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弁護士コラム

2020年08月11日
  • 暴力事件
  • 暴力行為等処罰に関する法律
  • 時効

暴力行為等処罰に関する法律とは? 時効や適用されるケースを解説

暴力行為等処罰に関する法律とは? 時効や適用されるケースを解説
暴力行為等処罰に関する法律とは? 時効や適用されるケースを解説

暴力的な言動を処罰する法律は、刑法の暴行罪や脅迫罪だけではありません。令和2年5月、40歳の女性が自宅で父親と口論になった末に平手打ちを受けて激高、父親に対して包丁を向けて「ぶっ殺してやる」などと脅した容疑で現行犯逮捕されました。逮捕罪名は「暴力行為等処罰法違反」です。

暴力行為等処罰法という名称に耳なじみがない方も多いでしょう。どのような行為を処罰し、どの程度の刑罰を受ける犯罪なのでしょうか?
本コラムでは「暴力行為等処罰法」の内容や刑罰・時効などについて解説します。

1、暴力行為等処罰に関する法律の内容

暴力行為等処罰法は、正しくは「暴力行為等処罰ニ関スル法律」と言います。カタカナ表記があることからもわかるとおり、施行は大正15年と非常に古い特別法です。元来は暴力団による暴力行為を処罰するために制定された法律でしたが、過去には学生運動を取り締まる際にも適用されたそうです。現代では、集団的ないじめなどにおいて適用されています。

暴力行為等処罰法では、第1条から第3条において処罰の対象となる行為が規定されています。

  1. (1)1条【集団的暴行・脅迫・器物破損】

    多人数でまたは多人数であるように装って威力を示し、または刃物などの凶器を示したうえで、暴行や脅迫を加える行為、故意に物を壊す行為は、暴力行為等処罰法第1条で処罰されます。

    法定刑は「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」です。

  2. (2)1条の2【銃砲刀剣類を用いた傷害】

    銃砲または刀剣類を使って人を傷害した場合は、「1年以上15年以下の懲役」が科せられます。

  3. (3)1条の3【常習的な傷害・暴行・脅迫・器物破損】

    常習的に傷害・暴行・脅迫・器物損壊の罪を犯した者が人を傷害したときは「1年以上15年以下の懲役」が科せられ、これらの者が人を傷害していない場合には「3か月以上5年以下の懲役」が科せられます。

  4. (4)2条【不正な利益を得る目的で集団的・常習的に脅し従わせる行為】

    不正に財産的利益を得る目的で1条に規定された方法によって、面会を強要する行為や、気勢を示して相手を不安にさせるような行為をすると「1年以下の懲役または10万円以下の罰金」が科せられます。

  5. (5)3条【集団的犯罪の請託】

    1条に規定された方法によって、公務執行妨害罪・殺人罪・傷害罪・暴行罪・脅迫罪・強要罪・威力業務妨害罪・建造物損壊罪・器物損壊罪にあたる罪を行わせる目的で第三者に金品等の提供等の行為をすると「6か月以下の懲役または10万円以下の罰金」が科せられます。

    実際に犯罪が実行される必要はなく、依頼や約束をすれば犯罪が成立します。

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2、暴力行為等処罰に関する法律における時効

暴力行為等処罰法の時効は、第1条から第3条までどの罰則が適用されるのかによってかわります。

刑事訴訟法第250条によると「長期15年以上の懲役または禁錮にあたる罪」の時効は10年なので、次の罰則が適用された場合の時効は10年です。

  • 第1条の2
  • 第1条の3 ※傷害結果が伴う場合


また「長期10年未満の懲役または禁錮にあたる罪」の時効は5年なので、次の罰則が適用された場合の時効は5年です。

第1条の3 ※傷害結果が伴わない場合


さらに「長期5年未満の懲役もしくは禁錮または罰金にあたる罪」の時効は3年と規定されているため、次の罰則が適用されるケースの時効は3年です。

  • 第1条
  • 第2条
  • 第3条


行為の態様によって時効が異なるため「自分のケースでは時効が何年になるのか」を自分自身で判断することは困難です。また、国外に逃亡していた期間があるなどの場合は時効の進行が停止することもあるため、単に「時間がたてば時効が認められる」というわけでもありません。
罪から逃れたいというだけで、時効の完成を待つのは得策とは言えないでしょう。

