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盗撮の被疑者になった事実を家族や職場に知られない方法はあるのか?
盗撮をすると、逮捕されるのか、どのような罰を受けるのかといった不安のほか、家族や職場へ知られる可能性や知られた場合の影響についても気になるはずです。盗撮の事実を家族や職場の人が知るとどんな事態になってしまうのでしょうか。また現実問題として、家族や職場へ隠したまま事件を終わらせることは可能なのでしょうか。
この記事では、盗撮事件を起こした場合に考えられる影響を解説します。事態を少しでもよくするために何ができるのかについても確認しましょう。
盗撮行為は令和5年7月13日に新設された「撮影罪(性的姿態等撮影罪)」によって処罰の対象となります。
1、盗撮での逮捕によって予想される生活への影響
盗撮で逮捕されると、家庭や職場など自身を取り巻く環境に大きな変化をもたらすケースが多いでしょう。早期に対応しなければ、その影響はより深刻なものへとなりかねません。
本項では、考えうる影響について解説します。
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(1)家族へ与える影響
本人が逮捕されても、ご家族の経歴に傷がつく、職業に制限がかかるなどの直接的な影響はありません。
しかし、事件化する盗撮行為のほとんどは、被害者の人格や尊厳を踏みにじる性犯罪としての盗撮行為あり、社会的にも糾弾される可能性が高い行為です。その矛先は、行為をした本人だけにとどまらず、ご家族にも向けられてしまうケースが考えられます。
ご家族は、身内が盗撮事件を起こしたショックに加えて、周囲の言動から精神的に相当の負担を強いられる可能性は高いでしょう。 -
(2)職場へ与える影響
公共の場所でなく、職場で行った盗撮であっても刑法又は軽犯罪法違反となる可能性があります。そして、刑事罰だけでなく、社内秩序や規律を著しく乱す行為として、懲戒解雇処分を受けるおそれもあります。
もちろん、逮捕の事実のみで当然懲戒解雇となるわけではありません。しかし、その後起訴され有罪判決を受けると就業規則の解雇事由に該当する可能性が高まります。
仮に解雇を免れたとしても、事件が知られてしまえば居心地が悪くなり、結果として自ら退職を選ぶケースはあり得ます。 -
(3)社会的な影響
①逮捕歴が残る
逮捕されただけでは前科はつきません。逮捕は、捜査する上で必要な措置のひとつであり、犯人として疑われているに過ぎないためです。ただし、捜査機関に逮捕歴は残ります。
②就職・転職に不利になる可能性がある
被疑者として取り調べを受けた結果、有罪判決を受けると、たとえ執行猶予が付いた場合や罰金刑で済んだ場合でも前科がつき、一定の職業で制限がかかります。賞罰欄が設けてある履歴書を使用するときは、前科があることを隠したいと思われるかもしれません。
しかし、偽りの記載は経歴詐称になることがあります。
「前科があることがわかっていれば採用しなかった」という会社の主張には妥当性がある場合には、経歴詐称を理由に懲戒解雇が認められることもあります。
③実名や顔写真が報道・掲載される可能性がある
制限のない職業だとしても、インターネット上に実名や顔写真が掲載されてしまえば、名前を検索しただけで過去の過ちが衆目にさらされてしまうケースは少なくありません。
たとえ面接時などに過去の犯罪歴を問われなかったとしても、採用担当者が気づいてしまう可能性は否定できないでしょう。
また実名や顔写真が掲載されてしまったことにより、盗撮の事実が近所の人に知られたため暮らしにくくなり、家族全員が居住地域からの引っ越しを余儀なくされるケースもあるようです。
④海外渡航に一定の制限がかかる
前科があると入国できない国があるため、海外出張や海外旅行に一定の制限がかかります。
2、盗撮で逮捕されたことを家族に隠すとどうなる?
