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弁護士コラム

2022年01月27日
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  • 罪の重さ
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罪の重さ(量刑)が決まる基準とは? 罪種別ごとの判断要素を解説

罪の重さ(量刑)が決まる基準とは? 罪種別ごとの判断要素を解説
罪の重さ(量刑)が決まる基準とは? 罪種別ごとの判断要素を解説

量刑とは、裁判所が被告人に対して、「懲役2年」などの刑を言い渡すために、どのような刑を科すかを決めることです。量刑においては、犯行の動機や犯行方法といった、さまざまな要素が考慮され、それらを総合的に判断して刑が言い渡されます。

本コラムでは、量刑で用いられる判断要素を解説するとともに、暴行罪、傷害罪、窃盗罪、詐欺罪、薬物犯罪など、罪種ごとに、どのような要素が量刑に影響を与えるかについても説明します。

1、罪の重さを決める量刑とは

まずは、量刑とは何か、科せられる刑罰がどのように決まるか、量刑の基礎知識について押さえておきましょう。

  1. (1)量刑とは

    量刑とは、裁判所が被告人に対して、法律で決められた刑罰の中で、どの程度の刑を科すかを決める作業のことで、刑事裁判の最終段階で行われます

    そもそも刑罰とは、有罪判決を受けた被告人に対して生命、自由、財産に制限を加えることです。

    最も重い刑罰としては生命を奪う死刑があります。他にも、刑務所に収容され刑務作業が義務付けられる懲役、刑務作業はないが刑務所に収容される禁錮、1日以上30日未満身体を拘束される拘留、1万円以上の金銭を徴収される罰金、1000円以上1万円未満の金銭を徴収される科料などがあります。また付加刑として犯罪によって得た物の没収があります。

  2. (2)法定刑・処断刑・宣告刑

    量刑は、法定刑、処断刑、宣告刑という流れで決定されます。

    法定刑とは、法律で定められている刑罰の種類と重さのことです。

    たとえば傷害罪の法定刑は以下の通りです。

    傷害罪……15年以下の懲役または50万円以下の罰金(刑法204条)


    量刑は、法定刑の範囲の中から決定しますが、犯罪の内容によっては、法定刑だけでは刑罰の範囲が決められないケースもあり、その場合は処断刑が適用されます。

    処断刑とは、法定刑にさらに加重したり減軽したりして修正を加えられた刑です。たとえば、併合罪といって、ひとりの人物に対して問われている罪が2つ以上あるケースがあります。この場合、罪が重い方の刑期を1.5倍した年数が刑の上限となり、これが処断刑にあたります。

    最終的に裁判官が被告人に言い渡す宣告刑は、この処断刑の範囲内で決められます。

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2、量刑を判断する基準

では、どのような基準を用いて刑罰の重さは決められるのでしょうか。

  1. (1)犯行態様の悪質性・犯行方法

    まず、犯行態様(犯行のありさま)の悪質性や犯行方法が考慮されます。たとえば、同じ傷害罪でも、相手の顔を平手でたたいてケガを負わせたのと、ナイフを用いて顔を切りつけたのとでは、後者の方が悪質性は高いといえます。

    また、凶器を使わず相手を素手で殴った場合でも、殴った回数が1回だけなのか、執拗(しつよう)に何度も殴ったのかで犯行態様の悪質性は異なります。

    悪質性の判断においては、犯行の危険性や残忍性、執拗性などが考慮され、悪質性が高ければ高いほど刑の範囲の中で科せられる刑罰が重くなるおそれが大きくなります

  2. (2)犯行結果の重大性

    犯行結果の重大性も、量刑において考慮される要素のひとつです。

    たとえば、傷害罪を例に挙げると、被害者が負ったケガが全治5日程度のものなのか、全治6か月を要するケガなのかで、科せられる刑罰の重さは変わります。一般に、被害者が負った被害の程度が大きければ大きいほど、宣告刑は重くなる傾向があるといえます。

