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弁護士コラム

2024年12月19日
  • 性・風俗事件
  • みだらな行為

みだらな行為とは? わいせつな行為との違いや成立する犯罪などを解説

みだらな行為とは? わいせつな行為との違いや成立する犯罪などを解説
みだらな行為とは? わいせつな行為との違いや成立する犯罪などを解説

「みだらな行為」とは、性交や性交類似行為のうち、性的道義観念を逸脱したものです。

犯罪に当たるケースもあるため、過去の性的な行為について不安があれば弁護士に相談しましょう。

本記事では、「みだらな行為」の意味や成立し得る犯罪、逮捕後の手続きの流れなどをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

目次を開く

  1. 1、みだらな行為とは?
  2. 2、みだらな行為について成立し得る犯罪
    1. (1)不同意わいせつ罪
    2. (2)不同意性交等罪
    3. (3)児童買春罪
    4. (4)青少年保護条例違反
  3. 3、みだらな行為の疑いで逮捕された場合の刑事手続きの流れ
    1. (1)逮捕~起訴前勾留
    2. (2)起訴または不起訴
    3. (3)起訴後勾留~公判手続き
    4. (4)判決の確定・刑の執行
  4. 4、みだらな行為をしてしまったら、刑事弁護について弁護士に相談を
  5. 5、まとめ

1、みだらな行為とは?

「みだらな行為」という言葉は、マスメディアのニュース報道などでよく用いられています。法律上の定義はありませんが、性交や性交類似行為のうち、性的道義観念を逸脱したものを意味するのが一般的です。

具体的には、以下のような行為を相手の同意なく行ったり、公衆の面前で行ったりすることが「みだらな行為」に当たります。

  • 性交
  • 肛門性交
  • 口腔性交
  • 膣や肛門に身体の一部または物を挿入する行為
  • 手淫
など


なお、「みだらな行為」に類似した表現として「わいせつな行為」や「いかがわしい行為」などがあります。

「わいせつな行為」とは刑法上、いたずらに性欲を刺激興奮させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するような行為を意味すると解されています(最高裁昭和26年5月10日判決)。

わいせつな行為は、公然わいせつ罪や不同意わいせつ罪による処罰の対象です。
ただし、性交・肛門性交・口腔性交・膣や肛門に体の一部または物を挿入する行為は不同意性交等罪によって処罰されるため、不同意わいせつ罪は通常問題になりません。

「いかがわしい行為」については、法令上明確な定義がなされていません。身体のうち性的な部位の愛撫など、「みだらな行為」に比べて軽微な行為を「いかがわしい行為」と表現することが多いようです。

2、みだらな行為について成立し得る犯罪

みだらな行為をした者は、男性・女性を問わず、以下のような犯罪によって処罰されることがあります。

  1. (1)不同意わいせつ罪

    不同意わいせつ罪は、相手が真に同意していないにもかかわらず、わいせつな行為をした者に成立する犯罪です(刑法第176条第1項)。不同意わいせつ罪の法定刑は「6年以上10年以下の懲役」とされています。
    ※令和5年7月13日に施行された改正刑法により、強制わいせつ罪から不同意わいせつ罪に変更されました。

    以下のいずれかに該当する行為または事由により、被害者が同意しない意思を形成・表明もしくは全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあることを乗じてわいせつな行為をした者には、不同意わいせつ罪が成立します。


    • ① 暴行・脅迫を用いること、またはそれらを受けたこと。
    • ② 心身の障害を生じさせること、またはそれがあること。
    • ③ アルコール・薬物を摂取させること、またはそれらの影響があること。
    • ④ 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること、またはその状態にあること。
    • ⑤ 同意しない意思を形成・表明・全うするいとまがないこと。
    • ⑥ 予想と異なる事態に直面させて恐怖・驚愕させること、またはその事態に直面して恐怖・驚愕していること。
    • ⑦ 虐待に起因する心理的反応を生じさせること、またはその心理的反応があること。
    • ⑧ 経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること、またはそれを憂慮していること。


    また、行為がわいせつなものではないと誤信させ、もしくは行為をする者について人違いをさせ、または誤信・人違いに乗じてわいせつな行為をした者も、不同意わいせつ罪によって処罰されます(同条第2項)。

    さらに、13歳未満の者に対してわいせつな行為をした者、および13歳以上16歳未満の者に対してわいせつな行為をした5歳以上年長の者は、その態様にかかわらず不同意わいせつ罪によって処罰されます(同条第3項)。

  2. (2)不同意性交等罪

    不同意性交等罪は、相手が真に同意していないにもかかわらず、以下のいずれかの行為(=性交等)をした者に成立する犯罪です(刑法第177条第1項)。不同意性交等罪の法定刑は「5年以上の有期懲役」とされています。


    • 性交
    • 肛門性交
    • 口腔性交
    • 膣や肛門に身体の一部または物を挿入する行為であってわいせつなもの

    ※令和5年7月13日に施行された改正刑法により、強制性交等罪から不同意性交等罪に変更されました。

    不同意わいせつ罪と同様の行為または事由により、被害者が同意しない意思を形成・表明もしくは全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあることを乗じて性交等をした者には、不同意性交等罪が成立します。

    また、行為がわいせつなものではないと誤信させ、もしくは行為をする者について人違いをさせ、または誤信・人違いに乗じて性交等をした者も、不同意性交等罪によって処罰されます(同条第2項)。

