団が起こした事件については、暴対法の暴力的要求行為の中止命令などによって効果的な対応が可能ですが、半グレが起こした事件ではそれが難しいという問題が生じています。
暴力団と半グレは互いに敵対しているわけではなく、絶妙に距離を保ちながら協力する関係にあるようです。具体的には、暴対法などの適用により行動が制限される暴力団が、自由に動ける半グレを手足として利用し、半グレも暴力団から対価を得るなどして双方が利用し合うという関係性です。
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3、半グレによる犯罪の特徴や警察の動向
半グレ集団が実行する犯罪や、それに対する警察の動向には、やはり特徴的なものがあるようです。
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(1)代表的な犯罪
半グレは繁華街や歓楽街で暴行・傷害事件などのトラブルを起こしているほか、組織窃盗やヤミ金融など、組織的に不法な資金獲得活動をしている例も散見されます。
近年は高齢者を狙った特殊詐欺が社会問題となっていますが、これにも半グレ集団が関与しているケースが多くあると言われています。
特殊詐欺とは、電話やはがきなど非対面の方法で被害者を信用させ、金銭をだましとる詐欺のことです。
「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」などいくつもの形態に分類され、振り込め詐欺とも呼ばれています。
10代や20代の若者が「かけ子」(電話をかけて被害者をだます役割)や「受け子」(だまし取った現金を受け取る役割)を担うなど、半グレ集団に関わってしまったために犯罪に手を染めるケースも少なくありません。 -
(2)半グレに対する警察の動向
警察庁は平成25年、関東連合や怒羅権(ドラゴン)などの暴走族の元メンバーで構成された半グレ集団を「準暴力団」と位置づけ、情報収集や取り締りを強化するよう全国の警察に通達を出しました。
現在では、治安を脅かす新たな反社会的勢力として、半グレ集団を専門的に取り締まる組織犯罪対策特別捜査隊が調査・対策を実施しています。
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4、特殊詐欺で問われる罪
半グレ集団に加入して特殊詐欺事件を起こしてしまうと、どのような犯罪が成立するのか、またその罰則について見ていきましょう。
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(1)詐欺罪
特殊詐欺に関与した場合には、刑法第246条の詐欺罪に問われます。
詐欺罪は人をだまして財物を交付させる犯罪です。特殊詐欺の主犯格はもちろん、末端の実行犯である「かけ子」や「受け子」も詐欺罪が成立し、「10年以下の懲役」に処せられます。
特殊詐欺は厳罰化の傾向にあるため、初犯であっても実刑判決を受ける可能性があるでしょう。 -
(2)窃盗罪
特殊詐欺の中でも、警察官や銀行員を名乗って相手をだまし、キャッシュカードをすり替える「キャッシュカード詐欺盗」と呼ばれるものがあります。
カードのすり替えをした実行犯や、振り込まれた現金を引き出す「出し子」だった場合は、刑法第235条の窃盗罪が適用される可能性があります。
窃盗罪の罰則は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。 -
(3)組織的犯罪とみなされた場合
半グレ集団が計画的に特殊詐欺を実行した場合、組織的犯罪とみなされ厳しく罰せられる可能性があります。詐欺罪にあたる場合は「1年以上20年以下の懲役」と、単独で詐欺事件を起こした場合よりも重く処罰されます(組織的犯罪処罰法第3条13号)。
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(4)併合罪の場合
複数の詐欺行為をしている場合には「併合罪」となり、刑期の上限が1.5倍になります(刑法第45条、同法第47条)。
単独による詐欺罪の刑期は最長で10年ですが、併合罪となった場合は最長で15年にまで延びるということです。
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5、特殊詐欺などで逮捕されたら速やかに弁護士に相談すべき理由
自分の家族が特殊詐欺などの疑いで逮捕されたら、速やかに弁護士に相談しましょう。
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(1)逮捕直後からの面会
逮捕されると警察および検察官の取り調べが実施されるため、本人に対し、取り調べで何を供述し、どのような態度でいるべきかのアドバイスが必要です。
しかし、逮捕直後の72時間はご家族であっても本人と面会できないため、アドバイスを与えることができません。この点、弁護士だけは制限なく本人と面会し、取り調べのアドバイスを与えられます。
また、早い段階で本人と面会して事情を把握することで、主犯格ではなく犯罪の意図もなかった旨を検察官・裁判官へ主張するなど、早期の身柄釈放に向けた活動も可能となります。 -
(2)示談交渉の代理
詐欺事件のように被害者がいる犯罪では、先方との示談を成立させ、被害者から宥恕(ゆうじょ)意思(許すという意思)を得ることが極めて重要です。
しかし、被害者が自分をだました相手やその家族との直接交渉を拒否するケースも多く、たとえ交渉できても、示談金で折り合いがつかない可能性もあります。
公正中立の立場であり、示談金の「相場観」をもつ弁護士が代わりに示談交渉をすれば、被害者の精神的な負担が減り、適切な示談金で決着がつく可能性を高められます。 -
(3)詐欺グループが雇った弁護士には注意が必要
半グレ集団などが関わる特殊詐欺事件では、依頼しなくても弁護士が面会にやってくるケースがありますが、多くの場合は「詐欺グループが雇った」弁護士です。
目的は詐欺グループの主犯格らを守るための情報収集であり、「かけ子」や「受け子」などの末端関与者を助けてくれるわけではありません。
自分の家族のサポートを依頼するのであれば、ご家族自身が、刑事事件の経験がある弁護士を選ぶことが大切です。
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6、まとめ
半グレは暴対法などの適用によって勢力を弱めた暴力団に代わり、新たな反社会的勢力として犯罪行為を繰り返す集団です。
暴力団と違って明確な上下関係や厳しい縛りがないため、20代の若者が「かっこいいから」などの理由で簡単に関わってしまうケースも少なくありませんが、詐欺事件などを起こせば厳しく処罰される可能性があります。
もし、自分の家族が半グレ集団の一員として罪を犯してしまった場合は、早急に弁護士に相談しましょう。
刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所がサポートするので、まずはご連絡ください。
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