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弁護士コラム

2021年06月29日
  • 少年事件
  • 少年鑑別所

少年鑑別所と少年院の違いとは? 逮捕から少年鑑別所入所までの流れ

少年鑑別所と少年院の違いとは? 逮捕から少年鑑別所入所までの流れ
少年鑑別所と少年院の違いとは? 逮捕から少年鑑別所入所までの流れ

少年事件と成人の事件では、逮捕後の流れが異なるだけでなく、収容される施設にも違いがあります。刑事事件を起こしてしまった未成年の少年が収容される施設には「少年鑑別所」や「少年院」があります。

どちらも少年の身柄を拘束する施設であるという点は同じですが、これらは収容されるタイミングや流れ、収容の目的が異なる、まったく別のものです。

このコラムでは、少年鑑別所の役割や入所・審判までの流れに注目しながら、少年鑑別所と少年院との違いや少年事件の流れ、少年に下される処分の種類などを弁護士が解説します。少年が少年鑑別所へと収容されないために、弁護士ができることについても紹介しましょう。

1、少年鑑別所と少年院の違い

まずは少年鑑別所と少年院の各目的や特徴を確認しながら、少年鑑別所と少年院の違いをみていきましょう。

  1. (1)少年鑑別所とは

    少年鑑別所とは、各都道府県の県庁所在地などに設置されている法務省所管の施設です。家庭裁判所の求めに応じて、少年の「鑑別」を大きな目的とし、鑑別対象となった少年を収容し、健全な育成の支援を含む観護処遇を行います

    鑑別とは、医学・心理学・教育学・社会学などに基づいて、非行などに影響を及ぼした性格や生活環境などの問題を明らかにし、その事情の改善に寄与するために適切な指針を示すものです。

    担当技官による面接や個別・集団の心理検査、収容生活を通じた行動観察の結果などから、鑑別結果通知書が作成され、少年の処分を決める少年審判における重要な判断材料として用いられます。

    また作文や日記を通じて、起こしてしまった事件についての反省を促す役割もあります。

  2. (2)少年院とは

    少年院は、少年審判において矯正教育の必要があると判断され、少年院送致の処分を受けた少年が収容される施設です。

    少年院には、第1種から第4種までの種類があり、少年の年齢、心身の状態、非行傾向などに応じて適切な種類の少年院へと収容されます。


    • 第1種少年院……心身に著しい障害のない、概ね12~23歳未満の者
    • 第2種少年院……心身に著しい障害のない、犯罪傾向が進んだ概ね16~23歳未満の者
    • 第3種少年院……心身に著しい障害のある、概ね12~26歳未満の者
    • 第4種少年院……刑の執行を受ける者


    少年院では、善良な社会人としての自立を目指した生活指導、勤労意欲を高めるための職業指導、基礎学力の向上を目指した教育指導、基礎体力の向上を目指した体育指導が実施されます。

    さらに、少年の立ち直りを促すための社会貢献活動や野外活動・音楽といった特別活動による指導も行われています。

  3. (3)少年鑑別所と少年院の違い

    少年鑑別所と少年院は、犯罪にあたる行為をした少年の身柄を収容する施設という点で共通していますが、収容されるタイミングや目的が大きく異なります

    少年鑑別所は、これから少年審判を控えている少年について鑑別を行うために収容する施設です。一方で、少年院は、少年審判の結果を受けて収容されます。

    つまり、少年事件の流れとして、必要に応じ少年鑑別所へと収容されて審判の判断材料を得るための鑑別を受け、その後少年審判の結果次第で少年院へと収容されるのです。

    また、少年鑑別所が「鑑別」を目的とした施設であるのに対して、少年院の目的は「矯正教育」を施すことです。つまり、少年鑑別所は鑑別のために少年を収容するのであって、教育的な指導は本来の業務ではないということになります。

