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未成年の子どもに美人局(つつもたせ)の疑い! 早期に弁護士へ相談を
美人局(つつもたせ)とは、自分のパートナーと性的関係をもった、あるいはもとうとしたことを口実に金銭を要求する犯罪行為です。
昨今は出会い系アプリやSNSなどの普及によって未成年が関与するケースが少なくありません。令和元年に埼玉県で発生した美人局事件でも、高校生の男女を含む17歳~20歳のグループが逮捕されています。
美人局は刑事事件に発展する可能性もあるため、もし子どもが犯罪に関与してしまったら、迅速な対応が必要となります。本コラムでは、美人局にあたる具体的な行為を紹介するとともに、美人局で問われる罪や量刑、弁護士へ相談するメリットを解説します。
1、美人局にあたる行為
美人局はパートナーで共謀するケースに限らず、遊び仲間や犯罪グループと共謀する場合もあります。
下記に美人局のよくあるケースを3つご紹介します。
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(1)SNSや出会い系アプリを通じて恐喝する
SNSや出会い系アプリを通じて出会った女性が実は美人局の一味だったというのも、比較的よくあるケースです。インターネット上では「お小遣い稼ぎ」などと称した募集に未成年がコンタクトし、犯罪に関与することもあります。
犯行の流れは、女性がSNSや出会い系アプリで「遊んでくれる人を募集します」などと書き込み、それに応じた男性と会う約束をします。そこで待ち伏せしていた仲間が「彼女は未成年だから犯罪だ」「警察へ行きたくなければ金をだせ」などと脅して現金やキャッシュカードを巻き上げる手口です。 -
(2)不倫の慰謝料や示談金を要求する
既婚者である女性と性的関係をもった後、女性の夫を名乗る男性から「不倫の慰謝料を支払え」「示談金を払えば許してやる」などと求められるケースです。相手側も既婚者である場合には「家族に知らせるぞ」「不倫の事実を職場で言いふらすぞ」などと脅されます。
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(3)妊娠したと偽って金銭を要求する
性交の際に「避妊具をつけなくていい」といっていた女性が、後になって「妊娠したから中絶費用を支払って」と要求するケースです。女性の夫や彼氏を名乗る男性が登場して脅してくるほか、女性が単独で「彼氏が怒っている」などと男性の存在を匂わせながら金銭を要求することもあります。
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2、未成年による美人局とは
18歳未満の未成年との淫行は、青少年健全育成条例(淫行条例)、児童福祉法、児童買春・児童ポルノ禁止法など複数の法令で厳しく取り締まられています。
そのため、被害者が警察沙汰をおそれて金銭の要求に応じやすいとあって、未成年の女性を利用して美人局を組織的に行うケースもあります。
具体的には下記のようなケースがあります。
- 出会い系サイトで知り合った少女と性的関係をもった後、サイトの運営者を名乗る者から脅迫される
- SNSで出会った少女とホテルへ行こうとしたところ、兄や彼氏を名乗る男性が急に現れて金銭を脅し取られる
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3、美人局をすると問われる罪と量刑
美人局はどんな犯罪に該当するのか、それらの刑はどのくらいかについて解説します。
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(1)恐喝罪
人を恐喝して財物を交付させると恐喝罪(刑法第249条1項)にあたります。
美人局の目的は大半が金銭、つまり財物であり、被害者の弱みに付け込んでおびえさせたり、暴力をふるったりするなどの点を考えても、恐喝行為と認められます。
恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役で罰金などの財産刑はありません。金銭を支払うことで刑罰が許されることはないため、重罪とみなされているといえるでしょう。 -
(2)詐欺罪
人を欺いて財物を交付させると詐欺罪(刑法第246条)にあたります。
- 性交をするつもりがないのにホテルに誘い出して誘惑する
- 妊娠していないのに妊娠したとうそをつく
- 未成年ではないのに未成年だと偽る
このようにして被害者をだましたうえで金銭を差し出させると詐欺罪が成立する可能性があります。詐欺罪の法定刑も恐喝罪と同じ「10年以下の懲役」です。また、美人局の場合は複数人で共謀している点で悪質性が高いと判断され、量刑が重くなる可能性があります。
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(3)その他の罪
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強盗罪・強盗致傷罪
暴行、脅迫を加えて金銭を奪う行為は、その程度によっては強盗罪(刑法第236条)とされる可能性があります。
また、被害者にケガをさせれば強盗致傷罪です(刑法第240条)。
強盗罪の法定刑は「5年以上20年以下の懲役」、強盗致傷罪は「無期または6年以上の懲役」です。刑が減軽されない限り、執行猶予がつきません。 -
脅迫罪