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3、配偶者間での暴力行為(DV)にも適用される

暴力行為等処罰法は、第三者による加害行為を罰するだけではありません。冒頭で紹介した事例のように「娘と父親」といった親族間でも適用されます。親子のほか、夫婦、知人関係における暴力行為でも適用されるので、家庭内暴力や配偶者暴力(DV)でも逮捕されることがあります。

  1. (1)傷害や暴行行為が適用対象になる

    暴力行為等処罰法では、傷害・暴行・脅迫といった行為が処罰の対象になります。窃盗罪のように「親族間では適用しない」といった特別な規定はありません。常習的に家庭内暴力やDV行為をはたらいているようなケースでは、逮捕や最悪刑罰が科せられるおそれがあります。

  2. (2)DVや口論から発展するケース

    家庭内暴力・DVのほか、ささいな口論からケンカに発展したケースでも暴力行為等処罰法が適用される可能性があります。
    たとえば、夫が妻と自宅で口論になった末に、包丁を取り出して「殺してやる」などと脅した場合、暴力行為等処罰法第1条の2の罪が成立します。
    また、常習的なDVについては、第1条の3の罪が成立する可能性があります。

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4、配偶者間での刑事事件は増加傾向にある

平成29年に内閣府がおこなった「男女間における暴力に関する調査」によると、DV行為について「一度でも受けたことがある」と回答したのは女性31.3%、男性19.9%でした。
特に女性が被害者となるケースが多く、平成30年中に夫婦間で女性が被害者となった殺人・暴行・傷害事件の検挙数は6960件という高い数値を示しています。
DV被害の件数は年々増加している傾向にあり、悲惨な結果に終わる事例もあるため、警察はあらゆる手段を用いて検挙を目指しています。

配偶者や内縁関係者との間で起こるDV事案では、暴力行為等処罰法によって刑罰に問えるケースも少なくありません。「家庭内の問題だ」「民事不介入だ」として問題にならない場合ばかりではなく、刑事事件化され、場合によっては刑事責任を問われる可能性もあることを自覚しておく必要があるでしょう。

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5、解決に向けてとるべき行動

暴力行為等処罰法違反の容疑をかけられてしまった場合には、解決に向けて次のような行動が必要です。

まずは被害者に対して真摯(しんし)に謝罪し反省を示すべきです。被害者が避難してしまった、面会を拒否されているなど、直接謝罪を伝えるのが難しいケースでは、弁護士を通じて謝罪を伝えるのもよいでしょう。

謝罪の意思を示したら、次にすべきは示談交渉です。示談が成立すれば被害者の「加害者を処罰してほしい」という意思がなくなったものと評価されますので、検察官による不起訴処分や、刑事裁判での刑罰の減刑・執行猶予判決などが期待できるでしょう。

もし「暴力行為をはたらいた覚えがない」のであれば、無罪を主張する必要があります。しかし、自分ひとりで「やっていない」「身に覚えがない」と主張しても、簡単に信用してもらえるわけではありません。
無罪を主張するには「やっていない」ということを合理的に主張することが必要です。そのために、証拠を提示できればより主張の説得力が増しますが、もし逮捕されてしまえば被疑者自身で行動を起こすことが不可能になります。
無罪を主張するのであれば、被疑者の無罪を主張するために積極的な弁護活動をしてくれる弁護士に一任することを強くおすすめします。

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6、まとめ

暴力行為等処罰法は、元来は暴力団などのように集団的・常習的な暴力行為をはたらく相手に対して規制を加えるものでしたが、近年では夫婦間のDVや集団的ないじめなどにも適用されています。ちょっと相手を驚かせるつもりで刃物を持ち出した、家庭内であれば大した問題はないと思って暴力を繰り返していたといったケースでも処罰の対象になることを覚えておきましょう。

暴力行為等処罰法違反の疑いをかけられた、逮捕されるおそれがあるのではと不安を感じている場合は、刑事事件の弁護実績が豊富な、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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