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セクストーション(性的脅迫)って逮捕される? 加害者に課される罪は


インターネット上で女性を装って誘惑し、男性に性的な画像や動画を送信させたうえで脅迫する「セクストーション」の被害が相次いでいます。
セクストーションは犯罪行為であり、発覚すると逮捕・起訴されて有罪判決を受けるおそれがあります。セクストーションをしてしまったら、刑事弁護について速やかに弁護士へご相談ください。
本記事では、セクストーションについて成立する犯罪や逮捕までの流れ、加害者がとるべき対応などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、セクストーション(性的脅迫)とは?
「セクストーション(性的脅迫)」とは、インターネット上で女性を装って男性を誘惑し、性的な画像(写真)や動画を送信させたうえで脅迫する犯罪行為をいいます。
「sex(性的な)」と「extortion(強要、ゆすり)」を合わせた造語です。
セクストーションは、主にSNS上で男性をターゲットに行われています。
加害者は女性を装い、交際や性的関係に発展する可能性を仄めかしながら、被害者の男性に対して性的な画像や動画を送るように依頼します。
男性が自分の性器画像や自慰行為の動画などを送信すると、加害者は豹変して「画像(動画)をばら撒かれたくなかったら金を払え」などと脅すのが、セクストーションの典型的な手口です。
特に性的な事柄への興味・関心が強い一方で、善悪を判断する能力に乏しい未成年者男性が、セクストーション被害に遭いやすい傾向にあります。
セクストーションの被害者は男性が中心ですが、女性に対するセクストーションも一部では行われています。
性的な興味・関心に訴える場合のほか、女性を支配する目的で性的な画像や動画の送信を要求するケースもあるようです。
本記事では、主に金銭目的のセクストーションについて解説します。
2、セクストーションで逮捕されると、どんな罪に問われる?
セクストーションは性被害や財産的な被害を引き起こす犯罪行為であり、発覚すると逮捕・起訴されて有罪判決を受けるおそれがあります。
セクストーションについて成立する主な犯罪と法定刑、実際の量刑を決める際の考慮要素について解説します。
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(1)セクストーションについて成立する主な犯罪と法定刑
セクストーションについては、主に以下の犯罪が成立します(複数の犯罪が成立するケースもあります)。
罪名 成立するケース 法定刑 強要罪(刑法第223条) 被害者を脅迫して、性的な画像や動画の送信を強要した場合 3年以下の拘禁刑 恐喝罪(刑法第249条) 被害者を脅迫して、金銭などの財物を交付させた場合 10年以下の拘禁刑 16歳未満の者に対する映像
送信要求罪(刑法第182条第3項)16歳未満の被害者に対して、性的な画像や動画の送信を要求した場合
※被害者が13歳以上の場合は、加害者が被害者よりも5歳以上年長の場合に限ります。1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 わいせつ電磁的記録頒布等罪(刑法第175条) 被害者に送信させた性的な画像や動画を頒布した場合、または有償で頒布する目的で所持・保管した場合 2年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金または科料
※拘禁刑と罰金が併科される場合もあります。児童ポルノ禁止法違反(同法第7条) 未成年者である被害者に性的な画像や動画を送信させ、それを所持、提供または公然陳列した場合 - ① 所持
1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 - ② 提供(③に当たるものを除く)
3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 - ③ 不特定多数の者への提供・公然陳列
5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金
※拘禁刑と罰金が併科される場合もあります。
リベンジポルノ防止法違反(同法第3条)
※正式名称:私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律他人には見せないと言って被害者に送信させた性的な画像や動画を、被害者が特定できる方法で提供または公然陳列した場合 - ① 提供(②に当たるものを除く)
1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 - ② 不特定多数の者への提供・公然陳列
3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
青少年条例違反 未成年者である被害者に対して、性的な画像や動画の送信を要求した場合 各都道府県の条例による - ① 所持
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(2)セクストーションの量刑を決める際の考慮要素
セクストーションをしたことについて起訴されると、刑事裁判で有罪・無罪および量刑が判断されます。