    さらに、13歳未満の者に対して性交等をした者、および13歳以上16歳未満の者に対して性交等をした5歳以上年長の者は、その態様にかかわらず不同意性交等罪によって処罰されます(同条第3項)。

  3. (3)児童買春罪

    「児童買春」とは、児童(=18歳未満の者)本人・周旋者・保護者などに対して対償を供与し、またはその供与の約束をして、当該児童に対して以下の行為をすることを意味します(児童買春禁止法第2条第2項)。


    • 性交
    • 性交類似行為
    • 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器、肛門または乳首を触ること
    • 自己の性的好奇心を満たす目的で、自己の性器、肛門または乳首を触らせること


    児童買春をした者は、「5年以下の懲役または300万円以下の罰金」に処されます(同法第4条)。

  4. (4)青少年保護条例違反

    各都道府県が定める青少年保護条例では、青少年(=18歳未満の者)に対するみだらな行為を規制しています

    たとえば東京都の「青少年の健全な育成に関する条例」では、青少年とみだらな性交または性交類似行為をした者は「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処されます(同条例第18条の6、第24条の3)。

    なお、青少年保護条例の内容は都道府県によって異なるので、お住まいの都道府県における規制内容をご確認ください。

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3、みだらな行為の疑いで逮捕された場合の刑事手続きの流れ

みだらな行為の疑いで逮捕された場合には、以下の流れで刑事手続きが進行します。

  1. (1)逮捕~起訴前勾留

    逮捕の期間は最長72時間(3日間)ですが、罪証隠滅や逃亡のおそれなどが認められる場合には、勾留によってさらに最長20日間身柄が拘束されることがあります

    みだらな行為の疑いで逮捕・勾留されている被疑者は、警察官や検察官の取調べを受けます。被疑者には黙秘権があるので、取調べに対しては答えなくても構いません。弁護士に相談して、取調べに対して答えるか、それとも黙秘するかを事前に決めておきましょう。

  2. (2)起訴または不起訴

    勾留期間が満了するまでに、検察官が被疑者を起訴するかどうかを判断します。不起訴処分となった場合はその場で釈放され、刑事手続きが終了します。

    みだらな行為をしたことが事実であっても、行為の内容や更生の可能性などを考慮して、検察官の判断で不起訴処分(起訴猶予)となることがあります。
    弁護士に依頼して、起訴猶予を検討するよう検察官へ働きかけてもらいましょう。

  3. (3)起訴後勾留~公判手続き

    被疑者が起訴された場合は「被告人」へと呼称が代わり、引き続き身柄が拘束されます。

    ただし、起訴後は裁判所に対して保釈を請求することが可能です(刑事訴訟法第89条、第90条)。保釈請求が認められれば、保釈保証金を預けることを条件として、一時的に身柄が解放されます。

    起訴されてから1か月程度が経過した時期を目安に、公判手続き(刑事裁判)が開催されます。
    公判手続きでは、検察官がすべての犯罪要件を立証する責任を負います。被告人の方針は大きく分けて、罪を認めて情状酌量を求めるか、または罪を否認して争うかの2通りです。弁護人と相談した上で、どのような方針で公判手続きへ臨むかを決めておきましょう。

    公判手続きの審理が熟した段階で、判決が言い渡されます。

  4. (4)判決の確定・刑の執行

    公判手続きの判決に不服がある場合は、判決の言渡日の翌日から起算して14日間に限り、高等裁判所に対して控訴をすることができます。
    控訴審判決に対しても、判決の言渡日の翌日から起算して14日間に限り、最高裁判所に対して上告をすることが可能です。

    控訴・上告の手続きを経て、刑事裁判の判決が確定します。
    有罪判決が確定した場合は、原則として刑が執行されます。ただし、執行猶予が付されている場合は、一定期間刑の執行が猶予されます。

    刑事手続きの中では、被疑者・被告人として注意すべきポイントがたくさんあります。弁護士(弁護人)のサポートを受けながら適切に対応し、早期の身柄解放と重い刑罰の回避を目指しましょう。
    弁護士ができるサポートについては、次の項目で紹介します。

4、みだらな行為をしてしまったら、刑事弁護について弁護士に相談を

みだらな行為をしてしまい、警察に逮捕されないか不安に感じている方は、速やかに弁護士へ相談しましょう。
弁護士に相談すれば、自分がした性的な行為が犯罪に当たるかどうかについて、法的な観点からアドバイスを受けられます。

また弁護士は、被疑者・被告人が重い刑事処分を回避できるように、さまざまな観点から弁護活動を行います。自首の付き添い、取調べのアドバイス、身柄拘束中の接見や家族との窓口、被害者との示談交渉、公判手続きでの弁護活動などがその一例です。

弁護士のサポートを受けることにより、刑事手続きに関する精神的な負担が軽減され、重い刑事処分を回避できる可能性も高まります。
みだらな行為を理由に逮捕されるのが不安な場合には、弁護士へご相談ください。

5、まとめ

みだらな行為をすると、不同意わいせつ罪や青少年保護条例違反などによって逮捕され、刑罰が科されるおそれがあります。

自分の性的な行為が罪に問われるのではないかと不安な方は、弁護士に相談しましょう。ベリーベスト法律事務所は、刑事弁護に関するご相談を随時受け付けておりますので、お早めにご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
刑事事件問題でお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所へお気軽にお問い合わせください。

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