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弁護士コラム

2022年05月31日
  • その他
  • 迷惑防止条例
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迷惑防止条例の成立要件とは? 逮捕される行為や刑罰も紹介

迷惑防止条例の成立要件とは? 逮捕される行為や刑罰も紹介
迷惑防止条例の成立要件とは? 逮捕される行為や刑罰も紹介

令和3年9月、痴漢行為をはたらいた容疑で49歳の男が逮捕されました。地下鉄の車内で隣に座っていた女性の太ももを触り「迷惑防止条例違反」の容疑で逮捕されたとのことです。ただし、同事件は令和4年2月に不起訴となったことが報道されたため、結果として、刑事裁判は開かれず、刑罰も科せられていません。

痴漢行為を罰する代表的な法令が「迷惑防止条例」です。ただし、痴漢行為には状況に応じてさまざまな法令が適用されるため、どのような行為にどの法令が適用されるのかの判断は複雑に感じられるでしょう。

本コラムでは「迷惑防止条例違反」が成立する要件を中心に、逮捕される危険のある行為、迷惑防止条例違反が適用された場合に科せられる刑罰、不起訴となるためにはどうすべきかなどについて、弁護士が解説します。

1、迷惑防止条例とは

まずは「迷惑防止条例」とはどのような条例なのかを確認しておきましょう。

  1. (1)各都道府県が定める「迷惑防止条例」

    迷惑防止条例は、各都道府県が独自に定めている条例のひとつです。

    全国一律の法律とは異なるため、自治体によって名称に若干の違いがあります。東京都のものは「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」が正式名称です。

    違いがあるのは名称だけではありません。規制される内容や科せられる刑罰にも違いがあります。そのため、ある地域では規制される行為でも別の地域では規制を受けなかったり、地域によって刑罰の重さが異なったりすることを知っておきましょう。

    それでも、全国の迷惑防止条例と東京都の迷惑防止条例では、規制される行為や刑罰で共通のものも多くあります。たとえば、一般的にいう「痴漢」にあたる行為は、全国どの地域でも同じように規制されると考えておくべきです

  2. (2)迷惑防止条例で注意すべき改正点

    迷惑防止条例は改正が目立つ法令です。平成30年には、東京都が盗撮行為の規制場所を拡大し、さらにつきまとい行為等の行為類型の追加と罰則強化を行いました。

    都の条例であれば改正の効果は東京都のみですが、改正は順次全国へと広がりつつあります。ただし、東京都で改正されたからといってどの地域でも改正されるとはいえません。地域によっては、全国的に改正へと向かう流れがあっても改正されない地域があるでしょう。

  3. (3)迷惑防止条例違反と「強制わいせつ罪」の関係

    痴漢行為を罰する代表的な犯罪として迷惑防止条例違反と肩を並べるのが、刑法の「強制わいせつ罪」です

    両者を明確に区別する基準はありませんが、一般的に、衣服の上から触るなど行為の程度が軽度であれば迷惑防止条例違反が適用されます。身体に直接触れたり、陰部を触ったりするなど、強度であれば強制わいせつ罪が適用されるおそれが高いでしょう。

    迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪では、強制わいせつ罪のほうが厳しく処罰されます。

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2、迷惑防止条例違反で逮捕される行為と要件

冒頭で紹介した事例のように、迷惑防止条例違反の容疑をかけられると警察に逮捕されてしまう危険が高いでしょう。たとえ逮捕されず任意の在宅事件として処理されたとしても、検察官が起訴すれば刑事裁判で審理され、有罪となれば刑罰が科せられてしまいます。

迷惑防止条例違反となる行為の類型や成立の要件をチェックしていきましょう。

  1. (1)痴漢

    公共の場所や公共の乗り物において、衣服などの上から、または直接人の身体に触れる行為です。単に「触れた」というだけでなく、正当な理由がないこと、人を著しく羞恥させ、不安を覚えさせる行為であることといった条件があります

    たとえば、落とし物をした人を呼び止める際に肩をたたいて知らせるといった行為まで処罰の対象に含むわけではありません。

  2. (2)盗撮

    人が通常は衣服で隠している下着・身体をカメラやスマホなどで撮影する行為です。実際に撮影するだけでなく、盗撮目的で人にカメラを向ける、隠しカメラを設置するなどの行為も含まれます。

    なお、盗撮行為が規制されるのは、住居・トイレ・風呂・更衣室などのように、人が服を脱いだり裸でいたりするような場所が主ですが、これでは会社・学校などが含まれないという問題がありました。

    そこで、東京都では、公共の場所・公共の乗り物・学校・事務所・タクシーなど、不特定または多数の人が利用し、または出入りする場所・乗り物を規制場所とする改正が行われました。

