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弁護士コラム

2022年04月12日
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拘置所とは? 生活や面会の仕方、刑務所・留置所の違いを解説

拘置所とは? 生活や面会の仕方、刑務所・留置所の違いを解説
拘置所とは? 生活や面会の仕方、刑務所・留置所の違いを解説

刑事事件に関するニュース報道に目を向けると、わが国にはさまざまな刑事施設が存在していることがわかります。

たとえば、令和3年12月には、脱税の罪で起訴された大学前理事長が6000万円の保釈金を支払って「拘置所」から保釈されたことが報じられました。

拘置所とはどのような人を収容する施設なのでしょうか? ほかの刑事施設との違いや拘置所内での生活、面会や差し入れの制限などについて解説します。

1、拘置所とは?

まずは「拘置所」がどのような施設なのかを確認しておきましょう。

  1. (1)拘置所とは?

    拘置所とは、法務省が管轄している刑事施設のひとつです。刑事事件の被疑者や被告人として刑罰が確定していない「未決拘禁者」や、すでに死刑の言い渡しを受けてその執行を待つ「死刑囚」を収容する場所として機能しています。

    拘置所は、東京・立川・名古屋・京都・大阪・神戸・広島・福岡の合計8カ所だけです。さらに、その下部施設として、令和3年4月時点で全国に97カ所の拘置支所が配置されています。拘置所・拘置支所の数は全国で合計105カ所です。

  2. (2)拘置所の収容者

    拘置所に収容されるのは、ここで挙げるような立場の人です。

    • 警察に逮捕されて勾留が決定した者
    • 検察官が逮捕して身柄拘束中の者
    • 検察官が起訴して刑事裁判の判決を待つ者
    • 刑事裁判で死刑の言い渡しを受けてその執行を待つ者


    逮捕・勾留の段階にあり、刑罰の言い渡しを受けていない立場の人を「未決拘禁者」といいます。死刑の言い渡しを受けてその執行を待つ「死刑囚」は、死刑の執行までの身柄拘束を必要としますが、それまでの身柄拘束は刑罰ではないので、刑務所ではなく拘置所に収容されます。

    本来、逮捕・勾留を受けた未決拘禁者を収容する施設は拘置所ですが、全国的に数が少ないため、実際の刑事事件では拘置所の代わりに警察署の留置場へと収容されているのが現状です。

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2、拘置所に勾留される要因

拘置所に収容されることになるのはどのようなケースなのでしょうか?基本的な流れを確認していきます。

  1. (1)拘置所に収容されるまでの流れ

    罪を犯して刑事事件の容疑をかけられると、被疑者として捜査の対象となり、必要に応じて「逮捕」による身柄拘束を受けます。警察が逮捕した場合は警察署内の留置場に収容されたのち、取り調べを経て48時間以内に検察官のもとへと身柄が引き継がれます。この手続きが「送致」です。

    送致を受理した検察官は、さらに被疑者を取り調べたうえで身柄拘束の要否を検討し、身柄拘束の必要があると判断すると裁判官に対して「勾留」の許可を求めます。これが「勾留請求」です。

    検察官からの請求を受けた裁判官は、被疑者と面接して勾留の可否を検討します。この手続きが「勾留質問」です。勾留質問の結果、裁判官が「身柄拘束の必要がある」と判断すれば勾留状が発付されて勾留が始まり、拘置所へと収容されます。

  2. (2)勾留されるおそれが高いケース

    拘置所に収容されるのは、検察官の請求を受けて裁判官が勾留を許可した場合です。刑事訴訟法第60条には被告人に対する勾留の要件が明記されており、被疑者の処遇においても準用されます。

    • ① 被疑者・被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
    • ② 以下の3つの要件うちどれか1つに該当すること
      • ● 被疑者・被告人が定まった住居を持っていない
      • ● 被疑者・被告人に罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある
      • ● 被疑者・被告人が逃亡し、または逃亡をすると疑うに足りる相当な理由がある


    これらの要件に合致し、かつ、勾留の必要性が認められる場合には、勾留による身柄拘束を受けて拘置所に収容されることになるでしょう。

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3、留置場や刑務所、拘置支所との違いは?

拘置所は法務省管轄の刑事施設のひとつですが、ほかの刑事施設との区別がつきにくいと感じる方も多いでしょう。拘置所と留置場・刑務所・拘置支所との違いを確認していきます。

  1. (1)拘置所と留置場の違い

    留置場(留置所)とは、警察が管理する身柄収容用の施設です。通常は警察署内に置かれていますが、ごく小規模の警察署で留置場を設備していない、共犯事件で同じ留置場に複数の被疑者を収容できないといったケースでは、警察本部が集中管理している留置管理センターなどに収容されることもあります。

    留置場は警察が管理する施設なので、法務省が管轄している拘置所とは立場が異なります。また、留置場は全国およそ1300カ所が配置されているという点も、拘置所との大きな違いだといえるでしょう。

