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弁護士コラム

2019年10月29日
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傷害事件における書類送検について解説。その後の流れや逮捕との違いは?

傷害事件における書類送検について解説。その後の流れや逮捕との違いは?
傷害事件における書類送検について解説。その後の流れや逮捕との違いは?

自分または家族が傷害事件を起こして逮捕されたが、その後釈放され、書類送検になってしまった······。このようなケースでは、ご自身やご家族が今どのような状況に置かれているのか、今後どうなるのか、前科はついてしまうのかなど、さまざまな疑問が生じるものです。

書類送検という言葉は報道などで見聞きすることが多いですが、詳しくは分からないかもしれません。なかには逮捕と同じようなものだと考えている方もいるようです。

今回は、傷害事件と書類送検をテーマに、書類送検の概要やその後の流れ、どんな影響があるのかなどを解説します。不起訴処分や減刑となるために必要な示談についても見ていきましょう。

1、書類送検とは

書類送検の意味、混同されがちな逮捕との違いを解説します。

  1. (1)書類送検の意味

    まずは、「送致」や「送検」の意味を確認しましょう。被疑者が逮捕されると、警察で取り調べを受けた後、事件の捜査書類と身柄が検察庁へ送られます。これを「送致」といい、一般的には「送検」と呼ばれることがあります。警察は被疑者を逮捕し、留置の必要があると判断したときは身柄拘束のときから48時間以内に送致しなくてはなりません。

    一方、書類送検では、捜査書類のみが検察官へ送られます。刑事訴訟法上、書類送検という言葉はなく、いわゆるマスコミ用語です。あくまでも「送致」のひとつの形であり、捜査の主体が警察から検察官へと移行したことを示すものである点に変わりはありません。
    被疑者の身柄が送られるわけではないため、逃亡や証拠隠滅のおそれがないなどの理由で在宅捜査となった場合に利用されます。被疑者は書類送検されると、在宅のまま検察官から呼び出しを受け、取り調べに応じることになります。

  2. (2)逮捕と書類送検の違い

    逮捕とは、法律の要件に従い、被疑者の身柄を拘束する手続きです。事件を起こしても逮捕の理由や必要性がなければ逮捕されることはありません。逮捕後は、警察の捜査を経て、身柄ごと送致されます。
    その後、検察官による取り調べが行われ、事案によっては最長で20日間の勾留を受けます。つまり、釈放されない限り身柄の自由はなく、日常生活を送ることも、外部と制限なく連絡をとることもできません。

    書類送検は、前述のとおり、捜査書類のみが検察官に送られる手続きを指しますので、身柄は拘束されず、日常生活を送ることができる状況となります。
    2つはまったく別の手続きだとお分かりいただけるでしょう。

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2、傷害事件で書類送検を受けるとどうなるか

傷害事件で書類送検された後に何が起きるのか、また書類送検されるケースとされないケースについて解説します。

  1. (1)書類送検されると何が起きる?

    検察官から呼び出しを受けますので、その都度応じることになります。これを繰り返し、最終的に起訴・不起訴が検察官によって判断されます。
    この段階では捜査主体が移ったに過ぎませんので、「前科」はついていません。捜査対象となった記録が「前歴」として残りますが、「前科」の有無は、その後の処分内容にかかっています。起訴されて有罪判決を受けると、前科がつくことになります。

  2. (2)書類送検されるケース

    書類送検となるパターンは主に2つあります。ひとつは、最初から逮捕されなかったケースです。もうひとつは、いったんは逮捕されたがすぐに釈放されたケースです。
    前者の場合はもともと逮捕の必要なしと判断されていますので、書類送検される可能性が高いです。一方、後者のようにいったん逮捕されたとしても釈放されて書類送検となる場合もありますが、逮捕されている以上は、そのまま身柄送致となってしまうことがほとんどでしょう。

  3. (3)書類送検されないケース

    罪を犯して警察で事情を聴かれたとしても、すぐに釈放されることがあります。微罪処分と呼ばれるものです。微罪処分とは、警察だけで処理する手続きをいい、一定の軽微な事件で用いられるものです。
    たとえば、少額の万引き事件で被害者が処罰を望んでおらず、被疑者に前科前歴がなく反省しているようなケースです。
    傷害事件は故意に暴行を加えて人が受傷しているという深刻さがありますので、微罪処分となる可能性は低いでしょう。