  3. (3)卑わいな言動

    公共の場所や公共の乗り物において「卑わいな言動」をする行為です。身体には触れていない場合でも、スカートをめくる、人の性的羞恥心を害する言葉をなげかけるといった行為も規制されます。

    スマホの画像共有機能を悪用して、周囲の人にわいせつな画像を送りつける、いわゆる「airdrop(エアドロップ)痴漢」も規制対象になりうると考えられるでしょう。

  4. (4)つきまとい行為

    恨み・ねたみなど、悪意の感情を充足する目的で、待ち伏せや監視などをする行為です。ストーカー規制法にもよく似ている規定がありますが、恋愛感情やそれが成就しないことへの怨恨(えんこん)の感情を充足させる目的をもっているという点で区別されます。

  5. (5)不当客引き行為

    繁華街などでみかける、飲食店や風俗店などへの「不当客引き行為」も規制対象です。一斉摘発のために巡回していた警察官に客引き行為を仕掛けてしまい、現行犯逮捕されてしまうといった事例も散見されます。

  6. (6)その他

    ここで挙げた行為のほかにも、コンサートやスポーツの試合会場などで入場券を転売する「ダフ屋行為」、パチンコ店などで景品を買い集める「景品買い」のほか、「押し売り」や「たかり」といった迷惑行為も規制対象です。

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3、迷惑防止条例違反による刑罰

迷惑防止条例違反にあたる行為があると、警察・検察官による捜査を経て、刑事裁判へと発展します。刑事裁判の最終回では裁判官から量刑が言い渡され、刑罰が決まります。

迷惑防止条例違反に対する刑罰は、各都道府県が独自に定めているため一律ではありません。ただし、規制対象となる行為と同様に、全国の迷惑防止条例の基準と東京都の迷惑防止条例の基準は類似しているといえます。

迷惑防止条例違反にあたる典型的な行為に対する刑罰について、東京都のものを例に挙げて確認していきましょう。

  1. (1)痴漢

    痴漢は、東京都の迷惑防止条例第5条1項1号の違反にあたる行為です。罰則の第8条1項2号が適用され、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

    なお「常習」と判断された場合は同条8項が適用され、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に加重されます。ここでいう常習とは、何度も痴漢行為によって迷惑防止条例違反として逮捕・処罰された経歴をもつ場合に限りません。たとえ発覚したのが初めてでも、反復して違反行為を犯す習癖が認められると常習となります。

  2. (2)盗撮

    盗撮は、東京都の迷惑防止条例第5条1項2号の違反にあたる行為です。罰則の第8条2項1号が適用され、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。常習の場合の罰則は同条7項によって2年以下の懲役または100万円以下の罰金へと加重されます。

    盗撮行為はスマホやパソコンの解析から過去の犯行が証明されやすいため、前科・前歴がなくても「常習性が高い」と判断されやすいという特徴があります。事件後に証拠品が押収されて常習と判断されれば、厳しい刑罰は避けられない事態へと発展する可能性が出てくるでしょう。

  3. (3)卑わいな言動

    卑わいな言動は、東京都の迷惑防止条例第5条1項3号の違反にあたる行為です。痴漢と同じ罰条が適用されるため、罰則は6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金となります。常習による加重も痴漢と同じなので、罰則は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

    盗撮行為のように常習性が証明されやすいわけではないものの、被害者が警察に相談し、たびたび卑わいな言動をはたらいている状況が確認されれば、常習として加重されてしまう危険があります。

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4、迷惑防止条例違反の時効

迷惑防止条例違反にも、ほかの犯罪と同じように「時効」があります。時効が経過すると検察官が起訴できなくなるので、刑罰は科せられません。

迷惑防止条例違反の時効は、痴漢・盗撮・卑わいな言動など、いずれの場合でも「3年」です。犯行の日から3年が経過すると時効が成立しますが、3年間も捜査の手を逃れるのは容易なことではありません。逃げ隠れしたり、証拠を隠したりしていると、逮捕の危険も高まってしまいます。

時効成立を期待するのではなく、積極的な解決を目指す心づもりが大切です。

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5、逮捕前に知っておくべきこと

迷惑防止条例違反にあたる行為をしてしまった自覚があるなら、すでに被害者が警察に被害届を提出して捜査が始まっていて、間近に逮捕が迫っているかもしれません。逮捕や厳しい刑罰を避けたいと望むなら、積極的な解決を目指しましょう。

  1. (1)示談交渉について

    被害者に謝罪したうえで、精神的苦痛を与えてしまったことや実際に生じた損害に対する賠償金を支払う話し合いが「示談」です。示談交渉によって被害者と加害者の間で和解が成立すれば、被害届や刑事告訴が取り下げられて捜査が終結したり、検察官が起訴を見送ったりする可能性があります

