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どこから恐喝罪? 脅迫罪・強要罪との違い・逮捕されそうな場合の対応
恐喝罪は、暴行や脅迫を用いて他人にお金などの金品を交付させる犯罪です。
恐喝罪が認められた場合、事案の悪質性などによっては、初犯であっても実刑判決を受けて刑務所に収監されるおそれがあります。もし恐喝事件を起こしてしまったら、速やかに弁護士へ相談して対応を検討しましょう。
本記事では恐喝罪について、該当する行為や逮捕されそうな場合にすべきことなどを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、どこからが恐喝罪? 行為の典型例を紹介
「恐喝罪」とは、他人を恐喝して財物を交付させ、または不法に財産上の利益を得る犯罪です(刑法第249条)。
金品を奪うことや、支払いを免れることなどを目的として、他人に対して暴行や脅迫を加えると恐喝罪が成立する可能性があります。
たとえば以下のような行為は、恐喝罪の典型例と言えます。
- 相手の弱みを「会社や家族に知らせる」「ネット上に晒す」などと脅して、お金を支払わせた。
- 深夜に繰り返し相手の自宅を訪問し、大声で騒ぎ立てるなどの迷惑行為をして、「やめてほしければ金を払え」といってお金を支払わせた。
- 暴力団員を伴って借金の返済を強く要求し、その場で支払わせた。
- 暴力団員が店舗経営者に対し、「断ったらどうなるか分かっているんだろうな」といってみかじめ料を支払わせた。
恐喝罪が成立するのは、一般に犯行を抑圧するに至らない程度の暴行や脅迫を加えた場合です。
「強盗罪」になるケース
ただし、暴行や脅迫の強度があまりにも強く、社会通念上、一般に相手の反抗を抑圧するに足りる程度のもので、そのうえで無理やり金品を奪った場合は「強盗罪」が成立します(刑法第236条)。
2、恐喝罪で逮捕されそう! 警察から呼び出されたらすぐやるべきこと
他人に対して恐喝をしたことが警察に知られると、取り調べに応じるよう求められることがあります。
取り調べを求められたとしても、必ず逮捕されるとは限りません。
逮捕がなされるのは、罪証(証拠)の隠滅や逃亡のおそれがある場合などに限られています。
また、恐喝行為が比較的軽微な場合も、逮捕を控えて在宅のまま捜査が進められることがあります。
しかしながら、警察から取り調べを求められた場合は、恐喝に該当する行為が疑われており、刑事手続きに進む可能性が高まっている状況と考えられます。
重い刑事処分を避けるため、すぐに以下の対応を行ってください。
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(1)恐喝が疑われる行為や被害者への連絡をすぐに止める
警察から取り調べを求められたら、恐喝と判断されかねない行為は決して行わないようにしましょう。
特に被害者とされている人物への連絡は、さらなる恐喝行為や罪証隠滅行為と疑われる可能性が高いので避けるべきです。
電話・メール・ダイレクトメッセージなど、いかなる手段による連絡もやめておきましょう。
示談交渉などに関して被害者と連絡をとる必要がある場合は、弁護士に依頼して連絡してもらうことをおすすめします。
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(2)自分の言動に関する記録を保存する
自分の言動が恐喝に当たると考えていない場合は、恐喝ではないことを説明できるように準備しておきましょう。
特に、被害者とされている人物とのやり取りの記録が残っている場合は、その記録を全体的に保存しておくことが大切です。
やり取りの一部分を切り取って恐喝ではないかと指摘されても、残りの部分と合わせた全体の文脈を考慮すれば恐喝に当たらないなどと主張できる可能性があります。
手元に記録が残っていれば、警察の誘導質問に流されにくくなりますし、記録を確認したうえで後日回答するなどの対応もできるようになります。
警察に取り調べを求められたら、出頭する前に記録の保存を行いましょう。
なお恐喝の事実を隠そうとして、持っているスマートフォンを初期化したり、メッセージを削除したりするなど証拠隠滅を図ろうとするのは厳禁です。
