盗撮の被害者に謝罪文を送りたい！ 例文はある？ 注意点を弁護士が解説

盗撮の加害者が謝罪文を書く目的は「被害者に対して謝罪すること」です。

謝罪とは、自らの過ちを認め、相手の苦しみに共感したうえで許しを請う行為なので、自分のメリットのためにするものではありません。謝罪文を書けば必ず許されるわけではありませんし、刑が減軽される保証があるわけではありません。

まずはここを理解しておかないと、いくら形式的な謝罪文を書いても、許してもらえるどころか、被害者をいっそう傷つけてしまいます。

また、謝罪の気持ちがあっても、逮捕され身柄を拘束された状態で謝りに行くことはできません。仮に身体を拘束されていなかったとしても、通常は、盗撮の被害者は加害者からの接触を嫌がります。そこで謝罪文を用い、謝罪を伝えるのです。心のこもった謝罪文を書くことで謝罪の気持ちが伝わりやすくなります。

相手方が示談交渉を拒否している状態であっても、謝罪文を渡すことで心証が和らぐ可能性はあります。示談が成立すれば、起訴・不起訴や量刑の決定に際して、重すぎる罪に問われる可能性を回避するための材料になります。結果として、謝罪文によって自らの状況が好転する可能性が生じ得るということです。

盗撮の謝罪文を書くときには、押さえておくべきポイントがあります。

まず、謝罪文は手書きが基本です。読みやすさを重視するビジネス上の書類とは違いますので、たとえ字を書くことが得意ではなくても一生懸命に書いたことが伝わる手書きが適しています。そのうえで、以下の内容を踏まえて書きましょう。

1. （1）被害者の状況

   被害者が盗撮されて強い恐怖心を抱いたことや、心に傷を負っていること、交通手段を変えて迷惑を被ったことなど、被害者の状況に配慮した内容を記載します。
   
   被害者の感情をできる限りイメージし、相手の視点に立つことが極めて重要です。

2. （2）犯行動機

   犯行に至った理由です。ただし、言い訳に聞こえがちなこともあるため、簡単に触れるか、書かないほうが良い場合もあります。

3. （3）真摯な謝罪

   誠心誠意、謝罪の意思を述べます。
   心から反省しており、申し訳ない気持ちでいっぱいだという思いを真摯に伝えましょう。

4. （4）更生する努力

   今後は二度と盗撮をしないことを誓い、そのための努力内容を記載します。
   
   家族が厳しく監視する体制やカメラの使用禁止など、できるだけ具体的に書きましょう。盗撮を繰り返し行っていた場合は、カウンセリングを受けるなどの努力も重要です。

5. （5）被害弁償の意思

   慰謝料や治療費など、与えた損害に対してしっかり弁償する旨を記載します。
   ただし、「弁償するのだから許してくれ」というニュアンスになると、逆に被害者の怒りを買いかねません。「与えてしまった被害を回復するために、自分ができる限りの弁償をいたします。どうか受け取っていただけませんか」と、被害者を思いやる気持ちで書くことが大切です。

盗撮の謝罪文を書くときは、気をつけなければ反省の意が伝わらないどころか、逆効果になってしまう可能性があります。場合によっては、示談交渉がより困難になってしまうケースがあります。

謝罪文を書く際に注意すべき点は次の4つです。

1. （1）ネットの例文をそのまま使わない

   ネットにあった例文をそのまま使っても、どこかで見た文章だというのは確実に伝わります。自分で考え、自らの言葉で謝罪を述べることが非常に大切です。
   
   ネットの例文はあくまでも参考にとどめておき、自らの状況としっかり向き合い、よく考えて書きましょう。

2. （2）反省していないと捉えられる内容は書かない

   お金さえ払えば解決できる、自分の処分を軽くするためだけに書いたなどと思われてしまうと、謝罪文を書く意味がありません。
   
   被害者にも落ち度があったと捉えかねないような文言は決して書かないでください。反省とはかけ離れた内容になってしまいます。また、言葉遣いの誤りなども、本当に真面目に書いたのか疑われかねませんので慎重になりましょう。

