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未成年の子どもでも盗撮すれば刑罰を受ける? 逮捕された場合の対策を弁護士が解説
「盗撮は犯罪」というのは常識ですが、カメラ機能がついたスマートフォンが劇的に普及している現代では、ちょっとした出来心や好奇心から盗撮に至ってしまうケースが少なくありません。
もし、未成年の子どもが盗撮事件を起こした場合でも、やはり成人と同じように逮捕されて罪に問われるのでしょうか?
未成年による盗撮事件の刑罰や、逮捕された場合の対応について弁護士が解説します。
1、未成年の盗撮は罪に問われるのか?刑事責任は?
盗撮は、犯罪行為です。
被害者が警察に被害を訴えたり、警察官などから盗撮の現場を目撃されたりすれば、厳重に処罰されることになります。
では、盗撮をしたのが未成年の場合でも、やはり成人と同じように処罰を受けるのでしょうか。
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(1)成人と同様の刑罰ではなく、更生目的の処分が下される
盗撮事件の加害者が未成年の少年(法律上の「少年」には男女の区別はありません)である場合、成人と同様に刑罰が下されるわけではありません。
適用される法律は同じですが、少年の場合は「刑罰を下す」のではなく「少年を更生させる」という目的で処分が下されます。 -
(2)手続き自体は、成人とほぼ同じ流れ
ただし、14歳以上の少年の場合、捜査の必要性によっては逮捕されることがあります。
少年が盗撮事件で逮捕された場合、成人とほとんど同じ流れで手続きが進みます。
警察での逮捕後48時間以内に検察庁に送致され、引き続き身柄拘束の必要があれば送致から24時間以内に勾留が請求されます。
この間、家族や友人などとの面会が制限されるケースがほとんどです。 -
(3)勾留の代わりに、少年鑑別所や観護措置になる
勾留が決定すると、最長で20日間、警察署の留置施設に身柄が置かれますが、少年の場合は勾留に代わって少年鑑別所などにおける観護措置に代えられることがあります。
勾留が満期を迎える、もしくは取り調べが完了すると、検察から家庭裁判所に送致され、裁判官が少年の処分を決定します。
成人の場合、検察官の段階で起訴・不起訴を決定しますが、少年の場合は一度家庭裁判所の裁判官に判断が委ねられるという違いがあります。 -
(4)家庭裁判所の判断によって、処分が変わる
家庭裁判所は、「審判」によって少年の処分を決定します。
親などの指導によって十分に更生が可能な場合は不処分や審判不開始が期待できますが、更生のために援助が必要だと判断されれば保護観察・少年院送致などの保護処分が下されるおそれがあるでしょう。
また、成人同様の刑事処分を科すことが適切である判断された場合には、検察官に送致(逆送)され、罰金刑等が科される可能性もあります。
2、未成年の慰謝料、支払い責任は誰にあるのか?
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(1)基本的には少年自身に慰謝料の支払い義務がある
少年が盗撮事件を起こした場合、基本的には少年自身に慰謝料の支払い義務が発生します。
学生・生徒であれば、基本的には無収入なので責任能力がないように思われがちですが、民法では「自分の行為の責任を弁識するに足りる能力を備えていない者」でない限り、支払いの義務を負います。
一般論としては12~13歳程度までがこれに該当するため、盗撮事件を起こした少年自身に慰謝料の支払い義務がないケースは少ないでしょう。 -
(2)多くの場合は、親が弁済する
とはいえ、学生・生徒など無収入の少年自身が慰謝料の支払いに応じられるケースもまたまれです。多くの場合は、資力のない少年に代わって親が弁済することになります。
少年事件は、すべての事件を家庭裁判所に送致する「全件送致主義」が採用されているため、成人事件のように、示談によって事件化を回避することはできません。
ただし、審判において示談は反省の程度を判断する材料にもなるので、慰謝料の支払いを含めた示談の成立は重要です。
少年事件の経験が豊富な弁護士に依頼して、早急に示談の成立を目指しましょう。
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- ※被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、盗撮で未成年が逮捕された場合の流れ
それでは、未成年者が盗撮で逮捕された場合は、どのような流れで処分を受けることになるのでしょうか。
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(1)逮捕
未成年者であっても14歳以上であれば、刑事責任能力を問われることになります。
つまり、刑事罰には問われないものの、成人と同様に逮捕のリスクは生じるのです。
ただし、逮捕には「逃亡または証拠隠滅のおそれ」という要件が必要です。
