初回相談60分無料

被害者の方からのご相談は
有料となります

0120-359-186
平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:00

弁護士コラム

2024年06月24日
  • 財産事件
  • 詐欺

詐欺で逮捕にいたる流れとは? 詐欺罪が成立する要件や逮捕の流れ

詐欺で逮捕にいたる流れとは? 詐欺罪が成立する要件や逮捕の流れ
詐欺で逮捕にいたる流れとは? 詐欺罪が成立する要件や逮捕の流れ

令和5年の「犯罪白書」によると、令和4年中に検察庁が処理をした詐欺事件の総数は1万6846件でした。そのうち、警察などによって逮捕された事件は8116件で、残る8730件は事件として認知はされたものの逮捕までにはいたっていません。しかし、逮捕によって身柄拘束を受けた割合を示す身柄率は47.7%にものぼり、刑法犯全体の身柄率34.3%と比較すると高い数値だといえるでしょう。

「詐欺」はメディアの報道などで耳にしやすい犯罪のひとつですが、詐欺事件を起こした場合、どのように逮捕されるのか、逮捕された後はどうなるのか、ということはわからない方も多いでしょう。また、詐欺罪が成立する要件は数多くの刑法犯のなかでも特に判断が難しいといわれており、一般の方が正確に判断するのは困難といえます。

本コラムでは、詐欺罪が成立する要件や手口の種類などに触れながら、逮捕にいたるケースや逮捕後の流れをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

目次

  1. 1、詐欺罪とは
    1. (1)詐欺罪の法的根拠
    2. (2)詐欺罪の刑罰
  2. 2、詐欺罪の成立要件
    1. (1)詐欺の実行行為がある
    2. (2)詐欺の結果が発生している
    3. (3)実行行為と結果の因果関係がある
    4. (4)詐欺行為に対する故意がある
    5. (5)未遂の場合
  3. 3、詐欺の具体的な手口
    1. (1)特殊詐欺
    2. (2)借用詐欺
    3. (3)結婚詐欺
    4. (4)保険金詐欺
    5. (5)無銭飲食・無賃乗車
  4. 4、詐欺事件における逮捕と逮捕後の流れ
    1. (1)通常逮捕される(刑事訴訟法第199条)ケース
    2. (2)現行犯逮捕される(刑事訴訟法第212条、同213条)ケース
    3. (3)逮捕後の流れ
  5. 5、詐欺罪の量刑はどのように判断される?
    1. (1)前科前歴の有無
    2. (2)被害金額
    3. (3)行為の悪質性
    4. (4)反省の有無
    5. (5)示談成立の有無
  6. 6、詐欺罪で逮捕されることによる影響
    1. (1)実名報道を受けるおそれがある
    2. (2)長期の身柄拘束で社会生活に悪影響がでる
  7. 7、詐欺の疑いをかけられたら弁護士に相談を
    1. (1)被害者との示談交渉を一任できる
    2. (2)早期の身柄釈放や不起訴処分の獲得が期待できる
    3. (3)刑事裁判での弁護活動を依頼できる
    4. (4)無罪の主張をサポートしてもらえる
  8. 8、まとめ

1、詐欺罪とは

まず、詐欺罪とはどのような犯罪なのか確認しておきましょう。

  1. (1)詐欺罪の法的根拠

    詐欺罪は、刑法第246条に定められている犯罪です。条文には、次のように明示されています。


    • 1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
    • 2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。


    1項が適用される場合を「1項詐欺」、2項にあたる場合を「2項詐欺」といいます。
    1項詐欺……財物を交付させた、つまり「金品などをだまし取った」という行為
    2項詐欺……うそをいって支払いを免れる行為

  2. (2)詐欺罪の刑罰

    詐欺罪の刑罰は、10年以下の懲役です。

    期限の定めがある懲役刑を「有期懲役」と呼びますが、有期懲役は刑法第12条1項の定めによって「1か月以上20年以下」と定められています。つまり、詐欺罪で有罪判決を受けた場合は、最低で1か月、最長で10年にわたって刑務所に収監されることになります。

    詐欺罪には罰金刑の規定はないので、刑罰の選択肢は懲役しかありません金銭では償えないという観点からすれば、厳しい刑罰が科せられる犯罪だといえるでしょう

2、詐欺罪の成立要件

詐欺罪は、刑法に定められた犯罪のなかでも特に成立要件の判断が難しいといわれています。ここでは、詐欺罪の構成要件に照らしながら、詐欺罪が成立するための要件を確認していきましょう。

