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盗撮で後日逮捕される? 何が原因でバレる? 逮捕されないためには


警察庁の「令和5年中の痴漢・盗撮事犯に係る検挙状況の調査結果」によると、令和5年における盗撮事件の検挙件数は6933件で、年々増加傾向にあります。盗撮行為をすると現行犯逮捕されるイメージがあるかもしれません。
しかし、現行犯逮捕されなかったとしても、しばらくしてから突然、警察官が自宅にやってきて逮捕されることもあります。たとえば、駅構内での盗撮行為では、防犯カメラの映像や目撃者などの証言が証拠となって後日逮捕に至るケースがあります。
今回は、盗撮で後日逮捕される可能性、逮捕の証拠になり得るもの、後日逮捕を回避するためにできることなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
この記事で分かること
- 現行犯逮捕を免れても、後日逮捕されることはある
- 後日逮捕を回避するには、示談や自主が有効
- 後日逮捕されないためには、早く弁護士に相談することが重要
1、逮捕の種類と、後日逮捕の可能性
逮捕には、後日逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の3種類があります。
なお、後日逮捕は、正式には「通常逮捕」といいますが、本コラムでは「後日逮捕」として説明します。
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(1)後日逮捕
後日逮捕とは、捜査機関が裁判所に逮捕状を請求し、裁判所により発付された逮捕状に基づいて犯人を逮捕する手続きです。
後日逮捕をするには、以下の要件を満たす必要があります。
後日逮捕の要件
- 嫌疑の相当性:被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
- 逮捕の必要性:逃亡または証拠隠滅のおそれがあること
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(2)現行犯逮捕
現行犯逮捕とは、現に犯罪を行っているまたは犯行直後の犯人を逮捕状なしで逮捕する手続きです。
被疑者を逮捕するには、逮捕状に基づく逮捕が原則的な手続になります。
しかし、現行犯であれば誤認逮捕のおそれがないことから、例外的に、逮捕状がなくても被疑者を逮捕することが認められています。 -
(3)緊急逮捕
緊急逮捕とは、一定の重大な罪を犯したことを疑う十分な理由があり、逮捕状を請求する時間的余裕がない場合に、逮捕状なしで被疑者を逮捕する手続きです。
ただし、逮捕後に必ず逮捕状の発付を受けなければなりません。
盗撮行為が性的姿態等撮影罪に該当する場合、性的姿態等撮影罪は緊急逮捕の要件である「一定の重大な犯罪」に含まれますので、緊急逮捕される可能性があります。
しかし、盗撮行為が迷惑防止条例違反に該当する場合には、これにあたりませんので緊急逮捕はできません。 -
(4)現行犯逮捕を免れても、特定されれば後日逮捕の可能性あり
盗撮事件では現行犯逮捕されることが少なくありません。
現行犯逮捕は、被害者の通報や目撃者などにより盗撮行為が発覚し、その場で声をかけられて確保というのが一般的な流れです。
しかし、盗撮現場から逃げ切ることができたとしても、被害者が被害届を提出し、警察による捜査が開始して、防犯カメラなどの映像から犯人が特定されれば、後日逮捕に至るケースもあります。
そのため、現行犯逮捕を免れたからといって安心してはいけません。
2、盗撮で後日逮捕される可能性がある4つのケース
盗撮で後日逮捕される可能性があるケースとしては、以下の4つが挙げられます。
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(1)防犯カメラに盗撮行為が記録されていた
近年、防犯意識の高まりから駅や公共施設では、防犯カメラが設置されているところが増えています。
そのような場所で盗撮行為をすると、盗撮をしている様子や犯人の特徴などが防犯カメラで捉えられてしまいますので、それを証拠に後日逮捕される可能性があります。 -
(2)盗撮行為を目撃した人がいた
被害者に気付かれることなく盗撮を行い、盗撮現場を後にしたとしても、周囲の第三者が盗撮行為を目撃している可能性があります。
このようなケースでは、盗撮行為を目撃した人からの情報提供により、警察の捜査が開始して後日逮捕される可能性も十分にあります。 -
(3)トイレや更衣室に隠しカメラを仕掛けていた
トイレや更衣室に隠しカメラを仕掛けていたというケースでは、トイレや更衣室の利用者が隠しカメラに気付いて盗撮事件が発覚します。
その後、被害届を提出された場合、警察は隠しカメラの映像、指紋などから犯人の特定に向けた捜査を開始します。捜査の結果、犯人が特定されれば後日逮捕となるでしょう。 -
(4)盗撮現場から逃走した
盗撮が被害者や目撃者にバレて、逃走したようなケースでは、その場は逃げ切れたとしても後日逮捕になる可能性があります。
このようなケースでは、多数の目撃者が犯人の顔や特徴を目撃しており、逃走経路で複数の防犯カメラに写っているため、犯人の特定が容易だからです。
ほかにも、駅での盗撮では、交通系ICカードの利用履歴などからも犯人が特定されます。
そのため、たとえ現場から逃げ切れたとしても後日逮捕のおそれがあるため、決して安心してはいけません。
- ※お電話は事務員が弁護士にお取次ぎいたします。
- ※被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、何をきっかけに逮捕される?盗撮事件の証拠とは?
