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弁護士コラム

2022年04月28日
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示談成立後に裁判を起こされることはある? 示談成立のメリットとは

示談成立後に裁判を起こされることはある? 示談成立のメリットとは
示談成立後に裁判を起こされることはある? 示談成立のメリットとは

自分や家族が刑事事件の加害者になってしまったとき、被害者との示談を成立させて事件の解決を図ろうと考えることがあるでしょう。しかし実際に示談が成立するとどうなるのか、本当に事件解決となるのか、詳しくは分からないという方が少なくないはずです。

刑事事件で示談が成立しても、刑事裁判になる場合とならない場合があります。どのようなケースで刑事裁判を避けられるのでしょうか? 示談を成立させる効果や示談書に含めるべき内容とあわせて解説します。

1、示談を成立させるメリットとは

示談とは、トラブルの当事者が裁判外での話し合いによってトラブルの解決を図ることです。示談自体は民事上の手続きなので、示談が成立しても直ちに刑事処分を免れるわけではありません。しかし刑事事件の加害者が被害者に謝罪と賠償を尽くして示談を成立させることで、刑事手続きや刑事処分にも大きな効果をもたらす場合があります。

  1. (1)告訴が取り消される可能性が高くなる

    被害者に告訴された事件では、告訴を取り消す約束を含めて示談を進めることが可能です。告訴されていない事件でも、今後告訴しないことを条件として示談を締結することになるでしょう。

    告訴の取り消しまたは告訴しない旨の約束をして示談が成立すれば、逮捕や起訴、厳しい刑罰を免れる可能性が生じます

  2. (2)逮捕のおそれが低下する

    逮捕されていない段階で告訴の取り消しや告訴しない約束を含めて示談が成立すると、逮捕される危険性が低下します。事件の内容にもよりますが、すでに被害者が加害者を許し、当事者同士で事件の解決が図られているのなら、警察もあえて逮捕する必要性は低いと判断する可能性が高まるからです。

    警察が事件を認知していない段階であれば、刑事事件化を防ぎ、被害者との間だけで穏便な解決を図れる可能性もあります。

  3. (3)勾留のおそれが低下する

    逮捕された後の身柄拘束期間は、逮捕段階で最長72時間、勾留段階で最長20日間です。特に勾留が決まると長期間の身柄拘束を余儀なくされるため、事件を起こした事実が会社や学校に知られてしまう、無断欠勤により解雇を言い渡されてしまうといった不利益が想定されます。

    しかし示談が成立すれば、検察官や裁判官が、被疑者があえて逃亡や証拠隠滅を図るおそれは低下しており勾留の必要性はないと判断する可能性があります。早期に身柄を釈放される可能性も高まるでしょう。

    逮捕・勾留されても早期に釈放されれば、解雇など社会生活上の不利益を受けるおそれは大幅に軽減します。

  4. (4)執行猶予つき判決の可能性が高くなる

    検察官に起訴され刑事裁判で審理されることが決定している段階でも、示談を成立させる効果はあります。裁判官は量刑を決める際に、被害回復の有無や程度、被害者の処罰感情も含めて総合的に判断するからです。

    示談をした事実によって、被害者への賠償が行われ、被害者の処罰感情が一定程度は緩和したと評価されれば、判決に執行猶予がつく可能性が出てきます。執行猶予がつくと会社や学校に通うなど社会生活を送りながら更正に努めることができるため、社会復帰が円滑に進みやすいでしょう。

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2、示談書の内容

示談は口頭でも成立しますが、通常は話し合いで決めた内容を「示談書」という書面に残します。刑事事件では、検察官や裁判官に示談が成立した証拠として示すために、また被害者から紛争を蒸し返されるのを防ぐためにも示談書は非常に重要です。

示談書の内容に公的なルールなどはありませんが、刑事事件では特に以下の項目を充足する内容で作成する必要があるでしょう。

  1. (1)清算条項

    清算条項とは、民事上の権利義務関係を清算する意味を持つ条項のことです。紛争の蒸し返しを防ぐために非常に重要なので、刑事事件の示談書でも「示談書に記された内容以外には何ら債権・債務が存在しないことを相互に確認する」などと記載します。

    これにより、示談金のほかに新たな損害賠償金を請求されたり、示談書で約束した以外の要求を受けたりすることがなくなります。

  2. (2)宥恕条項(ゆうじょじょうこう)

    宥恕とは「許す」という意味です。「甲は乙の刑事処分を望まない」といった宥恕文言を入れることで、被害者の処罰感情が緩和された事実を示すことができます。検察官や裁判官は処分や量刑の決定に際して被害者の処罰感情を考慮するため、宥恕条項がある示談書を提出すれば不起訴処分や刑の減軽につながる可能性が高まるでしょう。

    もっとも、受けた損害を賠償してもらいたいが、加害者を許すことはできないから刑事処分は望むという被害者も当然います。宥恕条項がなくても合意さえあれば示談は成立しますし、被害者への賠償を尽くしたことで検察官・裁判官から一定の評価はされます。
    しかし宥恕条項を含めて示談が成立した場合と比べると示談の効果が限定的になってしまうため、被害者から宥恕意思を得ることは非常に大切です。

  3. (3)被害回復の完了・見込み

    被害者に与えた損害は示談金の支払いによって回復させる必要があるため、示談書に示談金の額や支払期日、支払い方法など示談金に関する約束事を盛り込みます。

    最も望ましいのは、示談の成立後すぐに示談金を一括で支払い、支払いが完了した旨を示談書に記載することです。これにより被害回復が完了したとみなされるため、起訴・不起訴や量刑の判断に際して有利にはたらきます。

