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弁護士コラム

2022年10月17日
  • 性・風俗事件
  • 強制わいせつ
  • 後日通報

強制わいせつで後日通報されることはある? 逮捕の可能性とは

強制わいせつで後日通報されることはある? 逮捕の可能性とは
強制わいせつで後日通報されることはある? 逮捕の可能性とは

刑法の「強制わいせつ罪」は、暴行や脅迫を行い無理やりわいせつな行為をした者を罰する犯罪です。たとえば、いわゆる「痴漢」なども、強制わいせつ罪に問われる可能性がある犯罪です。

痴漢行為といえば、満員電車の中やショッピングモールの店内など、人と人が接触する機会が多く混雑した場所で行われることが多い犯罪であり、ニュースなどでは「犯人は現行犯逮捕された」といった報道が目立ちます。

そのせいか「強制わいせつ罪は現行犯逮捕が基本」と理解している人は少なくありません。しかし、後日の通報によって発覚し逮捕される可能性もあるので「現行犯逮捕されなかった」という理由で安心するのは間違いです。

本コラムでは、強制わいせつ罪の概要や典型的な行為の態様などに触れながら、後日通報による逮捕の可能性や逮捕後の流れについて解説します。

令和5年7月13日に強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」へ、強制性交罪は「不同意性交等罪」へ改正されました。

1、「強制わいせつ罪」とは? 成立の要件や刑の重さ

「強制わいせつ罪」は、刑法第176条に、定められている犯罪です。まずは強制わいせつ罪が成立する要件や刑罰の重さを確認しておきましょう。

  1. (1)強制わいせつ罪が成立する要件

    強制わいせつ罪は、「13歳以上の者に対して、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者」を罰する犯罪です。刑法の条文を分解して、成立の要件を解説します。


    ● 13歳以上の者
    相手の年齢が13歳以上であることを指します。ゆえに、「相手が13歳未満だと強制わいせつ罪に問われないのか?」という疑問を感じるかもしれません。しかし、刑法第176条では「13歳未満の者に対してわいせつな行為をした者も同様」と明示しています。そのため、相手の年齢が13歳未満の場合でも処罰を免れられるわけではなく、13歳以上に対しては暴行・脅迫を用いていることも犯罪の成立に必要という意味です

    ● 暴行または脅迫を用いた
    暴行とは殴る・蹴るといった暴力行為、脅迫とは「声を出したら痛い目に遭わせるぞ」などといった脅しを典型例としますが、本罪の成立には相手が抵抗できない程度の行為があるだけでも足りるため、わいせつな行為そのものが暴行・脅迫が認められることも多いです。たとえば、いきなり胸をもみしだけば、それだけで暴行に基づいたわいせつな行為となります。

    ● わいせつな行為をした
    わいせつな行為とは、性欲を刺激・興奮・満足させるもので、かつ、一般の人の性的羞恥心を害する行為です。どこまで行くとわいせつかというのは、言葉の定義だけからはわかりにくいですが、後述するような痴漢行為に関する具体的な例を参照するとイメージがつかめます。


    これらのすべてを満たすと強制わいせつ罪が成立します。

  2. (2)強制わいせつ罪の法定刑

    強制わいせつ罪について法律が定める刑罰は「6か月以上10年以下の懲役」です。罰金の規定がないので、刑事裁判で有罪判決が下されると必ず懲役が言い渡され、執行猶予が認められない場合は刑務所へと収監されてしまう重罪だといえます。

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2、強制わいせつにあたる行為とは?

強制わいせつ罪にあたるのはどのような行為なのでしょうか?
実際の事例に照らしながら、典型的な行為の態様を挙げていきます。

  1. (1)胸・尻・陰部などを触る行為

    まず考えられるのが、相手の胸・尻・陰部といった性的な部位を触る行為です。


    • 車で幅寄せをして自転車を停止させ、自転車に乗っていた女性の胸を触った疑いで逮捕
    • 歩行中の女性に突然後ろから抱きついて胸をもんだ疑いで逮捕
    • 女性の首に刃物を突きつけたうえで下着の上から陰部を触った疑いで逮捕


    痴漢行為にあたる態様に見えるものもありますが、痴漢行為といえば各都道府県が定める「迷惑防止条例」の違反にあたるケースもあるので、判断に迷うところです。

    一般的には、わいせつ行為の強度が高ければ強制わいせつ罪に問われる場合が多いと考えられます。たとえば、胸や尻を衣服の上から触れた場合などは、迷惑防止条例違反が適用されるケースが多いでしょう。

    一方で、胸や尻を強くもんだり、衣服の下に手を入れて執拗(しつよう)に触ったり、陰部を触ったりといった行為があれば、それらのわいせつ行為自体が暴行・脅迫と判断され、強制わいせつ罪の処罰対象となります

  2. (2)衣服を無理やり脱がせるなど

    「触る」という行為だけが処罰の対象ではありません。


    • 自宅に招いた知人女性の衣服を無理やり剥ぎ取って脱がせた疑いで逮捕
    • 従業員のアルバイト女性に無理やりキスをした疑いで逮捕


    相手の承諾を得ずに無理やりこれらの行為に及べば、その性的な侵害度合いの高さから、強制わいせつ罪が成立する可能性があるのです。

  3. (3)自分の陰部を押し当てる

    相手を「触る」という行為ではなくても、強制わいせつ罪が成立することがあります。


    • 従業員の女性に対して自らの陰部を執拗(しつよう)に押し当てた疑いで逮捕


    この事例のように、相手の性的な部位を触るのではなく、自分の性的な部位を相手に押し当てたり、触らせたりする行為も強制わいせつ罪の処罰対象です。

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3、後日通報されて逮捕される可能性はある?