  1. (1)詐欺の実行行為がある

    詐欺罪の成立要件においてもっとも重要なのが「実行行為」です刑法第246条1項の条文で示されているように「人を欺いた」と評価するためには「欺罔(ぎもう)」と「錯誤」が存在する必要があります


    • 欺罔とは
    • 欺罔行為とは、相手方の錯誤に向けた虚偽の事実を伝える行為です。たとえば「財布を落としてしまってお金がないので、来月の給料で必ず返済するからお金を貸してほしい」とうそをつく、被害者の息子を装って「結婚している女性を妊娠させてしまい、慰謝料を請求されている」と金銭が必要であるかのように偽る行為が欺罔にあたります。

    • 錯誤とは
    • 錯誤とは、観念と真実の不一致をさし、加害者が伝えた虚偽の事実を、被害者が信じ込んでしまうことをいいます。被害者がうそと見破ればその後の被害は発生しないので、いかに被害者の信用を勝ち取って錯誤に陥らせたか、ということが詐欺罪の成立における大きなポイントとなるでしょう。
  2. (2)詐欺の結果が発生している

    欺罔・錯誤に基づいて、被害者の手から加害者へと金銭などの財産が移動していることも重要なポイントです。うそをついて被害者をだますことに成功しても、財産の移動によって成果が得られなければ、詐欺行為は意味をなしません。

    結果が発生しているのかという点は、詐欺罪の目的を最後まで達しているのか、それとも未遂なのかを決定づけるポイントとなります。

  3. (3)実行行為と結果の因果関係がある

    詐欺行為によって交付された金銭は、欺罔・錯誤に基づいたものでなければなりません。たとえば、欺罔・錯誤は存在するものの、被害者がまったく別の名目で加害者に金銭を渡したようなケースでは、詐欺の実行行為と生じた結果との間に因果関係がないため、詐欺罪が成立しません。

  4. (4)詐欺行為に対する故意がある

    詐欺罪は「相手にうそをいってだます」という故意がないと成立しません。たとえば、友人にお金を借りたところ、収入が少なかったので約束どおりに返済できなくなったといったケースでは、「約束が守れなかった」というだけで「故意にだました」とはいえないでしょう。

    詐欺の故意がない場合は、財産の移動があったとしても民事上の債務不履行などが成立するにとどまります。

  5. (5)未遂の場合

    詐欺罪が成立するのは、ここまでで挙げたすべての要件が満たされている場合に限られます。

    そのため下記のケースでは詐欺罪が成立せず、民事的な金銭トラブルとしか評価されません。


    • 加害者の話が真実である
    • 実行行為と結果との間に因果関係がない
    • 詐欺の故意が存在しない


    ただし、詐欺罪には未遂を処罰する規定があるため、故意にうそを伝えたものの被害者がうそを見破って事件にならなかった詐欺未遂の場合も、刑罰が科せられる可能性があります。これは被害者がうそを見破らなければ詐欺行為が成功したおそれがあるためです。

    なお詐欺未遂罪の法定刑は、詐欺罪と同じく10年以下の懲役です。そのため、未遂に終わったから逮捕されない・軽い処分で済まされるなどと考えるのは間違いです。

弁護士との電話相談が無料でできる
刑事事件緊急相談ダイヤル

0120-359-186
無料電話
電話相談をする
平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:00
  • お電話は事務員が弁護士にお取次ぎいたします。
  • 警察が未介入の事件のご相談は来所が必要です。
  • 被害者からのご相談は有料となる場合があります。

メールによるお問い合わせは、24時間365日 ご相談を受け付けております。

メールでお問い合わせ

365日・24時間受付中

3、詐欺の具体的な手口

刑法に定められている犯罪のなかには、どのような方法で犯行に及んだのか、「手口」によって分類されるものがあります。詐欺罪も手口による分類を受ける犯罪で、一般的によく知られている手口も数多く存在しています。

ここでは、詐欺の具体的な手口についてみていきましょう。

  1. (1)特殊詐欺

    詐欺の手口分類のなかでも比較的新しいものとして挙げられるのが「特殊詐欺」です。特殊詐欺とは、電話・はがき・封書などにより、対面しない方法で親族や公的機関の職員などを名乗って被害者を信じ込ませたうえで金銭をだまし取る手口です。金銭の受け渡しは、直接の手渡しではなくATMを使った送金やレターパックなどが用いられます。

    「振り込め詐欺」に該当するオレオレ詐欺・架空請求詐欺・還付金等詐欺・融資保証金詐欺をはじめ、ギャンブル必勝法詐欺や異性との交際あっせん詐欺などを総じて特殊詐欺といいます。

