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感情的に送ったLINEが脅迫罪!? 成立要件と今後の対応
感情的に送ったLINEでも、相手に危害を加える内容が含まれていれば脅迫罪になる可能性があります。
たとえば、「職場に言う」「家に行く」「晒す」などの文言は、たとえ怒りに任せた一時的なメッセージであっても、刑事事件として扱われる可能性があります。そして、脅迫を疑われた直後にもっとも重要なのは、追加連絡を止め、証拠を残し、自己判断で謝罪や弁明をしないことです。
誤った行動は状況を悪化させ、別の犯罪(名誉毀損・威力業務妨害)にも発展する可能性がありますので、早めに専門家に相談することをおすすめします。
今回は、LINEで「脅迫だ!」と言われたときにまずやるべき行動やどこから脅迫罪が成立するのか、量刑や逮捕の可能性、未成年が関わる場合の対応などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、LINEで「脅迫だ!」と言われたら、今すぐやるべきこと
LINEで相手から「脅迫だ」「警察に行く」と言われた場合、今すぐやるべきことは、これ以上、状況を悪化させないことです。
感情的なやり取りの延長で行動してしまうと、相手の被害感情を強め、脅迫罪以外の別の罪まで問題化する危険があります。
トラブル直後にやるべき行動・やるべきではない行動を説明します。
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(1)追加送信・電話・SNS連絡をただちに停止
相手から「脅迫だ」と指摘されたときに最優先でやるべきことは、一切の連絡を止めることです。
「誤解だ」「そんなつもりじゃない」と送ってしまいがちですが、その1通の連絡が事態を悪化させる原因になることがあります。
追加の連絡は、相手の恐怖を強め、被害申告の後押しになるため、どれだけ不安でも連絡は絶対に止めてください。 -
(2)「証拠保持」のために、ブロックや削除は自己判断で行わない
相手から「脅迫だ!」と指摘されると不安から、相手をブロックしたり、問題のLINEを削除したりしてしまう人がいますが、これは絶対に避けるべき行為です。
なぜなら、このような行動をすると、自分側の証拠が消えてしまい、警察対応で「何が起きたのか」を説明できなくなってしまうからです。
後日、「どんな流れで連絡をしたのか」「相手が不安を抱いた理由」を示すには、あなた側の記録が必要不可欠です。
削除・ブロックは状況を不利にするため、データはそのまま残すことがもっとも安全です。 -
(3)証拠を保存
相手から「脅迫だ!」と指摘されたときは、あなた自身の身を守るためにも、以下のような証拠を残しておきましょう。
① LINEで保存すべき証拠
LINEは編集や削除が容易なため、トーク履歴の全量書き出しがもっとも確実な方法です。
また、併せて、以下も保存してください。- 相手のプロフィール画面(名前・アイコン)
- 既読/未読の状態
- 通話履歴(着信・発信・不在)
これらは、捜査・示談どちらの場面でも、経緯を正確に説明する重要な資料になります。
② メールで保存すべき証拠
メールの場合、本文だけでは証拠として不十分です。
以下を必ず確保してください。- 原文
- フルヘッダー(送信経路・時刻情報)
- 送受信ログ
フルヘッダーは事実関係を裏付ける強力な証拠です。
③ 手紙で保存すべき証拠
手書きの文書は、封筒とセットで価値があります。- 封筒(宛名・差出人・消印)
- 手紙の本文
- 同封物(メモなど)
これらをすべて写真に残し、原本は保管しておきましょう。
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(4)直接の謝罪・言い訳・回収依頼は禁止(新たな火種の発生阻止)
相手に「誤解だよ」と伝えたい気持ちは理解できますが、直接の謝罪や言い訳、メッセージの削除依頼などは絶対にしてはいけません。