強制わいせつ罪にあたる行為をはたらいてしまった覚えがある方は、今のところ警察に逮捕されていないからといって安心してはいけません。被害者からの後日通報によって逮捕されてしまう可能性があります。事実、先に挙げた逮捕事例は、いずれも現行犯逮捕ではなく通報を受けて捜査を進めた警察による後日逮捕のケースばかりです。

  1. (1)現行犯逮捕されなくても特定される可能性は高い

    相手との面識がなく、周囲に目撃者がいない状況なら、現行犯逮捕さえされずに「逃げ切ればバレない」と考えるかもしれません。

    しかし、街のいたるところに防犯カメラが設置されているので犯行前後の姿が撮影されていたり、現場に身分証が入った財布やスマホを落として遺留してしまったりといった状況があれば、被疑者として特定される可能性は大きく増します

    また、過去にも事件を起こして警察にDNA資料を採取されている場合は、被害者の身体などに付着したDNA資料から特定されてしまうかもしれません。過去に事件を起こして前科・前歴がある場合は、科学捜査によって特定される可能性が高いことを忘れてはいけません

  2. (2)面識があっても後日通報はあり得る

    友人・知人・会社の同僚などが「自分に好意をもっているようだ」「きっと相手も同意している」と勘違いしてしまい、無理やりわいせつな行為をはたらいてしまうと、後日、警察に通報されてしまうかもしれません。

    相手が「本当は怖かったが、抵抗できなかった」「人間関係を壊せないのでガマンするしかなかった」といった説明をすれば、警察は被害届を受理して事件として扱うことになるでしょう。

  3. (3)「公訴時効」までは逮捕される可能性がある

    もし被疑者として特定されていない状況でも「公訴時効」が完成するまでは逮捕される可能性があります。

    公訴時効とは、検察官が刑事裁判を提起するタイムリミットです。各犯罪に定められた法定刑の重さによって年数が決まっており、強制わいせつ罪の公訴時効は「7年」となっています。
    法律の考え方によれば、わいせつな行為があった日から7年間は逮捕の可能性が消えません

    平成27年11月に発生した、当時10代の女性に対して、手で口をふさいで身体を触るなどした強制わいせつ事件について、令和4年8月に被疑者が逮捕されました。事件発生から6年9か月が過ぎており、逮捕されたのは公訴時効の日があと3か月後に迫ったタイミングだったそうです。

    逮捕の決め手となったのは、事件当時に現場に残された遺留品でした。事件からかなり時間が過ぎてからでも、再捜査や捜査の見直しなどで被疑者として発覚することがあるという教訓の多い事例だといえます。

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4、強制わいせつの被疑で逮捕されるとどうなる? 刑事手続きの流れ

強制わいせつ事件を起こすと、逮捕される可能性が高いでしょう。令和3年版の犯罪白書によると、令和2年中に検察庁が処理した強制わいせつ事件のうち、被疑者の逮捕を伴った事件は全体の55.0%でした。被疑者として特定されてしまった人の半数以上は逮捕されている計算になります。

では、強制わいせつの疑いで警察に逮捕されると、その後はどうなるのでしょうか?
刑事手続きの流れを確認していきます。

  1. (1)逮捕による身柄拘束

    警察に逮捕されると、「逮捕する」と告げられた瞬間から身柄拘束を受けます。手錠をかけられていなくても、家族や会社に連絡したり、いったん帰宅したりといった自由な行動は認められません。すぐに警察署へと連行されて留置場へと収容されたのち、警察官による取り調べが進められます。分刻みのスケジュールで取り調べが進むので、落ち着く暇もないでしょう。

    犯行の詳しい状況や自分の生い立ち・経歴などの取り調べが終わると、逮捕から48時間以内に検察官のもとへ身柄が引き継がれます。この手続きが、ニュースなどでは「送検」とも呼ばれる「送致(検察官送致)」です。

    送致を受理した検察官は、自らも被疑者の取り調べを行い、釈放して在宅捜査に切り替えるか、それともさらに身柄拘束を継続するべきかを24時間以内に判断します。身柄拘束の継続が選択されると、検察官は裁判官に「勾留」の許可を請求します。
    ここまでが「逮捕」の効力による身柄拘束です。

  2. (2)勾留による身柄拘束

    検察官が勾留を請求しても、裁判官が必ず許可するわけではありません。しかし、令和2年中に検察庁で処理された、全3903件の強制わいせつ事件のうち、逮捕を伴った事件は2170件で、警察の段階で釈放された24件を除くと、1989件が勾留されているという現実があります。

