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「時効」の意味とは? 刑事事件における時効を犯罪別に解説
刑事ドラマや小説などでは、刑事事件の「時効」がたびたび取り上げられます。時効直前の逮捕劇や、時効成立まで逃げおおせる犯人の逃亡劇は、サスペンス作品のテーマとして定番のものといえるでしょう。
「時効」と聞けば、「判事をしても、ある期間が経過すれば、無罪放免になる」といった印象を抱かれる方が多いでしょう。しかし、法律的な用語としての「時効」とは、刑事事件と民事事件においてそれぞれ異なる意味をもつ、複雑な言葉であるのです。
本コラムでは、刑事事件に関するものを中心としながら、制度の存在意義から運用のされ方、犯罪別に見る時効の期間まで、「時効」に関する基本的な知識について、ベリーベスト法律事務所の弁護士がわかりやすく解説します。
1、時効はなぜ存在する? 時効の基本的な知識
「時効」とは、あるできごとから一定の期間が経過したことを尊重して、その状態が法律的に正当ではなくとも権利を認める、という制度です。
具体的には、「過去に不法な行為があったとしても、一定期間にわたってその責任を問われていなかった場合には、そのできごとの責任は問われない」とする制度、ということになります。
また、時効はいくつかの種類に分かれます。
- 刑事法上の時効……消滅時効(刑の時効)・公訴時効
- 民法上の時効……消滅時効・取得時効
民法と刑法のそれぞれにおける時効について、解説いたします。
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(1)刑事事件における「刑の時効」
刑事事件における消滅時効は、「刑の時効」と呼ばれます。
刑法第31条では「刑の言い渡しを受けた者は、時効によりその執行の免除を得る」と規定されています。また、刑法第32条では、言い渡しを受けた刑罰ごとの時効が以下のように定められているのです。- 無期の懲役または禁錮……30年
- 10年以上の懲役または禁錮……20年
- 3年以上10年未満の懲役または禁錮……10年
- 3年未満の懲役または禁錮……5年
- 罰金……3年
- 拘留・科料・没収……1年
言い渡しを受けた刑罰が一定期間を経ても執行されなかった場合には、判決の効力が失われます。
ただし、刑の時効という考え方はあくまでも「刑法で定められている」にすぎないものであり、現実的には、相当な期間が経過しているにもかかわらず刑罰が執行されないという事態はほぼ起こり得ません。
想定される事態は、以下のようなものになります。- 裁判所や検察官のミス
- 刑罰が確定したのちに被告人が逃走して、相当期間が経過した
- 戦争や内乱などによる不可抗力で刑罰が執行できなくなった
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(2)刑事事件における「公訴時効」
刑事事件に関する「時効」といえば、一般的には「公訴時効」のことを指しているでしょう。
公訴時効とは、一定期間にわたって公訴が提起されなかった場合に、公訴権が消滅することをいいます。
なお、ドラマや小説などのフィクションにおいては「警察に捕まるまで」の期間であるかのように描かれていることが多いですが、実際に対象となるのは「検察官が公訴を提起するまで」の期間であることに注意してください。
公訴時効が成立した事件では、検察官は公訴を提起することができなくなるため、刑事裁判も開かれません。公訴を提起するとは、検察官が被疑者を刑事裁判にかける手続きのことで、起訴することをいいます。つまり、仮に警察に身柄を確保されても、刑事裁判が開かれないので、原則として刑罰を科せられることはないのです。
公訴権の消滅時効が定められている理由は、以下のようなものになります。- 罪を問われていないという事実状態の尊重
- 時間経過による社会的な影響の減少
- 証拠散逸とその結果によるえん罪の予防
