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弁護士コラム

2025年05月07日
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家族が不同意性交等罪の加害者に…刑罰や今後の対応を弁護士が解説

家族が不同意性交等罪の加害者に…刑罰や今後の対応を弁護士が解説
家族が不同意性交等罪の加害者に…刑罰や今後の対応を弁護士が解説

令和5年7月の刑法改正の施行によって、強制性交等罪は不同意性交等罪に、強制性交等致死傷罪は不同意性交等致死傷罪に変わりました(刑法第177条)。不同意性交等罪とは、相手の同意がない状態で性交等を行った場合などに成立する犯罪です。これには、相手が同意しない意思を表明するのが困難な状態や、暴行・脅迫を受けている場合なども含まれます。

家族が不同意性交等罪の疑いで逮捕された場合、有罪になる割合やどのような刑罰が科されるのか不安になる方は多いでしょう。

本コラムでは、不同意性交等罪の概要や逮捕後の手続き、逮捕後のリスクなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

目次を開く

  1. 1、不同意性交等罪の成立要件とは
    1. (1)「性交等」に該当する行為であること
    2. (2)相手の同意がない状態であること
    3. (3)年齢に関する特別要件
  2. 2、不同意性交等罪で加害者になった場合の刑罰
    1. (1)不同意性交等罪の刑罰
    2. (2)不同意性交等致死傷罪の場合はさらに罪が重くなる
    3. (3)不同意性交等罪の裁判例
  3. 3、不同意性交等罪で逮捕された後の流れ
  4. 4、不同意性交等罪で起訴される割合
  5. 5、不同意性交等罪で逮捕・起訴・有罪になった場合のリスク
    1. (1)解雇、退学になる可能性
    2. (2)実名報道などによる社会的信用の損失
    3. (3)職業の制限
  6. 6、不同意性交等罪の加害者として疑われた場合は弁護士にすぐ相談を
    1. (1)不同意ではなかったことを証明するための証拠集め
    2. (2)被害者家族への謝罪と示談交渉
    3. (3)裁判員制度を念頭にいれた弁護活動
    4. (4)再犯防止への支援
  7. 7、不同意性交等罪は重罪! 不起訴を目指した早期の弁護活動が大切

1、不同意性交等罪の成立要件とは

「不同意性交等罪」とは、相手の同意なしに性的行為をすることを罰する法律です。
法律の目的は「性的自己決定権」の保護にあります。性的自己決定権とは、自分の体に関する性的な事柄について、誰と、いつ、どのような形で関わるかを自分自身で決定できる権利のことです。

以下では、不同意性交等罪がどのような要件で成立するのかを確認していきましょう。

  1. (1)「性交等」に該当する行為であること

    不同意性交等罪の「性交等」には、性交(いわゆるセックス)だけでなくそのほかの性的な行為も含まれます。性交等に該当する、具体的な行為の例は、以下のとおりです。


    • 性交
    • 口腔性交
    • 肛門性交
    • 膣もしくは肛門に身体の一部や物を挿入する行為


    これらの行為が被害者の明確な同意なしに行われた場合、不同意性交等罪として処罰を受ける可能性があります

  2. (2)相手の同意がない状態であること

    不同意性交等罪において、相手の同意があったのかどうかについては非常に重要です。
    以下のいずれかの状況で行為が行われた場合、「不同意」とみなされます。


    「不同意」とみなされる状況
    意思決定や意思表示が困難な状態 暴行または脅迫を受けている
    心身の障害がある
    アルコールや薬物の影響を受けている
    睡眠などにより意識が明瞭でない
    自分の意思を形成・表明・維持する余裕がない
    心理的・社会的に拒否が困難な状態 予想外の事態に直面して恐怖・驚愕(きょうがく)している
    虐待に起因する心理的反応がある
    経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益を憂慮している
    錯誤・誤信に基づく場合 行為がわいせつなものではないと誤信させられている
    人違いをしている状態である

