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弁護士コラム

2019年12月09日
  • 少年事件
  • 傷害
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傷害罪の損害賠償金について。示談金や慰謝料との違い、未成年の場合は?

傷害罪の損害賠償金について。示談金や慰謝料との違い、未成年の場合は?
傷害罪の損害賠償金について。示談金や慰謝料との違い、未成年の場合は?

傷害事件の加害者になると、刑事上の責任として刑罰を受けるだけでなく、民事上の責任として損害賠償金の支払いを求められるケースがあります。傷害を与えてしまった以上、課された責任はいずれも果たさなくてはなりません。

しかし、一概に損害賠償金といっても、損害賠償とは何か、慰謝料や示談とは違うのか、相場はいくらなのかなど、多数の疑問が生じるでしょう。加害者が未成年であれば、その責任を家族がとるべきなのかも気になる点ではないでしょうか。
この記事では、傷害事件を起こしてしまった場合における損害賠償と、損害賠償の種類や時効について解説します。

1、傷害罪における損害賠償とは?

傷害罪とは、相手の身体に傷害を負わされる行為による犯罪です。殴って外傷を与えるケースはわかりやすいですが、わざと病気に感染させる、精神的な病気にさせるといった行為も傷害行為にあたります。
傷害事件を起こすと、被害者から損害賠償を請求される可能性があります。
ここでは、そもそも損害賠償とは何か、慰謝料や示談金とは何が異なるのかを解説します。

  1. (1)傷害事件には刑事責任と民事責任がある

    まず、傷害事件を起こした場合に問われる責任について理解しておきましょう。
    傷害事件の加害者になると、「刑事責任」と「民事責任」の二つに問われる可能性があります。

    刑事責任とは、刑事事件を起こした者が、国家から責任を追及され、刑罰という制裁を受けることをいいます。傷害罪の刑罰は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です(刑法第204条)。
    刑事責任はあくまでも加害者本人に対する制裁であり、被害者が受けた損害を補てんする性質はありません。

    そこで、被害者には民事事件として訴訟を提起し、相手方の民事責任を追及する権利が与えられています。
    民事責任とは、損害を与えてしまった相手に対して、主に金銭で賠償する責任(損害賠償責任)をいいます。

    刑事責任と民事責任は、別のものです。
    刑事責任を果たした(刑罰を受けた)からといって、民事責任を免れるわけではありません。
    逆にいうと、仮に傷害罪で逮捕や刑罰を免れたとしても、損害を与えている限りは民事責任を問われる可能性があるということです。

    ただし、示談を成立させると民事責任を果たしたことになります。そして、示談は「被害者が加害者を許した」という証明となるので、刑事手続き上、有利にはたらくことが多々あります。
    二つの責任は別のものである一方、深い関係にあるといえるでしょう。

  2. (2)損害賠償と慰謝料の違いとは

    傷害事件は、民法における不法行為にあたります。
    そのため、民事責任に問われると、不法行為による損害賠償請求権のうち「人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権」を行使され、損害賠償を請求されます。

    民事責任で問われる損害賠償とは、「財産的損害」と「精神的損害」の二つに大きくは分類されます。

    財産的損害とは、けがの治療費、入院費用やけがによって働けなくなった期間の補てんなどです。
    精神的損害とは、物理的な被害ではなく、苦痛や悲しみといった精神的なダメージに対する賠償です。いわゆる「慰謝料」が該当します。慰謝料というと、入院費なども含まれていると考えてしまう方が多いかもしれませんが、それらは別ものであることに注意が必要です。

    では、示談を成立させるために支払うことのある「示談金」は、慰謝料とは異なるのでしょうか。

  3. (3)示談金と慰謝料の違いとは

    示談金とは、前述したとおり示談を成立させるために必要な金銭です。

    その内訳としては、けがの治療費や休業中の補てんのほか、後遺症がある場合は将来得られたはずの収入などに対する損害の賠償金と、慰謝料です。
    つまり、損害賠償の「財産的損害」と「精神的損害」のすべての損害に対して、加害者と被害者が合意した金額が示談金です。

    示談金の額は、傷害事件によって大きく異なりますが、一般に傷害の程度が大きいほど、示談金も高額になりやすいといえるでしょう。

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2、傷害事件における損害賠償請求の時効について

民事責任における損害賠償の請求権には、消滅時効が存在します。
消滅時効とは加害者からすると、「いつまで損害賠償を請求される可能性があるのか」ということを指します。

  1. (1)損害賠償請求権の時効は何年?

