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弁護士コラム

2022年02月22日
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死刑執行の流れとは? 執行命令から実施までの手続きと期間

死刑執行の流れとは? 執行命令から実施までの手続きと期間
死刑執行の流れとは? 執行命令から実施までの手続きと期間

死刑は、命をもって罪を償うというもっとも重い刑罰です。日本においては殺人罪など重大な犯罪の法定刑として規定されています。国際的には死刑制度を廃止する国が増加していますが、日本の世論調査では80%以上の方が「死刑もやむを得ない」と答えています。

今回は日本の死刑制度の概要や世界各国の死刑制度の状況、死刑執行はどのように行われるのか、死刑執行後の遺骨の処分方法などについて、わかりやすく説明します。

1、日本の死刑制度

日本における死刑制度の概要と世界における死刑制度に対する動きについて見ていきます。

  1. (1)日本の死刑制度

    日本に刑罰として死刑が現れたのは5世紀前半であるとされています。古事記仁徳天皇記において、「死刑」という単語が記されています。法令としては、飛鳥時代に制定された大宝律令で死刑が刑罰のひとつとして規定されました。その後、死刑制度の内容や執行方法などは時代とともにさまざまに変遷していきます。

    明治41年に施行された現刑法は、第9条で法定刑のひとつとして死刑を定め、第11条で「死刑は、刑事施設内において、絞首して執行する」としています。

    現在法定刑に死刑を定めているのは、殺人罪など次の19種類(刑法犯12、特別法犯7)の犯罪です。

    【刑法】
    • 内乱罪(第77条第1項)
    • 外患誘致罪(第81条)
    • 外患援助罪(第82条)
    • 現住建造物等放火罪(第108条)
    • 激発物破裂罪(第117条1項)
    • 現住建造物等浸害罪(第119条)
    • 汽車転覆等致死罪(第126条3項)
    • 往来危険汽車転覆等致死罪(第127条)
    • 水道毒物等混入致死罪(第146条)
    • 殺人罪(第199条)
    • 強盗致死罪(第240条)
    • 強盗強制性交等致死罪(第241条3項)

    【組織的犯罪処罰法】
    • 組織的殺人罪(第3条第1項第3号、第2項)

    【爆発物取締罰則】
    • 爆発物使用罪(第1条)

    【航空危険行為等処罰法】
    • 航空機墜落等致死罪(第2条第3項)

    【ハイジャック防止法】
    • 航空機強取等致死罪(第2条)

    【人質強要行為処罰法】
    • 人質殺害罪(第4条)

    【決闘罪ニ関スル件】
    • 決闘殺人罪(第3条)

    【海賊対処法】
    • 海賊行為致死罪(第4条)
  2. (2)死刑制度を実行している国の割合

    国際人権NGOのアムネスティ・インターナショナルの報告書によれば、令和2年において、死刑制度を廃止(事実上の廃止も含む)している国は144か国となっています。

    一方、死刑制度が存置しているのは、日本やアメリカ、中国など55か国で、世界の中で少数派になりつつあります。OECD加盟国37か国中、死刑制度が存置しているのは、アメリカと日本のみ(韓国は事実上の廃止)です。令和2年、日本では平成23年以来9年ぶりに死刑が執行されませんでしたが、中国やイランなど、18か国において死刑が執行されました。

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2、執行場所と執行機関、死刑執行に携わる役職

死刑はどこで執行され、どのような機関や役職の人が執行に携わるのでしょうか。

  1. (1)執行場所と執行機関

    死刑囚は死刑執行まで、刑務所ではなく拘置所に収監されます。
    死刑の執行場所について、刑事収容施設法第178 条第1項は、「死刑は、刑事施設内の刑場において執行する」と定めています。刑場が設置されているのは、札幌刑務所(拘置は札幌拘置支所)、宮城刑務所(拘置は仙台拘置支所)、東京拘置所、名古屋拘置所、大阪拘置所、広島拘置所、福岡拘置所の7か所です

  2. (2)死刑執行に携わる役職

    死刑執行は、法務省内の手続きを経た上で法務大臣の命令により行われます(刑事訴訟法第475条第1項)。執行命令は「判決確定の日から6か月以内」にしなければならないとされています(同条第2項)。

