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傷害罪の示談の金額と後遺障害等級との関係を詳しく解説
傷害罪で有罪になると「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられ、前科がつくことによる不利益も考えられます。そこで被害者と示談を成立させ、不起訴処分の獲得や減刑を目指すことがあるでしょう。
加害者本人やご家族にとって気になるのは示談金の額ですが、相場はいくらなのか、後遺症が残ってしまった場合はどうなるのかなどの疑問が生じるはずです。「傷害罪では等級によって変わる」といった情報を見聞きされたこともあるかもしれません。
今回は、傷害罪の加害者の方に向けて、示談交渉で参考にされる後遺障害等級の概要や傷害罪との関係を解説します。
1、傷害罪の示談書に盛り込む内容とは
これから示談をするにあたり、示談書に盛り込むべき項目や示談金の内訳を知っておきましょう。
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(1)項目の具体例
傷害事件の示談書は当事者が話し合いで決めた内容を盛り込むため、定まった形式はありません。ただし、次のような内容を基本的な項目として入れることが多いです。
- 事件の日時、場所
- 当事者の氏名
- 示談金の金額、支払方法、支払期日
- 被害届の取下げ
- 被疑者に対する宥恕
- 清算条項 など
清算条項とは、示談をもって問題が解決し、当事者には何ら債権債務が存在しないことを示す条項です。後日問題を蒸し返さないこと、示談書に記載されている以外の損害賠償請求には応じないことなどを必ず入れておきましょう。
上記はあくまでも一例ですので、他に追記したい内容があれば別途設けるようにします。たとえば、事件の口外禁止条項などを入れる場合などもあります。 -
(2)示談金の内訳
加害者が支払う示談金には、財産的損害や精神的損害が含まれることがあります。
財産的損害とは、怪我の治療費、入院費用、通院交通費、怪我で働けなくなった場合の休業補償、後遺症が残った場合の逸失利益などがあります。物を壊してしまった場合には修理費用や買い替え費用を負担します。
治療費や交通費は怪我の度合い、通院の頻度などによって、休業補償や逸失利益は相手の職業、収入などに応じて支払います。
精神的損害とは、被害者が精神的苦痛を受けたことに対する慰謝料です。怪我によって入院する苦痛に対しては入院慰謝料が、後遺症が残った精神的苦痛に対しては後遺障害等級を参考にした慰謝料を請求されることがあります。
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2、傷害罪の示談金の相場
傷害罪の示談金における相場、入院慰謝料の基準となるものについて解説します。
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(1)示談金の相場
傷害罪の示談金について相場を示すことは難しいです。相手に負わせた怪我の程度や入通院の期間、相手の処罰感情など、さまざまな事情を考慮して決まるからです。
もっとも、怪我の度合いが大きいほど高額になる傾向にあります。特に、長期にわたり入通院が必要な怪我や、後遺症が残るほどの大怪我だった場合には数千万円単位になることも一応あります。
反対に、軽微な怪我だった場合には、数十万円程度で納得してもらえることもあります。 -
(2)入院慰謝料の基準
相場がないからといって被害者の言い値で際限なく支払うことになれば、加害者が更生する妨げにもなってしまいます。そこである程度参考とすべき基準があります。
入院慰謝料については、交通事故の賠償基準がひとつの参考になります。負傷に対する損害という点で重なる部分が多いからです。
具体的には、公益社団法人 日弁連交通事故相談センターが発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)に記載された算定表を参考にすると良いでしょう。これは実務にもとづき賠償額の基準を示したものです。
ただし、傷害事件と交通事故は性質が違うため、基準をそのまま当てはめるわけにはいきません。交通事故の場合は過失犯が多いですが、傷害罪の場合は故意犯ですので、交通事故より高額になることもあります。
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3、傷害罪で治らない後遺障害を負った場合、後遺症の等級が参考にされる
傷害事件で負わせてしまった怪我が完治すればよいですが、完治せず機能障害や神経障害などが残存してしまう場合があります。これを後遺症といいます。
後遺症が残れば被害者の苦痛は長きにわたり続くわけですから、加害者は金銭で賠償しなければなりません。