このような行為は、相手に圧力・言い逃れと受け止められ、被害感情が増幅したり、脅迫以外のトラブルに発展したりするリスクがあるからです。 -
(5)会社・第三者への弁明一斉送信は禁止(名誉毀損・業務妨害の火種)
不安から「先手を打って周囲に説明しよう」と考える人がいますが、これも法的リスクの高い行動といえます。
相手の名前や出来事を会社や友人に伝えれば、その内容や文脈によっては名誉毀損と評価されることがあります。また、職場に対して一斉メールを送れば、業務に影響を与えたとして業務妨害につながる可能性も否定できません。
本人は弁明のつもりでも、第三者への情報拡散は別の犯罪として扱われることがあるため、絶対にしてはいけません。 -
(6)弁護士に早期相談するメリット
脅迫だと指摘されたとき、もっとも安全で確実な対応は、できるだけ早い段階で弁護士に相談することです。
① 適切な判断・アドバイスをしてくれる
弁護士は、LINEの文面ややり取りの経緯を確認し、本当に脅迫に該当するのか、示談の余地があるのか、不起訴を目指せる状況なのかを法律の観点から判断してくれます。
また、警察から連絡が来た場合の受け答えや事情聴取への備え方など、初動対応でつまずかないための具体的なアドバイスを受けることが可能です。
② 相手との示談交渉や法的な対応を一任できる
さらに、弁護士が間に入れば、相手との直接接触を避けながら、冷静かつ法的な枠組みの中で交渉を進めてもらえます。
初動の一手を誤ると、示談が成立しにくくなったり、捜査が本格化したりするリスクが高まるため、早期の法律相談は状況を悪化させないための防御策として非常に重要です。
2、どこから脅迫になる? LINE文面の線引き
感情的なメッセージでも、相手に危害を加えることを示す内容が含まれていれば脅迫罪にあたる可能性があります。
以下では、どのような表現が脅迫と評価されやすいのか、逆に成立しにくいケースは何か、そして絵文字やスタンプでも脅迫が成立する理由について説明します。
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(1)脅迫に当たりやすい典型表現
脅迫罪は、生命・身体・自由・名誉・財産に対する“害悪の告知”で成立します。
LINEでは、以下のような文言が典型です。
・身体・自由への害
例:「家に行く」「そっちへ向かう」「待っているから覚悟しろ」
・名誉への害
例:「職場に言う」「家族にバラす」「晒す」
・財産への害
例:「壊す」「損害は払わせる」
これらの言葉は、実際に実行する意思がなくても、受け手が恐怖を抱けば脅迫と評価される可能性があります。
また、位置情報の送付、深夜の連投、しつこいコールなどの状況も脅迫罪と評価されるおそれのある行動です。
脅迫の疑いで逮捕された事例
実際に、交際相手の女子中学生に対し、「おまえマジで殺してやるでな」「いまからいくわ」と送った18歳の男性が、脅迫の疑いで逮捕されたという報道がありました(2025年11月報道)。
「今からいく」という表現だけで直ちに脅迫に当たるとは限りませんが、「殺す」というメッセージとともに送られたことで、脅迫罪と評価されたといえます。 -
(2)脅迫になりにくい/別罪が問題になるケース
すべての強い言い回しが脅迫になるわけではありません。
例1:「どうしてくれんの」「ふざけるな」
たとえば、「どうしてくれんの」「ふざけるな」といった単なる抗議や感情表現は、相手に危害を告知する内容ではないため、通常は脅迫には該当しません。
例2:「訴える」「弁護士に相談する」
また、「訴える」「弁護士に相談する」といったフレーズは、法律上の正当な権利行使を予告するものであり、原則として脅迫には当たりません。
ただし、メッセージの送り方によっては、名誉毀損や強要、威力業務妨害に該当する可能性があります。
例3:「勤務先にバラす」と脅す
たとえば、「あなたの勤務先に不倫をバラす」と送れば、暴露を利用して相手に行動を強制する行為として強要罪が成立し得ます。
例4:SNSで名前を出して脅す
また、SNSで「こいつを訴える」などと名前を出せば名誉毀損の可能性が出てきます。
つまり、脅迫に当たらなくても別の犯罪に該当するケースもある点に注意が必要です。