警察の捜査によって復元され、証拠隠滅を試みたことが発覚すると、被疑者にとって不利益な方向に考慮されるおそれがあります。 -
(3)弁護士に相談する
恐喝の疑いで取り調べを求められたら、速やかに弁護士へ相談することをおすすめします。
恐喝は重大な犯罪なので、嫌疑が固まると逮捕されるおそれがあります。
しかし、早い段階から弁護士のアドバイスを受けながら対応すれば、逮捕を回避できるかもしれません。
仮に逮捕されたとしても、早期に身柄が解放される可能性が高まります。
恐喝を疑われている状態では、警察の取り調べに対して冷静に向き合うのは大変です。
そんな状況にある場合は、弁護士が心強い味方となります。
刑事弁護を弁護士に依頼するべき理由や、相談の流れなどを確認し、速やかに弁護士へ依頼しましょう。
- ※お電話は事務員が弁護士にお取次ぎいたします。
- ※被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、勾留阻止・早期釈放のために弁護士ができること
恐喝罪で逮捕された後、長期間にわたって身柄拘束が続くと、被疑者にとって大きな負担となります。早期の身柄解放を目指すためには、弁護士のサポートが欠かせません。
恐喝の刑事事件に関して弁護士ができる主なサポートは、以下のとおりです。
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(1)逮捕された当初、面会(接見)できるのは弁護士のみ
恐喝罪で逮捕された被疑者との面会(接見)ができるのは、当初は弁護士のみです。
勾留に移行した後は原則として家族の面会もできますが、証拠隠滅防止などの観点から接見禁止処分が行われている場合は、引き続き弁護士のみに限定されます。
身柄拘束されている被疑者にとって、信頼できる人とのやり取りは大きな心の支えとなります。
弁護士は被疑者とこまめに接見し、取り調べに臨む際の心構えなどをアドバイスするとともに、被疑者を精神的に支えます。
家族の面会ができない状況でも、弁護士が仲介役となって両者をつなぎ、被疑者の心が安定するようにサポートします。 -
(2)勾留に対する準抗告の申し立て
逮捕に続く勾留が不当と思われる場合は、裁判官に対して準抗告を申し立てることが考えられます。
特に証拠隠滅や逃亡のおそれがない場合には、準抗告が認められて勾留が取り消され、身柄を解放してもらえる可能性があります。
弁護士は被疑者の身柄をできる限り早期に解放するため、積極的に準抗告の申し立てを行います。
弁護士が法的根拠に基づいて準抗告を申し立てることにより、裁判官に認められる可能性が高まります。 -
(3)不起訴を目指す弁護活動|被害者との示談交渉など
恐喝罪で起訴されると、有罪判決を受ける可能性が高いと思われます。
前科が付くことを避けるためには、起訴の必要性がないことを検察官に訴え、不起訴処分を目指すことが大切です。
特に被害者との示談を成立させることは、不起訴を目指す観点から重要度が高いと言えます。被疑者が反省を示していることや、被害弁償が行われたことが、起訴を避ける方向で考慮されやすいためです。
弁護士は被害者との示談交渉を中心として、不起訴に向けた弁護活動を幅広く行います。
時間が限られている中で、弁護士が精力的に対応することにより、不起訴処分を得られる可能性が高まります。 -
(4)起訴後の保釈請求
恐喝罪で逮捕・勾留された後に起訴された場合、そのまま身柄拘束が続きますが、裁判所に対して保釈を請求することができます。
保釈請求が認められれば、保釈保証金を預けることを条件として、一時的に身柄が解放されます。
弁護士は、保釈請求も被告人やその家族に代わって行います。
弁護士が法律のルールを踏まえて保釈請求を行うことにより、保釈が認められる可能性が高まります。 -
(5)実刑判決を避けるための刑事弁護
恐喝罪は、初犯でも実刑があり得るほど重大な犯罪です。
もし実刑判決を受けると、刑務所に収監されてしまいます。
実刑判決を避けるためには、公判手続き(刑事裁判)で被告人にとって良い情状を裁判所に伝えることが大切です。
たとえば、- 被害者との示談を成立させたこと
- 十分に反省していること
- 更生をサポートする人がいること
などは、被告人にとって有利な事情となります。
