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弁護士コラム

2022年09月07日
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SNSなどでのなりすまし行為に関連する犯罪の種類、成立要件や量刑を解説

SNSなどでのなりすまし行為に関連する犯罪の種類、成立要件や量刑を解説
SNSなどでのなりすまし行為に関連する犯罪の種類、成立要件や量刑を解説

インターネット上では、しばしば、特定の人物であるかのように偽って振る舞う「なりすまし」行為が行われます。令和2年9月には、サッカークラブ「川崎フロンターレ」の実在するサポーターになりすまして、差別的表現や誹謗中傷をふくんだ文章がSNSに投稿されて、クラブが法的措置をふまえた非難声明を発表する事態にまで発展しました。
このような「なりすまし」行為は、その行為の方法や内容によって、法律上の様々な犯罪にあたりえます。
本コラムでは、インターネット上のなりすまし行為に関連する犯罪や法律の問題について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説いたします。

1、SNSでの「なりすまし」行為は犯罪か?

まず、「なりすまし」とはどのような行為を指すのか、なりすまし行為は犯罪に該当するのか否かなどの、基本的な事柄から解説いたします。

  1. (1)なりすましとは

    SNSでの「なりすまし」には、偽のアカウントを作成して自分以外の人物になりすまして、コメントや写真を投稿したり、他人とメッセージをやり取りするなどの行為をしたりすること等があります。

    なりすまし行為が行われる目的としては、特定の個人に対する嫌がらせや個人情報の収集、相手の知名度を利用したフォロワー数の増加、あるいは自身の不正行為の濡れ衣を着せること、などがあります。

    ニュースになるのは著名人がなりすましアカウントを作成された事例であることが多いですが、一般人がなりすまし被害にあう事例も多々あるのです

  2. (2)なりすまし行為そのものは犯罪ではない

    なりすましはSNSの利用規約に違反する行為ですが、この行為自体は刑法に抵触しないので、なりすまし行為そのものが犯罪に直結するとは限りません。

    しかし、なりすました本人の評価や信用を下げる言動をする、違法行為をはたらくなどをした場合には、名誉毀損罪や詐欺罪などの犯罪が成立する可能性があります。また、刑法上の犯罪にあたらない場合でも、民事上の責任を負う可能性はあるのです。

  3. (3)SNSでのなりすましはバレる?

    SNSなどでなりすまされた被害者は、発信者情報開示請求権を行使できることがあります(プロバイダ責任制限法第4条)。発信者情報開示請求権とは、「自己の権利が侵害されたときに、サイト運営者やプロバイダに対して、権利を侵害した人に関する情報開示を求められる」権利のことです。

    被害者が発信者情報開示を求めて、それが認められると、なりすました本人は氏名や住所を特定されて、刑事・民事の両方で追及を受ける可能性があるのです

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2、メールを使った「なりすまし行為」と詐欺の関係

なりすまし行為は、SNSだけでなく、電子メールを使って行われる場合もあります。電子メールによるなりすまし行為は、SNSのように不特定多数に発信することで本人の社会的評価を下げることではなく、メールを送られる特定の個人に対して詐欺行為を行うことが目的とされる場合が多いでしょう。

メールを使って行われる詐欺の典型は「フィッシング詐欺」であり、また、昨今では新型コロナウイルスの流行に便乗した詐欺も登場するようになっています。

  1. (1)フィッシング詐欺

    「フィッシング詐欺」とは、金融機関や企業になりすましてメールを送り、あらかじめ用意した偽のサイトにアクセスさせたうえで個人情報を入力させて、金銭をだまし取る詐欺のことを指します。

    フィッシング詐欺の典型例とは、クレジット会社を装った相手から「お客さまのカード情報が漏洩しているため、至急、当社のホームページで再登録の手続きを実施してください」などと書いたメールがURL付きで送信されたため、URLをクリックして偽のサイト上で氏名やカード番号などを入手したところ、後日に身に覚えのないクレジット購入明細書が届、というものになります。

  2. (2)新型コロナウイルスに便乗した詐欺

    新型コロナウイルスが流行する昨今では、行政機関や行政から委託を受けた業者やその他の企業や団体などを装ってメールを送り、助成金・給付金やワクチンの予約金を名目に金銭をだまし取ろうとする詐欺も頻発しています。

    具体的には、携帯会社を名乗る相手から「新型コロナウイルスの助成金を配布する」という主旨のメールがURL付きで送られてきて、URLを開くと振込口座情報を入力させられそうになった、という事例が発生しています。

  3. (3)なりすまし行為が詐欺にあたる場合とは

    詐欺罪は、個人の財産を保護することを目的として規定されています
    したがって、だれかになりすましてメールを送信する行為だけでは、詐欺罪は成立しません。法律上は、メールを送信して相手を錯誤に陥らせて、相手の意思によって実際に金銭の交付があった時点で、詐欺罪が成立するのです。

    ただし、金融機関などになりすまして振込口座情報の入力や入金を促す行為は欺罔行為(だます行為)にあたり、欺罔行為が開始された時点で詐欺罪の未遂が成立します。相手がだまされずに金銭を交付しなかったとしても、刑事責任は免れないのです。

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3、ネットの「なりすまし行為」に関連した犯罪:成立要件と量刑は?

