- 交通事故・交通違反
- 救護義務違反
救護義務違反(ひき逃げ)をしてしまった! 被害届を出されたらどうなる?
救護義務違反(ひき逃げ)は、交通事故の中でもっとも重い処罰が科される類型であり、「被害届が出された」「警察から連絡があった」時点で、事件として扱われる可能性は非常に高くなります。そのため、対応を誤ると逮捕・勾留・前科・免許取り消しといった重大な結果につながってしまうことがあります。
しかし一方で、早い段階で弁護士が介入し、事故状況・認識の有無・救護行為の有無などを丁寧に整理して警察へ説明できれば、在宅捜査にとどめることや不起訴を獲得することも十分にあり得ます。
今回は、救護義務違反を疑われたときにすぐ行うべき対応や救護義務違反の罰則、判断基準などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、救護義務違反を疑われたら、取るべき初動対応
救護義務違反(ひき逃げ)を疑われた場合、もっとも重要なのは初動対応です。
適切な初動を取れたかどうかで、逮捕の有無や最終的な処分が大きく変わることも少なくありません。
以下では、救護義務違反を疑われたときに取るべき初動対応について説明します。
-
(1)救護義務違反は、交通事故の中でも刑罰がもっとも重い類型のひとつ
交通事故で成立し得る犯罪の中でも、救護義務違反はもっとも重い類型のひとつです。
被害者を救護せずにその場を離れた場合、たとえ加害者に悪意がなかったとしても、人命に関わる行為を放置したと判断されるため、厳しい刑罰が科されることになります。
場合によっては、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪など、さらに重い罪と併せて立件される可能性もあります。
そのため、警察は救護義務違反の疑いがある事故については、初期段階から厳格に捜査を進める傾向にあります。 -
(2)「被害届が出された」「警察から連絡があった」=事件化の可能性が高い
救護義務違反の疑いがある場合、被害届の提出や警察からの連絡が入った時点で、事件として扱われる可能性は非常に高くなります。
警察からの連絡は、本格的な捜査のサイン!
まず、救護義務違反は人身に関わる重大事故として扱われるため、被害者や目撃者から申告があれば警察は原則として捜査に着手します。
被害届が提出されたということは、すでに警察が事故の事実確認を始めている段階と考えられます。
また、警察から連絡が来た場合、多くは防犯カメラ映像やドライブレコーダー、現場の痕跡など、ある程度の客観的証拠がそろっている状態で連絡が行われます。
つまり、「関係車両の候補」としてあなたが浮上している可能性が高いということです。
このように、被害届や警察からの連絡は、捜査が本格化しつつあるサインです。
リスクを下げるには、弁護士に相談を
早い段階で弁護士が介入することで、供述内容の整理や警察対応のサポートが可能になり、事件化や逮捕のリスクを下げられます。
-
(3)逮捕を避けるには、初動対応が重要!
救護義務違反は、身柄を確保されやすい犯罪のひとつです。
しかし、すべての人が逮捕されるわけではなく、事故後の対応が誠実である場合には、在宅捜査で済むケースも少なくありません。
特に重要なのが以下の3つのポイントです。
① 事故状況や認識の整理
「気づかなかった」「接触の感覚がなかった」という主張をする場合には、矛盾がないよう時系列を整理する必要があります。
② 被害者への対応
弁護士を通じて早期に示談交渉が進めば、被害届が取り下げられたり、寛大な処分につながったりする可能性があります。
③ 警察への説明方針
不用意な発言は不利な供述として残ってしまうため、弁護士の助言を受けたうえで対応することが極めて重要です。 -
(4)早期に弁護士へ相談すべき理由
救護義務違反は、事故後の「行動」が厳しく問われる特殊な犯罪です。
弁護士が早期に介入することで以下のようなメリットがあります。
- 警察対応の方針を整え、供述の矛盾を避けられる
- 被害者との示談交渉をスムーズに進められる
- 自首扱いとして有利な処分を得られる可能性
- 逮捕が予想される場合には、先に弁護士と準備をしたうえで出頭できる
- 逮捕を回避し、不起訴処分を獲得できる可能性が高まる
救護義務違反を疑われている場合、「何もしない」「連絡を放置する」という行動こそがもっとも危険です。
少しでも早く弁護士に相談し、最善の対応を取ることが、今後の人生にとって大きな意味を持ちます。
2、「ひき逃げ」と「当て逃げ」の違い
救護義務違反(ひき逃げ)は、交通事故の中でも特に重く扱われる類型であり、事故後の行動次第で処罰の内容が大きく変わります。
交通事故を起こした運転者には、法律上「負傷者を救護する義務」と「事故状況を警察へ報告する義務」が課されています。
人がケガをした事故で救護行為をせず現場を離れた場合に成立するのが、いわゆる「ひき逃げ(救護義務違反)」です。負傷者の救助や安全確保、119番通報などを行わずに離れた場合、重大な違反として扱われます。
・当て逃げの場合
一方、事故によって壊れたのが車両や建物など「物」のみで、人が負傷していない場合は「当て逃げ(報告義務違反)」に分類されます。物損事故では救護義務は発生しませんが、警察への報告義務は残るため、報告を怠って離れれば当て逃げに該当します。
このように、ひき逃げと当て逃げのもっとも大きな違いはケガの有無です。
救護義務の発生は「負傷者がいるかどうか」によって決まり、人身事故で救護を欠いた場合には、刑事罰も行政処分も極めて重くなるのが特徴です。
- ※お電話は事務員が弁護士にお取次ぎいたします。
- ※被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、ひき逃げで成立し得る5つの犯罪。罰則はどれくらい?