    しかし実際には、令和元年(平成31年)までの10年間に執行された48人の判決確定から執行までの平均期間は約7年4か月にも及んでいます。

    法務大臣による執行命令が出ると、指揮検察官は死刑執行指揮書により刑事施設の長に執行を指揮します。刑の執行は、法務大臣の執行命令から5日以内に行われなければなりません(刑事訴訟法第476条)。

    死刑は、検察官、検察事務官、刑事施設の長または代理者の立ち会いの上で執行されます(刑事訴訟法第477条第1項)。また、検察官または刑事施設の長の許可を受けた者でなければ刑場に入ることはできません(同条第2項)。

    検察官または刑事施設の長の許可を受けた者とは、執行作業に従事する刑務官、教誨(きょうかい)師(僧侶や神主、神父、牧師など)、医官(医師)などです。

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3、死刑執行当日の流れ

死刑執行当日の流れは、次のようなものとなります。

  1. (1)出房

    日曜日と土曜日、祝日、12月29日から1月3日には、死刑は執行しないとされています(刑事収容施設法第178条第2項)。死刑執行当日の午前9時ごろ、死刑囚に対して死刑執行することが告げられます。そのまま、出房して刑場に連行されます。

  2. (2)教誨(きょうかい)室

    死刑執行まで1時間ほどの猶予が与えられます。教誨室で教誨師と会話をしたり、祈りをささげたり、遺言を書いたり、お菓子を食べたり、喫煙したりして過ごします。

  3. (3)前室

    執行室とカーテンで区切られた前室に連行され、刑事施設の長により死刑執行命令が告げられます。その後、目隠しをされ、手錠をかけられ、執行室へと向かいます。

  4. (4)執行室

    執行室の踏み板に立たされると、足を拘束され、首に絞縄(ロープ)がかけられます。執行室はガラス張りになっており、検察官などの立会人がいる立会室から執行の様子をみることができます。

    準備が整うと、別室にある3つのボタンを3人の刑務官が同時に押します。3つのボタンのうち、どれかひとつが踏み板と連動しており、ボタンを押すと踏み板が外れ、死刑囚の身体が執行室の階下に落下するしくみです。

    執行後、医官が死亡を確認します。死亡を確認してから5分経過しないと絞縄を解くことはできません(刑事収容施設法第179条)。死亡を確認してから遺体をおろし、死刑執行が完了します。死刑に立ち会った検察事務官は、執行始末書を作成し、検察官および刑事施設の長またはその代理者とともに署名押印します(刑事訴訟法第478条)。

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4、死刑執行後の執行通知や遺骨の処分

死刑が執行された事実はどのように世間や被害者、遺族の方たちに通知されるのでしょうか。死刑執行後の遺骨の処分方法とあわせて解説します。

  1. (1)被害者や世間への通知

    死刑が執行されたことは、当日の午前11時から昼過ぎにかけて法務省から発表され、私たちはテレビのニュースなどで死刑執行を知ることになります

    一方、被害者や被害者の遺族からの「死刑執行をニュースではなく法務省から通知してほしい」という要望に応えるために、被害者や被害者の親族またはそれに準ずる方(内縁関係の方や婚約者など)、代理人弁護士に対して、死刑執行の事実について通知する制度があります。刑事事件における事件処理や裁判の結果などを被害者の方などに通知する「被害者等通知制度」の一環として、令和2年10月から開始されました。

    執行通知を希望する場合は、「死刑執行に関する通知希望申出書」を提出すれば、死刑を執行した事実や執行日、執行場所を電話または文書で通知されます。

  2. (2)執行後の遺骨の処分

    死刑執行後、遺体を検分し、清拭(せいしき)した上で、白装束を着させて納棺します。別室で簡単な葬儀を執り行います。遺体は遺族が引き取り、葬儀・火葬をします。しかし、遺族が引き取りを拒否したり、遺族がいなかったりする場合は、国が遺骨焼却をして寺などに埋葬します。

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5、まとめ

裁判員制度が始まったことにより、私たちも死刑判決について判断しなければならない立場になる可能性もあります。人道上の観点から国際的には死刑廃止に向けた流れとなっていますが、日本では被害者遺族感情への配慮や犯罪抑制への期待などから、死刑制度を支持する声が多いのも事実です。まずは死刑制度について知り、理解を深めていきましょう。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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