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強姦とは? 家族が逮捕されてしまったときに前科を付けない方法
もしも大切な家族が強姦容疑で逮捕されてしまったら、多くの方が戸惑い、まさかと思い絶望し、そして将来に対する不安を感じることでしょう。
現在、日本における刑事事件では、起訴されてしまうと約99%が有罪になると言われています。有罪になると前科がついてしまうため、仕事や人付き合いなど、その後の社会生活にも大きな影響を与えるおそれが生じる可能性は否定できません。
そこで今回の記事では、身内が強姦罪で逮捕されてしまった際に、前科がつかないように早期解決するための方法や注意点について解説していきます。
1、強姦(強制性交等)とは
強姦罪で逮捕されて有罪になれば、懲役刑となり数年間は刑務所に収監されてしまうかもしれません。ここでは、強姦罪がどのような犯罪なのかを解説します。
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(1)法改正により名称と内容が変更
かつて「強姦罪」と呼ばれていた犯罪は、平成29年の刑法改正で、名称が「強制性交等罪」へ変更になりました。同時に、処罰される行為、被害者の性別要件、法定刑の引き上げ、非親告罪化など、内容も大幅に変わっています。
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(2)強制性交等罪とは
強制性交等罪とは、13歳以上の者に対しては、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交、口腔性交を行うことで問われる罪です(刑法第177条前段)。犯罪の成立のために被害者の性別は問われません。脅迫や暴行という手段が用いられたかがポイントになります。
なお被害者が13歳未満の場合は、当事者間の合意があっても、あるいは脅迫や暴行が認められなくても犯罪が成立します(同条後段)。 -
(3)旧強姦罪との違い
強姦罪との最大の違いは、処罰される行為の内容が拡大されたことと被害者の対象が変わったことです。従前は行為の内容として「姦淫行為」が対象でした。姦淫行為とは性交を指し、男性の陰茎を女性器に挿入する行為が該当します。
これに対し強制性交等罪では、「肛門性交又は口腔性交」が加わり、処罰対象となる行為の内容が拡大されました。これまで、行為の性質から被害者は女性に限定されていましたが、改正後には男性も対象となり得ることになっています。
2、強制性交等罪の構成要件と刑罰
強制性交等罪が成立するには、一定の構成要件が必要です。強制性交等罪および関係する罪については、主に刑法177条から181条において定められています。
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(1)強制性交等罪の構成要件
犯罪が成立するための要件として、暴行や脅迫があったかどうかが争点となるケースが考えられます。
ただし、過去の判例では、暴行又は脅迫のいずれにおいても、「被害者の反抗を著しく困難にする程度」であれば足りるとされています。直接的な暴力や脅す言葉などがなかったとしても、犯行時の状況や被害者の年齢、加害者の素行歴などによっては、暴行又は脅迫があったと認められる可能性があります。 -
(2)刑罰の内容
法定刑について、以前は懲役の下限が3年でした。しかし、法改正にともない5年へと見直されています。
これにより、さらに重い刑罰が加害者に与えられることになりました。また、強制性交等罪は性犯罪の中でも重い罪ですので、執行猶予がつく可能性は低く、実刑判決となるおそれが高くなります。 -
(3)13歳未満の場合について強制性交等罪が成立するケース
強制性交等罪は、暴行や脅迫という手段を用いて性交等をした際に適用される犯罪です。
しかし、もしも被害者が13歳未満であった場合には、この限りではありません。暴行や脅迫がなく、仮にお互いの同意があったとしても強制性交等罪は成立する可能性が高いと考えられます。これは、性的な行為の意味やリスクを判断する能力がまだ確立されていない青少年を保護することなどを目的としています。
3、旧強姦罪(強制性交等罪)は非親告罪へ! 時効も変わった?