    また、不同意性交等罪は「非親告罪」であり、被害者が加害者の処罰を求める意思表示をしなくても起訴される可能性があります

    なお、不同意性交等罪は法律上の配偶者であっても成立するため、夫婦間であっても性交等への合意の確認は必要です。

  3. (3)年齢に関する特別要件

    被害者が未成年の場合は、以下の条件にあてはまると、同意の有無にかかわらず不同意性交等罪が成立する可能性があるため注意が必要です。


    • 相手が13歳未満の場合
    • 被害者が13歳以上16歳未満で、かつ加害者が被害者より5歳以上年上の場合

2、不同意性交等罪で加害者になった場合の刑罰

不同意性交等罪で加害者になった場合、どのような刑罰が科されるのでしょうか。以下では、不同意性交等罪の刑罰や裁判例について解説していきます。

  1. (1)不同意性交等罪の刑罰

    不同意性交等罪の刑罰は、5年以上の有期拘禁刑となります(刑法第177条)。拘禁刑とは、従来の懲役刑と禁錮刑を一本化した新たな刑罰です。
    ※拘禁刑が施行されるのは令和7年6月1日からのため、施行前は懲役刑が適用されます。

    懲役刑・禁錮刑と拘禁刑の違いや具体的な変更内容に関しては、以下のコラムをご覧ください。


  2. (2)不同意性交等致死傷罪の場合はさらに罪が重くなる

    被害者が負傷または死亡した場合は、不同意性交等罪よりもさらに重い「不同意性交等致死傷罪」が適用されます。

    不同意性交等致死傷罪の刑罰は、無期または6年以上の拘禁刑です。被害者が重大な傷を負った場合や死亡した場合には、重い処罰が下される可能性が高くなります。

    なお、不同意性交等致死傷罪における負傷は、殴る蹴る等の行為による傷害だけではありません。挿入したときの摩擦で膣壁が裂傷を負った場合など、性交等による身体的損傷も含まれます

  3. (3)不同意性交等罪の裁判例

    実際に、犯行の内容によってどのような判決が下されているのでしょうか? 不同意性交等罪や不同意性交等致死傷罪の裁判例を3つご紹介します。

    ① 被害者をだまして性行為に及んだケース【東京地方裁判所・令和6年7月19日判決】
    ・事件の概要
    被告人は、占い師として活動していた者で、初めて会った被害者A(当時43歳)を客として占った後、再会した際に「子宮が黒くなっている」などと言い、これを取り除くためとしてホテルでマッサージを施術中、いきなり両手で被害者の乳房をもむなど性的行為が予想されていない状況で被害者を恐怖・驚愕(きょうがく)させ、膣内に手指を挿入して性交等をしました。

    ・量刑の理由
    占い師という立場を利用した悪質な犯行であり、被害者の精神的苦痛は大きく結果は重大であること、法改正直後の犯行であり改正の趣旨も踏まえて実刑が相当と判断されました。一方で、性交等に及んだ時間は比較的短時間で、事実関係をおおむね認め反省していること、罰金の前科のみであることなども考慮されました。

    ・判決
    被告人は、不同意性交等罪により、酌量減軽の上、「懲役4年」の判決が下りました。

    ② 16歳未満の被害者と交際していたケース【長崎地方裁判所・令和6年5月22日判決】
    ・事件の概要
    被告人(25歳)は交際関係にあった被害者が16歳未満であることを知りながら、性交等をし、その後自分の支配下に置き誘拐しています。

    ・量刑の理由
    不同意性交等についてみると悪質な態様であるものの、被告人と被害者はSNSを通じて親密な関係を築いており、相互に依存し合う関係にあったことや、精神的に不安定な状態の被害者から再三懇願されて誘拐などの犯行に至った経緯なども考慮されています。

