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弁護士コラム

2022年04月28日
  • その他
  • 証拠能力

証拠能力とは? 証拠の種類や要件、証明力との違いなどを説明

証拠能力とは? 証拠の種類や要件、証明力との違いなどを説明
証拠能力とは? 証拠の種類や要件、証明力との違いなどを説明

ドラマなどでは「動かぬ証拠」といった表現がたびたび登場します。殺害に使用した凶器や犯行を認めたボイスレコーダーなどをつきつけて犯人を追い詰めるシーンで登場するため、このような物(モノ)でなければ証拠にならないと考えている方も少なくありません。一方で、物による確かな証拠ではなくても、ある人(ヒト)が真相を知っているといったケースもあります。

刑事訴訟における「証拠」の考え方は複雑で、「証拠能力」と「証明力」がなければ有効な証拠とはいえません。本コラムでは証拠の「証拠能力」について、証拠能力の意味や要件、証明力との違い、証拠能力にとって重要な概念である「伝聞証拠」や「違法収集証拠」の意味を、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、刑事訴訟における証拠とは

被告人が犯罪を行ったのかどうかは、その被告人を起訴した検察官が証明しなければなりません。そして、そのことが「証明された」といえるためには、単に「疑わしい」という程度では足りず、裁判所の裁判官が「間違いない」と確信しなければなりません。検察官は裁判官にそのような確信を持ってもらうために、一方、弁護人はその確信を揺らがせたり、重い罪を課すことが妥当ではないと裁判官に考えたりしてもらうために、刑事裁判では具体的な資料が示されることになります。これが「証拠」です。

「証拠」とは、裁判官に犯罪事実を認定させるための資料であり、事実の認定は必ず証拠によらなければならないという原則(証拠裁判主義)があります

ただし、証拠となる資料は、適切な手続きを経たうえでなければ採用されません。もし適切な手続きを経ていなければ、その資料は「証拠」とはいえないのです。

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2、証拠の種類と各証拠の取り調べ

刑事訴訟における「証拠」にはいくつかの種類があります。大きくわけると「物(モノ)」と「人(ヒト)」があり、どのような方法で証拠として採用するのかの手続きも異なります

  1. (1)「物(モノ)」の証拠調べには書証と検証がある

    多くの方がイメージしやすいのが「物(モノ)」の証拠です。「物(モノ)」の証拠には、さらに「書証」と「物証」があります。

    ● 書証
    警察官や検察官が捜査の過程で作成した書類などの「証拠書類」を指します。例えば、検察官による取り調べにおいて被疑者が「私がやりました」と罪を認めた内容を検察官が聴き取って作成した「検面調書」などが典型的です。実際の法廷では、その内容を読み上げる「朗読」によって証拠調べが進みます。

    ● 物証
    実際の犯行に使用された凶器などは「物証」にあたります。物証は、その現物を示す「展示」という方法で証拠調べが進み、裁判官が目・耳・鼻・舌・皮膚による「五官の作用」を総動員してモノの性状や現象などを感得し、認識します。これを「検証」といいます。
  2. (2)「人(ヒト)」の証拠調べには証人尋問・被告人質問・鑑定がある

    証拠といえば「物(モノ)」のイメージが強いはずですが、実は「人(ヒト)」も証拠になり得ます。そして、「人(ヒト)」がどのような立場にあるのかによって、証拠調べの方法も異なります。

    ● 証人尋問
    証人尋問は、事件の被害者や目撃者など(証人)に対して、その証人が経験した事実を公判で発言(供述)させる証拠調べです。弁護人や検察官、裁判官が口頭で質問し、それに証人が回答するかたちで進みます。なお、証人は証言に先立って「嘘・偽りを述べない」旨を宣誓しなければなりません。もし証人が宣誓したにもかかわらず虚偽を述べると、刑法第169条の「偽証罪」が成立します。

    ● 被告人質問
    被告人質問は、被告人本人に対して、弁護人や検察官、裁判官が公判で質問し、被告人本人がこれに答える証拠調べです。被告人には黙秘権・供述拒否権がありますから(刑訴法311条1項)、終始沈黙することも、個々の質問に対して供述を拒むこともできます。また、自己防衛のために虚偽を述べても証人のように偽証罪には問われません。

    ● 鑑定
    裁判官は法律の専門家ではありますが、あらゆる専門領域について専門家なわけではありません。そこで、裁判官の知識を補充するために、学識経験をもっている専門家に専門知識や意見を報告させることが認められています。これを「鑑定」といいます。鑑定人も、証人と同じく宣誓を求められるので、虚偽を述べることは許されません。
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3、証拠能力、証明力とは

証拠について理解する上で特に重要な概念である証拠能力などについて、以下で解説していきます。

  1. (1)証拠能力とは

    ありとあらゆる資料が、その性質や経緯を問わずに、「証拠」として認められるわけではありません。裁判官に見てもらうための「証拠としての資格」を備えていなければ、そもそも「証拠」として採用されず、法廷から排除されることになります。この「証拠としての資格」のことを「証拠能力」といいます

    証拠能力が備わっていることが刑事訴訟における「証拠」として採用される大前提です。法的に適切な手順を経ていない資料、事実を証明する力がない資料、裁判官の判断を誤らせるおそれがある資料等は、証拠能力が認められず、「証拠」になりません。これは、たとえその資料が有罪を決定づける存在ほどに重要と思える場合であっても同様です。