法改正によって、強姦罪は名称の変更以外にも内容が大きく変わりました。ここでは、法改正による非親告罪化と時効について解説します。
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(1)親告罪と非親告罪の違い
法改正によって強姦罪は名称を「強制性交等罪」に変わるとともに、非親告罪になりました。
親告罪と非親告罪の差は以下のとおりです。
- 親告罪……被害者等からの告訴がなければ起訴できない犯罪
- 非親告罪……被害者等からの告訴がなくても検察の判断で起訴できる犯罪
刑事裁判を行う際、検察が起訴を行うことになりますが、その際に被害者等からの告訴が必要になるのが親告罪です。告訴とは、被害者その他の法定の地位にある者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示のことをいいます。
被害者が未成年者や成年被後見人の場合には、被害者の法定代理人(親権者、未成年後見人、成年後見人)は被害者本人の意思とは独立して告訴できます。また、被害者が死亡したときは、被害者の配偶者、直系の親族または兄弟姉妹も告訴することができますが、被害者の明示した意思に反することはできません。
親告罪においては、犯罪自体は成り立っていても告訴がない以上、警察も独自で捜査し、逮捕することができません。
他方、非親告罪においては、起訴に被害者等の告訴は必要ありません。第三者が告発することもでき、警察などの捜査機関が犯罪を察知すれば独自に捜査し、逮捕することができます。
つまり、名称が「強姦罪」だったころは、被害者等の告訴がなければ起訴されない犯罪だったのです。しかし、性犯罪の多くは被害者が訴えないというケースが多々ありました。そのため、事件が表に出ないケースは少なくありません。捜査や裁判によって被害が公になり被害者の名誉が害されたり、被害を鮮明に思い出して精神的に苦痛を感じてしまうことや、報復をおそれることなどが理由ですが、これでは被害者の負担があまりに大きすぎると問題視されていました。
そこで、強制性交等罪へ法改正されるとともに非親告罪になったのです。 -
(2)強制性交等罪の時効は?
刑事事件には公訴時効が、民事事件では消滅時効が適用されます。
公訴時効とは、検察官が公訴できるまでの期限を示すもので、強制性交等罪の場合は10年間です。時効は犯罪行為終了時から進行します。公訴時効については延長や撤廃の議論がなされてきましたが、今回の法改正では見送られました。
消滅時効は、行使できる権利が消滅するまでの期限です。ここでは被害者が加害者に対して損害賠償を請求できる権利が消滅する時効のことを指し、損害と加害者を知ったときから起算して3年で消滅します。
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4、強姦は厳罰。示談交渉は極めて重要
強姦は性犯罪の中でも非常に重い罪が科される行為です。可能であれば起訴の回避を目指し、もし起訴を免れないときは、少しでも刑期を減らすよう努めたほうがよいでしょう。そのためには被害者との示談成立が不可欠です。
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(1)示談とは何をすること?
示談とは、争いごとについて裁判などで公にすることなく当事者間で話し合って解決するための手段です。示談では和解金の額や支払日、そのほかの条件などを決めるとともに、謝罪も行います。
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(2)示談においての注意点
強姦の被害者は心身ともに多大な苦痛を被っている場合が多く、加害者への拒絶反応や処罰感情が強くみられることから、交渉は簡単ではありません。加害者本人が直接交渉に臨むことは極めて困難であり、それはたとえ加害者のご家族であっても変わりません。被害者の感情を考慮し、弁護士に依頼して慎重に進めていくべきです。
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(3)示談を行うメリット
示談が成立すると量刑判断の際に考慮される可能性がでるほか、減刑されたうえで執行猶予がつくケースもあります。また、起訴前の成立であれば不起訴処分となり前科がつかない可能性もあります。
さらには民事上の損害賠償請求について清算する意味もあります。加害者にとって示談の成立は、刑事上、民事上ともに非常に重要な問題となるわけです。 -
(4)示談をするには弁護士に依頼するのが効果的
極めて重大な示談交渉を加害者本人や加害者家族が行うと、被害者やそのご家族の恐怖心、怒りの感情を逆撫でするなど、逆効果になってしまうケースが多々あります。場合によっては、悪影響を及ぼしてしまう可能性もあるでしょう。
経験豊富な弁護士に依頼することが最善の方法です。
5、まとめ
強姦事件を起こしてしまうと、加害した本人だけでなく、家族にも多大な影響を与えてしまう可能性は否定できません。損害賠償による経済的負担だけでなく、報道などを通じてその事実が周囲に知られてしまうケースもあるでしょう。その後の社会生活における精神的苦痛も計り知れません。
家族としては非常に辛い状況でしょう。しかし、被害者の心情を考慮し、適切な謝罪と示談を行うなど、最善を尽くすことによって、最悪の状況は回避できる可能性があります。たとえば、示談が成立すれば減刑の余地があるほか、早いタイミングであれば起訴を回避し、前科がつかない結果となることもあり得ます。しかし、時間との勝負となると同時に、高い交渉力が求められることになるでしょう。
もしも家族が強制性交等罪(強姦罪)を起こしてしまい、どうしたらよいかわからないとお悩みのときは、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士チームが、加害者本人のサポートはもちろん、被害者との示談成立に向けて力を尽くします。
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