    街頭の広報ポスターやテレビ・ラジオのCMなどでもたびたび紹介されているので、名称を聞いたことがあるという方も多い詐欺の手口でしょう。

  2. (2)借用詐欺

    「◯日までに返済するのでお金を貸してほしい」などとうそをいい、金銭貸借を装って金銭をだまし取る手口は「借用詐欺」と呼ばれます。古くは「寸借詐欺(すんしゃくさぎ)」と呼ばれていたとおり、少しの間お金を借りるという体裁で金銭をだまし取る手口です。なお、借用詐欺は民事的な金銭トラブルとの区別が難しいという特徴があります。

  3. (3)結婚詐欺

    結婚することを前提にして金銭をだまし取るのが「結婚詐欺」です。詐欺罪は、財産をだまし取る、あるいは財産上不法の利益を得ることで成立する犯罪なので「結婚すると約束していたのに結婚してくれない」というだけでは結婚詐欺にあたりません。

  4. (4)保険金詐欺

    交通事故や不慮の事故などを装い、虚偽の報告によって保険会社から保険金を詐取する行為は「保険金詐欺」という手口に分類されます。故意に交通事故や負傷・死亡などの結果を起こしたうえで保険金を請求するため、詐欺行為と正当な請求との区別がつきにくいという点で非常に悪質な手口と評価されています。

  5. (5)無銭飲食・無賃乗車

    飲食店などで飲食をし、支払いの段階で「お金がない」「財布を忘れた」などのうそをいって支払いを免れる行為は「無銭飲食」と呼ばれます。同様に、あたかも目的地に到着すれば代金を支払うかのように装ってタクシーなどを利用し、精算時に代金支払いを免れる行為を「無賃乗車」といいます。

    また、安い運賃の切符を購入して電車に乗り、定期券などを使って目的地で降車できる切符を使って途中の運賃支払いを免れる行為は、無賃乗車のなかでも「キセル乗車」と呼びます。これらも詐欺の手口のひとつに該当します。

4、詐欺事件における逮捕と逮捕後の流れ

詐欺事件を起こして逮捕される割合は、令和5年版の犯罪白書で公開されたデータに基づけば47.7%です。約半数近くの加害者が逮捕されているということがわかります。

ここでは、詐欺事件における逮捕と逮捕後の流れを確認しておきましょう。

  1. (1)通常逮捕される(刑事訴訟法第199条)ケース

    詐欺事件の多くは、被害者が「詐欺にあった」と警察に相談することで表沙汰になります。つまり、犯行の後日になって捜査が開始されるケースが多いため、裁判官が発行する逮捕状に基づく「通常逮捕」によって逮捕されるのが一般的です。

    詐欺事件の捜査は長期に及ぶため、逮捕状が発行されて逮捕されるまでには、数週間・数か月以上の時間がかかることもめずらしくありません。事件を起こして1年以上がたってから突然自宅に警察官がやってきて逮捕されるケースもあります。

    また、逮捕されず任意の取り調べを受けている場合でも、明らかな事実をかたくなに否認していたり、正当な理由もなく警察署への出頭を拒んでいたりすれば、逮捕状が発行されるおそれがあるので注意しましょう。

  2. (2)現行犯逮捕される(刑事訴訟法第212条、同213条)ケース

    詐欺行為が警察官の目前でおこなわれた場合は、現行犯人として逮捕されるおそれがあります。

    詐欺事件で現行犯逮捕されるケースはかなり限定的です。たとえば、無銭飲食や無賃乗車が発覚してすぐに警察官が現場臨場し、現に罪をおこない終わった者として身柄を確保した場合は、現行犯逮捕を受ける可能性があります。

    また、特殊詐欺のうち、銀行員などを装って自宅にキャッシュカードや金銭を受け取りに行く手口では、すでに被害を看破している被害者が警察に届け出て「だまされたふり作戦」によって現行犯逮捕されるケースもあります。

  3. (3)逮捕後の流れ

    警察に逮捕されると、すぐに身柄が拘束されて自由な行動が制限されます。逮捕を告げられた時点から、自宅へ帰ることも会社に向かうこともできなくなるのです。家族に電話をかけることも許してもらえません。

    逮捕から48時間以内は、警察署に留置されたうえで警察官による取り調べを受け、疑いが晴れれば釈放となります。もし、さらなる取り調べが必要と判断されれば検察官へと事件が引き継がれます。警察から検察官へと事件を引き継ぐ手続きを「送致」といえいますが、ニュースなどでは「送検」と表現されています。