    すぐに支払えない場合は交渉次第では分割払いも可能ですが、支払いが済んでいない以上は「被害回復の見込み」があるとの評価にとどまるため、支払いが完了した場合と比較すると示談の効果が弱くなります。検察官や裁判官に被害回復の見込みが大きいと評価してもらうには、最初にまとまった金額を支払う、分割は短い期間にするなどの工夫も必要です。

  4. (4)被害届や告訴の取り消し

    被害届や告訴を取り消す内容を盛り込むことができれば、被害者の処罰感情が緩和されたと評価されるため、不起訴処分や刑の減軽につながります。

    すでに被害届や告訴が提出されている場合は、「甲は被害届を取り下げる」、被害届や告訴状が提出される前であれば「乙が示談金の全額を支払ったときは、甲は告訴や被害届の提出を行わない」などと記載します。

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3、示談成立後に裁判となる可能性はある?

検察官が起訴すると刑事裁判が開かれます。そのため刑事裁判になるかどうかは、検察官が起訴するかどうかにかかっています。

示談が成立したとしても、検察官が起訴して刑事裁判になるケースはあるのでしょうか?

  1. (1)告訴前に示談を成立させたケース

    被害者から告訴される前に示談交渉する場合は、告訴しない旨を示談書に盛り込むことが大切です。示談書に盛り込まれた以上、その約束を守る義務が生じるため、被害者は告訴できなくなります。

    そして「親告罪」の場合は、告訴がないと検察官が起訴できないため、刑事裁判が開かれることはありません。親告罪には、たとえば名誉毀損(きそん)罪(刑法第230条)や侮辱罪(同第231条)、器物損壊罪(同第261条)などがあります。

    一方、非親告罪では告訴がなくても起訴され、刑事裁判になるおそれが残ります。しかし、告訴は被害者による「加害者を処罰してほしい」という意思の表れなので、告訴しない約束がなされた以上は、被害者の処罰感情が低いと評価され、不起訴となる可能性が高まります。

    なお、示談書で約束したのに被害者の気が変わり、後になって告訴された場合でも、どのような内容で示談が成立したのかが考慮されるため、やはり告訴をしない約束を盛り込むことは重要です。

  2. (2)告訴後に示談を成立させたケース

    告訴された後でも、告訴の取り消しを約束する内容で示談が成立すると不起訴となる可能性が高まります。被害者は一度告訴を取り消すと再度の告訴ができないため(刑事訴訟法第237条)、「親告罪」では告訴が取り消されると必ず不起訴処分となります。

    そのため弁護士が示談交渉を代理する場合は、確実に告訴を取り消してもらうために示談書とあわせて「告訴取消書」を作成し、被害者の署名・押印をもらって検察官に提出するケースが多くあります。

    非親告罪では、告訴が取り消されても検察官の判断で起訴され、刑事裁判になるおそれが残ります。しかし告訴が取り消されたことで、被害者の処罰感情がやわらいだと評価されるため、不起訴処分となる可能性は高まるでしょう。特に、初犯である、被害がそれほど大きくないといった有利な事情も加われば、不起訴処分となる可能性はかなり高くなるといえます

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4、弁護士に示談を依頼するメリット

刑事事件の加害者が被害者と示談を成立させるのは極めて重要です。しかし加害者本人やそのご家族が被害者と直接の交渉を試みるのではなく、示談交渉は弁護士に一任するべきです。なぜ弁護士に任せるべきか、その理由を解説します。

  1. (1)適正な示談金額で交渉を進められる

    示談交渉で欠かせないのが示談金ですが、いくらの示談金を支払えばよいのか一般の方が判断することは困難です。事件の内容に見合わない低額を提示すれば、被害者から誠意がないと捉えられてしまうでしょう。反対に、被害者から高額の示談金を要求された場合も、それが適正なのか、言われるままに応じてよいのかといった判断がつかないはずです。

    弁護士は、類似の事件や近年の裁判例をもとにした示談金の相場観をもっています被害者に納得してもらい、かつ法外な示談金を支払うことのないように、適正な額で示談交渉を進められます

  2. (2)被害者が示談交渉に応じやすい

    示談交渉をするには被害者の連絡先の入手が不可欠ですが、捜査機関は二次被害防止の観点から加害者やその家族に被害者の連絡先を教えることはありません。

    被害者が知人であるなどで連絡先を知っている場合も、本人やご家族が接触するのは避けるべきです。安易に示談交渉を持ちかけると、脅迫や強要と捉えられて別の刑事責任を追及される、捜査機関から証拠隠滅を図ったとして逮捕・勾留される、といった事態になりかねません。

    弁護士であれば、捜査機関を通じて被害者に示談の意思を伝え、被害者の承諾を得たうえで連絡先を入手できる可能性があります。被害者が加害者側に拒絶反応を示している場合でも、弁護士が被害者感情に配慮しながら粘り強く話し合いを求めることで、被害者の警戒心が解かれて示談に応じてくれる可能性を高められます

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5、まとめ

示談の成立後に刑事裁判を回避するためには、告訴の取り消しや告訴しない約束を示談書に記すことが重要です。親告罪では告訴が取り消されると必ず不起訴処分になるため刑事裁判になりません。非親告罪では告訴が取り消されても起訴されるおそれは残りますが、示談の成立によって被害者の処罰感情が薄れたと判断されるため、不起訴処分となる可能性が高まります。

加害者本人やご家族が被害者と直接の交渉を進めるのはさまざまなリスクがともなうため、示談交渉は弁護士に一任するのが最善です。刑事事件の示談交渉は、刑事弁護の実績豊富なベリーベスト法律事務所へお任せください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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