    損害賠償請求権の時効は、被害者が損害および加害者を知ったときから「3年」です。
    ただし、一定の事由が発生すると、時効の期間が「中断」や「停止」されるため注意を要します。
    また、損害賠償請求権には除斥期間があり、不法行為のときから「20年」がたつと権利を行使できなくなります。つまり、相手が傷害を受けたことに20年間気が付かなった場合は、請求する権利がなくなるのです。除斥期間については、消滅時効「中断」や「停止」はありません。

    なお、令和2年4月1日から施行される改正民法では、消滅時効に関して次の変更があります。

    • 人の生命・身体を害する不法行為による損害賠償請求権の時効は5年に変更
    • 20年の除斥期間は消滅時効として改められる

    排斥期間と消滅時効は、一定期間が経過すると権利が消滅するという点においては類似しています。しかし、消滅時効であれば、中断や停止を行使することが可能になります。

    なお、改正民法の施行日である令和2年4月1日に、3年の消滅時効が成立していない場合は改正民法が適用されます。

  2. (2)時効の中断や停止とは

    時効の中断や停止があると、3年(改正民法では5年)で時効が成立しません。終わったことだ……と思い込んでいると、思わぬときに損害賠償請求を受ける可能性もあります。

    • 時効の中断

      時効の中断とは、それまで進行していた時効の期間をリセットし、期間のカウントを最初から開始させることをいいます。
      中断にあたる事由は、民法第147条において、下記のように定められています。

      請求(訴訟の提起)
      差押え、仮差押えまたは仮処分
      承認(債務があると認めること)

      また、催告といって、「仮」の中断事由もあります。これは、裁判所をつかわず、書面や口頭で時効の中断請求をすることです。ただし、時効の中断請求が6か月間延長できるだけです。上記の中断事由を、6か月以内に生じさせる必要があります。

    • 時効の停止

      時効の停止とは、それまで進行していた時効の期間がいったんストップし、停止事由がなくなったら再度時効が進行することをいいます。
      中断とは異なり、リセットはされません。再スタートした時点から、再び期間がカウントされます。
      停止にあたる事由は、未成年者や成年被後見人に法定代理人がいない場合や、天災などの理由で時効を中断できない場合などが該当します(民法第158条~第161条)。

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3、未成年における傷害罪の損害賠償とは

刑事事件の場合、未成年者は少年の健全育成を目的とした処分を受けるため、原則として刑罰を科されるという刑事責任が発生しません。14歳以上であれば、逮捕・勾留といった流れは基本体には成人と同様の手続きがとられますが、その後は家庭裁判所へ送致され審議されることになります。
しかし、民事責任である損害賠償については、傷害事件を起こしたのが未成年であっても責任を免れるものではありません。

  1. (1)責任能力があるのは何歳から?

    民法第712条では、未成年者が「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったとき」は賠償の責任を負わないと述べています。
    一般に、自分の行為が何らかの法的責任を生じさせると理解できる年齢は、12歳程度と考えられています。
    したがって、傷害事件を起こした未成年が12歳という年齢を超えていると、損害賠償を負う責任があると判断される可能性が高くなります。このとき、支払い能力の有無は考慮されません。

    責任能力がないとされる低年齢の未成年が起こした傷害事件については、監督義務者が代わりに賠償責任を負います(民法第714条)。
    多くの場合で、親が監督義務者に該当します。監督義務を怠っていた場合は、責任を負う必要があると定義されているため、日ごろから子どもをしっかりと監督していたのかを問われることになるでしょう。

  2. (2)支払い能力がない場合はどうなる?

    未成年とひとくちにいっても、成人間近の未成年から、まだ中学校に入ったばかりの未成年までさまざまです。すでに収入を得られる年齢であれば、自分の稼ぎで賠償させることが可能ですが、収入がない場合は親が負担するケースも少なくありません。
    親に経済的な余裕がないという事情があっても、それは被害者には関係のないことです。費用を工面して、支払う必要があります。

    もっとも、一括の支払いが難しい場合は、交渉で分割払いにしてもらえるケースがあります。あくまでも被害者の対応次第ですが、必ず支払うという意思と、一括払いができない事情を丁寧に説明することで、分割払いに応じてもらえる可能性は残されています。
    ただし、加害者やその家族が直接交渉するのは非常に難しいため、弁護士を通じて交渉するのが望ましいでしょう。

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4、まとめ

傷害事件の損害賠償とは、けがの治療費や精神的な苦痛に対する慰謝料などを支払うことです。事件を起こしたのが未成年であっても、基本的には本人に賠償責任が生じ、そうでなくても親が代わりに責任を負うケースが多いでしょう。

また、刑事責任に問われた際は、起訴、不起訴処分が決定する前や、判決を言い渡される前に賠償責任を果たして示談を成立させると、不起訴処分の獲得や、刑が減軽される可能性が高まります。
傷害事件の加害者になってしまった場合や、家族が傷害事件の加害者になってしまいお困りであれば、ベリーベスト法律事務所でご相談をお受けします。まずは、ご連絡ください。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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