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(3)絵文字・スタンプ・敬語でも文脈で“脅し”になり得る
LINEでは、文章そのものだけでなく、スタンプ・絵柄・送信のタイミングなども含めた文脈全体が評価されます。
そのため、一見柔らかい表現でも、やり取りの状況によっては脅迫と解釈される可能性があります。
例1:キャラクターのスタンプ
スタンプや絵文字の
- 攻撃的なもの
- 威圧的な雰囲気を伴うもの
- 武器や危険を連想させるもの
例2:キャラクターのスタンプ
また、可愛らしいキャラクターのスタンプでも、相手を睨みつける仕草や殴る動作を示すものを、険悪なやり取りの最中に送れば、威圧の意図があると受け取られても不思議ではありません。
例3:丁寧語
さらに、「お伝えしなければならないことになります」「対応しないと困ったことになります」といった丁寧な敬語表現であっても、相手の不利益を暗示する内容であれば、害悪の告知と評価されることがあります。
つまり、重要なのは表現の丁寧さや可愛らしさではなく、その瞬間の文脈の中で相手が現実的な恐怖を感じ得るかどうかです。
- ※お電話は事務員が弁護士にお取次ぎいたします。
- ※被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、脅迫罪の成立要件と量刑
LINEやメールなどの文章だけでも危害を加える内容を告知すれば脅迫罪が成立する可能性があります。
以下では、脅迫罪が成立する具体的な条件と科される可能性のある刑罰について説明します。
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(1)脅迫罪の成立要件
脅迫罪は、人の生命、身体などに害悪を加える旨を告知することで成立する犯罪です(刑法222条)。脅迫罪が成立するには、以下の要件を満たす必要があります。
① 被害者が本人またはその親族であること
脅迫の対象者は、被害者本人またはその親族に限定されています。
そのため、「お前の恋人を殺す」、「お前の友人に危害を加える」などのメッセージでは、脅迫罪は成立しません。
② 生命、身体、自由、名誉、財産に対するものであること
脅迫罪の害悪の告知は、生命、身体、自由、名誉、財産に向けられたものである必要があります。- 生命:「殺す」「命はないと思え」など
- 身体:「殴る」「家に押しかける」など
- 自由:「家から出るな」「会うまで帰さない」など
- 名誉:「職場にバラす」「家族に言う」など
- 財産:「車を壊す」「家を燃やす」など
③ 害悪の告知があること
害悪の告知は、一般人にとって恐怖を感じる程度のものである必要があります。
あくまでも基準は「一般人」ですので、被害者が恐怖を感じなかったとしても客観的にみて恐怖を感じるものであった場合は、脅迫罪が成立します。 -
(2)脅迫罪の法定刑
脅迫罪の法定刑は、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金と定められています。
実際の量刑は、法定刑の範囲内で、以下のような要素を踏まえて判断されます。- メッセージ内容の危険性
- 送信頻度・連投の有無
- 深夜送信・無言電話などの悪質性
- 被害者の恐怖の程度
- 示談の有無
- 前科前歴の有無
4、脅迫で逮捕される? 弁護士ができること
LINEの内容によっては、脅迫罪で逮捕される可能性があります。
LINEによる脅迫は、客観的な証拠があるため、刑事事件として立件しやすい類型の犯罪といえます。
以下では、脅迫罪で逮捕されたときの対応と弁護士に依頼するメリットを説明します。
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(1)脅迫罪で逮捕されたときの対応
脅迫の疑いで逮捕されると、まず警察による取り調べが行われます。
取り調べで聞かれる内容
取り調べでは、以下のような内容を詳しく聞かれます。- なぜそのメッセージを送ったのか