    また、窃盗罪の場合では、盗んだ物がスーパーなどで陳列されている数百円程度の商品なのか、時価数億円に上る貴金属類で被害者への影響が大きいかなどによって、犯行結果の重大性は異なります。

  3. (3)犯行動機

    犯行動機についても量刑で考慮されます。たとえば、傷害罪に問われた被告人が、知人から借りた金の返済を求められたことに腹を立てて相手を殴った場合、犯行動機は身勝手とみなされかねません。

    一方、傷害罪に問われた被告人が、長年にわたる悪質ないじめに悩まされた末に相手を殴りケガを負わせた場合は、酌むべき事情があると判断される可能性もあります。

    このように、犯行動機がどのようなものであるかも、量刑に影響しますそのほか、被告人に前科・前歴がある場合は再犯のおそれがあるとして情状が悪くなるケースがあります。一方、被告人の年齢が若ければ更生の見込みがあるとみなされ、量刑において有利に働くケースもあるでしょう。

    量刑に際してはこういった要素が総合的に考慮され、宣告刑が言い渡されることになります。

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3、罪種別ごとの量刑

次に、罪種ごとにどのように刑罰が決められるか見ていきましょう。暴行罪、傷害罪、窃盗罪、詐欺罪、各種薬物犯罪、過失運転致死傷罪の量刑について解説します。

  1. (1)暴行罪

    暴行罪については、刑法208条に規定があり、法定刑は「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です。

    暴行罪は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に成立する比較的軽微な犯罪なので、初犯の場合は仮に逮捕されても不起訴になるか、略式起訴で済むケースが多いといえます。

    略式起訴とは、公開裁判をせずに簡易的な審理を裁判官に求める起訴手続きのことです。対象になるのは、100万円以下の罰金または科料に相当する事件に限られ、被疑者の同意が必要です。審理は検察官が提出した書面のみで行われ、通常の裁判より短期間で結論が出る特徴があります。

    初犯であれば逮捕されても不起訴や略式起訴で済む可能性がある暴行罪ですが、再犯であれば起訴される可能性が高まります。判決によって懲役刑が言い渡されても執行猶予が付される可能性もありますが、凶器を使うなど犯行態様が悪質だったり動機が身勝手だったりすれば、必ず執行猶予が付されるわけではありません。

  2. (2)傷害罪

    傷害罪については刑法204条に規定があり、法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

    傷害罪は暴行罪と異なり相手にケガを負わせるという重大な結果を生じさせているため、初犯であっても執行猶予が付されない懲役刑が言い渡され、実刑となることもあり得ます。特に相手に大ケガを負わせるなど犯行結果が重大であればその危険は高まるでしょう。

    一方、ささいなことから相手を殴ったが全治7日の軽傷で済んだなど、比較的軽微なケースでは、不起訴になることも考えられます。傷害罪の再犯の場合は、犯行態様の悪質性や結果の重大性にもよりますが、粗暴性が高いと判断されると、実刑となるおそれが大きくなります

  3. (3)窃盗罪

    窃盗罪については刑法235条に規定があり、法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

    窃盗罪では、初犯で、かつ盗んだ物の財産的価値が低い場合などは不起訴になる可能性もあります。一方、再犯であって前回の処罰からの期間が短く、盗んだ物が高価なときなどは実刑判決が出るおそれもあります。

  4. (4)詐欺罪

    詐欺罪については刑法246条に規定があり、法定刑は「10年以下の懲役」です。

    詐欺罪は、罰金などの財産刑がなく自由を剥奪する懲役刑のみが科されることから、比較的重い罪といえるでしょう。オレオレ詐欺に代表される、電話で相手を信用させ現金をだまし取る特殊詐欺などは、初犯でも実刑がとなる場合がほとんどです