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(1)通常は警察か弁護士から家族に連絡してもらう
盗撮で逮捕されると、72時間を限度に捜査が行われ、その中で検察官が勾留の必要性について検討します。勾留とは、引き続き身柄の拘束を行ったまま取り調べを行う措置です。勾留が決定すれば、まずは10日間、最長20日最初の72時間と併せると最長で23日間も身柄拘束されることになります。当然、その間帰宅できなくなります。
さらに、逮捕されてから勾留の有無が決定するまでのあいだ、本人が弁護士以外の外部と直接連絡を取る手段はありません。ご家族であっても勾留の有無が決定するまでは面会ができないのです。当然、ご家族は心配するため、通常は警察か弁護士に依頼してご家族へ連絡してもらいます。
つまり自身が希望しなければご家族へ連絡がなされないケースはありますが、ご家族へ連絡しないと身元引受人になってくれる人間がいないといった問題が生じることがあります。
また、連絡がつかなくなったことに不安を覚えた家族が周囲に連絡をし、事実を一つずつ確認してまわった結果、反対に事件を周知させてしまうこともありえます。
したがって、逮捕の事実をご家族に隠しておくことによるデメリットもあります。 -
(2)身柄拘束期間が長引くおそれがある
警察や検察が逮捕や勾留を行うためには、一定の条件があります。
具体的には、罪を犯した疑いがあること、証拠隠滅の可能性や逃亡のおそれがあるなどの理由によって捜査に支障がでる場合です。被害者がさらなる被害に遭う可能性があるとみなされた場合も、身柄の拘束が行われることがあります。
また、引き続き取り調べは行われるものの帰宅が可能となる在宅事件扱いになるには、身元引受人が必要となることが多いです。
つまり、同居の家族がいることが明らかで、同居家族が身元引受人となるのであれば、証拠の隠滅や逃亡のおそれも少ないと判断されます。加えて素直に罪を認めているといった状況であれば、証拠隠滅や逃亡をする動機も小さいため身柄拘束をする必要性がないと考えられることになり早期に帰宅できる可能性が高まります。
当然ですが、早期に帰宅したいからといって、やっていない犯罪を認めることは決してしないでください。
住所を知らせなかったり、家族の存在について口を閉ざしたり、身元引受人をだれにも頼めない状態であれば、逮捕や勾留が決定してしまうおそれがあります。身柄の拘束が長期に至れば、確実に仕事や学校など、社会生活に影響を及ぼすことになります。 -
(3)早期解決を望むなら、家族へ連絡を
早期解決にはご家族の協力が不可欠です。
ご家族は、もしあなたが身柄の拘束を受けてしまったとき、本人の職場へ欠勤の連絡を入れる、刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士を探すといった重要なサポートを行えます。
仮にご家族に隠し通そうとした場合、無断欠勤で会社から処分を受ける、早期に弁護士へ対応を依頼できずに勾留請求され身柄拘束が長引き、その後起訴され有罪になるといったリスクがあります。
隠したい、知られたくないというお気持ちは理解できますが、事態が悪化しないようにするためにも、早期にご家族の連絡先を警察に教えたほうが良いでしょう。
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- 警察が未介入の事件のご相談は来所が必要です。
- 被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、盗撮で逮捕されると会社にバレる?
逮捕された場合でも警察から会社へ連絡がいくことは通常ありません。
そのため、逮捕後に迅速な行動を起こし、早期に釈放された末に事件が解決に至れれば、会社に知られずに済む可能性があります。
しかし確実に知られずに済む方法はないのが現実です。
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(1)会社に関係する事件だった場合
盗撮事件が会社と密接に関係している場合には、社内での捜査や、同僚など会社関係者への聞き込みの必要性が生じるため、会社に知られることになるでしょう。
たとえば、次のようなケースです。- 盗撮した場所が社内のトイレだった
- 会社関係者をターゲットに盗撮した
- 盗撮した画像やカメラを会社に保管している可能性があるとみなされた
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(2)欠勤の連絡をしなかった場合
盗撮で逮捕されると、少なくとも当日から数日間は職場に行けず、自らが会社へ欠勤の連絡をすることもできません。通常はご家族から職場へ欠勤の連絡をしますので、その際に少なくともしばらく欠勤する旨だけは伝えることはできるでしょう。
しかし仮にご家族の協力を得られずに職場への連絡をしなかった場合、無断欠勤になるため、いずれ知られることになるはずです。 -
(3)盗撮事件が実名報道された場合
報道をきっかけに会社に知られることもあり得ます。
盗撮の場合、殺人や強盗などの重大事件と比較すれば報道される可能性は下がりますが、その基準は報道機関によって異なるため一概にはいえません。
全国的にみれば大事件ではなくても、地方では逮捕が絡む事件そのものが耳目を集める事件になりえます。地方紙などでは、逮捕された時点で実名報道されるおそれがあるということです。
特に公務員や大手企業の社員、医師など一定の職業に就いている場合や、盗撮した相手が児童だった場合などには社会的な影響力が大きくなると考えられます。
したがって、報道されるリスクがより高くなるでしょう。
4、盗撮事件を早期解決するためには?