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(3)民事事件における「消滅時効」
たとえば、友人・知人などから借金をして返済しないままになっていたとしても、返済を求められないまま一定期間が経過した場合には、貸主の請求権が消滅します。これが、民事事件における消滅時効です。
民事事件に関する時効の長さは、対象となる権利ごとに細かく定められています。
代表的な権利に関する時効について、解説します。
●債権の消滅時効
金銭貸借などの債権は、民法第166条1項の規定により、次のいずれかに該当することで権利が消滅します。
・債権者が権利を行使できることを知ったときから5年
・債権者が権利を行使できるときから10年
なお、債権または所有権以外の財産権については、債権者が権利を行使できるときから20年が経過すれば時効が成立します。
●生命または身体を侵害されたことによる損害賠償請求権の消滅時効
故意に人の生命を奪う殺人罪や身体を傷つける傷害罪のほか、交通事故などの「不法行為」に対する損害賠償請求権の消滅時効は、民法第724条2項によって次のとおり規定されています。
・被害者または法定代理人が損害および加害者を知ったときから5年
・不法行為のときから20年
なお、従来は「損害および加害者を知ったときから3年」でしたが、令和2年4月1日から改正民法が施行されたことにより、時効期間が延長されています。
●商行為によって生じた債権の消滅時効
商人同士の間で生じた債権は、これまでは商法第522条の適用を受けて5年の消滅時効が定められていました。
しかし、商法が適用されるような事例では、信用金庫や保証協会が債権者となった場合に「商人であるのか?」という点が問題になり、消滅時効の適用が複雑であるなどの問題が生じていました。
しかし、令和2年の民法改正を受けて、商行為によって生じた債権の消滅時効も一般的な債権と同じ扱いを受けるようになり、商法第522条は削除されたのです。
2、公訴時効と告訴期間の違い
公訴時効と同様に、「犯罪に関して一定期間が経過すると、公訴ができなくなる」という機能をもつ制度が「告訴期間」となります。
「親告罪」として規定されている犯罪は、被害者による告訴がない限り、検察官が公訴を提起することはできません。そのため、告訴期間が過ぎた親告罪は、自動的に、公訴もできないことになるのです。
親告罪として規定されている刑法の犯罪の具体例は、下記のとおりになります。
- 第13章 秘密を犯す罪(刑法第135条)
信書開封罪・秘密漏示罪 - 第28章 過失傷害の罪(刑法第209条)
過失傷害罪
※過失致死罪・業務上過失致死傷罪は含まない - 第33章 略取、誘拐及び人身売買の罪(刑法第229条)
未成年者略取誘拐罪ならびにこれを幇助する目的による非略取者引渡し等罪
※未遂も含まれる - 第34章 名誉に対する罪(刑法第232条)
名誉毀損(きそん)罪・侮辱罪 - 第40章 毀棄(きき)及び隠匿の罪(刑法第264条)
私用文書等毀棄(きき)罪・器物損壊罪・信書隠匿罪
上記の犯罪は、刑事訴訟法第235条により、「犯人を知った日」から6か月が経過するまでが告訴期間と規定されています。
また、親族間で起きた窃盗罪・不動産侵奪罪・詐欺罪・背任罪・恐喝罪・横領罪ならびにこれらの未遂罪は、原則として、刑罰の対象になりません。これを「親族相盗例」といいます。
親族相盗例に分類される犯罪も親告罪に含まれるため、被害者の告訴がないと公訴を提起することができないのです。
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3、死刑が含まれる犯罪の公訴時効は撤廃
平成22年の刑事訴訟法改正により、公訴時効に関する規定は従来のものから大きく変わりました。現在では、法定刑に死刑が規定されている犯罪については公訴時効の制度が撤廃されているのです。