盗撮が明らかであっても、逃亡・証拠隠滅のおそれがなければ逮捕されません。
特に、未成年者は親の監護のもとで生活していることが多く、逮捕の要件を欠くケースも珍しくありません。 -
(2)送致
14歳以上の場合
警察による捜査が終結すると、検察官へ送致されます。
成人の場合、検察官が起訴・不起訴を決定しますが、未成年者の場合は検察官に裁量は認められていません。すべての件が、家庭裁判所に送致されます。これを全件送致主義といいます。
精神的に未成熟である未成年に対しては、専門的な知識をもった機関が処分を下す必要があるからです。
14歳未満の場合
事件の内容に応じて警察から児童相談所へ通告または送致され、その後の処遇を検討することになります。 -
(3)処分
家庭裁判所では、成人の刑事裁判にあたる「少年審判」が開かれます。
原則、非公開でおこなわれる審判では、家庭裁判所の裁判官や調査官が参加して、更生に向けた最適な処分を検討します。悪質性が低い場合
初犯である、悪質性がないといったケースであれば、日常生活を通じて家庭内で更生を目指す方向で、不処分や保護観察処分になることが期待できます。
悪質性が高い場合
一方で、常習である、販売目的の盗撮など悪質性が高い事案では、少年院送致を受けることも考えられます。
凶悪犯罪の場合
殺人などの凶悪犯罪では、家庭裁判所からさらに検察庁へと差し戻す「逆送致」がおこなわれることがあります。
逆送致されたケースでは、成人と同じく検察官が起訴して刑事裁判で刑罰が科せられ、少年刑務所に収容されることになります。
4、未成年が盗撮で捕まった場合、日常生活への影響は?
未成年の少年が盗撮事件の容疑者として逮捕されてしまった場合、日常生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
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(1)学校やアルバイト先に知られてしまう
盗撮事件を起こした未成年の少年自身やその家族は「学校に知られたくない」と考えるでしょう。
しかし、逮捕されれば最長で23日間の身柄拘束を受けるため、学校を長期にわたって休むことになり、事件が発覚してしまうのは必至です。
また、警察は学校・自治体の教育委員会との連携をはかっており、未成年の学生・生徒が起こした事件については、原則的に「学校連絡制度」に従って学校に伝えます。
就学せず仕事に就いている未成年者の場合でも、やはり長期にわたって仕事を休むことになり、勤務先に発覚してしまう可能性は高くなるでしょう。 -
(2)社会生活への復帰が難しくなる
成人の有罪判決と同様に、少年院送致や少年刑務所への収容が適当と判断されれば、学校やアルバイトなどに通うことはできなくなります。
また、盗撮事件を起こした事実が近隣の住人や学校・勤務先の関係者に広まれば、少年自身が周囲の目に耐えきれず、退学・離職してしまうおそれがあります。
逮捕され重い処分を科せられれば、社会復帰が難しくなるという大きなリスクを負うことは避けられないでしょう。
5、現場から逃亡しても盗撮の証拠が残っている場合
盗撮現場から逃げることができても、盗撮の証拠が残っていれば処分を避けられないおそれがあります。
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(1)犯行の目撃や防犯カメラが証拠になる
盗撮の現場から逃れても、被害者や周囲の人に犯行を目撃されていれば、具体的な人相・着衣などを供述され、犯人として特定されるおそれがあります。
また、盗撮をしていた様子や現場から逃走する様子が施設などの防犯カメラに撮影されていれば、捜査によっていずれ身元が特定される可能性が高いでしょう。
誰にも目撃されていない、防犯カメラで撮影されたおそれはまったくない場合でも、盗撮の対象が児童であれば、画像を所持しているだけで児童ポルノ所持に問われるリスクがあります。
「バレなければ問題ない」というわけではないので、解決に向けて積極的に動き出すべきでしょう。 -
(2)証拠の存在に焦らず弁護士に相談を
盗撮現場から逃れられても「証拠が残っているのでは」「逮捕されるのでは」と不安を感じる日々が続きます。そうしている間も、捜査が進められているかもしれないので、すぐに弁護士に相談するべきです。
弁護士に相談すれば、専門的な知見のアドバイスをもらえるので、精神的な負担が軽減できます。また、被害者との示談や逮捕を回避するための弁護活動といった、具体的なサポートも受けられます。 -
(3)盗撮データの証拠隠滅は、まず不可能
未成年者が盗撮する場合、スマートフォンなどのデジタル機器を使用するケースが多数と考えられます。
デジタル機器の画像・動画は、本体からデータを削除して閲覧ができない状態になっていても、メモリにはデータが残存しています。
解析すれば残存データから盗撮の証拠データが復元できることが多いため、証拠隠滅はまず不可能だと考えておきましょう。
6、盗撮で未成年の子どもが逮捕された場合に家族ができること