    示談は裁判外で被害者・加害者が話し合う民事的な手続きであり、いつ、だれかが示談交渉を進めるのかといった決まりはありません。ただし、犯罪被害者の多くは加害者に対して強い怒りや嫌悪の感情をもっているため、加害者本人やその家族による示談交渉は難航しやすいでしょう。

    また、相手が知り合いであった場合、示談の申し入れをしていると、被害者が「脅されている」と勘違いして別の事件に発展してしまう危険があることは否定できません。そもそも、通りすがりの犯行の場合は相手がだれかなのかがわからないことがあります。当然ですが、警察は被害者の個人情報を被疑者に教えることはないため、個人で対応しようとしてもそもそも示談ができない事態に陥ります。いずれにしても、弁護士に対応を一任することをおすすめします。

  2. (2)弁護士への相談について

    迷惑防止条例違反にあたる行為をはたらいてしまい、警察から連絡が来たもののまだ逮捕されていない段階なら、すぐにでも弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。詳しい状況を伝えれば、逮捕の危険がある状況なのか、穏便に解決するにはどのような対策が有効なのかを知ることができるでしょう。今後の見通し、刑事事件の流れ、逮捕や刑罰を回避できる可能性などについても、法的な角度から的確なアドバイスが可能です。

    危険な状況であればすぐにアクションを起こす必要がありますが、加害者本人では「どのような状況なのか」さえ正確には把握できません。自分自身が置かれている状況の診断を受けるという意味でも、弁護士への相談を急ぎましょう

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6、迷惑防止条例違反を犯した場合は弁護士に依頼を

迷惑防止条例違反にあたる行為があったとしても、弁護士の的確なサポートがあれば事件を穏便に解決できる可能性があります。では、弁護士への相談によってどのような解決が期待できるのでしょうか?

  1. (1)示談交渉を適切に進められる

    加害者本人やその家族による示談交渉は、被害者の警戒心を強めて失敗の危険が高まるだけでなく、高額な示談金を請求されて話し合いが頓挫してしまうおそれがあります。弁護士が代理人として交渉にあたることで、円滑な示談交渉が実現できる可能性が高まるのはもちろん、同様のケースに照らして適切な示談金額を示すことも可能です。

    示談交渉は謝罪を示す機会なので、被害者優位で進行するのは当然かもしれません。しかし、事件を穏便に解決するためとはいえ、理不尽なほどに高額な示談金の支払いを求められ、無用に重い経済的負担を強いられて事件後の生活を圧迫してしまうような事態は避けるべきです。

    また、そもそも相手がどこのだれかがわからないとき、示談を進めることさえできなくなります。前述の通り、警察は被疑者へ被害者の情報を教えることはないためです。しかし、弁護士が対応することにより、示談を進めることが可能となります。示談を進めたいと望むなら、弁護士に交渉を一任しましょう。

  2. (2)勾留阻止につながる

    警察に逮捕されると、警察段階で48時間以内、検察官の段階で24時間以内、合計で最大72時間にわたる身柄拘束を受けます。しかし、この段階で釈放されれば会社や学校への言い訳には苦慮しないかもしれません。

    問題は、検察官の請求によって「勾留」が決まった場合です。勾留が決定すると、初回で10日間、延長請求でさらに10日以内、合計で最大20日間にわたって身柄拘束が続きます。

    身柄拘束による不利益を抑えるためには勾留の回避が必須です。ところが、逮捕後72時間以内は弁護士以外の者との面会は認められず、正確な情報を伝えることさえできないので、家族によるサポートでは期待できません。

    この期間に逮捕された本人と面会できるのは、自由な接見が認められている弁護士だけです。弁護士のサポートを得れば、検察官に対して勾留請求をしないようはたらきかけたり、裁判官に対して勾留を許可しないよう意見書を提出したりといった対応で、勾留の阻止による早期釈放が実現できる可能性が高まります。

  3. (3)不起訴処分の可能性が高まる

    被害者との示談成立や捜査機関・裁判官へのはたらきかけがあれば、検察官が起訴を見送って「不起訴処分」とする可能性が高まります。不起訴処分になれば刑事裁判が開かれないので、たとえ迷惑防止条例違反にあたる行為があったことが事実でも、刑罰や前科がついてしまう事態を回避できます

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7、まとめ

痴漢や盗撮といった行為は「迷惑防止条例」によって規制されています。違反行為があれば逮捕されてしまう危険があるだけでなく、厳しい刑罰が科せられて社会復帰が困難になってしまうかもしれません。

迷惑防止条例違反にあたる行為をしてしまい、逮捕や刑罰に不安を感じているなら、被害者との示談交渉など、積極的な解決を目指したほうが賢明です。刑事事件の迅速な解決は、ベリーベスト法律事務所におまかせください

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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