法定刑に死刑が規定されている犯罪とは、殺人罪、強盗致死罪、強盗・強制性交等致死罪といった凶悪犯罪があり、従来、これらの犯罪の公訴時効は15年と定められていました。しかし、殺人事件の遺族からは「家族が殺されたのに、時間が経過したからといって犯人が無罪放免されるのは納得できない」という声が高まり、平成16年に法定刑が重い一部の犯罪について時効が延長されて、25年となっていました。
平成22年の改正では、さらに遺族の声に応えるかたちで改正案が提出され、一部の犯罪で公訴時効が撤廃されることになったのです。それにより、かつて公訴時効が定められていた殺人罪、強盗致死罪、強盗・強制性交等罪などの公訴時効が撤廃されました。法案が成立したのち、政府の持ち回り閣議を経て即日施行されるという異例の対応がとられました。これにより、殺人などの凶悪犯罪を行った人は、いくら時間が経過しても罪から逃れることができなくなったのです。
4、犯罪別に見る公訴時効の例
公訴時効の期間は、各犯罪に定められている法定刑によって異なります。
犯罪ごとの公訴時効について詳しく解説します。
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(1)人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑が規定されている犯罪
「人の死亡」という重い結果が生じた犯罪では、厳しい刑罰が規定されています。また、公訴時効が成立するまでに要する期間も、ほかの犯罪に比べて長く規定されているのです。
●公訴時効が30年の犯罪
無期の懲役または禁錮が規定されている犯罪の公訴時効は、30年とされています。
・不同意わいせつ致死罪(刑法第181条1項)
・不同意性交等致死罪(刑法第181条2項)
・強制わいせつ致死罪
・強制性交等致死罪
●公訴時効が20年の犯罪
長期20年の懲役または禁錮にあたる罪の公訴時効は20年です。
・傷害致死罪(刑法第205条)
・危険運転致死罪(自動車運転処罰法第2条)
●公訴時効が10年の犯罪
ここまでに挙げた犯罪のほか、人を死亡させた犯罪で禁錮以上の刑にあたるものの公訴時効は10年です。
・業務上過失致死罪(刑法第211条前段)
・重過失致死罪(刑法第211条後段)
・過失運転致死罪(自動車運転処罰法第5条) -
(2)それ以外の犯罪
人を死亡させた罪以外の犯罪における公訴時効は、以下のように規定されています。
●公訴時効が25年の犯罪
・現住建造物等放火罪(刑法第108条)
・殺人未遂罪(刑法第199条・第203条)
●公訴時効が20年の犯罪
・不同意わいせつ等致傷罪(刑法第181条1項)
・不同意性交等致傷罪(刑法第181条2項)
●公訴時効が15年の犯罪
・強盗致傷罪(刑法第240条)
・不同意性交等罪(刑法第177条)
・監護者性交等罪(刑法第179条2項)
・強制性交等致傷罪
・強制わいせつ致傷罪
●公訴時効が12年の犯罪
・不同意わいせつ罪(刑法第176条)
・監護者わいせつ罪(刑法第179条1項)
●公訴時効が10年の犯罪
・強盗罪(刑法第236条)
・傷害罪(刑法第204条)
・危険運転致傷罪(自動車運転処罰法第2条)
・強制性交等罪
●公訴時効が7年の犯罪
・窃盗罪(刑法第235条)
・詐欺罪(刑法第246条)
・業務上横領罪(刑法第253条)
・恐喝罪(刑法第249条)
・強制わいせつ罪
●公訴時効が5年の犯罪
・収賄罪(刑法第197条1項)
・受託収賄罪および事前収賄罪(刑法第197条2項)
・監禁罪(刑法第220条)
・単純横領罪(刑法第252条)
・業務上過失致傷罪(刑法第211条)
●公訴時効が3年の犯罪
・住居侵入罪(刑法第130条)
・公然わいせつ罪(刑法第174条)
・淫行勧誘罪(刑法第182条)
・死体損壊罪(刑法第190条)
・脅迫罪(刑法第222条)
・暴行罪(刑法第208条)
・名誉毀損(きそん)罪(刑法第230条)
・威力業務妨害罪(刑法第234条)
・侮辱罪(刑法第231条)
●公訴時効が1年の犯罪
・軽犯罪法違反(第1条各号)
5、公訴時効の起算点はいつから?