裁判所がセクストーションの量刑を決定する際には、主に以下の要素などを考慮します。
- 脅迫行為の悪質性
- 被害額
- 被害者の数
- 初犯か再犯か
- 反省の有無、程度
- 示談の有無
- 被害者の年齢(未成年者の場合は、量刑が重くなりやすい)
- ※お電話は事務員が弁護士にお取次ぎいたします。
- ※被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、匿名でもセクストーションはバレる? 逮捕までの流れ
セクストーションの加害者は、身元を知られないように匿名で被害者へメッセージを送るケースが多いです。
しかし、被害届が提出されて警察が本格的に捜査を行うと、加害者の身元は特定されてしまう可能性が高いと考えられます。
セクストーションの加害者が特定され、逮捕されるまでの流れは以下のとおりです。

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(1)被害届の提出
セクストーションの被害者は、警察への被害相談を経て、被害届を提出する可能性があります。被害者が未成年者の場合は、保護者が被害届を提出するケースもあります。
被害届は、加害者が誰だか分からない状態でも提出することが可能です。 -
(2)警察の捜査・被疑者の特定|プロバイダへの照会などによってバレることがある
被害届の提出を受けた警察は、セクストーションの加害者を摘発するための捜査を行います。
被害者とのやり取りを匿名で行っていた場合でも、警察はSNS運営者などのプロバイダに対して照会をかける権限を有しています。プロバイダから警察へ個人情報が開示されると、加害者は特定されてしまう可能性が高いです。 -
(3)任意の事情聴取(取調べ)
加害者の目星が付いたら、警察は加害者に対して任意の事情聴取を依頼するケースが多いです。警察から事情聴取の連絡が来たら、セクストーションの加害者であるという証拠を握られている可能性が高いと考えられます。
なお、任意の事情聴取が省略されて、直ちに逮捕されるケースもあります。 -
(4)逮捕状の発行・逮捕
警察官がセクストーションの加害者の身柄を拘束しようとする際には、裁判官に対して逮捕状の発行を請求します。
セクストーションの加害者であることを疑うべき相当の理由があり、かつ罪証の隠滅や逃亡を防止する必要があると判断した場合には、裁判官が逮捕状を発行します。
逮捕状の発行後、警察官は被疑者(加害者)を逮捕できるようになります。
逮捕後は、被疑者の身柄が拘束された状態で取調べが行われ、その後検察官による起訴、刑事裁判の順で手続きが進んでいきます(罰金刑になるケースもあります)。
4、セクストーションによる逮捕・前科を避けるためにできること
セクストーションをしてしまった場合には、逮捕や有罪判決による前科を避けるため、速やかに以下の対応を検討しましょう。
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(1)弁護士に相談する
逮捕や前科を避けるためには、刑事弁護に長けた弁護士のサポートが欠かせません。
セクストーションに当たる行為をしてしまい、逮捕されるのではないかと心配になったら、すぐに弁護士へ相談しましょう。 -
(2)被害者と示談交渉をする
重い刑事処分を避けるためには、被害者との示談を成立させることが重要です。
示談が成立して被害弁償を行えば、そのことが加害者にとって有利な事情となり、逮捕や起訴を避けられる可能性が高まります。
ただし、加害者自身が被害者に示談交渉を提案しても、被害感情の強さなどが影響して拒否されることが多いです。また、すでに加害者が身柄を拘束されている場合は、加害者自ら示談交渉を行うことはできません。
被害者との示談交渉は、弁護士を通じて行うことをお勧めします。
弁護士に依頼すれば、被害者の感情に配慮しつつ冷静に交渉を進めることができ、適切な条件での示談成立が大きく近づきます。 -
(3)発覚前なら自首を検討する
セクストーションをしたことがまだ捜査機関に発覚していないなら、自首することも検討しましょう。
自首をすれば、そのことが加害者にとって有利に考慮され、逮捕・起訴や重い刑事罰を避けられる可能性が高まります。
警察に自首すべきかどうかは、実際にした行為の内容や警察とのコンタクトの有無など、具体的な状況によって異なります。
弁護士に相談しながら、自首するかどうかを適切に判断しましょう。
5、セクストーションは犯罪! 早期に弁護士へ相談を
性的画像・動画を送信させたうえで、その画像や動画を材料に恐喝を行う「セクストーション」は犯罪行為です。恐喝罪や各種の性犯罪が成立し、重い刑罰を科されるおそれがあります。
セクストーションに当たる行為をしてしまったら、刑事弁護について速やかに弁護士へ相談しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、刑事弁護に関するご相談を随時受け付けております。
経験豊かな弁護士が、逮捕・起訴や重い刑罰を避けられるようにサポートいたします。
セクストーションを摘発されて重罰に処されることを避けたいなら、早い段階でベリーベスト法律事務所へご相談ください。
※本コラムは公開日当時の内容です。
刑事事件問題でお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所へお気軽にお問い合わせください。