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弁護士コラム

2021年04月28日
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検事と警察の違いとは? 刑事事件における検事の役割について解説

検事と警察の違いとは? 刑事事件における検事の役割について解説
検事と警察の違いとは? 刑事事件における検事の役割について解説

ニュースやドラマなどで「検事」や「検察官」という言葉をよく目や耳にする機会がありますが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

この記事では「検察官」と「警察官」、「検事」と「検察官」との違いや、検事が担う刑事事件における役割について解説します。あわせて警察と検事による取り調べや、起訴・不起訴を決める検察官の役割についても見ていきましょう。

1、検察官と警察官の違い

「検察官」と「警察官」は、ともに刑事事件に関与しますが、それぞれの立場から次のように役割を分担しています。

  1. (1)刑事事件にかかわる検察官と警察官

    第一次的な犯罪捜査は警察官が行い、検察官は第二次的な捜査と刑事裁判を担うというのが、おおまかなイメージです。

  2. (2)警察官の役割

    警察官は犯人を見つけ出して逮捕し、犯人を取り調べたり犯罪の証拠を採取したりするという捜査活動を主に行います。捜査を終えると、事件を検察官に送致します。

  3. (3)検察官の役割

    検察官は、捜査段階、公訴提起段階、公判段階の全段階に関与しますが、各段階において果たす役割は異なります。
    捜査段階では、検察官は警察官と協力し合って捜査を行います。検察官にも捜査権限があり「互いに協力しなければならない」と刑事訴訟法192条に規定されています。そこで実際には、まず警察官が、検察官の公訴提起をするかどうかの判断資料とするために第一次的な捜査活動を行い、これが不十分であるときに検察官が補充的な捜査を行うことになります。

    公訴提起段階では、被疑者の事情や証拠を精査して、起訴するか否かを判断します。被疑者を起訴する権限(公訴権)をもつのは検察官だけであるため、この段階における検察官の役割が非常に重要です。

    公判段階では、被告人と対立する立場として、証拠を裁判所に提出し意見を陳述するなどして有罪判決獲得に努めます。

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2、検事と検察官の違い

次に検察庁の組織構成に触れながら、検事と検察官の違いを確認しておきましょう。

  1. (1)検察官

    検察官とは、検察権を行使する国家公務員の総称です。上位から検事総長、次長検事、検事長、検事、副検事の5つの官名に分けられています

    検察官は官職によって統括範囲や職務内容が異なります。

    検察官の事務を統括する官署である検察庁は、最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁があります。

    ● 検事総長
    最高検察庁の長を務め、検察官のトップとして全職員を指揮監督します。

    ● 次長検事
    最高検察庁に属し検事総長の補佐を務める官職です。

    ● 検事長
    高等検察庁の長を務め、当該高等検察庁や対応する裁判所管轄区域内にある地方検察庁および区検察庁の職員を指揮監督します。

    ● 検事
    区検察庁以外の各検察庁に配置されて職務を行います。
    検察官の大部分を占めており、刑事事件の捜査や訴訟遂行といった役割を果たします。
    検事の中でも、地方検察庁の長を務め、当該地方検察庁や対応する裁判所管轄区域内にある区検察庁の職員を指揮監督する立場の検事は、特に、検事正という役職に就くことになります。

    ● 副検事
    区検察庁に配置されて職務を行います。
    主に軽微な事件の捜査・訴訟遂行を果たす官職です。

  2. (2)訟務検事

    「検事」というと刑事裁判しか担当しないイメージがありますが、国が当事者となる民事・行政訴訟で国の代理人として活動する訟務検事もいます。訟務検事は、法務省訟務局、全国8か所の法務局に配置されています。

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3、警察と検事による取り調べ

刑事事件を起こしたとき、被疑者は警察官だけではなく、検察官からも取り調べを受けます。警察官の取り調べと検察官の取り調べは、それぞれ次のように役割が異なります。

  1. (1)警察による取り調べ

    刑事事件において警察官が逮捕状を示して被疑者を逮捕した場合、通常、被疑者は捜査を担当する警察署に連行されて留置場で身柄を拘束されます。留置後は、警察官からの取り調べや被疑者写真の撮影、指紋・DNA資料などの採取を受けます。警察官には逮捕後48時間以内に送致しなければならないという制限があるため、この段階での取り調べは犯行を認めるか否かといった、事件の大筋について質問されることが多くなります。