公訴時効について考える際には、時効はどの時点から数えられるか、という「起算点」が重要になります。
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(1)犯罪による結果が生じたとき
公訴時効の起算点は、刑事訴訟法第253条1項の規定によって「犯罪行為が終わったとき」とされています。また、同法第55条1項では、公訴時効の計算について「時効期間の初日は、時間を論じないで1日としてこれを計算する」と定められているのです。
たとえば、令和2年1月1日の午後11時に犯罪が行われた場合、初日は時間を問わず「1日」として計算するので、起算点は令和2年1月1日となります。
ここで問題となるのが、傷害致死罪のように、「犯罪の行為が終了したとき」と「行為の結果が生じたとき」とでタイミングが異なる場合です。たとえば、他人を殴って怪我をさせたら、「傷害罪」はその時点で成立しますが、救急搬送された被害者が翌日に死亡した場合には、犯行の翌日に「傷害致死罪」が成立することになります。
このような場合、傷害致死罪による処罰の対象となるのは「被害者が死亡した」という結果が発生してからであるので、時効については、結果が生じたときを「1日」として計算することになるのです。 -
(2)共犯者が存在する場合の考え方
共犯者が存在する事件の場合は、刑事訴訟法第253条2項の規定に従い、「最終の行為が終わったとき」から、すべての共犯者に対して時効の期間が起算されます。
たとえば、A・Bの2名が役割を分担しながら行った詐欺事件について、Aが被害者をだます役割、Bが被害者からお金を受け取る役割だったとします。Aが被害者をだましたのが1月1日、Bがお金を受け取ったのが1月2日である場合、公訴時効の起算点は、A・Bの両名ともに最終の行為が終わった1月2日となるのです。
6、時効の停止とは
公訴時効の進行は、一定の条件に合致して停止する場合があるのです。
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(1)時効の停止とは
刑事訴訟法第254条1項によると、公訴時効は「公訴の提起によってその進行を停止し、管轄違いまたは公訴棄却の裁判が確定したときからその進行をはじめる」と規定されています。つまり、公訴時効が停止するのは「検察官が起訴した場合」であり、逮捕や勾留の決定などは公訴時効に影響しないのです。
また、同法第255条1項によると、次の状況があれば時効の進行は停止します。- 犯人が国外にいる場合
- 犯人が逃亡しており、起訴状の謄本を送達できなかった場合
一度公訴時効が停止すると、再び進行がはじまらない限り、時効は成立しません。
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(2)時効が停止する例
公訴時効が停止するもっとも典型的な例は、犯罪の被疑者が逃亡している場合です。
検察官が起訴に踏み切ったものの、被告人となった被疑者が逃亡しているため起訴状の謄本を送達できなかった場合には、公訴時効が停止します。
また「国外にいる場合」とは、逃亡・潜伏の目的に限らず一時的な渡航も含まれます。この規定は、主に国外逃亡犯に適用することを目的として運用されています。捜査の結果、旅行や出張などの目的で海外に渡航していた事実が判明すれば、「渡航期間に応じて時効が停止していた」ものとみなされるのです。
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7、刑事と民事に同時に関わる犯罪
犯罪にあたる行為があった場合、刑事事件として検察から起訴されると同時に、民事事件として被害者から損害賠償を請求される場合があります。
名誉毀損罪・恐喝罪における刑事・民事の時効について、解説します。
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(1)刑事事件と民事事件の違い
「刑事事件」とは、法律によって定められている「罪」を犯した人について、国がその責任を追及するものです。
刑事事件に対する責任は刑事裁判によって問われ、判決に従って刑罰を受けることでその責任を果たすことになります。刑事訴訟を提起するのは被害者ではなく、検察官となります。起訴された人は「被告人」として扱われます。
「民事事件」とは、原則的には私人と私人の間で生じた権利や身分について争うものを指します。訴えを起こす人を原告、訴えられた人を被告といい、裁判所を介して紛争の解決を目指します。
なお、民事事件では裁判の途中であっても双方の合意による「和解」が可能ですが、刑事事件には和解は存在しません。 -
(2)名誉毀損の時効