  2. (2)拘置所と刑務所の違い

    刑務所は、刑事裁判において懲役・禁錮の実刑判決を受けた受刑者を収容する施設です。拘置所が未決拘禁者を収容する施設であることを考えると、刑務所はさらに次の段階において収容される場所だといえます。

    また、懲役の受刑者は刑務作業という労働を強いられ、禁錮の受刑者も希望すれば刑務作業への従事を許可されますが、被疑者・被告人として拘置所に収容されても刑務作業を強いられることはありません。

  3. (3)拘置所と拘置支所の違い

    拘置支所は、拘置所の下部施設です。全国に8カ所しか配置されていない拘置所の機能をカバーする目的で、主に地方の主要都市に配置されています。

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4、被疑者や被告人を勾留する場所は本来であれば拘置所である

刑事事件の被疑者として逮捕されると「警察の留置場に収容される」という流れが一般的です。ところが、この流れは被疑者・被告人の処遇に関する基本的なルールに反しています。

  1. (1)被疑者・被告人の勾留場所は拘置所

    刑事事件の被疑者・被告人は「未決拘禁者」という立場です。本来、勾留が決定した未決拘禁者を収容するのは拘置所の役割であり、捜査を担当する警察や検察官にとって都合のよい留置場に収容するのは、基本的なルールに反しています。

    わが国では古くからこのような運用がまかり通っており、捜査側の都合で被疑者・被告人に対して不適切な処遇が加えられていたという歴史があります。このような制度を「代用監獄」といいますが、海外の先進国では以前から廃止されている悪習です。

    捜査機関では、それまでは統一されていた「捜査」と「留置」の業務を分離することで解決を図りましたが、依然として捜査機関の管理下に置かれる状況は改善されていません。国際的な人権基準や規約にも反しているため、世界中から非難と改善を求める声が集中しているという現状があります。

  2. (2)なぜ拘置所ではなく留置場で勾留するのか

    基本的なルールに反し、世界的にもめずらしい運用が当然のように認められている理由のひとつが「拘置所・拘置支所の不足」です。全国で100カ所あまりしかない拘置所・拘置支所だけでは、被疑者・被告人を収容する能力に限界があるため、全国に多数が配置されている警察署の留置場が代用監獄として利用され続けています。

    また、被疑者・被告人は捜査の段階にある立場なので、主に捜査を担当する警察の管理下に身柄を置いたほうが都合がよいということも、代用監獄が認められてしまう要因のひとつです。本来、被疑者・被告人の勾留が認められるのは逃亡や証拠隠滅の抑止であり、捜査側の都合を重視して収容先が決まるのは大きな問題であるといえます。

  3. (3)なぜ拘置所を増やすことができないのか

    未決拘禁者を収容すべき施設は拘置所であるものの、施設数の問題から代用監獄として留置場が利用されています。この問題を解決するには、拘置所・拘置支所の増設が必要です。ところが、拘置所・拘置支所の増設も容易ではありません。

    法務省の予算が限られており全国に拘置所・拘置支所を増設するほどの余裕がない、拘置所・拘置支所を増設しようと計画しても現地住民の反対を受けてしまうといった問題が背景となっているようです。

    日弁連からの提言を受けて各地で拘置所・拘置支所の増設や改築による収容能力の補強が進められていますが、やはり収容能力には限界があるため、別の方策による解決が急務とされています。

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5、気になる拘置所での生活とは

拘置所は未決拘禁者や死刑囚を収容する施設であるため、一般社会での生活と比べると不自由を強いられることは言うまでもありません。ただし、刑務所のように刑罰として収容される場所ではないので、自由の制限は比較的にゆるやかです。

拘置所における生活の様子を解説します。

  1. (1)拘置所における1日の流れ

    拘置所では、施設が定めた日課時限を厳守した生活を送ることになります。一般的な流れは次のとおりです。それぞれの時間は、拘置所によって違うため、拘置所に入った際に時間割が伝えられます。

    • ① 起床
    • ② 人数や健康状態の点検後に朝食
    • ③ 運動・面会・改善指導など
    • ④ 昼食
    • ⑤ 人数・健康状態の点検後に夕食
    • ⑥ 就寝


    早朝に起床し、1日に3食を取って早い時間に就寝するという規則正しい生活は、外部の社会での生活に比べると不自由に感じるでしょう。ただし、懲役受刑者のように刑務作業への従事を強いられることはなく、施設内での生活は自由度が高いため、刑事裁判に向けた準備や家族との面会に時間を使うことができます。

    なお、拘置所に収容されている未決拘禁者・死刑囚の生活を支えるのは、懲役受刑者です。食事・洗濯・清掃などへの従事を刑務作業としているため、一部の懲役受刑者は拘置所に収容されています。

  2. (2)拘置所で提供される食事

    拘置所では、朝食・昼食・夕食の3食が提供されます。懲役受刑者が施設内の調理室で調理した温かい食事が提供されるので、留置場で提供される冷めた食事と比べると食生活は格段に高まります。しかも食費は徴収されず、すべて無償です。