    警察官は、目撃証言や物証の収集など複数の捜査を踏まえた上で、逮捕にまでこぎつけていることから、「被疑者が犯人である」という心証をもって取り調べが進められるでしょう。とはいえ、実際に被疑者を逮捕して取り調べてみないと判明しない事実も少なくありません。したがって、被疑者からすれば、警察官が話す内容に事実と異なる点がある場合には決して同意すべきではなく、場合によっては黙秘するという態度も重要となります

  2. (2)検察官による取り調べ

    送致されてきた被疑者について、今度は検察官が取り調べを行います。ここでの取り調べは、被疑者を裁判にかけるかどうかという公訴官としての法的観点から厳密に行われます。

    被疑者が警察で受けた取り調べと同様の質問も行われます。しかし、捜査の正当性を裏付けたい警察官の取り調べと、有罪判決にまでたどり着けるかを見極めたい検察官の取り調べとでは、その意味合いが異なるのです。したがって被疑者からすれば、「また同じ質問か」と投げやりにならず、事実と異なることは否定して、何度でも言明することが必要です。

    警察官による逮捕が先行する場合、検察官の持ち時間は、警察官から送致後、原則として24時間です。しかし、検察官は警察官とは異なる観点から捜査をする必要があり、24時間以内で判断ができない場合は、10日間の勾留請求がなされます。それでもなお判断がつかない場合には、さらに10日間の延長が請求されます。

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4、起訴や不起訴を決める役割とは

被疑者を起訴するかしないかの決定は、検察官だけに認められる権限です。被疑者にとっては起訴されたかどうかによって、その身柄の解放を求める態様が異なってきます。

  1. (1)起訴(公判請求)とは

    起訴とは、被疑者が有罪なのか無罪なのか、有罪であればどのような刑罰を科すかを決する刑事裁判の開廷を検察官が提起することです。公判請求ともいいます。検察官は自らも被疑者を取り調べて起訴の可否を慎重に精査し、有罪判決が得られる確証を得られた事件を厳選して起訴するため、起訴後の有罪率は極めて高くなっています

  2. (2)不起訴とは

    不起訴は、検察官が刑事訴訟を提起せず、事件を終了することをいいます。不起訴となる理由はさまざまで、検察庁では20種類もの区分が設けられています。このうち中心となるのが「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」です
    「嫌疑なし」は人違いや証拠が一切ない場合、「嫌疑不十分」は犯人ではないとは断言できないが証拠が不十分の場合をいいます。そして「起訴猶予」は、犯人である疑いがあり有罪も見込めるが諸事情から見て起訴を見送る場合をいいます。

  3. (3)略式命令請求とは

    被疑者の同意を得た上で、検察官が簡易裁判所に略式命令を請求することです。請求を受けた簡易裁判所が書面審査を行って100万円以下の罰金または科料の刑罰を科す内容の略式命令を発します。

    通常の刑事裁判と比べて大幅に時間を短縮でき、被疑者にとっても精神的・肉体的な負担が軽いというメリットが認められることから、比較的軽微な犯罪について被疑者の同意を条件に認められる手続きです。

  4. (4)身柄の解放との関連

    被疑者・被告人の身柄の解放については、時系列に沿って次のように変化していきます。

    ● 起訴前
    検察官による勾留請求がなされる前であれば、犯罪が極めて軽微であること、罪証隠滅や逃亡のおそれがないことなどを理由に勾留請求しないよう求めることが可能です。また、勾留請求された後であれば、勾留決定に対する準抗告や勾留取消請求、勾留の執行停止によって身柄の解放を図ることができます。

    ● 不起訴の場合
    検察官が不起訴を決定した場合は、即日釈放されて身柄が解放されます。

    ● 略式命令請求がなされた場合
    即日釈放され、後は罰金を納付するのみとなります。

    ● 起訴後
    被告人には保釈制度が認められています。
    保釈制度は、一定の除外事由がない限り、原則として保釈が認められる「権利保釈」、裁判官の裁量によって認められる「裁量保釈」、勾留が不当に長くなった場合に認められる「職権保釈」の3種類です。
    被告人本人や弁護人、一定の親族などからの保釈請求後、裁判官が保釈を認めれば、保釈保証金を納付することで一時的に身柄が解放されます

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5、まとめ

検察官は、捜査段階では警察官と協力して捜査を行います。公訴提起段階では被疑者を起訴するかどうかを決め、公判段階では当事者として訴訟活動にあたります。このうち被疑者にとって重要なのは検察官が起訴するかどうかの判断です。起訴されると身柄拘束が続き有罪判決の可能性が高まります。
刑事事件の手続についてお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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