    送致を受けた検察官は、さらに取り調べをおこなったうえで24時間以内に起訴・不起訴を判断しなくてはなりません。ところが、逮捕から72時間では捜査や取り調べが足りず、起訴・不起訴の判断を下すのが困難であるケースもあります。

    その場合、検察官は、裁判官に対して身柄拘束の延長許可を求めます。これを「勾留請求」といい、裁判官が勾留を認めると原則10日間、延長によって最長20日間までの身柄拘束が続きます

    勾留期限が満期を迎える日までに、検察官は再び起訴・不起訴を判断することになります。ここで検察官が起訴すれば刑事裁判へと移行し、不起訴処分を下せば即日で釈放されます

    起訴された場合、刑事裁判は起訴後およそ1~2か月後に開かれます。その後は、おおむね1か月に一度公判が開かれ、数回の審理を経たうえで判決が言い渡されます。そのため、刑事裁判が終了するまでには数か月かかることになります

5、詐欺罪の量刑はどのように判断される?

詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役です。裁判官は、最短で1か月・最長で10年という法定刑の範囲から、どれくらいの量刑を科すことが適切か判決を下します。
どのような基準で、量刑が判断されるのか詳しくみていきましょう。

  1. (1)前科前歴の有無

    以前に罪を犯して刑罰を受けた経歴を「前科」といい、罪に問われないまでも刑事事件として警察の捜査を受けた経歴を「前歴」といいます。前科・前歴がないことを「初犯」と呼び、刑罰を判断するうえで有利な材料となります。

    ただし初犯の場合でも、後述する被害金額や行為の悪質性によっては厳しい処分が下される可能性もあるため、「初犯だから重い刑罰にはならないだろう」などと油断するのは危険です

    一方で、前科・前歴がある場合、特に同種の犯罪の前科・前歴がある場合は「反省していない」と判断されやすく、厳しい刑罰が下されるおそれが高いでしょう。

  2. (2)被害金額

    詐欺罪の刑罰を判断する重要な基準となるのが「被害金額」です。うそをついて金銭をだまし取る犯罪なので、被害金額が大きければ被害が重大だと判断され、罪が重くなる可能性があります。

  3. (3)行為の悪質性

    詐欺行為の悪質性も刑罰を判断するうえで重要な基準です。短絡的・とっさ的に思いついた犯行であれば、犯罪にいたるまでの事情が比較的軽微であると判断され加害者にとって有利な結果となる可能性があります。反対に、計画的・組織的な犯行である、多数の被害者が存在するといった状況であれば「悪質である」と判断されて、厳しい刑罰が科せられるおそれがあります。

  4. (4)反省の有無

    加害者本人の反省の有無や度合いも重視されます。裁判官の前で反省の色がうかがえるのかという点も大切ですが、警察・検察官の段階における取り調べのなかでも反省を示していたのかも注目されるので注意が必要です。

  5. (5)示談成立の有無

    被害者との間で示談が成立していれば、被害者が「加害者のことを許す」という意思を表示したものと評価されます

    被害者との示談では、だまし取った金銭の賠償も話し合うのが一般的です。すでに、だまし取った被害金に相当する全額を支払っている場合は「実害がなくなった」と評価され、加害者にとって有利な事情となります。全額の賠償にはいたらなかった場合でも、一部賠償や今後の賠償について確約していれば、やはり有利な事情のひとつとして効果的でしょう。

弁護士との電話相談が無料でできる
刑事事件緊急相談ダイヤル

0120-359-186
無料電話
電話相談をする
平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:00
  • お電話は事務員が弁護士にお取次ぎいたします。
  • 警察が未介入の事件のご相談は来所が必要です。
  • 被害者からのご相談は有料となる場合があります。

メールによるお問い合わせは、24時間365日 ご相談を受け付けております。

メールでお問い合わせ

365日・24時間受付中

6、詐欺罪で逮捕されることによる影響

詐欺罪の被疑で逮捕されてしまうと、さまざまな不利益を被ることになります。詐欺罪で逮捕されることによる影響をみていきましょう。

  1. (1)実名報道を受けるおそれがある

    警察が被疑者を逮捕した事件は、マスコミに情報が公開されて実名報道を受けてしまうおそれがあります。

    警察が地元の新聞社などのマスコミ各社に公開するのは、被疑者の氏名や年齢、「◯◯市在住」程度の大まかな住所、職業、逮捕被疑の内容と逮捕当時の供述内容といった情報です。この情報を新聞やニュースで広く公表するのか、それとも公表しないのかは、マスコミ各社の判断によりますが、詐欺事件のように世間の耳目を集めやすい情報は公表されるおそれが高いでしょう。

