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ネットで裸を晒す画像の収集・要求は犯罪? バレたらどうなる?


インターネット上でわいせつな画像を収集・保存したり、裸体の画像をおくるよう要求したりすると、犯罪の責任を問われるおそれがあります。
これらの行為によって前科が付くのが心配なら、速やかに弁護士へご相談ください。
本記事では、ネットで裸を晒す画像(わいせつ画像)の収集・保存や要求について成立する犯罪や、前科を避けるための対処法などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、ネットで裸を晒す画像を収集・要求すると犯罪になるのか?
インターネット上でわいせつな画像をダウンロードして保存したり、SNSなどを通じてわいせつな画像を送るように要求したりすると、犯罪によって処罰されるおそれがあります。
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(1)わいせつ画像の収集・保存や要求について成立する犯罪一覧
わいせつ画像の収集・保存や要求について、成立することがある主な犯罪は以下のとおりです。
行為の内容 被写体の年齢 成立する犯罪 法定刑 児童ポルノを所持する行為 未成年者(=18歳未満) 児童買春・児童ポルノ禁止法違反(同法第7条第1項) 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 未成年者にわいせつな姿態をとらせて、その写真を送信させる行為 未成年者 児童買春・児童ポルノ禁止法違反(同法第7条第4項) 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 不正に盗撮されたわいせつ画像を記録(保存)する行為 問わない 性的姿態等影像記録罪(性的姿態撮影等処罰法第6条) 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 わいせつ画像の送信を強要する行為 問わない 強要罪(刑法第223条) 3年以下の拘禁刑 -
(2)わいせつ画像を要求しただけでも処罰対象となるケース
インターネット上でわいせつ画像の送信を要求しただけでも、脅迫を用いた強要を行った場合は、強要罪によって処罰されます。
実際にわいせつ画像を受け取っていない場合(=未遂)も処罰の対象です。
また、要求した未成年者のわいせつ画像を実際に受け取った場合には、すでに解説したように児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われるおそれがあります。 -
(3)「18歳以上だと思っていた」としても、逃げ切れるとは限らない
児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪は、わいせつ画像の被写体が18歳未満であることについて故意がある場合に限り成立します。
ただし、確定的な故意がなかったとしても、未必の故意があれば児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪が成立する余地があります。
- 確定的な故意:18歳未満であることを知っていること
- 未必の故意:18歳未満かもしれないが、それでも構わないと思っていること
捜査機関はわいせつ画像の収集方法(ウェブサイトの特徴など)や別の保存画像などを調べて、被疑者・被告人の弁解を崩そうとしてきます。
被写体が18歳以上だと思っていたことを主張しても、逃げ切れるとは限りません。 -
(4)収集したわいせつ画像を流出させると、さらに罪が重くなる
インターネット上で収集したり、被写体に直接要求して送らせたりしたわいせつ画像を流出させると、さらに重い罪に問われるおそれがあります。
わいせつ画像の流出について成立する主な犯罪は、以下のとおりです。
行為の内容 被写体の年齢 成立する犯罪 法定刑 児童ポルノを他人に提供する行為 未成年者 児童買春・児童ポルノ禁止法違反(同法第7条第2項) 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 児童ポルノを不特定もしくは多数の者に提供し、または公然と陳列する行為 未成年者 児童買春・児童ポルノ禁止法違反(同法第7条第6項) 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金
※拘禁刑と罰金が併科される場合もあります。わいせつ画像を頒布し、または公然と陳列する行為 問わない わいせつ物頒布等罪(刑法第175条第1項) 2年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金もしくは科料
※拘禁刑と罰金が併科される場合もあります。不正に盗撮されたわいせつ画像を他人に提供する行為 問わない 性的影像記録提供等罪(性的姿態撮影等処罰法第3条第1項) 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 不正に盗撮されたわいせつ画像を不特定もしくは多数の者に提供し、または公然と陳列する行為 問わない 性的影像記録提供等罪(性的姿態撮影等処罰法第3条第2項) 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金