    ・判決
    被告人は、未成年者誘拐・不同意性交等の罪で「懲役3年執行猶予5年(保護観察付き)」の判決を言い渡されています。

    ③ 性犯罪の再犯・未成年の被害者に傷害を負わせたケース【東京地方裁判所・令和6年7月24日判決】
    ・事件の概要
    被告人は、当時15歳の女子Aに対し、「殺すぞ」などと脅し、カッターナイフを首元に突きつけ、頭部付近を殴るなどの暴行・脅迫を加え、被害者が抵抗できない状態にしています。被害者の胸を着衣の上から触り、性交しようとしたところ、通行人に気づいて逃走したため未遂に終わったものの、被害者は全治約2週間の頭部打撲割創等の傷害を負いました。

    ・量刑の理由
    強姦関連の前科が2件あり、前回の刑執行終了からわずか1年4か月余りで再犯であり、ゴム手袋等を準備するなど計画的な犯行で、凶器(カッターナイフ)を使用する手口も悪質であること、未成年への犯行という事件の重大さなどが量刑に影響しています。

    ・判決
    被告人は、不同意性交等致傷罪と累犯加重(再犯によるペナルティー)で検察官の求刑(懲役9年)よりも重い、「懲役10年」の判決が下りました。

    不同意性交等罪は社会的影響の大きい犯罪です。特に被害者が未成年者である場合は、厳しく処罰される傾向にあります。

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3、不同意性交等罪で逮捕された後の流れ

不同意性交等罪で逮捕された場合、以下のような流れで刑事手続きが進行します。

逮捕後の流れ
  • 警察による逮捕・取り調べ
  • 検察への送致の決定(逮捕から48時間以内)
  • 勾留請求の決定(送致から24時間以内)
  • 勾留(最大20日間)
  • 起訴・不起訴の決定
  • 起訴された場合は刑事裁判
  • 審理期間を経て判決

逮捕後の流れについて詳しくはこちらをご覧ください。

4、不同意性交等罪で起訴される割合

法務省の犯罪白書によると、令和5年における不同意性交等罪で身柄率(逮捕され身柄を拘束される割合)は56.7%、勾留請求率は99.3%と高いのに対し、起訴率は33.4%でした。

日本の刑事裁判では、起訴された場合はほぼ99.9%の確率で有罪になるため、不同意性交等罪で逮捕された場合は不起訴を目指した弁護活動が重要だということがわかります。

出典:「令和6年版犯罪白書」(法務省)

5、不同意性交等罪で逮捕・起訴・有罪になった場合のリスク

不同意性交等罪で逮捕・起訴され有罪判決を受けた場合、さまざまなリスクが生じます。具体的にどのようなリスクが考えられるのか、以下で確認していきましょう。

  1. (1)解雇、退学になる可能性

    不同意性交等罪で逮捕された場合、勤務先から解雇される、または学校から退学処分を受けるリスクがあります。

    企業や学校には「社会的信用を守る」という観点があり、刑事事件を起こした従業員や学生に対して厳しく対応するのが一般的です。特に、不祥事が明るみに出た場合、組織の評判を守るために解雇や退学処分を決定する可能性もあるでしょう。

    ただし、逮捕されたからといって必ず解雇や退学処分を受けるとは限りません。処分の基準は企業や学校によっても異なるため、一度就業規則や学則を確認しておくことをおすすめします。

  2. (2)実名報道などによる社会的信用の損失

    不同意性交等罪で逮捕・起訴された場合、実名報道などによって社会的信用を失うリスクがあります。

    刑事事件の報道に明確な基準はありません。しかし、悪質な事件や社会的関心の強い犯罪の場合、新聞やテレビ・ネットニュースで報じられる可能性が高くなります。

    実名報道されると家族や友人・会社・学校などに事件の内容を知られることになり、社会生活に影響を及ぼすケースもあるでしょう。実名報道を避けるためには、早期に弁護士へ相談し対策をとる必要があります。

  3. (3)職業の制限

    不同意性交等罪で有罪判決を受けた場合は前科がつき、特定の職業の資格に制限を受ける可能性があります。前科がついたことによって失う可能性のある主な資格は、以下のとおりです。