    勾留が決定すると、まず10日間の身柄拘束を受けます。この段階で捜査の主体となるのは検察官ですが、検察庁には警察のような留置施設がありません。そのため、勾留が決定した身柄は警察へと戻されて、留置場に収容され、検察官の指揮を受けながら警察が実質的な捜査を進めます。

    初回の勾留期限が到来するまでに捜査が遂げられなかった場合は、一度に限り延長が可能です。延長の上限は10日間なので、合計すると10~20日以内が勾留期間となります

  3. (3)起訴されると刑事裁判が開かれる

    勾留が満期を迎える日までに検察官が「起訴」すると、刑事裁判が開かれます。嫌疑をかけられている人の立場は「被疑者」から「被告人」へと呼び名が変わり、それまで勾留されていた場合は引き続き被告人としての勾留が続きます。

    被告人勾留の期限は2か月ですが、刑事裁判が続く限り何度でも延長できるので、実質的には無限に延長可能です。ただし、起訴後は一時的な身柄開放である「保釈」の請求が可能になるので、円滑な社会復帰を目指すなら保釈を目指すほうが賢明でしょう。

    初回の刑事裁判は起訴から1~2か月後に開かれます。以後、1か月に一度のペースで開かれ、判決が言い渡されるまでに少なくても3回程度の審理を経るので、保釈されなかった場合は数か月から半年ほど身柄拘束が続くことになるでしょう。

    わが国の刑事裁判では、99%以上の割合で有罪判決が言い渡されています。強制わいせつ罪の法定刑は懲役のみで、有罪判決を受けて執行猶予が付かなければそのまま刑務所へと収監されることになるので、厳しい刑罰を避けるためには「刑事裁判を避ける」ことに力を注がなくてはなりません

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5、後日通報・逮捕を防ぐために弁護士がサポートできること

強制わいせつ罪にあたる行為をはたらいてしまい、後日通報や逮捕を避けるためには、弁護士のサポートが欠かせません。

  1. (1)被害者との示談交渉を尽くす

    強制わいせつ事件を穏便に解決するのにもっとも有効な手段が、被害者との示談交渉です。加害者が被害者に対して真摯(しんし)に謝罪の意思を示したうえで、精神的損害に対する慰謝料などの示談金を支払い、事件化を避けるよう許しを請います。
    トラブルが発生して時間を置かずに示談が成立すれば、後日通報の回避が期待できるでしょう。

    ただし、加害者本人による示談交渉は危険です。感情的になった相手とトラブルになってしまったり、脅迫・強要を疑われたりするリスクがあります。また、個人間の交渉では過大な示談金の支払いを求められて負担が大きくなってしまうケースも多いので、弁護士に代理人としての交渉を依頼したほうが安全です

  2. (2)警察への自首に同行する

    まだ事件を警察が認知していない段階なら「自首」も有効です。特に、被害者が「警察に届け出をする」という意思を示しながらもまだ相談や正式な届け出に至っていないなら、自首が有効な場合もあります。しかし、自首をするべきかについては慎重に判断する必要があるので、弁護士に相談するほうがよいでしょう。

    自首が認められた場合は、刑法第42条1項の規定によって刑が「減軽」される可能性があります。減軽とは、刑事裁判において法定刑を減じる制度で、法定刑の上限や下限が減じられれば量刑が軽くなります。

    ただし、自首が有効に認められる状況なのかを正確に判断するのは容易ではありません。また、警察が自首を適切に受理するのか、不当に逮捕されないかといった監視も必要なので、自首の際は弁護士に同行を求めるとよいでしょう。弁護士が同行することで、警察へのけん制となり、不当な捜査・逮捕の回避も期待できます。

  3. (3)捜査機関や裁判所へのはたらきかけによる処分や刑の軽減を目指す

    強制わいせつ罪にあたる行為をはたらいたのが事実であり、事件化も避けられない状況なら、できる限り軽い処分で済むようにはたらきかける必要があります。

    弁護士に依頼し、被害者との示談交渉を尽くしていること、本人が深い反省を示していることなどを捜査機関にはたらきかければ、検察官が不起訴処分を下して刑事裁判を回避できる可能性が高まるでしょう

    起訴されてしまった場合でも、定まった住居で家族と生活しており監督が徹底されている、被害者と接触しないことを誓約しているなどの事情を集めれば、刑の減軽や執行猶予といった有利な判決につながります。

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6、まとめ

「強制わいせつ罪」にあたる行為があった場合は、たとえ現行犯逮捕されなかったとしても安心してはいけません。事件の後日になって被害者が通報し、逮捕されてしまうケースは珍しくないので、穏便な解決に向けて積極的にアクションを起こす必要があります。

強制わいせつ罪にあたる行為があり相手とトラブルになっている、強制わいせつ事件の被疑者として捜査を受けており逮捕に不安を抱えているといった状況なら、今すぐ弁護士に相談しましょう。

強制わいせつ事件の解決は、ベリーベスト法律事務所におまかせください。刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士が、適切な弁護活動を行います。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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