    書類送検のパターンをまとめると、

    • 書類送検されるのは、逮捕されなかったか、逮捕されたが釈放されたケース
    • 書類送検されないのは微罪処分となったケースか、逮捕されて勾留されたケース


    ということです。

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3、傷害事件で書類送検された後の流れ

書類送検された後は、捜査の主体が警察から検察官へと移ります。検察官から呼び出しを受けると取り調べに応じ、その後、起訴・不起訴処分の判断がなされます。
ここまでに時間的な制限はありません。身柄をともなう送致では、被疑者の人権侵害や自白の強要などのリスクを回避するために時間の上限が設けられています。
対して書類送検はそもそも身柄が拘束されていませんので、上限を設ける必要がないのです。

  1. (1)起訴された場合

    日本の刑事事件では起訴後に有罪となる確率が極めて高く、99%以上ともいわれています。有罪となると傷害罪の法定刑である「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されます。
    懲役刑となれば刑務所へ収監され、罰金刑となれば指定の金額を支払わなければなりません。あるいは、執行猶予つきの判決となり、社会生活を送りながら更生を目指すこともあるでしょう。

    もっとも、書類送検される事件は、もともと犯行様態がそれほど重大でないことが多いため、量刑が比較的軽くなることも予想されます。
    ただ、それでも起訴の可能性は十分にありますので注意を要します。有罪判決を受ければ前科がつき、その後の人生に不利益が生じるおそれがあるのです。

  2. (2)不起訴となった場合

    不起訴となれば裁判にかけられず、有罪になって前科がつくこともありません。不起訴処分となる理由の代表例が「嫌疑不十分」と「起訴猶予」です。

    嫌疑不十分とは、罪を犯した疑いはあるが、起訴するまでの証拠が足りないケースです。
    起訴猶予とは、罪を犯した証明は可能だが、さまざまな事情によって検察官の裁量で起訴しないと判断されることです。事情は、事件の内容、被疑者の年齢、反省の度合い、示談の有無、被害者の状況などを総合的に鑑みて判断されます。大半のケースでは起訴猶予となります。

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4、不起訴や減刑のためには示談が有効

傷害事件で不起訴処分を得るためには被害者との示談が有効です。万が一裁判に発展しても、示談成立が考慮され減刑となる可能性もあります。
被害者が示談に応じた事実が、処罰感情が緩やかになったことの証しとなり、検察官や裁判官もこれを考慮するからです。

ただし、傷害事件の性質上、加害者である本人やご家族が直接示談交渉に臨むのは得策ではありません。被害者がもつ怒りや恐怖の感情を煽るおそれがあり、当事者同士では冷静な交渉が難しいからです。
そもそも、被害者の連絡先を知らない場合に、捜査機関が加害者側に教えてくれることはありません。

このような場合、弁護士へ示談交渉を依頼するのがおすすめです。弁護士が入れば、連絡先を入手できる可能性が高まり、被害者と直接顔を合わせずに済みます。被害者感情にも配慮し慎重に交渉を進めますので、示談成立に期待できるでしょう。
また、万が一示談が成立しない場合でも、弁護士はさまざまな方法によって不起訴処分や減刑のために働きかけます。たとえば、贖罪寄付や供託などの制度を利用する、謝罪文や二度と事件を起こさない旨の誓約書を提出するといった方法があります。

これらの活動を本人やご家族が行うには、時間と労力がかかり、思うような結果にならないリスクがあります。弁護士を利用すれば早期の事件解決につながります。

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5、まとめ

書類送検となると、身柄拘束されずに取り調べを受けることになりますが、検察官の判断によっては起訴され、有罪判決を受ける可能性は残っています。
書類送検された後に不起訴処分を得るには、被害者との示談交渉が鍵を握ります。加害者となった本人やそのご家族が示談交渉を進めることは非常に難しいため、弁護士を介したほうがよいでしょう。弁護士であれば、示談交渉はもちろん、不起訴や減刑となるためのあらゆる活動を行うことができます。

傷害事件を起こして書類送検されたのであれば、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。刑事事件の加害者弁護における経験豊富な弁護士が力を尽くします。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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