ひき逃げ行為は、状況に応じて複数の罪が成立することがあります。
代表的なものは以下の5つです。
-
(1)救護義務違反
人身事故を起こした運転者には、負傷者の救助・119番通報・安全確保などの救護義務が課されています。
これらを行わずに現場を離れた場合に成立するのが救護義務違反(いわゆるひき逃げ)です。交通事故の中でも、もっとも重い類型のひとつです。
救護義務違反の法定刑
10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 -
(2)報告義務違反
事故を起こした運転者には、速やかに警察へ事故状況を報告する義務があります(事故の日時・場所、負傷者の有無、損壊状況等)。
救護義務とは別に課される独立した義務であり、これを怠って現場を離れると報告義務違反となります。負傷の有無を問わず、物損事故でも成立する点が特徴です。
報告義務違反の法定刑
3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金
ひき逃げ事件では、救護義務違反と併せて立件されることが多くなります。
-
(3)過失運転致死傷罪
前方不注視、脇見運転、速度超過などの不注意によって人を死傷させた場合に成立する罪です。
多くの交通事故で適用される基本的な犯罪類型で、悪質性が高くなくても立件される可能性があります。
過失運転致死傷罪の法定刑
7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
事故の程度や被害者の治療状況、示談の有無などによって量刑は大きく変動しますが、死亡事故では実刑判決となる可能性も十分にあります。
-
(4)危険運転致死傷罪
アルコール・薬物の影響下で正常な運転が困難な状態、著しい速度超過、信号無視、制御困難な暴走行為など、極めて危険な運転態様で事故を起こした場合に成立します。
交通犯罪の中でもっとも重い部類に位置付けられています。
危険運転致死傷罪の法定刑
負傷させた場合:15年以下の拘禁刑
死亡させた場合:1年以上の有期拘禁刑 -
(5)準危険運転致死傷罪
準危険運転致死傷罪は、アルコールや薬物の影響、特定の病気などにより正常な運転に支障が生じる「おそれがある」状態で運転し、事故を起こして人を死傷させた場合に成立する犯罪です。
準危険運転致死傷罪の法定刑
負傷させた場合:12年以下の拘禁刑
死亡させた場合:15年以下の拘禁刑
危険運転致死傷罪よりも罰則が若干軽いものの、「正常な運転ができなくなる」とまで断定できなくても適用されるのが特徴です。
4、運転免許はどうなる?免停?取り消し?
刑事罰とは別に、ひき逃げは「行政処分」でももっとも重いカテゴリーに分類されます。
救護義務違反・報告義務違反が認定されると、以下のような処分が科される可能性があります。
-
(1)救護義務違反(ひき逃げ)
- 基礎点数:35点
- 即免許取り消し:欠格期間3〜10年
救護義務違反だけで免許取り消しが確定し、欠格期間も非常に長く設定されます。
さらに、過去の違反点数やひき逃げの元になった事故の違反点数が加われば、欠格期間は最大10年になることもあります。 -
(2)報告義務違反(当て逃げ)
- 基礎点数:5点
- 免許停止の可能性あり
物損事故で救護義務が問われない場合は、免許取り消しには直結しませんが、状況により免停になることがあります。
5、救護義務違反の判断基準は?気が付かなかった!は認められる?
