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弁護士コラム

2021年04月15日
  • 少年事件
  • 鑑別所

少年鑑別所はどんな場所? 少年院と鑑別所の違いや生活の様子とは

少年鑑別所はどんな場所? 少年院と鑑別所の違いや生活の様子とは
少年鑑別所はどんな場所? 少年院と鑑別所の違いや生活の様子とは

令和2年版の犯罪白書によると、令和元年中に刑法犯・危険運転致死傷・過失運転致死傷などの事件を起こして検挙された未成年の少年は全国で3万7193人でした。

少年が刑事事件を起こしたとき、その身柄が「少年鑑別所」に置かれることがありますが、どのような場合に少年鑑別所に収容されるのか、そもそも少年鑑別所がどのような役割を担う機関なのかを正確に把握している方は多くないでしょう。

このコラムでは「少年鑑別所」とはどのような場所なのか、少年鑑別所に収容される期間や収容後の生活、少年院との違いなどを弁護士が解説します。少年鑑別所への収容が決定した場合の対応方法もあわせて確認しましょう。

1、少年鑑別所の役割

まずは少年鑑別所がどのような機関なのか、どんな役割を担っているのかを確認しましょう。

  1. (1)少年鑑別所とは

    少年鑑別所は、令和2年4月時点で全国に52庁が設置されている法務省管轄の施設のことです。次の3つの業務を行っています。


    • 専門的知識および技術に基づいた鑑別を実施すること
    • 在所者の情操の保護に配慮して、その者の特性に応じた観護処遇を実施すること
    • 地域社会における非行および犯罪の防止に関する援助を実施すること


    少年が非行にいたるには、少年自身の性格や環境、人間関係など、複雑な理由があります。成人事件のように刑罰を加えて戒めるのではなく、更生に向けた援助の手を差し伸べるためには、少年の特質を理解し、専門的な知識に基づいて鑑別する必要があるのです。

    少年鑑別所が実施する鑑別には4つの種類があります。


    • 収容鑑別
    • 家庭裁判所が審判をおこなう可能性がある少年について身柄の収容を決定した際に下す観護措置のひとつです。

    • 在宅鑑別
    • 少年鑑別所に収容せず、在宅のままで少年を少年鑑別所に来所させておこなう鑑別で、収容鑑別と同じく観護措置のひとつと位置づけられています。

    • 依頼鑑別
    • 刑務所や少年院、保護観察所など法務省関係機関からの依頼を受けて実施する鑑別で、対象者の資質鑑別や心理テストなどが行われます。

    • 一般鑑別
    • 一般市民や公私の団体などからの依頼を受けて実施する鑑別で、非行だけでなく性格・しつけ・生徒指導などがおこなわれます。

  2. (2)少年鑑別所に収容される期間

    家庭裁判所が観護措置を決定した場合、少年鑑別所に収容される期間は原則として2週間です。ただし、1回に限って更新が認められているので、2週間+更新2週間=4週間の収容を受けることもあります。

    また、死刑・懲役・禁錮が規定されている重大事件や非行事実の認定において、証人の尋問や精神鑑定などの必要がある場合には、さらに2回の特別更新も可能です。

    なお、少年鑑別所は「勾留に代わる観護措置」によって少年の身柄を収容する施設としての役割も果たします。勾留に代わる観護措置の収容期間は請求の日から10日間で、成人の勾留のように延長は認められません。

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2、少年院との違い

少年鑑別所と紛らわしい存在として「少年院」があります。少年鑑別所と少年院を混同している方も少なくありませんが、両者はまったく違う目的をもつ機関です。

少年院とは、家庭裁判所の少年審判によって「矯正教育が必要である」と判断された場合に少年を収容する施設です。少年院への収容を決定する処分を「少年院送致」といい、家庭裁判所が下す保護処分のひとつとして位置づけられています。