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(1)盗撮の証拠になるもの
盗撮事件で後日逮捕をするには、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があることを捜査機関が証拠によって証明しなければなりません。
なぜなら、捜査機関が被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由について証明がなければ逮捕状を請求をしても、裁判官に却下されてしまうからです。
盗撮事件では、以下のようなものが証拠となり、逮捕される可能性があります。
盗撮の証拠となる物の例
- 防犯カメラの映像
- 被害者の証言
- 目撃者の証言
- 交通系ICカードの利用履歴
- 盗撮に使ったスマートフォンやカメラ
- PCに保存されている盗撮動画
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(2)データの削除は逆にリスクが高くなる可能性も
なお、盗撮した動画や画像を削除しても、警察では削除されたデータの復元をすることができることがあります。
データを削除すれば逮捕されない、ということはなく、むしろ証拠隠滅のおそれがあるとして逮捕のリスクが高まるでしょう。
4、盗撮で逮捕されたら何罪?罰金はいくら?
盗撮で逮捕されてしまった場合、どのような罪に問われるのでしょうか。
以下では、盗撮により問われ得る犯罪について説明します。
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(1)撮影罪
撮影罪とは、正式名称を「性的姿態等撮影罪」といいます。
相手の同意なく身体の性的な部位や下着などを盗撮した場合に成立する犯罪です。
法定刑
撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
盗撮行為は、以前であれば各都道府県の迷惑防止条例や児童買春等処罰法によって処罰されていました。しかし、近年の盗撮事件の増加や盗撮行為を全国一律で処罰する必要性などから、新たに性的姿態撮影等処罰法が制定され、撮影罪が新設されました。
これにより撮影罪が施行された令和5年7月13日以降に発生した盗撮事件については、撮影罪が適用されます。 -
(2)迷惑防止条例違反
各都道府県では迷惑防止条例を制定し、人が衣類の全部または一部を着けない状態でいる場所や公共の場所において行われる以下のような行為を取り締まりの対象としています。
- 撮影
- 盗撮目的でカメラを差し向けること
- 盗撮目的でカメラを設置すること
前述の通り、現在は撮影罪が設けられてしますので、盗撮行為に迷惑防止条例が適用されるのは、撮影罪の施行日より前の令和5年7月12日以前に行われた事件や、撮影罪では処罰できない撮影行為が対象です。
都道府県により、罰則が異なる
なお、迷惑防止条例違反で逮捕された場合の罰則は、都道府県によって異なります。
東京都の例
たとえば、東京都であれば、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と定められています。さらに、常習的に盗撮行為をしている場合には、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
5、盗撮で後日逮捕を回避するためにできる3つのこと
盗撮で後日逮捕を回避するためには、以下の3つの対処法があります。
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(1)被害者と示談をする
盗撮は、親告罪ではないため、被害者による告訴がなくても、逮捕される可能性があります。
親告罪とは?
被害者からの告訴がなければ検察が被疑者を起訴できない犯罪のことをいいます。
つまり、親告罪にあたらない盗撮は、被害者からの被害届や告訴がなくても、事件が発覚し犯人が特定されれば、逮捕される可能性があるのです。
示談で逮捕を回避できる可能性が
しかし、当事者間で示談が成立している事件であれば、捜査機関も当事者の意向を無視して、積極的に捜査することはありませんので、示談により逮捕を回避できる可能性があります。 -
(2)警察に自首をする
捜査機関に盗撮事件や犯人が発覚していない段階であれば、自首も後日逮捕の回避に有効な手段となります。
実際に、ベリーベストでは自主をサポートし、逮捕・勾留をしたケースもあります。
自首の法的効果は、起訴された場合の刑の任意的な減軽ですが、自首することで逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを示せますので、それにより後日逮捕のリスクを軽減することができます。
自首の判断は慎重に
ただし、自首をすれば確実に逮捕を回避できるというわけではありません。
自首をするかどうかは慎重に検討する必要があります。 -
(3)弁護士に相談する
盗撮による後日逮捕を回避したいときは、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
盗撮事件で後日逮捕を回避するには、被害者との示談が優先事項になりますが、加害者が直接被害者に連絡をしても拒否されてしまうため、加害者自身では示談交渉を進めることが困難です。
また、当然のことながら、お互いに面識がなければ相手の連絡先がわからないため、そもそも示談をすること自体不可能です。
弁護士なら被害者に連絡できる!
しかし、弁護士に依頼すれば弁護士が交渉の窓口になりますので、被害者も示談交渉に応じてくれる可能性が高まります。
また、被害者の連絡先がわからない場合でも弁護士なら捜査機関を通じて被害者に示談の意向を伝えることができます。
このように盗撮事件で後日逮捕を回避するには弁護士のサポートが不可欠となりますので、盗撮をしてしまったときはすぐに弁護士に相談するようにしてください。
6、盗撮の後日逮捕を回避するには、早期に弁護士に相談を!
盗撮で逮捕される事件の多くは現行犯逮捕の事案ですが、現行犯逮捕されなかったとしても、警察の捜査によって犯人が特定されれば、後日逮捕されるケースもあります。
後日逮捕を回避するには、早期に被害者と示談することが重要ですので、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
盗撮事件を起こしてしまったという方は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。
※本コラムは公開日当時の内容です。
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