    ただし、少年鑑別所にも、少年の健全育成を支援し、非行や犯罪の防止を支援するという目的があるため、学習や季節の行事を通じた指導も行われています。

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2、少年事件と少年鑑別所の関係

未成年者は、男女を問わず「少年」と呼ばれます。そして、少年が犯罪にあたる行為をした場合は「少年事件」として扱われることになり、20歳以上の成人が罪を犯したときとは別の手続が取られます

  1. (1)少年事件の特徴

    成人が刑事事件を起こした場合は、刑事裁判によって有罪・無罪が判断され、有罪であれば懲役・罰金といった刑罰が下されます。刑事裁判で有罪となった成人は、罪を犯した償いとして刑罰に服することになるのです。

    一方の少年事件では、原則として少年に刑罰を科すことはありません。少年事件に関する決まりを定めている「少年法」の第1条に明記されているとおり、少年事件では「少年の健全な育成」が第一の目的とされているからです。

    少年事件では刑罰が科せられるのではなく、少年の非行性を矯正して更生を実現するための保護処分が講じられます。

    刑罰ではなく教育的手段によって更生を実現する点が、少年事件と成人事件のもっとも大きな違いだといえるでしょう。

  2. (2)少年事件と成人事件の違い

    少年事件と成人事件の手続きを比較すると、次のような違いがあります。


    • 少年事件はすべて家庭裁判所へと送致される
    • 成人事件では、検察官が被疑者を起訴するか、あるいは不起訴とするかを判断します。
      ところが、少年事件では、検察官が捜査を終えるとすべての事件が家庭裁判所へと送致されます。これを「全件送致主義」といいます。

    • 少年事件に不起訴処分は存在しない
    • 成人事件では、検察官が「起訴しない」として不起訴処分を下すと刑事裁判には発展しないので、刑罰を受けることなく釈放されることがあります。

      一方の少年事件では、原則として検察官に起訴・不起訴を判断する権限がなく、どのような事情があっても検察官から家庭裁判所へと送致されます。

      つまり、軽微な犯罪であったり、被害者との示談が成立していたりしても、必ず家庭裁判所へと判断が委ねられることになるのです。

    • 少年事件では「保釈」が存在しない
    • 成人の被疑者が起訴されて被告人になると、身柄拘束を一時的に解く「保釈」の請求が可能です。ところが、少年事件には保釈のように、一時的に身柄拘束が解除されるといった制度は存在しません

      身柄拘束を受けた少年の多くは観護措置による拘束を受けることになり、処分が決定するまで解放されないのです。

    • 少年審判は公開されない
    • 成人の刑事裁判は、原則としてすべて公開のもとで行われます。一方で、特に重大な罪を犯して刑事裁判に発展した場合を除き、少年事件の審理は公開されません。

      少年審判に参加するのは、原則として少年・家庭裁判所の裁判官のほか、裁判所の書記官・調査官、保護者、付添人だけです。成人の刑事裁判のように、一般の傍聴は認められていません。

  3. (3)少年事件と少年鑑別所の関係

    少年事件には不起訴処分や保釈制度が存在しません。

    すべての事件は全件送致主義に基づいて家庭裁判所へと送致され、少年の特性を熟知している家庭裁判所の裁判官や調査官などが適切な処分を下します。

    処分を決定するためには、事件の内容だけでなく少年自身が非行をした原因や背景、性格、生活環境なども重要なので、観護措置によって身柄を拘束したうえで慎重に鑑別しなくてはならない場面も多くあります。

    少年鑑別所は、成人事件には存在しない観護措置を行うための施設であり、処分を決定するための重要な指針を明らかにする役割を担っているのです。

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3、逮捕から少年鑑別所入所までの流れ

事件を起こして逮捕された少年が、少年鑑別所に入所するまでの流れを確認していきましょう。

  1. (1)警察による逮捕・取り調べ

    事件を起こした少年について、逃亡・証拠隠滅のおそれがあると判断された場合は、警察によって逮捕されます。逮捕後は48時間を限度に警察署の留置場に身柄を置かれ、警察官による取り調べを経て、検察官のもとへと送致されます。