未成年の少年が盗撮事件で逮捕されてしまった場合には、家族としてどのようなサポートを差し向けることができるのでしょうか。
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(1)弁護士へ相談
子どもが逮捕されたときに、まずするべきことは弁護士への相談です。
逮捕から勾留決定までの72時間は、たとえ家族であっても面会ができません。
逮捕された子どもの様子を知るためには、逮捕された子どもと会うこと(接見)が認められている弁護士のサポートが不可欠です。
また、不安や投げやりな気持ちから不用意な発言をしてしまうなど、不利な行動をとってしまう可能性もあります。
弁護士が、取り調べに対する適切なアドバイスをすることが非常に重要となります。 -
(2)子どもの精神的なケア
盗撮事件を起こした子どもであっても、成人と違って精神的に未成熟で、逮捕や取り調べといった刑事手続きにより深く傷ついているものです。
面会や手紙を通じて「応援している」という気持ちや、帰る場所があることを伝えることが、子どもの更生には多大な影響を与えます。
また、逮捕されて警察の留置場に収容されると、日用品の差し入れが必要になります。
身柄拘束を受けている期間に、できるだけ不自由を感じさせないためのサポートをするのも親や家族としての務めでしょう。 -
(3)被害者との早期示談
少年が盗撮事件を起こしてしまった場合、できるだけ素早い示談成立を目指しましょう。
成人事件では示談成立が起訴・不起訴処分や量刑の決定に大きな影響を与えますが、少年事件では全件送致主義が採用されているため家庭裁判所送致は免れません。
「少年事件は示談をしても意味がない」と考えられがちですが、その考え方は間違いです。実際、少年事件の段階では、弁護士が入らず示談等もなされなかった結果、被害者から損害賠償されたケースもあります。
少年自らが起こしてしまった犯罪について、被害者との示談交渉で罪と向き合い、真剣に反省している姿勢が評価されれば、家庭裁判所の審判でも「更生が期待できる」と判断されやすくなります。
また、逮捕されている場合は、示談成立によって被害者の処罰感情が薄れたと評価され、早期釈放にもつながります。 -
(4)示談交渉は、弁護士に任せる
盗撮事件の示談金を交渉する場合は、弁護士に相談してサポートを受けるのが賢明でしょう。弁護士は、盗撮事件をはじめとした刑事事件において、加害者が過剰な処罰を受けないよう行動します。
盗撮事件の被害者の心理や示談の進め方を熟知しているだけでなく、事件内容に照らした示談金の相場にも明るいので、法外な示談金を請求されるリスクが避けられます。
また、被害者としても、弁護士であれば安心して示談交渉できるという心理があるため、弁護士のサポートは必須でしょう。
少年が逮捕されている場合、前述のとおり、たとえ家族であっても接見が認められていない限り面会はできません。
特に、逮捕直後の72時間は面会が不能となりますが、この間でも弁護士であれば接見できるため、少年の様子を知り、精神的なサポートが可能となります。
示談交渉のうえで必要な少年自身の反省を促すためにも有効なので、まずは弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。
7、成人が盗撮事件を起こした場合の処罰
最後に、成人が盗撮した場合、どのような処罰を受けるのかも触れておきます。
実は現在の法制度では「盗撮罪」という刑罰はありません。
しかし、盗撮行為は次の法令などによって、処罰されるおそれがあります。
迷惑防止条例違反は自治体によって処罰が異なりますが、盗撮では6か月~2年以下の懲役または50~100万円以下の罰金刑が規定されているケースが多いようです。
② 軽犯罪法違反
軽犯罪法違反は、公共の場所以外で盗撮をするために「のぞき」をした場合などに該当する可能性があります。処罰は、拘留または科料が規定されています。
③ 建造物侵入罪
建造物侵入罪は、盗撮目的で他人の住居などに侵入した場合に問われる罪です。
処罰は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。
未成年・成人、どちらであっても、早期に弁護士に相談することをおすすめします。
8、子供が盗撮事件を起こしたら、弁護士に相談を!
未成年が盗撮事件を起こしても、成人のように懲役・罰金などの刑罰が科せられることはありません。ただし、悪質性が高ければ少年院・少年刑務所に収容されるおそれがあるため、重たい処分が科せられないように対策を講じましょう。
ベリーベスト法律事務所では、未成年の子どもが盗撮事件で重たい処分を受けて学校・職場で不利益な扱いを受けないために、弁護士が全力でサポートします。
子どもが盗撮事件を起こして不安を抱えている方は、お気軽にベリーベスト法律事務所までご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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