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弁護士コラム

2022年04月28日
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職場での言動はどこからが脅迫になる? 犯罪が成立する要件と刑罰

職場での言動はどこからが脅迫になる? 犯罪が成立する要件と刑罰
職場での言動はどこからが脅迫になる? 犯罪が成立する要件と刑罰

一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が令和3年に実施した調査によると、職場内でのパワーハラスメントが「増えた」と回答した企業は44.0%で、もっとも多い割合を占めていることがわかりました。パワハラにはさまざまな形態がありますが、なかでも言葉の暴力は容易に起きやすいものです。

職場における厳しい指導はある程度までは許容されるものですが、同僚・部下・上司に対して危害を加える内容を告げると刑法の「脅迫罪」が成立するおそれがあります。

本コラムでは「脅迫罪」の成立要件や刑罰、逮捕を防ぐための対策などを解説します。

1、脅迫罪とは

まずは「脅迫罪」がどのような犯罪なのかを確認していきましょう。

  1. (1)「脅迫罪」の根拠や定義

    脅迫罪は刑法第222条1項に定められた犯罪です。人の生命・身体・自由・名誉・財産に対して危害を加える旨を告知した者を処罰の対象としています。

  2. (2)脅迫にあたる行為|言葉や行動による脅迫

    脅迫罪にあたるのは、生命・身体・自由・名誉・財産に対して危害を加える旨を告げる行為です。これを「害悪の告知」といいます。

    会社のなかで起こりうる脅迫としては、次のようなケースが典型的でしょう。

    • ミスをした部下に「これ以上ミスをしたら殺すぞ」と怒鳴った(生命への危害
    • 仲の悪い同僚に対して「殴るぞ」と脅した(身体への危害
    • 営業職の従業員に「契約が取れるまでは帰れると思うな」と脅した(自由への危害
    • 気に入らない上司に「不倫を社内掲示板で公表しますよ?」と脅した(名誉への危害
    • 成績不振の部下に「給料を半分にするぞ」と脅した(財産への危害


    ここで挙げたのは「言葉」による脅迫ですが、害悪を告知する方法は限定されません。相手を目の前にして口頭で告げた場合はもちろん、電話・文書・メールなどで告げた場合も脅迫罪は成立します

    また、これらの内容を明確な言葉で告げていなくても、暴力を振るうそぶりを見せる、その場から離れられないように立ちはだかるなどの行為が脅迫罪に該当するケースもあるので注意が必要です。

  3. (3)脅迫罪が成立する対象

    脅迫罪は「人」に対して害悪を告知した場合に成立します。法律上の「人」には人間を指す「自然人」と会社などの「法人」がありますが、法人は生命や身体をもたない存在なので、脅迫罪の保護対象には含まれないと解するのが通説です。ただし、法人に対する脅迫行為は、威力業務妨害罪などに該当するおそれがあるため、処罰されないわけではありません。

    また、刑法第222条2項には「親族」への害悪の告知についても脅迫罪として罰する旨が明記されています。ここでいう親族にあたるのは、配偶者・6親等以内の血族・3親等以内の姻族です。本人への害悪の告知ではなく「お前の妻子を殺すぞ」などと告げる行為も脅迫罪として処罰されます

  4. (4)脅迫罪の刑罰

    脅迫罪の容疑で有罪となった場合は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられます。懲役とは刑務所に収監されて刑務作業という労働を強いられる刑罰で、罰金とは金銭を徴収される刑罰です。どちらも前科となり、職業の制限や海外への渡航制限を受けることがあるなどの不利益が生じます。

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2、強要罪との違い

脅迫罪にように人に害悪を告知する犯罪のひとつに「強要罪」があります。

  1. (1)強要罪とは|根拠と成立要件

    強要罪は刑法第223条に定められている犯罪です。脅迫罪と同じく生命・身体・自由・名誉・財産に対する害悪を告知したり、暴行を用いたりしたうえで「人に義務のないこと」をおこなわせる、または「権利の行使を妨害」した者が処罰の対象になります。