少年鑑別所は、その前段階で「少年院に送致する必要があるのか?」を判断するために調査・鑑別するための機関です。つまり、少年鑑別所に収容されている少年は、いまだ処分が決定していない段階にあります。

また、少年院では少年に対して矯正教育が実施されますが、少年鑑別所はあくまでも鑑別のために設けられた機関です。収容された少年に矯正教育を施す機能はありません。

ただし、一般鑑別の場合は教科の学習や一般教養・社会的常識の付与、就労準備の支援、情操のかん養や心情の安定促進といった健全育成教育を実施しています。一般市民に広く利用を促して少年の健全育成に寄与しようという方針は、少年院にはない考え方です。

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3、少年鑑別所へ収容される流れ

少年鑑別所へと収容されるまでの流れと、収容後の流れを確認しましょう。

  1. (1)収容までの流れ

    刑事事件の被疑少年として逮捕されると、警察署で取り調べを受けたのち、逮捕から48時間以内に検察官へと送致されます。検察官が24時間以内に勾留を請求すると、原則10日間、延長によって最長20日間まで身柄拘束が延長され、満期を迎える日には家庭裁判所に送致されます。

    警察・検察官といった捜査機関が関わるのは、原則としてここまでです。

    送致を受けた家庭裁判所は、捜査の結果に加えて医学や心理学といった専門知識に基づいて、少年審判の要否を判断します。少年審判を開始する可能性がある場合は、さらに詳しい鑑別を実施するために少年鑑別所へと収容します。

  2. (2)収容後の流れ

    少年鑑別所へと収容されると、次のような流れで少年審判へと進みます。


    • 入所時の調査・オリエンテーションの実施
    • 担当技官による鑑別面接(1回目)
    • 集団方式の心理検査
    • 担当技官による鑑別面接(2回目)
    • 個別方式の心理検査
    • 判定会議
    • 鑑別結果通知書の作成
    • 少年審判の開始


    主に面接や心理検査の結果から少年審判の要否を決定しますが、ほかにも、鑑別所内での素行や生活態度も審判の要否に影響を与えます。収容期間は少年にとって決して短くありませんが、常に行動観察を受けていることを忘れてはいけません。

    また、少年鑑別所は家庭裁判所への鑑別結果通知書の提出をもって少年審判の要否を意見する立場ですが、さらにその後の処分についての意見も述べることができます。

    在宅のままで更生が期待できるなら保護観察を、矯正施設への収容が必要なら少年院送致をといった意見が付されるため、少年鑑別所での生活がその後の処分を左右するともいえるでしょう

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4、少年鑑別所での生活

少年鑑別所に収容された少年は、所内でどのような生活を送ることになるのでしょうか?

  1. (1)少年鑑別所での過ごし方

    少年鑑別所は、少年院のように矯正教育を施すための機関でも、刑務所のように刑罰を加えるための機関でもありません。あくまでも少年審判の要否を判断するために鑑別を実施する場所であるため、多くの方がイメージするような厳しい指導がおこなわれるわけではないのです。

    少年鑑別所には、個室の「単独室」と相部屋の「集団室」があり、入所オリエンテーションの結果に応じて部屋の配置が調整されます。所内では、体操服やパジャマといった施設側が用意した衣服を着用するため、私服で過ごすことはありません。食事は朝・昼・晩の三食が時間どおりに提供されます。

    収容されている間は、鑑別技官による面接や集団・個別の心理検査、知能テストなどを受けることになりますが、そのほかは勉強や読書をしながら過ごす時間が多くなるでしょう。特に、学校に通っている少年の場合は、学校の学習に遅れてしまわないように教科書や問題集を使って勉強に励むといった取り組みを見せるケースも多数です。