名誉毀損にあたる行為があると、刑法第230条の名誉毀損罪が成立します。名誉毀損罪の法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金なので、「公訴時効」は3年です。犯罪行為から3年が経過すれば、刑罰を科せられることはありません。
一方で、名誉毀損にあたる行為があった場合には、不法行為にもとづく損害賠償請求権も生じます(民法第709条)。
精神的苦痛に対する慰謝料に加えて、民法第723条の規定に従い「名誉を回復するのに適当な処分」を求めることが可能です。具体的には、新聞や雑誌などにおける謝罪広告の掲出、名誉毀損にあたる記事が公開されたウェブサイトでの訂正記事の掲載のほか、名誉毀損にあたる情報の削除などが考えられるでしょう。
損害賠償請求権の「消滅時効」は、被害者が、損害の発生および加害者を知ったときから3年、または、不法行為のときから20年です。そのため、刑事事件としての時効が成立しても、損害賠償請求を受ける可能性は残されているのです。 -
(3)恐喝の時効
暴行や脅迫を用いて相手を怖がらせ、金銭などを脅し取った場合には、刑法第249条の「恐喝罪」が成立します。恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役であり、公訴時効は7年です。
また、恐喝事件の被害者は、強い恐怖を感じたという精神的苦痛に対する慰謝料や、脅し取られた被害金相当の損害賠償を求めることが可能です。
被害者には不法行為にもとづく損害賠償請求権が生じるため、損害の発生および加害者を知ったときから3年、または、不法行為のときから20年が経過しないと消滅時効が成立しません。
名誉毀損の場合と同じく、刑事事件としての公訴時効が成立しても、20年以内であれば被害者から損害賠償請求を受ける可能性があるのです。
8、時効の完成猶予・時効の更新とは
時効には、「停止」とは別に、「完成猶予」と「更新」という制度も設けられています。
時効の完成猶予とは、ある事由が生じた場合に、その事由が終了するまでの間は時効が完成しないとするものです。
時効の更新とは、ある事由が生じた場合に、時効の基礎となる事実状態の継続が破られたことを理由として、それまでの時効期間が無効となる制度です。
時効が更新されると、それまでの時間経過が無効となるため、更新された時点を起算点として新たに時効が進行します。つまり、時効が「リセットされる」という制度だといえます。
ただし、時効の完成猶予や更新が発生するのは、民事上の問題に限られます。
具体的には、以下のような場合に時効の完成猶予ないし更新が発生するのです。
- 債権者が訴訟・支払督促といった「請求」を起こした場合(完成猶予。なお、確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、更新となります。)
- 差し押さえ・仮差し押さえ・仮処分の手続きが認められた場合(申し立てによって時効の完成猶予となり、これらの手続きが終了したときには更新となります。)
- 債務者が債務の存在を「承認」した場合(更新。)
「中断」と「完成猶予」と「更新」は、似たような用語に見えますが、その運用は全く異なります。
刑事事件では時効の「完成猶予」と「更新」は発生しないという点について、留意しておきましょう。
9、まとめ
刑罰法令によって定められている罪を犯しても、公訴時効の定めがあるため、一部の重大犯罪を除いては時間が経過することで刑事責任を問われなくなります。
また、民事上の損害賠償請求権についても同様に消滅時効が存在するので、時間が経過すれば責任を追及されなくなる可能性があるのです。
ただし、刑事事件の公訴時効には「停止」が、民事事件の消滅時効には「完成猶予」および「更新」が存在します。そのため、自分で時効成立の日を計算して時間経過を待とうとしても、正確な計算を行うことは難しいでしょう。思わぬ事情で、時効が停止していたり中断していたりする可能性があるためです。
また刑事事件を起こしてしまい逮捕されるかもしれない、といった状況において、時効の完成を待って逃げるよりも弁護士に相談して解決を図るほうが賢明です。さらに刑事事件を起こしてしまった方の中には、自首を考えているケースもあるかもしれません。自首をする場合には、弁護士が同行することも可能なため、取り調べや逮捕への不安を軽減することができます。
もしご自身やご家族が刑事事件を起こしてしまったり、警察から連絡がきたりしている場合などは、早急に弁護士にご相談ください。刑事事件の弁護活動は、刑事事件の解決実績を豊富にもつベリーベスト法律事務所にご相談ください。
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