    強要罪の中には、人に義務のないことをおこなわせた、または人の権利行使を妨害した場合の手段のひとつとして脅迫が存在しています。

  2. (2)強要罪の刑罰

    強要罪の刑罰は「3年以下の懲役」です。脅迫罪よりも懲役の上限が引き上げられているうえに、罰金の規定がないため、有罪になると必ず懲役が科せられるという点で、非常に厳しい刑罰が設けられている犯罪だといえます。

    また、強要罪には脅迫罪にない「未遂」の処罰規定が存在します。犯行を遂げなかった場合でも、犯罪への着手があれば処罰は免れません。例えば「土下座しないと痛い目に遭わせるぞ」と脅迫した場合は、相手が応じず土下座をしなかったとしても脅迫罪ではなく強要未遂として強要罪の刑罰が科せられます。

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3、恐喝罪との違い

強要罪と同じく、脅迫を手段とする犯罪のひとつが「恐喝罪」です。

  1. (1)恐喝罪とは|根拠と成立要件

    恐喝罪は刑法第249条に定められている犯罪です。人を恐喝して財物を交付させた者を罰する犯罪で「恐喝」とは「脅し取る」という行為を意味します。脅迫や暴行を手段として、相手に金銭などの財物を差し出させたり、債務を免除させたりする行為が処罰の対象です。

    脅迫行為と財産交付・債務免除がセットになった犯罪で、例えば「ミスのペナルティーとして、殴られるか、10万円差し出すかどちらか選べ」などと脅せば恐喝罪が成立します。

  2. (2)恐喝罪の刑罰

    恐喝罪の刑罰は「10年以下の懲役」です。有罪になれば必ず懲役となるうえに、3年を超える判決の言い渡しになれば執行猶予の対象外となるなど、脅迫罪・強要罪と比べると格段に重い刑罰が予定されています。これは脅迫罪や強要罪と異なり、目的が財産などに向けられている点でより悪質な犯罪だからです。

    強要罪と同様に、恐喝罪も未遂を罰する処罰規定が存在しているという点も要注意です。相手が脅しに応じず、警察に被害届を提出したことで財産交付や債務免除が実現しなかった場合でも恐喝未遂が成立するため、厳罰は避けられません。公訴時効は7年と非常に長いため、時間がたったからといって安心するのは禁物です。

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4、脅迫罪で起訴される割合

刑事事件を起こしても必ず刑罰が科せられるわけではありません。検察官が起訴して刑事裁判が開かれ、裁判官が有罪判決を下すことで刑罰が科せられます。

では、脅迫罪で検察官が起訴に踏み切る割合はどのくらいなのでしょうか?
逮捕される割合や逮捕後に勾留される割合とあわせてみていきましょう。

  1. (1)データからみる逮捕率・勾留率・起訴率

    令和2年の検察統計年報から、脅迫事件の逮捕率・勾留率・起訴率を確認します。

    ● 逮捕率
    処理総数2330件に対して逮捕1405件(うち警察で釈放31件)で逮捕率は60.3%

    ● 勾留率
    処理総数1374件に対して勾留許可1264件で勾留率は91.9%

    ● 起訴率
    起訴806件、不起訴1363件で起訴率は37.2%


    全刑法犯の平均逮捕率は38.5%です。
    脅迫の内容や被害者と加害者の関係性、前科・前歴の有無などから慎重に検討されますが、脅迫罪が「逮捕されやすい犯罪」であることは間違いありません。

    また、逮捕・送致されたあとはほとんどのケースで勾留が決定しています。そもそも脅迫罪は「相手を脅す犯罪」なので、被害者への危害防止などの観点から勾留となる可能性は高いでしょう。

    ただし、起訴に至った割合は40%を下回っています。事件後の示談などの対策次第では、検察官が不起訴処分を下したり、時間や手間がかかる正式裁判ではなく簡易的な「略式裁判」で決着できたりする可能性も高いでしょう。