※拘禁刑と罰金が併科される場合もあります。不正に盗撮されたわいせつ画像を不特定または多数の者に対して送信する行為 問わない 性的姿態等影像送信罪(性的姿態撮影等処罰法第5条) 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金
※拘禁刑と罰金が併科される場合もあります。
2、わいせつ画像の所持や要求が発覚するきっかけ
違法なわいせつ画像の所持や要求は、以下のようなきっかけによって発覚することがあります。
わいせつ画像の送信を要求された未成年者の保護者や、通っている学校などが警察に通報して発覚することがあります。
② SNSの運営会社による通報
違法性のあるわいせつ画像がSNS上にアップロードされた場合、そのことを運営会社が警察に通報して発覚することがあります。
③ 他の被疑者からの芋づる式捜査
違法なわいせつ画像がアップロードされているサイトが摘発されたり、わいせつ画像の収集・販売を行うチームの他のメンバーが逮捕されたりすると、芋づる式の捜査によって発覚することがあります。
④ 余罪捜査
別の犯罪によって逮捕された際、スマートフォンやPCのデータを解析された結果、違法なわいせつ画像の所持や要求も発覚することがあります。
このように、思わぬきっかけから犯罪が発覚し、突然逮捕されてしまうこともあり得ます。
わいせつ画像の収集・要求などについて、自分の行為が犯罪に当たるのではないかと不安なときは、弁護士にご相談ください。
- ※お電話は事務員が弁護士にお取次ぎいたします。
- ※被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、わいせつ画像・動画の収集や要求による逮捕・有罪事例
わいせつ画像・動画の収集や要求により、逮捕されたケースや有罪判決を受けたケースのうち、最近報道されたものを2つ紹介します。
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(1)未成年者にわいせつな自撮り画像を要求して逮捕されたケース
男子高校生2人にわいせつな動画を撮影させたうえで、SNSで送信させたとして、18歳の男が児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕されました。
逮捕された男は、SNSのXやインスタグラムを利用して、出会いを求める女性になりすましたうえで被害者と知り合ったとのことです。
参考:「子どもたちにわいせつな「自撮り」画像送らせ逮捕相次ぐ 京都」(NHK) -
(2)警察官が捜査資料の女児裸体写真を所持して有罪判決を受けたケース
広島県内の警察署の元巡査長が、捜査資料である女子児童の裸体写真をスマートフォンで撮影したうえで所持した行為につき、児童買春・児童ポルノ禁止法違反などの疑いで起訴されました。
広島地裁は、警察官の立場を利用した悪質な犯行であることを指摘し、元巡査長に対して「懲役10か月・執行猶予3年」の判決を言い渡しました。
参考:「捜査資料の女児の写真撮影し所持 元巡査長に有罪判決 広島地裁」(NHK)
4、前科を回避するためにとるべき対処法
わいせつ画像の所持や要求などによって逮捕・起訴され、前科が付いてしまうことが心配な場合は、速やかに以下の対応をとりましょう。
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(1)早期に弁護士へ相談する
逮捕・起訴や重い刑事罰を免れるためには、弁護士のサポートが必要不可欠です。
刑事弁護に詳しい弁護士へ早い段階から相談しましょう。 -
(2)被害者と示談交渉をする
被害者との示談が成立して被害弁償を行えば、そのことが被疑者・被告人にとって有利に考慮され、逮捕・起訴や重い刑事罰の回避に繋がります。
ただし、加害者自ら示談交渉を提案しても、被害者に拒否されてしまうケースが多いです。被害者の心理的なバリアを解くためにも、弁護士を通じて示談交渉を行いましょう。 -
(3)罪が発覚する前なら自首も検討する
わいせつ画像の所持や要求などがまだ捜査機関に発覚していないなら、自首することも検討すべきです。
自首をすると、そのことが被疑者・被告人の良い情状として考慮されるほか、刑事裁判で刑が減軽されることがあります(刑法第42条第1項)。
自首すべきかどうかは、被害者との示談の状況なども踏まえて判断する必要があるので、弁護士にご相談ください。
5、まとめ
インターネット上でわいせつ画像を収集したり、他人に対してわいせつ画像の送信を要求したりすると、児童買春・児童ポルノ禁止法違反や強要罪などによって処罰されるおそれがあります。
わいせつ画像・動画の収集や要求を理由に逮捕・起訴され、有罪判決を受けて前科が付くと、就職や人付き合いなどに大きな影響が生じてしまいます。
そうならないように、早い段階で弁護士へ相談しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、刑事弁護に関するご相談を随時受け付けております。
インターネット上でわいせつ画像の収集や要求をしてしまい、処罰されるのではないかと不安を感じている方は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。
※本コラムは公開日当時の内容です。
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