ひき逃げに該当するかどうかは、事故後の行動や負傷の有無など、客観的な事情から判断されます。
本人の主観的な気づきだけで決まるわけではなく、事故現場で取るべき行動を怠っていないかが重要なポイントとなります。
-
(1)「接触に気づかなかった」は、主張だけでは通らない
救護義務違反は、交通事故を起こして被害者が負傷したと認識しながら、その場を立ち去ったときに成立する犯罪です。
そのため、事故に気づかなかった場合は、救護義務違反は成立しません。
しかし、事故の認識の有無は、本人の主観だけではなく、客観的な証拠に基づいて判断されます。
そのため、- ドライブレコーダー映像
- 車体の損傷
- 現場状況
などから「事故に気づけたはず」と判断されれば、救護義務違反に問われることになります。
-
(2)事故現場を離れた理由があっても、救護義務違反は成立し得る
「救急車を呼びに行った」「パニックになってしまった」など、現場を離れた理由があったとしても、負傷者をその場で救護する義務を果たしていなければ救護義務違反は成立し得ます。
特に、人通りの少ない場所や夜間で負傷者が放置された場合などは、重大な結果につながるおそれがあるため、その場を立ち去ったという事実は厳しく評価されます。
重要なのは、「現場を離れた理由」ではなく、離れる前に適切な救護行為をしたかどうかです。 -
(3)相手に過失があっても、救護義務違反は成立する
事故原因について、相手側に飛び出しや不注意があったとしても、ひき逃げの判断には影響しません。
救護義務は、事故の落ち度とは関係なく、事故に関与した運転者に課される義務です。
そのため、「相手に過失がある」「自分は悪くない」という理由で救護を怠れば、救護義務違反として扱われる可能性があります。 -
(4)救護義務違反は、「結果」ではなく「行為」で判断される
救護義務違反は、負傷者がどの程度のケガをしたかといった「結果」ではなく、事故後に必要な救護行為をしたかどうかという「行為」で判断されます。
そのため、実際にケガが軽傷で済んだ場合でも、救護を怠って現場を離れれば救護義務違反が成立します。
逆に、適切な救護を行っていれば、その後の捜査でも誠実な対応とみなされることがあります。事故直後の行動は、刑事処分にも大きな影響を与えるため、極めて重要です。
6、被害届を出された・出されそうなときの対応
救護義務違反は、交通犯罪の中でも非常に重い刑罰が定められた重大な犯罪です。
被害届が出されそう、またはすでに出された場合は、事件化や逮捕を防ぐための適切な対応が必要になります。
-
(1)救護義務違反は被害届が出されなくても、捜査される罪である
救護義務違反(ひき逃げ)は、被害者の意思に左右されず、警察が独自に捜査できる非親告罪です。
つまり、被害届が提出されていなくても、- 目撃者からの通報
- ドライブレコーダー映像の提供
- 車両ナンバーや特徴の特定
などをきっかけに、警察は事件として立件し、捜査を進めます。
そのため、「被害届が出ていないから安心」とはいえません。
被害届の提出は、被害者が加害者に対して処罰を求めている意思表示であり、警察が捜査を開始するきっかけのひとつにすぎません。 -
(2)被害届が出された=即逮捕ではない
被害届が提出されたとしても、直ちに逮捕されるわけではありません。
救護義務違反は重大な犯罪ですが、警察が被疑者を逮捕するには、少なくとも- 逃亡のおそれ
- 証拠隠滅のおそれ
のいずれかが必要です。
そのため、本人と連絡が取れるかどうか、捜査へ協力的か、誠実な態度で対応しているかといった点が重視されます。
逮捕されにくいケース
以下のような場合は、逮捕の必要は低いと判断され、在宅捜査ですむケースも多くあります。- 警察からの連絡に応じる
- 任意の事情聴取にきちんと出向いている
逮捕に踏み切られやすいケース
一方で、警察の呼び出しを無視したり、車両の修理を急いで証拠を隠すような行動を取っていたりすると、逃亡・証拠隠滅のおそれありと評価され、逮捕に踏み切られる可能性が高まります。
弁護士が早期に介入し、警察との連絡窓口となって状況を説明することで、逮捕の必要性がないことを明確に示すことができ、任意捜査で進めてもらえる可能性がさらに高まります。 -
(3)早めの示談成立を目指そう!