    再犯の場合は実刑となる可能性がさらに上がります。なお、執行猶予期間中の再犯であれば前回の刑とあわせた年数を服役することになるので注意が必要です。

  5. (5)各種薬物犯罪

    薬物犯罪は、薬物の種類などによって法定刑が異なります。

    たとえば、覚醒剤取締法は覚醒剤の所持の法定刑を「10年以下の懲役」としています(同第41条の2第1項)。一方、大麻の所持は大麻取締法に規定があり、法定刑は「5年以下の懲役」です(同第24条の2第1項)。

    また、薬物犯罪に関しては、薬物を所持などしていた目的によって法定刑が異なります。たとえば覚醒剤を営利目的で所持していた場合の法定刑は「1年以上の有期懲役、または情状により1年以上の有期懲役および500万円以下の罰金」です(覚醒剤取締法41条の2第2項)。

    薬物犯罪についても量刑に際しては犯行態様の悪質性などが考慮されますが、初犯であれば執行猶予が付くケースも少なくありません。一方、薬物犯罪は再犯率が高いとされ、再犯の場合は実刑となる危険が大きくなります

  6. (6)過失運転致死傷罪

    過失運転致死傷罪については、自動車運転処罰法第5条に規定があり、法定刑は「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。ただし、同条は「傷害が軽いときは情状によりその刑を免除することができる」とも定めています。

    量刑については、被害者が1人なのか複数人なのか、被害者が亡くなっているのかケガにとどまっているのか、また被害者が負ったケガの程度などによって異なります。故意がない過失による人身事故を処罰する犯罪なので、初犯であれば不起訴になったり執行猶予が付いたりする可能性があるといえます。

    再犯の場合は、実刑判決が言い渡されることもあり得るでしょう。

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4、不当に重い罪を回避するためにできること

もし罪を犯してしまった場合に、不当に重い刑罰を科せられることを回避するためには、どうしたらよいのでしょうか。

  1. (1)接見による適切なアドバイス

    罪を犯してしまったときは、早期に弁護士に相談することが重要です。

    警察などの捜査機関に逮捕されると、取り調べを受けます。この取り調べをもとに供述調書が作成されますが、供述調書は裁判の判決に影響をあたえ得る重要な証拠となります。しかし、逮捕によって動揺していたり、精神的に追い詰められたりしていると、不本意かつ不利な供述をしかねません。

    弁護士は、逮捕直後から面会が可能なため、取り調べに対する心得やどのように応じたらよいかなど、適切なアドバイスすることが可能です逮捕・勾留されると、たとえ家族であっても被疑者と自由に面会することができませんが、弁護士であれば制限なく面会できるため、弁護士を通じて手紙や差し入れ等も可能です

  2. (2)迅速な示談交渉

    被害者と迅速に示談交渉を行うことも、重い刑罰を回避するためには重要です。被害者との間で示談が成立すれば、被害者の処罰感情が和らいでいると判断されます。また、被害届や告訴状を取り下げてもらうことなどが合意できれば、不起訴になる可能性が高まるでしょう。

    しかし、被害者の連絡先が分からない、交渉を拒否されるなど、刑事事件の示談交渉を加害者側の家族や知人が行うのは大変ハードルが高い行為です。弁護士に示談交渉を一任することで、捜査機関を通じて被害者に連絡を取れる可能性があります。また、冷静な第三者として被害者感情に配慮した交渉をすることで、示談の成立につながりやすくなるでしょう。

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5、まとめ

刑事裁判の最終段階で行われる量刑判断においては、犯行態様の悪質性や犯行結果の重大性、犯行動機などが考慮されます。罪種によっては初犯であれば不起訴になったり執行猶予が付いたりするケースもありますが、犯行態様が悪質、結果が重大といった場合には初犯であっても実刑が下るおそれもあります。

罪を犯したときは早期に弁護士に相談し、被害者との示談交渉を進めるなど、適切な対応をとることが不当に重い刑罰を回避する上で肝要です。逮捕の可能性がある、または逮捕後の量刑でお悩みの際は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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