入院慰謝料とは別に支払いが必要になります。
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(1)後遺症に対する慰謝料の考え方
傷害事件の被害者は、まず治療のために通院や入院を続けます。しばらくすると、必ずしも完治するわけではなく、今後治療を続けても完治の見込みがない状態になることがあります。この状態を「症状固定」といい、医師が判断します。
症状固定になると、それ以上の治療には医学的意味が認められず、被害者は治療費などの回収が困難になります。
しかし被害者からすれば、症状が残存し大変な生活を強いられるにもかかわらず、加害者に何の賠償請求もできないことになってしまいます。
そこで、後遺症が生じた苦痛(慰謝料)や、後遺症がなければ将来働いて得られたであろう利益(逸失利益)の請求が認められることがあります。 -
(2)後遺障害等級とは
被害者に辛い症状が残ってしまったとはいえ、加害者としては無制限な賠償請求に応じられるものではありません。残った症状、労働能力の減退・喪失などの実態に即した基準が必要になります。
このとき参考にされるのが「後遺障害等級表」(自動車損害賠償保障法施行令別表第一または第二)です。
通常、後遺障害等級表は労災や交通事故の賠償金請求で用いられるものです。国土交通省が公開しており、後遺症の状態・程度によって14段階の等級に分けられています。
たとえば、被害者の両眼が失明すれば1級、片眼が失明し、もう片眼の視力が0.02以下に低下すれば2級に該当します。3本以上の歯に対して歯科補綴(義歯やインプラントなどの人工物で補うこと)が必要になれば14級です。
労災や交通事故では、後遺症のうち、主に次に該当するものが後遺障害として等級認定されます。- 事故と障害との因果関係が認められる
- 障害により労働能力の一定の減退・喪失がある
- 後遺障害等級のいずれかに該当する障害がある
傷害罪の場合、労災や交通事故のように被害者が等級認定を受けるという性質ではありませんが、後遺障害等級表に照らして、「○○等級相当の賠償金」が認められる可能性があります。
裁判になった場合には、後遺障害等級相当の賠償金が認められる可能性があるということです。
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4、被害者と示談交渉するにはどうしたらいい?
示談は当事者が話し合いによってトラブルを解決させる方法ですが、加害者と被害者の立場が異なる以上、簡単に成立させることはできません。弁護士が介入した方が良いでしょう。
そもそも被害者の連絡先を知らない場合、加害者には連絡先を教えてもらえないケースが往々にしてあります。捜査機関も被害者感情を考慮し、勝手に教えてくれることはなかなかありませんが、弁護士であれば検察官などを通して謝罪したい旨を伝え、連絡先を取得できる可能性があります。
被害者が知人や友人の場合、連絡先こそ知っているかもしれませんが、むやみに接触することで被害者の恐怖心、処罰感情が余計高まるおそれがあります。冷静な話し合いは難しくなりますので避けた方がよいでしょう。
また、加害者である弱みを利用され、相場よりも高額な示談金を請求されてしまうこともあります。誠心誠意謝罪し、適切な賠償をすることは必要ですが、不当に高い示談金までを支払う義務はありません。
弁護士が介入すると被害者が交渉に臨みやすくなり、冷静な話し合いに期待できます。被害者に後遺症が残ってしまった場合も、過去の裁判例や後遺障害等級をもとに適正な示談金の額を把握して交渉します。
ベリーベスト法律事務所の弁護士であれば、傷害事件の取扱数、示談交渉の経験が豊富にありますので、加害者本人やご家族が納得できる示談を締結することが可能です。
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5、まとめ
今回は、傷害罪の加害者が示談交渉に際して知っておきたい示談の内容や等級との関係を解説しました。
傷害事件で生じた怪我、後遺症に対する賠償金は、労災や交通事故で使われる基準や等級を参考にすることがあります。具体的な金額は個別の事件によって異なるため一概にはいえませんが、ある程度の根拠があることも知っておきましょう。
とはいえ、加害者の立場から単独で示談交渉に臨むことは、示談不成立、多額の賠償金を請求されるリスクがあり、おすすめできません。スムーズな解決につなげるためには、弁護士へ依頼された方がよいでしょう。ベリーベスト法律事務所の弁護士も力を尽くします。傷害事件の示談交渉はお任せください。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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