    マスコミ各社がホームページなどでも情報を掲載すれば、インターネット上に実名報道の情報がさらされることになり、SNSなどでも拡散されて情報の収拾は困難になります。

  2. (2)長期の身柄拘束で社会生活に悪影響がでる

    刑事事件の被疑者として逮捕されると、逮捕から勾留決定までに最大72時間、勾留が最長で20日間、合計で23日間にわたる身柄拘束を受ける可能性があります。身柄拘束が長期にわたれば、会社や学校を休むことになる事態は避けられません。会社や学校の規定によっては解雇・退学といった不利益処分を受けることもあり、社会復帰は難しくなるでしょう。

7、詐欺の疑いをかけられたら弁護士に相談を

詐欺罪の疑いをかけられてしまったら、早期に弁護士に相談してサポートを求めるのが賢明です。

  1. (1)被害者との示談交渉を一任できる

    被害者との間で示談が成立し、だまし取った被害金に相当する金銭を賠償すれば、実質的な損害はなくなります実害が解消されれば、厳しい刑罰を科す必要はないと判断されやすくなり、検察官が不起訴処分を下す可能性も高まるでしょう

    しかし、被害者との示談交渉を進めようとしても、加害者本人や加害者の家族などは被害者の情報を知ることができません。被害者が強い処罰意志を持っている場合は、示談交渉を拒絶されてしまうおそれもあります。

    そのような場合、示談交渉を弁護士に一任すれば、捜査機関へのはたらきかけによって被害者の情報が得られる可能性があります。また加害者本人ではなく、第三者である弁護士が対応することで被害者の警戒心をやわらげてスムーズな交渉が実現する可能性も考えられます。

  2. (2)早期の身柄釈放や不起訴処分の獲得が期待できる

    弁護士に刑事弁護を依頼することで、逮捕によって身柄を拘束されている状態からの早期釈放や、検察官による不起訴処分の獲得が期待できます。逃亡や証拠隠滅のおそれがない、家族などによる監督が徹底されており任意の取り調べにも十分に応じられるといった状況を示す証拠をそろえて、不利益が続く状態の解消を目指します。

  3. (3)刑事裁判での弁護活動を依頼できる

    検察官が起訴に踏み切って刑事裁判に発展した場合でも、弁護士に依頼すれば刑罰の軽減を目指した弁護活動が期待できます。

    刑事訴訟法第289条の規定によって、死刑または無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮にあたる罪の事件は、弁護人なしで刑事裁判を開廷できません。これを「必要的弁護事件」といいます。詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役なので、長期3年を超えています。つまり、詐欺罪の刑事裁判では、弁護人を必ず選任しなくてはなりません。

    弁護人として選任された弁護士は、加害者本人の反省や更生の可能性を主張できる証拠を集めるほか、被害者との示談成立など加害者にとって有利な材料を集めて裁判官に示し、刑罰を軽減できるよう尽力します。刑罰が軽減される「減軽」や刑罰の執行が一定期間に限って猶予される「執行猶予」の獲得を目指すなら、弁護士のサポートは欠かせません。

  4. (4)無罪の主張をサポートしてもらえる

    詐欺の故意がなかったのに詐欺罪の被疑をかけられてしまったのであれば、無罪を主張することになるでしょう。しかし、実際に詐欺の故意がなく被疑をかけられること自体がぬれぎぬだとしても、加害者本人が無罪を主張してこれを認めさせるのは容易ではありません。

    客観的な証拠に基づいて無罪を主張する必要があるので、弁護士によるサポートは必須といえます。

8、まとめ

詐欺事件は、事件を起こしてから逮捕されるまでに1年以上たってから逮捕されるケースもあれば、中には現行犯逮捕されるケースもあります。詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役であり、罰金刑の規定はありません。詐欺の疑いで逮捕・起訴されて、有罪判決が下されれば必ず懲役刑となり、実刑となれば刑務所に収監されてしまいます。

詐欺事件を穏便に解決するには、加害者本人が真剣に反省を示すことに加えて、被害者に謝罪してだまし取った被害金を賠償し、被害者の許しを得るのが最善策です。被害者との示談交渉は、タイミングが早ければ早いほど有利な結果が得られるので、犯罪の被疑をかけられてしまった場合は早期に弁護士に相談してサポートを受けましょう

詐欺罪の疑いをかけられてしまった場合の刑事弁護は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。

本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
刑事事件問題でお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所へお気軽にお問い合わせください。

弁護士コラムトップにもどる

その他の財産事件のコラム

事件の種別から探す