救護義務違反は重大な犯罪ですが、被害者への謝罪と適切な補償が早期に行われ、示談がまとまれば、事件化を回避できる可能性があります。
ただし、被害者側の心理ケアも必要なため、示談交渉は弁護士を通じて行うことが現実的です。直接交渉すると、かえって被害者の感情を逆なでし、トラブルになるケースもあります。
-
(4)被害届を出された!すぐとるべき2つの行動
被害届が提出された後の対応は、その後の処分に大きな影響を与えます。
特に、以下の2つは、早期に弁護士と対応を進めるべき重要なポイントです。
① 弁護士を通じて被害者と示談交渉(治療費・慰謝料の提示)
直接連絡をするとトラブルになりやすいため、弁護士が代理人として被害者と交渉します。
適切な補償を早期に提示できれば、不起訴処分の可能性が大きく高まります。
② 自ら出頭して処分の軽減を図る(弁護士同行での出頭)
すでに被害届が出ている場合でも、弁護士と一緒に警察へ出頭すれば有利な情状となる可能性があります。
法律上の「自首」には該当しないものの、反省の態度を示すことができますので、逮捕を回避し、量刑上も有利に働く可能性があります。 -
(5)任意同行・取り調べに備え、供述内容を整理しておく
被害届が出ると、警察から「任意同行」や「事情聴取」の連絡が入る可能性が高まります。
- 事故発生の状況
- 事故後の行動
- 救護行為の有無
- 現場を離れた理由
などを整理しておくことで、供述がぶれず、誤解を招くリスクを減らせます。
弁護士が事前にヒアリングを行い、適切な供述の仕方をアドバイスすることで、捜査への対応がスムーズになります。
7、救護義務違反は弁護士へ相談し、早期対応を
救護義務違反は、交通事故の中でももっとも重く扱われる犯罪のひとつです。
逮捕・起訴・前科といった重大な結果を防ぐには、事故直後の行動と早期の弁護士相談が極めて重要になります。
-
(1)早期対応によって「事件化」「逮捕」「前科」を防げる可能性がある
救護義務違反は、被害届の有無にかかわらず捜査が進む重大犯罪です。
しかし、初動で適切な対応を取れることで、- 事件化(立件)の回避
- 在宅捜査での処理
- 不起訴処分の獲得
といった結果につながる可能性があります。
特に、事故直後に自ら警察へ申告したり、弁護士を通じて誠実な姿勢を示すことで、逃亡・証拠隠滅のおそれがないと判断され、逮捕を避けられるケースも少なくありません。 -
(2)被害届への対応、示談交渉などを一括対応可能
被害届が出された、出されそうといった段階では、被害者との連絡方法・謝罪の仕方・補償の進め方など、個人では判断しにくい場面が多く存在します。
弁護士が介入すれば、- 被害者との連絡窓口の一本化
- 適切な治療費・慰謝料の提示
- 謝罪文の作成支援
など、トラブルになりやすいやり取りをすべて代理してもらうことができます。
被害者からの不満を避けつつ適切な補償を行うことで、処分の軽減や不起訴につながる可能性が高まります。 -
(3)事故状況・認識の有無に関する証拠収集
救護義務違反は、事故の態様、負傷の有無、事故後の行動など、細かな事実認定が処分を大きく左右します。
弁護士は、必要に応じて以下のような証拠収集を行い、有利な処分の獲得に向けたサポートを行うことができます。
- ドライブレコーダー映像の解析
- 車両損傷の確認
- 現場の交通状況・照明状況の調査
- 防犯カメラ映像の確保
- 目撃者の聴取
これらの情報を整理し、法的に不利にならない説明方法をアドバイスすることで、処分軽減の可能性を高めることが可能です。
-
(4)逮捕後の面会は弁護士が対応できる
万が一逮捕された場合、弁護士以外の家族や友人は、すぐに本人と面会できるわけではありません。
しかし、弁護士であれば逮捕直後から本人と面会することができますので、今後の流れの説明や供述内容のアドバイス、不利益な取り調べを避けるための指導など、迅速なサポートが可能です。
また、弁護士には本人や家族の間に立って連絡のやり取りをするという役割もありますので、逮捕後の不安を解消することにも役立ちます。 -
(5)刑事事件の経験豊富な弁護士チームが対応すれば、処分結果が大きく変わる
救護義務違反は、事実関係の整理、被害者対応、警察・検察との折衝など、多方面の専門対応が求められる事件です。
弁護士が早期から介入することで、有利な結果につながる可能性が高くなります。
- 逮捕回避
- 示談成立
- 不起訴処分の獲得
- 前科回避
ベリーベスト法律事務所には、刑事事件に強い刑事専門チームがあります。
経験豊富な弁護士が適切にサポートいたしますので、少しでも不安があるときはすぐに当事務所までご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。
※本コラムは公開日当時の内容です。
刑事事件問題でお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所へお気軽にお問い合わせください。