  2. (2)検察官による勾留請求

    送致を受けた検察官は、自らも少年を取り調べたうえで24時間以内に家庭裁判所へと送致するか、「勾留」を請求するか、あるいは釈放しなくてはなりません。

    検察官による勾留請求が認められると、原則10日間、さらに勾留延長請求が認められた場合には10日間の合計20日間を上限として身柄拘束が延長されます。

    もっとも、少年事件の場合には、成人事件と異なり、心身の未成熟な少年に対し身体拘束が与える深刻な影響を考え、勾留は「やむを得ない場合」でなければ認められません

    しかし、このような厳しい条件があるにもかかわらず、勾留がなされることも少なくないのが実情です。

  3. (3)家庭裁判所への送致

    勾留が満期を迎えると、検察官はすべての捜査結果を家庭裁判所へと送致します。送致を受けた家庭裁判所は、少年と面接したうえで処分を決定しますが、やはりこの段階では最終的な処分を決定するための材料が足りません。

    そこで、少年に対する適切な処分を決めるための鑑別を実施することになりますが、鑑別の実施にあたって逃亡や証拠隠滅、自傷・自殺などのおそれがある場合は「観護措置」が決定されて少年鑑別所送致が下されます。

    反対に、逃亡・証拠隠滅・自傷・自殺などのおそれがない場合は、身柄を拘束せず自宅での観護を受けながら鑑別する「在宅観護」の決定が下されます。

  4. (4)観護措置決定による少年鑑別所への収容

    家庭裁判所が観護措置を決定すると、少年は少年鑑別所送致となり少年鑑別所へと収容されます。

    少年鑑別所では、面接や個別・集団による心理検査などの、鑑別の結果から鑑別結果通知書が作成され、家庭裁判所へと提出されます。

    家庭裁判所は、少年鑑別所から提出を受けた鑑別結果通知書、調査官の意見、警察等から送られた証拠書類などの資料から少年審判の要否を判断します。

    少年鑑別所に収容される期間は、少年法第17条3項の規定に従って原則2週間までとされています。ただし、特に継続の必要がある場合は原則1回に限って更新可能とされており、実際はほとんどのケースで更新されています。
    つまり、少年鑑別所に収容される期間は、おおむね4週間を上限とし22~26日程度となることが多いです。

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4、少年審判で下される処分とは

少年に対する適切な処遇を決める少年審判の場では、次のいずれかの決定が下されます。

  1. (1)保護処分

    少年の改善更生が必要であると判断された場合は、次のいずれかの保護処分が下されます。


    • 少年院送致
    • 再非行のおそれが強くあり、社会での更生が困難な少年を少年院に収容して矯正教育を施す処分です。

    • 児童自立支援施設等送致
    • 比較的低年齢の少年に対して必要な指導を行い、自立を支援することを目的として、開放的な施設での生活指導を受けさせる処分です。

    • 都道府県知事または児童相談所長送致
    • 家庭裁判所が非行性の程度や家庭環境などを調査した結果、児童福祉法による措置が適当と判断された場合に下される処分です。18歳未満の少年について、非行性が強くないものの、家庭環境などの環境面における保護に欠けており、継続的な指導を必要とする場合など、保護処分よりも福祉的な処遇が妥当な場合に下されます。

    • 保護観察
    • 保護観察官・保護司による指導監督を受けながら、社会内での更生が可能と判断された場合に下される処分です。施設などに収容されず、家庭内での更生を目指すことになります。

  2. (2)試験観察

    少年に対する処分を直ちに決めるのが難しい場合に下される処分です。家庭裁判所の調査官が更生のために助言や指導を与えながら、少年自身に問題点を改善していく姿勢があるのかを観察されたうえで、裁判官が最終的な処分を決めます。