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(1)被害者との示談成立を目指す
盗撮事件の早期解決に向けて大きな材料となるのは被害者との示談成立です。
被害者に丁寧に謝罪をし、処罰を望まないとの意見を得られれば、不起訴処分や刑の軽減を受ける可能性が高まります。
示談成立のタイミングは早ければ早いほどメリットが大きく、仮に逮捕前の示談成立となれば逮捕自体を回避できる可能性も生まれるでしょう。
事件化されたとしても在宅事件扱いとなれば、取り調べの呼び出しに応じる必要はありますが、原則これまでと変わらない社会生活を送ることができます。たとえ、事件化が防げなくても、会社に知られるリスクを抑えることができるでしょう。 -
(2)直接示談交渉は避け、弁護士経由で示談する
ただし、盗撮の被害者の心情を考えれば、加害者との接触を拒み、交渉にすら応じてもらえないケースは容易に想定されます。加害者の関係者であるご家族からの交渉にも応じてくれないでしょう。むやみに接触すると被害者を怖がらせるだけで逆効果です。
場合によっては、脅迫などと受け取られてしまい、事態が悪化してしまう可能性があります。
したがって、加害者本人やその関係者からの交渉はまず避けるべきです。
さらに盗撮の場合は被害者の連絡先を知らず、交渉を依頼すること自体が難しいケースが少なくありません。
この点、弁護士であれば被害者を安心させて交渉のテーブルについてもらい、示談を進められる可能性があります。捜査機関を通じて被害者の承諾を得た上で連絡先を入手できるのも弁護士だけです。 -
(3)すぐに弁護士に相談する
さらに、逮捕から勾留の有無が決定するまでの72時間は、前述のとおり面会が制限されます。たとえ電話などでも直接家族や友人などとのやりとりはできません。
そのような中、直接面会して話ができるのは、依頼を受けた弁護士だけに限られます。
弁護士であれば、取り調べの対応についてのアドバイスを行えますし、職場への対応、ご家族への伝言などの依頼を承ることができます。万が一起訴された場合でも弁護士の活動によって重すぎる罰を回避できる期待が出てくるのです。
こうした事情から、盗撮事件の早期解決には弁護士の力が不可欠となります。盗撮をした事実があるのなら、速やかに弁護士へ相談するべきでしょう。
もし、逮捕されてしまったら、速やかに家族を頼ることで、早期に弁護士を依頼してもらってください。職場に知られてしまうなどの社会的な影響を最小限に抑えられる可能性を高めることができます。
5、まとめ
盗撮による逮捕の事実を家族や職場へ隠すことは現実的に難しいと言わざるを得ません。逮捕当日の身柄解放か在宅事件として扱われると隠せる場合もありますが、ご家族の協力があれば事件を早期解決し、社会的な影響を回避することにもつながるため、少なくともご家族へは伝えたほうがスムーズに解決する可能性が高いでしょう。
ただし、ご家族が単独で示談交渉や捜査機関へのはたらきかけなどの活動をすることには限界があります。被害者との交渉が伴う場合や捜査機関などへの弁護活動が必要であれば、ぜひ弁護士に頼ってください。
盗撮をしてしまったものの反省し、何とか早期解決したいとお考えのときは、ベリーベスト法律事務所でご相談ください。刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士が、適切な対応を行います。
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