    • 法律・行政関係
    • 教育・保育関係
    • 福祉・医療関係
    • 中小企業診断士
    • 一般建設業


    また、令和6年6月19日に「日本版DBS」を導入する法案が可決・成立しました。日本版DBSとは、性犯罪歴のある人物が子どもとかかわる仕事に就くことを防ぐ制度です。

    日本版DBSは令和8年度中に施行される予定です。この制度が導入されると、不同意性交等罪を含む性犯罪の前科がある場合は教育や保育の分野で働くことが困難になります。

6、不同意性交等罪の加害者として疑われた場合は弁護士にすぐ相談を

不同意性交等罪の罪に問われた場合は、すぐに弁護士へ相談しましょう。早い段階で相談することで、逮捕後の対応に関するアドバイスや弁護活動などができます。

以下では、不同意性交等罪の罪に問われたときに弁護士ができることについてそれぞれ解説していきます。

  1. (1)不同意ではなかったことを証明するための証拠集め

    弁護士は、不同意ではなかったことを証明するための証拠集めをサポートできます。不同意ではなかったことを証明できるのは、以下のような証拠です。


    • LINEやメールなどのやり取り
    • 防犯カメラの映像
    • 会話の録音データ
    • 日付と具体的な言動・行動の記録
    • 第三者の証言


    法的に有効な証拠を個人で収集するのは困難なため、早めに弁護士へ相談するのが得策といえるでしょう。

  2. (2)被害者家族への謝罪と示談交渉

    弁護士は、被害者家族への謝罪と示談交渉を代行できます。不同意性交等罪で不起訴処分を目指す場合、重要なポイントとなるのが被害者やその家族との示談です。

    不同意性交等罪は非親告罪ですが、示談が成立していて被害者側が加害者の処罰を望まない場合、不起訴となる可能性が高まります

    しかし、不同意性交等罪の加害者本人が被害者と交渉するのは現実的ではありません。示談交渉を行う際は被害者の心情に配慮しながら、弁護士を通じて慎重に進めていく必要があります。

  3. (3)裁判員制度を念頭にいれた弁護活動

    弁護士は、裁判員制度を念頭にいれた弁護活動も可能です。被害者を負傷または死亡させた不同意性交等致死傷罪は、裁判員裁判の対象事件となります。

    裁判員制度とは、一般市民から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加する制度です。裁判員は、裁判官と共に被告人が有罪か無罪か、また有罪の場合にどのような刑にするかを決定します。

    裁判員裁判では、反省・更生の意欲や合理性を裁判員に伝わるように主張することがポイントです。特に不同意性交等致死傷罪の量刑は極めて重いため、弁護士と綿密に戦略を立てる必要があります

  4. (4)再犯防止への支援

    弁護士は、再犯防止へ向けた支援も行っています。不同意性交等罪などの犯罪は、弁護活動だけでなく社会復帰後の再発防止も重要な課題です。

    法務省の再犯防止推進白書によると、令和2年出所者のうち、性犯罪の2年以内の再入者率は5.0%でした。出所者全体では15.1%であり、特別に性犯罪の再犯率が高いとはいえません。

    しかし、性犯罪は被害者の心身に甚大な悪影響を及ぼすおそれがあるため、積極的に再犯防止策に取り組む必要があります。釈放後・出所後の生活や再犯に関する不安がある方は、弁護士への相談を検討してみてください。

    出典:「再犯防止推進白書」(法務省)

7、不同意性交等罪は重罪! 不起訴を目指した早期の弁護活動が大切

不同意性交等罪で有罪判決を受けた場合は、厳しい処罰や社会的な影響を受ける可能性があります。

加害者として逮捕された場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが望ましいです。弁護士を通じて証拠の確保や被害者との示談交渉を進めることで、不起訴処分や刑罰の軽減を目指せます

家族が不同意性交等罪の疑いをかけられている場合には、経験豊富な刑事事件専門チームを有する、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
刑事事件問題でお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所へお気軽にお問い合わせください。

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