インターネットや電子メールを使ってなりすまし行為をした場合に成立し得る犯罪には、詐欺罪のほかにも複数の種類があります。それぞれの犯罪が成立する要件と量刑について、解説いたします。

  1. (1)名誉毀損罪

    公然と事実を摘示して、人の名誉を毀損すると、刑法第230条の名誉毀損罪が成立します。
    「公然」とは不特定又は多数人に知られる可能性がある状態を指します。そして、「事実の摘示」とは、人の社会的評価を害するに足りる事実を摘示することを指します。そして、摘示される事実は、虚偽のものであっても名誉棄損罪は成立し得ます。

    名誉棄損罪が成立するなりすまし行為の具体例としては、SNS上で他人になりすましたうえで、「私は会社の上司と不倫をした」「万引きをしたことがある」など、その人が不法行為や犯罪行為をした旨を摘示する行為等があります。

    他人になりすましたうえで第三者を誹謗中傷した場合にも、名誉毀損罪が成立する可能性があります。不特定多数の人から、あたかも第三者を誹謗中傷するような人物であると誤認されると、その人の人格に対する社会的評価は低下するためです。

    名誉毀損罪の法定刑は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」となっています。個別の事件における具体的な量刑は、法定刑の範囲内で、犯行様態や被害の重さ、犯行後の状況などを考慮して裁判官が決定します。

  2. (2)侮辱罪

    「事実の摘示」を行わなかった場合にも、公然と人を侮辱した場合には、刑法第231条の侮辱罪が成立する可能性があります。
    名誉毀損罪が成立する要件には「事実の摘示」が含まれますが、侮辱罪の場合には含まれません。他人になりすまして、具体的な事実を示さずにその人の社会的評価を下げる言動をすれば、それだけで侮辱罪に問われる可能性があるのです。

    法定刑は「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。

  3. (3)不正アクセス禁止法違反

    他人のIDやパスワードを不正に取得して、本来アクセスする権限のないコンピューターを不正に利用した場合には、不正アクセス禁止法の第3条違反が成立する可能性があります。具体的には、SNS上で他人のアカウントを利用する、システムに侵入するなどの行為が、不正アクセス禁止法違反にあたります。
    このような行為は、「乗っ取り」と表現されることも多いでしょう。

    不正アクセス禁止法の法定刑は「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」になります(同第11条)

  4. (4)電子計算機使用詐欺罪

    なりすましメールを送信して、偽のサイトに誘導したうえで金銭をだまし取るなどの行為は、「電子計算機使用詐欺罪」が成立する可能性があります(刑法第246条の2)。

    詐欺罪(刑法第246条)とのちがいは、詐欺罪は人をだます行為であるのに対して、電子計算機使用詐欺罪は電子計算機に虚偽の情報や不正な指令を与える行為である、という点にあります。
    なりすまし行為によってどちらの罪が成立するのかはケースによりますが、最高裁では、盗んだクレジットカード情報をインターネット上で入力して電子マネーを得た事件で、電子計算機使用詐欺罪の成立が認められています。

    電子計算機使用詐欺罪の法定刑は、詐欺罪と同じく「10年以下の懲役」になります。罰金刑はないため、有罪になれば、執行猶予がつかない限りは刑務所へ収監されることになるのです。

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4、なりすましで罪に問われる場合は弁護士に相談しましょう

なりすまし行為で罪に問われている場合は、弁護士に相談して、被害者との示談交渉を早急にすすめることが重要になります。

とくに、名誉毀損罪や侮辱罪の場合は、検察官が起訴するには被害者の告訴が要件となる「親告罪」となります。起訴前に被害者との示談を成立させて、「告訴をしない」または「告訴を取り下げる」などの約束を取りつければ、起訴を避けることができるでしょう。

一方で、詐欺罪などは非親告罪です。そのため、示談が成立しても、起訴されないとは限りません。

しかし、示談が成立したという事実は、裁判の場においても、「被害者への謝罪と被害弁済を行った」ことの証拠となります。そのため、示談交渉を行うことで、刑が減軽されたり、執行猶予がついたりするなど、量刑の判断を被告人にとって有利なものにする可能性を高めることができるのです。

ただし、なりすまし行為をはたらいた本人やその家族が被害者に連絡して示談交渉をすすめようとしても、被害者から拒否される可能性は高いといえます。そのため、示談交渉は弁護士に依頼することをおすすめします

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5、まとめ

インターネット上で他人や企業になりすます行為は、それ自体がただちに犯罪を構成するものではありません。しかし、なりすました相手の社会的評価を下げる、第三者から金銭をだまし取るなどの行為をはたらけば、名誉毀損罪や詐欺罪などの犯罪が成立する可能性があるのです。

自分がなりすまし行為をしてしまい、「刑事責任に問われるのでは」と不安に感じられている方は、ベリーベスト法律事務所にまでご連絡ください。刑事事件の解決実績豊富な弁護士が、ご相談を承ります。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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