弁護士はこれらの事情を中心に、被告人にとって有利な情状をできる限り集め、裁判所に対してしっかりと伝えます。弁護士の活動が功を奏すれば、実刑判決の回避につながります。
4、恐喝罪とは? 処罰の要件と法定刑
それでは、改めて恐喝罪が成立する要件(構成要件)と法定刑を確認していきましょう。
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(1)恐喝罪の構成要件|未遂犯も処罰される
恐喝罪は、他人を「恐喝」した場合に成立します(刑法第249条)。
「恐喝」とは、財物または財産上の利益を交付させるために、暴行または脅迫によって被害者を畏怖させることです。
ただし、被害者が反抗できないほど強度の暴行または脅迫を加えた場合は、恐喝罪ではなく強盗罪が成立します。
恐喝罪は、未遂でも処罰の対象となります(刑法第250条)。
実際に財物の交付を受け、または財産上不法の利益を得た場合は恐喝既遂罪、これらを達成できなかった場合は恐喝未遂罪が成立します。 -
(2)恐喝罪の法定刑
恐喝罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑」です。
窃盗罪・詐欺罪・業務上横領罪などと並び、重い法定刑が設定されています。
※拘禁刑とは、従来の懲役刑・禁錮刑を一本化した刑罰で、刑務作業の有無が柔軟に決められます。
特に暴行や脅迫の内容が悪質である場合や、多額の金品を交付させた場合などには、初犯でも実刑となる可能性が高いので十分ご注意ください。
5、恐喝罪・脅迫罪・強要罪の違い
恐喝罪は「脅迫罪」や「強要罪」と比較されることがあります。
恐喝罪・脅迫罪・強要罪の違いは、下表のとおりです。
| 実行行為の内容 | 恐喝罪 | 脅迫罪 | 強要罪 |
|---|---|---|---|
| 暴行または脅迫 | 脅迫 | 暴行または脅迫 | |
| 目的 | 財物を交付させること、または財産上不法の利益を得ること |
特に限定されていない ※恐喝罪や強要罪などの他の犯罪が成立するときは、脅迫罪は独立しては成立しない場合がある |
義務のないことを行わせること、または権利の行使を妨害すること |
| 未遂犯の処罰 | あり | なし | あり |
| 法定刑 | 10年以下の拘禁刑 | 2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 3年以下の拘禁刑 |
恐喝罪・脅迫罪・強要罪は、主に犯人の目的によって区別されます。
- 恐喝罪:財物や財産上不法の利益を得ることを目的としている場合に成立します。
- 強要罪:相手に義務のないことを強要し、または権利の行使を妨害した場合に成立します。
脅迫罪については、脅迫の目的は特に限定されていません。
ただし、恐喝罪や強要罪などの他の犯罪が成立する脅迫行為については、独立しては脅迫罪が成立しない場合があります。
目的の悪質性を考慮して、3つの中では恐喝罪の法定刑がもっとも重く設定されています。次いで強要罪が重く、脅迫罪の法定刑はもっとも軽くなっています。
処罰規定の違い
未遂犯の処罰規定の有無についても違いがあります。
恐喝罪と強要罪は未遂でも処罰されますが、脅迫罪の未遂は処罰されません。
脅迫罪については、脅迫を行った時点で犯罪が成立するとされているため、未遂罪が問題となることはありません。
6、逮捕後、早期釈放を目指すなら弁護士に相談を!
逮捕された後は、72時間以内に検察官が勾留請求を行うか否かを判断します。
勾留請求が行われないか、または裁判官によって退けられれば、逮捕から72時間以内に身柄が解放されます。
しかし実際には、さらに身柄拘束を続けた状態で取り調べを行うため、検察官によって勾留請求が行われるケースが多いです。
勾留請求が行われると、起訴・不起訴の判断が行われるまで原則10日間、やむを得ない場合にはさらに10日間、最長20日間身柄拘束が続くことになります。
もし起訴されると、さらに身柄拘束が続きます。
身柄の拘束が長引けば、仕事や学校など、生活にも支障が出る可能性が高いでしょう。
身柄拘束のストレスを軽減しつつ、できる限り早期釈放され、元通りの生活を取り戻すためにも、お早めに弁護士にご相談ください。
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