  2. (2)刑事責任と同時に民事責任を負うおそれもある

    裁判所が脅迫罪の成立を認めた場合は、被害者に対する民事責任も負う事態になるおそれが高まります。脅迫を受けたことに対する精神的苦痛を理由に、刑事事件とは別に民事事件として損害賠償請求の訴えを起こされてしまうかもしれません。たとえ刑事裁判で有罪判決を言い渡されて刑罰を受けても、民事責任が免除されるわけではありません。

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5、脅迫罪で逮捕されそうな場合にできること

職場で脅迫罪にあたる行為をしてしまい、相手が警察に被害届を提出したり、刑事告訴したりといった状況があれば、逮捕の危険が高まっているといえます。最長23日にわたる身柄拘束を受けるおそれがあるため、逮捕されてしまう事態は避けなければなりません。

逮捕を避けるためには、弁護士のサポートが必要となります

  1. (1)相手との示談交渉を進める

    脅迫行為があったことを認める場合は、できる限り穏便な解決を図るのが最善策です。弁護士に依頼して、相手との示談交渉を進めましょう。早い段階で謝罪し、「一切の危害を加えるつもりはない」と伝え、示談金を支払うことで示談が成立すれば、被害届や刑事告訴の見送り・取り下げ・取り消しによる逮捕の回避が期待できます。

    しかし、脅迫被害を受けた相手にとって、加害者との話し合いに強い警戒心を抱くのは当然です。示談をもちかけても門前払いをされてしまったり、連絡を繰り返していると警察に通報されて「早く逮捕しないと危険だ」と判断されてしまったりするかもしれません。安全に示談交渉を進めたうえで、その後の人間関係にも配慮した解決を目指すには、弁護士への依頼が最善策です

  2. (2)警察の取り調べでは容易に自白しない

    逮捕に先立って任意段階で取り調べがおこなわれる場合は、慎重な対応が必要です。特に無罪を主張したいと考えるなら、罪を認める内容の供述調書を作成されないように注意しなければなりません。
    自白調書が作成されてしまうとあとで内容を覆すのは困難です。弁護士に相談してどのような供述に徹するべきなのかのアドバイスを受けましょう。

    また、脅迫行為を認めるなら、警察官に対して「実際に危害を加える意思はない」と真摯(しんし)に伝えたうえで、一方的に不利な内容の供述調書を作成されてしまう事態を避けなければなりません。脅迫行為の事実を認めていても、反省がなく、被害者への報復や逃亡・証拠隠滅を疑わせる内容になっていれば、強制捜査に切り替えられてしまう危険があります。

    弁護士に相談したうえで、どのように供述するべきなのかのアドバイスを受けて、逮捕の回避を目指しましょう

  3. (3)安易に慰謝料請求に応じない

    脅迫事件の被害者のなかには、非常に高額な慰謝料の支払いを求めてくる者も存在します。事件は解決できても必要以上に重い負担を強いられる事態になるのは確実なので、逮捕を避けるためには仕方がないと追い詰められてそのまま慰謝料を支払うのは危険です。

    弁護士に相談し、示談交渉を一任すれば、実際に生じた損害に応じた適切な金額での決着が期待できます。過去に起きた同様のケースに照らした交渉も可能なので、相場を大幅に超えるような負担も回避できる可能性が高まるでしょう。

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6、まとめ

職場の同僚・部下・上司との間でも、相手に危害を加える内容を告げると「脅迫罪」に問われます。厳しい指導のつもりでも事件化されると厳しい刑罰が下されてしまうので、決して軽視してはいけません。

ご自身の行為が脅迫罪に問われるのか、脅迫罪が成立する場合は逮捕や起訴される危険が高いのかを個人で判断するのは困難です。脅迫罪による逮捕や刑罰に不安を感じている方は、直ちに刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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