  2. (2)証明力とは

    「証拠」として認められた資料が、証明したい事実を認定するにあたってどのような効果をもつのかをあらわすのが「証明力」です。刑事訴訟においては「被告人が犯人だといえるのか」を証明する強さだと言いかえればわかりやすいでしょう。

    その証拠がどの程度の証明力をもつのかは、裁判官の自由な判断に委ねるというのが原則です。これを「自由心証主義」といいます。もっとも、当然「自由・勝手に」というわけにはいきません。その判断は、裁判官自身の経験や論理によって合理的に導かれたものであることが求められます。

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4、証拠能力の要件

ある資料について「証拠能力が認められるかどうか」を判断する際には、次の3点を考慮する考え方があります

● 自然的関連性があること
ある事実を証明する力が一切ない資料を証拠としても意味がないことは明らかです。このような資料は、「(自然的)関連性がない」として証拠能力が否定されます。証明しようとする事実を証明する力(証明力)を最低限備えていることが、「証拠」たる要件といえます。

● 法律的関連性があること
ある資料にある事実を証明する力(証明力)が最低限あったとしても、その証明する力の評価を裁判官に誤らせるおそれがある場合、そのような資料は「(法律的)関連性がない」として証拠能力が否定されます。後述する「伝聞証拠」は、諸説あるところですが、一般的には法律的関連性がないことから法律が証拠能力を否定したものと理解されています。

● 証拠禁止にあたらないこと
自然的・法律的に関連性があっても、適正な手続きを経ていない資料は証拠として認められません。証拠禁止にあたる条件として代表的なものが「違法収集証拠」です。


上記の3点は、絶対的な分類ではありませんが、証拠能力の判断において有用な考え方であるとされています。

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5、証拠能力と証明力の違い

刑事訴訟において紛らわしいのが「証拠能力」と「証明力」です。

「証拠能力」は、その資料が刑事訴訟において採用できるものかどうかの資格です。刑事訴訟の場において証拠と認められるには、まず証拠能力を備えていることが求められます。

一方で「証明力」とは、証拠能力が存在することを前提に、その証拠がある事実を証明するにあたってもつ推認力を指します。いわば「証拠がもつ実質的な価値」です。

どんなに証明力が高く、犯罪を証明するうえで重要な価値をもっていても、証拠能力を備えていなければ刑事訴訟では意味をもちません。例えば、警察官が被疑者本人を取り調べて犯行を認める内容の供述を引き出し、その内容を供述調書に録取したとしても、その背後で脅迫や利益誘導等がなされて供述の任意性が損なわれた場合、そのような供述を証拠とすることは不適切です。そのような証拠は、具体的な供述があって高い証明力があると思われても、証拠能力がないため証拠としては採用されません。

もちろん、適切な証拠能力が備わっていても、証明力がなければその証拠に価値のないことはいうまでもありません。つまり、刑事訴訟における「証拠」は適切な「証拠能力」と十分な「証明力」の両方を備えている必要があります

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6、証拠能力における伝聞証拠とは

法律により証拠能力が原則として否定されるのが「伝聞証拠」です。伝聞証拠とは、刑事訴訟の場の外でなされた話の内容を証拠にして、ある事実を証明しようとすることを意味します。

もっとも、供述書等が刑事裁判において重要な意味を持つことはいうまでもなく、伝聞証拠であっても例外的に証拠能力が認められる場合が少なくなりません。したがって、ある資料がその例外に該当するのかどうかの判断は、極めて重要となります。

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7、証拠能力における違法収集証拠とは

証拠禁止の代表例とされるものが、「違法収集証拠」です。証拠品の押収や被疑者・参考人の供述は、任意性が確保されたうえで適切な手続きを踏まなければなりません。捜査機関による証拠収集の手続きに重大な違法がある場合は、証拠能力が否定されます。

例えば、平成30年3月には、裁判官による令状発付を受けずに窃盗事件の容疑者の車にGPS(衛星利用測位システム)端末を取り付けて行動を確認した件について、違法収集証拠であると認定し、その証拠を採用しなかった事例があります。

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8、証拠能力に関する疑問は弁護士に相談を

以上、簡単にご説明しましたが、刑事訴訟における「証拠」に対するルールや考え方は非常に複雑です。そして、相手にとって有利な証拠があってもその証拠能力を否定することができるかもしれませんし、思わぬ証拠が実は強い証明力を持っていたという事態もありえます。したがって、証拠能力や証明力について正しい理解に基づき正しい判断のできることは、刑事責任を免れ、あるいは軽減するために極めて重要となります。

刑事裁判においてはこのような専門的判断が必要になることから、刑事訴訟における証拠の法的な知識をもつ弁護士のサポートが不可欠です。刑事事件の被疑者として嫌疑をかけられたときは、早い段階で弁護士に相談なさることが大切です。

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9、まとめ

以上のとおり、刑事訴訟における「証拠」は、適正な手続きを経て証拠として採用される資格である「証拠能力」が備わっていなければなりません。また、証拠能力があっても「証明力」がない資料には価値がありません。

どのような資料が証拠となり得るのか、その資料に適切な証拠能力や十分な証明力が備わっているのかの判断は複雑なので、個人でのご対応が難しいのが実情です。少しでも有利に刑事事件を解決するためにも、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にお気兼ねなくご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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