    また、提供される食事だけでは物足りない場合は「自弁購入」によってパンやカップラーメン、菓子類などを自費で購入できます。

  3. (3)拘置所での入浴

    拘置所内での入浴は、刑事施設および被収容者の処遇に関する規則第25条によって「1週間に2回以上」と定められています。これは最低限の回数で、夏季は1週間に3回、冬季は1週間に2回とする拘置所が多いようです。

    なお、拘置所の浴場には共同用と単独用があり、雑居房と呼ばれる共同部屋に収容された場合は銭湯のような共同用を、ひとりだけの独居房に収容された場合は単独用を使用することになります。毎日入浴できるわけではないので、こまめな着替えやタオルの使用で衛生状態を保つよう工夫する必要があります。

  4. (4)拘置所での物品購入

    拘置所内では、自弁のほかにも日用品の購入が可能です。飲料や食べ物だけでなく、シャツ・パンツ・文具・新聞などを購入できるため、日用品の購入に困らない程度のお金を用意しておくとよいでしょう。

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6、面会はできる?

拘置所の収容者は、家族や友人などとの面会が認められています。面会できる人に制限はないので、刑務所のように家族や特別な関係にある人だけが許されるというわけではありません。

拘置所における面会は、昼休憩を除く平日の日中のみ、1回につき30分を下回らない範囲の時間とされています。ただし、収容者が多く面会希望者も多い場合は、30分未満で面会を打ち切られることもあります。

面会の申し込みは、面会を希望する日に拘置所へ出向いておこないます。電話などによる予約はできません。面会受付では、身分証明書の提示を求められることもあるので、必ず持参しておきましょう。

面会にあたって注意すべき事項などの説明を受けるため、よく理解しておく必要があります。規則に違反してしまうと面会が許可されません。

なお、面会を制限する「接見禁止」を受けている場合は、指定された範囲の面会が禁止されます。証拠隠滅を図るおそれが強いと判断されれば、たとえ家族であっても面会を禁止されるかもしれません。

接見禁止を受けた場合でも自由に面会できるのは、弁護士だけです。刑事裁判に向けたサポートなどの必要もあるので、弁護士との面会の機会はできるだけ多く確保するように心がけましょう。

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7、差し入れはできる?

拘置所に収容されている家族や友人・知人に対しては、差し入れが可能です

面会の際に持ち込む場合は、差し入れ用の窓口が用意されているので所定の手続きを済ませてチェックを受けたうえで、物品を預けることになります。また、宅配便などによる送付も可能です。ただし、差し入れできる物品や数量に制限があるので、むやみに送付するのではなく、あらかじめ拘置所に連絡して確認のうえで送付しましょう。

一般的に差し入れ可能とされている物品は、衣類やメガネ・コンタクトレンズ、歯ブラシ、本、現金などです

ただし、衣類であっても、フード付きのパーカや、ひも・ベルト付きのズボンなどは自傷・自殺を防止するために禁止されています。同様の理由で、タオルの差し入れも認められていません。必要であれば施設内で指定業者から購入することになります。

また、歯ブラシは差し入れ可能ですが、チューブに入った歯磨き粉やボトルに入ったシャンプー・ボディーソープなどのように内容物を確かめられない物品は差し入れできません。喫煙者であればタバコの差し入れがあるとうれしいものですが、火災防止とあわせて健康被害の観点から施設内が全面禁煙であるため差し入れ不可です。

飲食物の差し入れも受け付けてもらえません。現金を差し入れて、自弁購入するのが基本です。ただし、拘置所内の売店で購入して差し入れる、拘置所の出入り業者に依頼して差し入れてもらうという方法をとれば差し入れが認められます。

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8、家族が逮捕された場合には弁護士に相談を

家族が刑事事件を起こして逮捕された、もしくは逮捕されそうなら、直ちに弁護士に相談しましょう。起訴されて被告人として勾留されているなら、保釈による一時的な身柄解放が期待できます。裁判官が保釈を認めなかった場合でも、弁護活動を尽くしたうえで再請求すれば許可される可能性が高まるでしょう

接見禁止を受けている場合は弁護士しか面会できません。親しい人との面会が一切禁止されているなかで、弁護士だけが本人の精神的なストレスを支える存在になるでしょう。接見禁止の一部解除を申し立てて、家族だけでも面会できるよう、はたらきかけることも可能です。

刑事事件の関与が疑われている家族の処遇や事件の行く末に不安を感じるなら、ひとりで悩むのではなく、まずは弁護士に相談しましょう。

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9、まとめ

拘置所は、犯罪の容疑で身柄を勾留されている未決拘禁者や死刑囚を収容する刑事施設です。施設内の生活は比較的に制限がゆるやかですが、これから刑事裁判が進めば厳しい刑罰が科せられてしまうおそれがあるため、弁護士によるサポートは必須です。また、接見禁止を受けている場合は、家族であっても面会が許可されないこともあります。
制限なしで自由に面会できるのは弁護士だけです。

ご家族が刑事事件に関与したと疑われており、今後の事件の行く末に不安を感じているなら、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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