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通っていたハプニングバーが摘発! 逮捕される可能性がある行為とは
男女が集い、性的なハプニングを期待しながらお酒や会話を楽しむ場所をハプニングバー(略称:ハプバー)といいます。特殊な業態であり、店が大々的に宣伝されることは少ないですが、人づてに聞いて利用したという方もいるでしょう。
一方で、ハプニングバーが摘発されるケースも発生しています。自分が利用したハプニングバーが摘発された場合、自分も逮捕されるのではないかと不安を感じるでしょう。
そもそもハプニングバーは違法な店なのでしょうか? 逮捕されるのはどのような行為におよんだ場合なのでしょうか? 本コラムでは、客としてハプニングバーを利用した場合にどのような行為をすると罪に問われるのか、また有罪になったときの罰則について解説します。
1、ハプニングバー(ハプバー)は違法?
ハプニングバーとは、さまざまな性的嗜好(しこう)をもった客が集まり、お酒を飲みながら、ほかの客と性的な会話を楽しむことなどを目的としたバーです。店ごとにシステムは異なりますが、特徴としては会員制で入店時に身分証明書などの提示を求められる、男女で料金が異なるといった点が挙げられます。
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(1)法律上ハプニングバーは何に該当するのか
法律上、ハプニングバーを明確に定義するものはありませんが、「深夜酒類提供飲食店」として、公安委員会に対し風営法第33条で定められている営業の届け出をしているケースが多数と考えられます。
つまり表向きは、酒類をメインに提供する、接待をともなわないバーや居酒屋などと同じ業態として扱われていることになります。 -
(2)逮捕事例もある
公安委員会への届け出が受理されているのであれば、ハプニングバーの営業自体が違法というわけではありません。しかしハプニングバーが摘発され、経営者や従業員だけでなく客が逮捕された事例もあります。
では、どのような行為が罪にあたるのでしょうか。次の章で詳しく見ていきましょう。
2、公然わいせつにあたる行為
客の立場としてハプニングバーに行くこと自体が違法とはいえませんが、店内で性交や性交類似行為をする、全裸になる、性器を露出するなどの行為をすれば違法です。刑法第174条で規定されている「公然わいせつ罪」に問われ逮捕される可能性があります。
公然わいせつ罪は、言葉が示すとおり「公然とわいせつな行為をする」ことで成立する犯罪です。
公然わいせつ罪の「公然」とは、不特定または多数の人が認識できる状態をいいます。公園や駅構内などの公共の場所はもちろんですが、それ以外にも、外から見える自宅の庭やカラオケ店の個室、インターネット上など、不特定または多数の人目に触れる可能性があれば公然性の要件を満たします。
ハプニングバーも見ず知らずの客が集まる場所なので、公然性があると考えられます。
ハプニングバーの「個室」で性交や性交類似行為をした場合に公然わいせつ罪が成立するか否かは、状況によって異なります。たとえば、ほかの客などからまったく見えない構造の個室で、当人同士が合意のもとで性交をした場合には、公然わいせつ罪には該当しないでしょう。
一方で、ドアの一部がガラス張りになっているなど、ほかの人から見える可能性がある個室でおよんだ行為であれば、公然わいせつ罪に問われる可能性があります。
3、公然わいせつ容疑で逮捕された場合の流れや罰則
ハプニングバーで公然わいせつにあたる行為をして逮捕されるとどうなるのでしょうか。また、有罪になった場合の罰則について解説します。
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(1)勾留される可能性がある
ハプニングバーでの公然わいせつ事件の場合、複数の人間が絡むため事案が複雑なケースが多く、捜査に時間がかかることが予想されます。そのため、逮捕後72時間以内に行われなければならない勾留請求がなされる可能性があるでしょう。
勾留請求が認められると、勾留請求の日から原則10日間、延長を含めると最長で20日間にわたり、身柄を拘束されます。この間は留置場で過ごし、外部と自由に連絡を取ることも、会社などへ行くこともできません。 -
(2)公然わいせつ罪の罰則
公然わいせつ罪で起訴され有罪になると「6か月以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金、または拘留、もしくは科料」に処せられます。実際に言い渡される刑(量刑)は、この範囲で裁判官が決定します。