「生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した」場合、脅迫罪(刑法第222条)が成立する可能性もあります。法定刑は2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。
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監禁罪
屋や車などに監禁すれば監禁罪(刑法第220条)が成立し、3か月以上7年以下の懲役が科せられる可能性があるでしょう。
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4、未成年者が美人局をした場合、罪になるか
未成年の事件において、14歳以上で罪を犯した者を犯罪少年といいます。14歳未満の未成年が刑事責任を問われないのに対し、犯罪少年は刑事責任を問われることがあります。
美人局は恐喝罪や詐欺罪、強盗罪など重い類型の犯罪に該当しうる行為であることから、未成年でも逮捕される可能性はあるでしょう。
一方で、逮捕後の手続きや処分内容については成人とは異なる取り扱いがなされます。成人の場合は刑事上の罪を犯すと裁判を経て刑事罰を科されますが、犯罪少年についての手続きは主として少年の更生を目的としているため、原則として刑事罰を科されることがありません。
家庭裁判所に送致された後、必要に応じ少年審判が行われ、保護観察や少年院送致などの保護処分が言い渡されます。
14歳以上の未成年が逮捕された後の基本的な流れです。
- ①警察署にて取り調べが行われ、48時間以内に検察庁への送致または保釈が決定
- ②検察官による取り調べが行われ、24時間以内に勾留(最長20日)または家庭裁判所への送致が決定
- ③家庭裁判所へ送致後、少年鑑別所における観護措置(最長8週間)または自宅等における調査官監護が決定
- ④少年審判開始・不開始の決定
- ⑤処分決定(保護観察処分・少年院送致・児童養護施設等への送致など)
少年事件のうち一定の凶悪事件については少年審判による処分ではなく、成人と同様に刑事裁判で刑事罰を科されます。美人局事件では強盗致傷に該当し、もしも懲役刑の実刑になれば少年刑務所に収監されるでしょう。
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5、早期に弁護士に依頼するメリット4つ
もし未成年のわが子が美人局の疑惑で逮捕されてしまった、もしくは逮捕される可能性がある場合、早急に弁護士へ相談することをおすすめします。
メリットは以下の4つです。
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(1)不利な取り調べを回避するためのアドバイス
逮捕後、弁護士による早期の接見(面会)は大変重要です。特に初めて逮捕された場合、とまどいと恐怖で思わぬ供述をしてしまう可能性は否めません。
弁護士は、ご家族が面会できない段階から、制限や立ち合い人の必要がなく接見することが可能です。そのため、取り調べや供述調書作成の際の留意点など、不用意な受け答えにより不利にならないよう、適切なアドバイスを行うことができます。 -
(2)早期に身柄拘束を解かれる可能性
勾留などの身柄の拘束が長期化すると、学校や会社への影響は必至です。少しでも早く身柄の拘束を解かれるには、警察や検察官、家庭裁判所の調査官への弁護活動による働きかけや、被害者との示談成立などで、少年審判を有利に進めることが重要です。
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(3)不処分や審判不開始への働きかけ
少年事件では更生に十分な期待があると認められれば、教育的措置として不処分や審判不開始となる場合があります。
主犯格でないこと、本人が反省していること、更生できる家庭環境が整っていることなどの有利な事実があれば、弁護士が検察官や家庭裁判所へ主張します。また、少年審判が開始されたとしても、保護観察処分など日常生活の中で更生を目指す処分に向けて、弁護活動を行います。 -
(4)刑事裁判になった場合の弁護活動
家庭裁判所の審判において前科がつくことはありません。しかし、悪質な美人局であると判断され、主犯格や再犯だった場合、刑事裁判が開かれて前科がつくおそれがあります。弁護士がついていれば、深い反省と更生への意欲をもつように促し、適切な刑事罰が下るよう主張します。
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6、まとめ
性的関係などにより金銭を要求する美人局は、恐喝罪や詐欺罪などの重い罪に問われる可能性があります。未成年であっても少年院送致などの重大な処分を受けるおそれがあるため、もし関与が疑われる場合は、早急な対応が望まれます。
未成年の子どもが美人局をして逮捕されてしまった場合は、速やかに弁護士へ相談して協力を仰ぎましょう。少年事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所の弁護士が力を尽くします。まずはご一報ください。
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ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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