- どのような意図だったのか
- 相手との関係性ややり取りの経緯
この段階で重要なのは、焦って不利な発言をしないことです。
逮捕直後は精神的に不安定になりやすく、一人で対応しようとすると状況を悪化させるリスクが非常に高いため、可能な限り早い段階で弁護士に連絡することが重要です。
弁護士は、取り調べへの臨み方や答えるべきポイント・避けるべき発言などを助言してくれますので、逮捕後の不安を最小限に抑えることができます。 -
(2)逮捕を回避・不起訴を獲得するなら被害者との示談が重要
脅迫事件では、被害者の意思が処分に大きく影響するのが特徴です。
被害者が処罰を強く望んでいない場合や示談が成立している場合には、身柄拘束の必要性が低いと判断され、結果として逮捕を回避できたり、不起訴処分となったりする可能性が高まります。
示談交渉は弁護士に任せる
ただし、示談交渉を自分で行うのは避けた方がよいでしょう。
本人からの連絡は、謝罪のつもりでも、被害者からみれば「怖い」「脅された」と受け取られる可能性があり、事態が悪化してしまいます。
弁護士が間に入れば、適切な内容で誠意を伝えつつ、再発防止策や補償内容の調整を行い、被害者の納得を得やすくなります。
5、当事者が未成年の場合、どのように対応するべきか
未成年同士のLINEトラブルは、親が知らないうちに深刻な脅迫事件へと発展してしまうケースが少なくありません。
「ふざけて送っただけ」「友達同士のノリだった」という認識でも、害悪を告知する内容であれば脅迫罪として扱われる可能性があります。
未成年が関わる場合に、親が取るべき初動対応を確認していきましょう。
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(1)親がまず確認すべきこと
① 事態の把握
親がまず行うべきは、「何が起きているのか」を冷静に把握することです。
未成年のLINEトラブルでは、子ども自身が事態の深刻さを理解していないことが多く、感情のまま連絡を続けて事態を悪化させてしまうケースが頻繁に見られます。
送信したメッセージの内容、やり取りの経緯、相手からどのような反応があったのかなど、事実関係を丁寧に確認します。その際、子どもを責めると、隠したりごまかしたりするため、否定せず話しやすい雰囲気を作ることが重要です。
② 証拠は削除せず残す
次に、証拠の保全を行いましょう。
LINEのトーク履歴や通話記録は、削除してしまうと相手から「隠蔽しようとした」と疑われる可能性があります。
必要であれば、スマホを一時的に親が管理し、削除操作を防ぐことも有効です。 -
(2)学校・家庭での対応
① 安心して話せる環境作り
家庭では、子どもが動揺して独断で行動してしまうことを防ぐため、安心して話せる環境作りが重要です。
頭ごなしに叱責すると、子どもは萎縮し、事実を隠したり、勝手に相手へ連絡したりするなど、さらなるトラブルを招きやすくなります。
まずは子どもの気持ちを受け止めたうえで、「どうしてこの状況になったのか」「今後どうすべきか」を一緒に整理します。
② 家庭のルールを作る
次に、家庭としてのルール設定が欠かせません。
たとえば- 相手への直接連絡は禁止
- 親の許可なくSNSやLINEを使わない
など、具体的な行動ルールを明確にし、子どもが混乱の中で暴走しないようにします。
再発防止のため、感情的になったときの対処法やスマホの使い方なども話し合っておくと、同じ問題が繰り返されにくくなります。
③ 学校や弁護士を頼る
また、必要に応じて学校(担任・生徒指導・スクールカウンセラー)や弁護士など、外部の大人の力を借りることも有効な解決方法です。
近年、SNSやLINEでのトラブルは増加しています。
意図せず加害者になってしまい警察沙汰になりそうな場合や、早期に問題を解決したい場合は、お早めに弁護士にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。
※本コラムは公開日当時の内容です。
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