  3. (3)検察官送致

    14歳以上の少年について、犯罪の内容、少年の心身の成熟度、犯罪性の程度などから、保護処分よりも刑事処分が適切であると判断された場合は、検察へと送致されます。また、16歳以上の少年が故意の犯罪行為で相手を死亡させた場合は、原則として検察送致となります。

    検察官から家庭裁判所へと送致された事件を、家庭裁判所が判断し、さらに家庭裁判所から検察へと事件を送致することから、いわゆる「逆送」と呼びます。

  4. (4)不処分

    非行の事実がなかった、あるいは保護処分などを要せずとも調査や審判等における教育的な働きかけによって、再非行のおそれなしと認められたケースは「少年を処分しない」とする処分が下されます。

    なお、調査段階の生活指導等の教育的な働きかけによって再非行のおそれがないと判断された場合などには、少年審判を開かず「審判不開始」とすることもあります。

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5、少年鑑別所送致に対する弁護活動

少年鑑別所送致を受けた少年は、通常3~4週間にわたって少年鑑別所に収容されてしまいます。家庭だけでなく、学校・友人などの社会生活からも隔離されてしまうことは、少年に精神的な負担を強いることになるでしょう。

少年鑑別所送致の回避を含めて、少年事件の解決を目指すには弁護士のサポートが欠かせません。

  1. (1)取り調べ対応のサポート

    事件を起こした少年は、警察による取り調べを受けることになります。

    取調官に自白を強要させられる暴行・脅迫を受けるといった事態も考えられるので、弁護士による同行や立ち会いサポートを求めましょう。もし違法な取り調べを受けた場合は、弁護士から意見書を提出して抗議を求めることも可能です。

  2. (2)少年鑑別所送致の回避

    少年鑑別所に送致されると、通常3~4週間は一般社会から隔離されてしまいます。学校の学習に遅れが生じてしまうことになるため、特に受験を控えているタイミングでは大きな不利益を被る事態は避けられません。

    弁護士に依頼すれば、観護措置決定に対する異議申立てや観護措置取消の申立てのサポートが得られるほか、在宅観護でも対応可能であることを主張して、少年鑑別所に収容されてしまう事態の回避に尽力してくれます。

  3. (3)少年本人と保護者の精神的なサポート

    少年は精神的に未成熟であるため、逮捕や身柄拘束といった刑事手続きを受けることに大きなショックを受けます。弁護士は、少年に寄り添う存在として精神的なサポートに努めます。

    また、子どもが事件の加害者となってしまえば、両親などの保護者も強く悩むことになるでしょう。

    弁護士は、少年と面会したり、警察・検察庁・裁判所と連絡を取ったりして、精神的な重圧に苦しめられる保護者をサポートします

    親子関係が悪化している、もしくは少年自身にコミュニケーション障害があるといった場合でも、弁護士が少年と保護者の間に立って更生を手助けすることが可能です。

  4. (4)処分の軽減を目指したサポート

    弁護士に依頼すれば、被害者との示談交渉や少年審判での弁護活動によって、処分の軽減が期待できます。特に、事件当時は未成年でも事件処理を受けている間に成人になってしまった場合や、検察官送致を受けて刑事裁判へと移行する場合は、刑罰・前科による不利益を回避する必要があるので、弁護士のサポートが欠かせません。

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6、まとめ

少年鑑別所は、事件を起こして家庭裁判所から観護措置の決定を受けた少年を収容し、鑑別するための施設です。少年の改善更生を目指した矯正教育を施す少年院とは、収容されるタイミングも目的も異なります。

少年鑑別所送致を受けてしまうと、通常3~4週間にわたって少年鑑別所へと収容されてしまうため、学習の遅れや退学や解雇の可能性が高まるなどの不利益は避けられません。子どもが事件を起こしてしまい、少年鑑別所へと収容される事態を避けたいと考えているなら、少年事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にお任せください。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
刑事事件問題でお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所へお気軽にお問い合わせください。

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