- 懲役とは、刑務所に収監され、刑務作業に従事する刑をいいます。 公然わいせつ罪は1か月~6か月以下の範囲で刑期が決まります。
- 罰金とは、1万円以上の金銭を徴収される刑です。 公然わいせつ罪では1万円~30万円以下の範囲で金額が決まります。
- 拘留とは1日以上30日未満、刑事施設に収監される刑をいいます。 懲役と異なり刑務作業はありませんが、執行猶予が付かないため必ず実刑となります。
- 科料は1000円以上1万円未満の金銭を徴収される刑をいいます。
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(3)執行猶予が付く可能性も
罰金や科料で済まされた場合には金銭を支払うことで刑は終了しますが、懲役や拘留になった場合には刑事施設へ収監されてしまいます。
ただし、懲役の判決に執行猶予が付く可能性は残されています。執行猶予とは、一定期間に限って刑の執行が猶予される制度です。執行猶予が付くと、直ちに刑務所へは収監されず、猶予期間中に再び刑事事件を起こさなければ、猶予期間経過時に刑の言い渡しの効力は失われます(刑法第27条)。
原則として執行猶予が付くのは、「初犯で、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万以下の罰金刑」であり、裁判官が社会の中での更生に期待できると判断した場合です。たとえば、初犯であり深く反省していること、ご家族による監督が約束されていることなどの事情があれば、執行猶予が付く可能性があるでしょう。
なお、前科があったとしても、一定の条件を満たす場合は、執行猶予が付く可能性があります(刑法第25条1項2号、同条2項)。
4、その場に居合わせなければ逮捕されない?
公然わいせつ事件の逮捕は、大きく現行犯逮捕と通常逮捕(後日逮捕)に分けられます。
現行犯逮捕とは、犯行の最中や直後に警察官や私人によってなされる逮捕です。基本的に犯人を見間違うことがないため、逮捕状は必要ありません。
通常逮捕とは、裁判官が発付する逮捕状にもとづき、警察官などの逮捕権限者によってなされる逮捕です。通常逮捕される時期に決まりはないため、犯行から数週間、数か月たってから逮捕される場合もあります。
ハプニングバーでの公然わいせつ行為で現行犯逮捕されるのは、情報提供を受けた警察官が捜査のために入店し、人前でわいせつな行為におよんでいるところを現認したようなケースです。
一方、通常逮捕されるのは、複数の情報提供をもとに内偵捜査が進められ、公然わいせつ行為をした証拠が固まったようなケースです。過去に自身が訪れたハプニングバーが摘発されたようなケースでは、たまたまその場に居合わせなかったとしても、会員リストやほかの客の証言などから芋づる式に逮捕される可能性は否定できないでしょう。
5、公然わいせつ罪で逮捕されてしまったら弁護士に相談を
ハプニングバーで公然わいせつ行為をしたのであれば、逮捕される可能性があります。身に覚えがある以上は、はやめに弁護士に相談することをおすすめします。
逮捕されてしまうと、逮捕後、最長で23日間にわたって身柄を拘束される可能性があり、会社など日常生活へ大きく影響をおよぼします。
身柄を拘束される期間が長くなれば、欠勤等の理由を隠し通すことも難しくなるため、逮捕の事実を会社に知られてしまうことは避けられません。また、就業規則などで、解雇事由として逮捕が明記されている場合は、解雇されることもあるでしょう。
弁護士へ依頼すれば、捜査機関に対して逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを主張できるので、早期の身柄解放が期待できます。身柄を解放されたとしても不起訴処分を獲得するまで捜査は続きますが、在宅捜査になれば留置場で生活する必要はありません。会社に行くこともでき、日常生活への影響を最小現に抑えられるでしょう。
また弁護士から、取り調べについてアドバイスをもらえるので、落ち着いて対応ができるほか、不利な供述調書を取られるといった事態も防ぐことができます。
6、まとめ
ハプニングバーに行くこと自体が違法とはいえないものの、店内でわいせつ行為におよべば、公然わいせつ罪で逮捕されてしまう可能性があります。有罪になり前科が付いてしまった場合、人生への影響は計り知れません。思い当たることがある場合や、すでに警察から呼び出されているという場合は、早急に弁護士へ相談するのがよいでしょう。
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