  2. (2)面会の取り決め

    少年鑑別所に収容されている少年との面会が認められるのは、一部の親しい立場にある人に限られます


    • 両親・兄弟・祖父母・叔父叔母など、三親等以内の親族
    • 在学中の学校の教師、在職中の職場の上司など


    これらの方であれば、面会が許可されるでしょう。

    面会できるのは、原則として開庁日である平日の日中のみです。土日・祝祭日と夜間の面会は認められません。1回の面会時間は15分程度ですが、当日の予定や面会の混雑状況によって上下することがあります。

    また、警察署の留置場における面会のように仕切板などはありませんが、原則として鑑別所職員が立ち会うことになります。

    なお、弁護士であれば「付添人」としての面会が可能です。付添人による面会では、閉庁日・閉庁時間であっても事前の申し出があれば面会が認められるほか、1回の時間制限や職員による立ち会いもありません。少年に対して具体的なアドバイスを与えたい場合は弁護士による面会を依頼したほうが賢明でしょう。

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5、観護措置になってしまった場合の対応

あなたの家族である少年が犯罪にあたる行為をはたらいてしまい、家庭裁判所から観護措置を受けてしまった場合は、どのように対応するのが正しいのでしょうか?

  1. (1)観護措置とは

    「観護措置」とは、非行があった少年について少年審判に付する可能性がある場合に、家庭裁判所が少年に対して下す処遇のひとつです。少年の心身の状況を鑑別する、審判に出頭しないおそれがある、悪い交友関係から隔離・保護する必要があるなどの判断によって適切な施設に収容することをいいます。つまり、観護措置とは「少年鑑別所への収容」を意味すると考えておけばよいでしょう。

    観護措置が決定した場合、少年は少年鑑別所に収容されますが、収容期間は2~4週間と長期にわたります。学校の学習や仕事に差し障りが生じてしまうケースも少なくないので、早期の解放を目指す必要があるでしょう。

  2. (2)観護措置の取り消しを申し立てる

    少年自身や親権者などの法定代理人、付添人は、家庭裁判所に対して観護措置の取り消しの職権発動を求めることが可能です。少年審判規則第21条には「観護の措置は、その必要がなくなったときは、速やかに取り消さなければならない」と明記されています。

    したがって、観護措置の必要がなく、観護措置を受けることによって学校や仕事などに弊害をもたらすことを主張して認められれば、観護措置は取り消されることになります。少年が入学・卒業・受験・就職といった行事を目前にひかえている状況であれば、特に有用な対策となるでしょう。

    家庭裁判所は、観護措置取り消しの職権発動を求める申し立てについて、必ずしもこれに応じる必要はありません。ただし、観護措置の必要性がない、観護措置によって弊害が生じるといった主張について、具体的な証拠をそろえられれば、少年鑑別所からの解放が十分に期待できます

  3. (3)観護措置決定に対して異議を申し立てる

    少年を少年鑑別所から解放するもうひとつの方法として「異議申立て」があります。この方法は、家庭裁判所が決定した観護措置について、そもそも要件を満たしていないことを指摘し、決定の変更を求めるものです

    観護措置取り消しの職権発動を求める申し立てと異なり、家庭裁判所には応答義務があります。法的な要件を理解したうえで、観護措置決定に違法や誤りがあることを証拠に基づいて指摘する必要があるので、少年事件の解決実績が豊富な弁護士に一任したほうが賢明でしょう。

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6、まとめ

少年鑑別所に収容されると、原則2週間、長ければ4週間から8週間もの長期にわたって少年が社会から隔離されてしまいます。学校や仕事への弊害は計り知れないものがあるため、弁護士に相談したうえで観護措置決定の取り消しの職権発動を求める申立てや異議申立てによって在宅監護を目指すべきです。また、家庭裁判所が観護措置を決定するまでに弁護士が調査官にはたらきかければ、観護措置決定が回避できる可能性もあります。

少年鑑別所への収容を回避したい、少年鑑別所に収容されてしまった少年を早く解放してあげたいとお考えなら、少年事件の解決実績を豊富にもつベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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