3. （3）弁解に終始しない

   謝罪文は自らを弁解するための書類ではありません。したがって、弁解ではなく、謝罪と非をしっかり認めることに重きを置いてください。
   仕事のストレスや家庭内の不和など犯行に至る背景があったとしても、被害者には関係がないことです。盗撮という犯罪行為が許されるわけではありません。

4. （4）作成・送付が遅い

   謝罪文を送るのが遅くなるほど、被害者としては「これまで何をやっていたのだ」との印象が濃くなります。したがって、なるべく早い時期に作成することが大切です。
   早々に作成することで、被害者への誠意が伝わりやすくなるうえに、早い段階から自身の反省を深めるきっかけにもなります。

普段、謝罪文を書く機会などそうはありませんので、ネットを使って例文を調べる方は多いでしょう。しかし、例文を丸写しすると、一見すると整っているようですが、気持ちのない謝罪文になってしまいます。

テンプレートを利用するより、弁護士へ相談されることをおすすめします。
弁護士は経験から、反省の意思が伝わりやすい謝罪文がどのようなものか理解しているためです。

また、自分では丁寧に書いているつもりでも、被害者の心情を無視した内容になっていることは少なくありません。家族や友人など周囲の人に添削してもらうことも方法ですが、どうしても加害者側の視点になりがちで、客観性に欠けてしまいます。
この点を踏まえても、冷静な第三者の立場で添削できる弁護士が適任です。

盗撮の謝罪文で書くべき項目や注意点は前述のとおりですが、事件によっては追加するべき点や、新たな注意点がでてくることがあります。実際の事件をもとに弁護士からアドバイスを受けましょう。書き終わったら、弁護士が文面のチェックや添削を行います。

盗撮事件を起こすと、状況に応じて、軽犯罪法違反、迷惑防止条例違反や住居侵入罪、相手が18歳未満であれば児童ポルノ規制法違反など、さまざまな罪に問われる可能性があります。

たとえば東京都の迷惑防止条例における罰則は1年以下の懲役または100万円以下の罰金、住居侵入罪（刑法130条前段）の刑罰は3年以下の懲役または10万円以下の罰金であり、決して軽い罰ではありません。

謝罪文の作成を含め、早期に弁護士へ相談することが最善の方法です。刑事手続きにおける以下の場面ごとに、弁護士の存在が大きなメリットをもたらします。

1. （1）逮捕から勾留まで

   盗撮で逮捕されると、勾留請求まで最長72時間も身柄の拘束を受けたまま取り調べを受けます。その間、検察庁に送致され、勾留が行われるかどうかが決定するまでは外部との一切の接触を断たれ、家族にすら会うことができません。
   
   しかし、弁護士であれば制限なく面会し、取り調べに対する対応のほか、謝罪文の作成についても直接アドバイスできます。

2. （2）勾留中

   検察官の勾留請求に対し裁判官が勾留を決定すると、最長で20日間身柄の拘束を受け、会社や学校等、社会生活に影響します。有罪が確定する前に実名報道される可能性も生じるでしょう。
   
   弁護士はこれらのリスクを最小限に抑えるために、長期勾留を回避するよう捜査機関と交渉します。弁護士の活動によって不起訴処分となる可能性もあります。

3. （3）示談交渉

   盗撮事件は、起訴される前に示談が成立すれば、不起訴になる可能性は十分あります。
   しかし、加害者やそのご家族が示談をもちかけても拒否される可能性が高いため、弁護士が代わりに交渉する方が望ましいです。
   
   盗撮は見ず知らずの方に対して行われることが多い犯罪ですが、その場合はいくら謝罪文を書いても渡すことができず、示談もできません。警察は被害者の個人情報を加害者側に対して教えることはないためです。
   
   そのため、弁護士だけが捜査機関を介して被害者と連絡をとることが可能となります。弁護士を通じて謝罪文を渡すことで、示談交渉の糸口を見つけられるでしょう。示談書や嘆願書の署名捺印にも応じてもらいやすくなります。示談金についても弁護士に相談すると良いでしょう。

4. （4）起訴から裁判まで

   万が一起訴された場合、犯行内容に対して不相応に重い罰を受けないための弁護活動が必要です。犯行の悪質性が低ければ罰金刑で済む場合や、執行猶予がつく場合もあります。
   
   しかし、これには法的な観点からの主張が不可欠です。弁護士のサポートが求められます。


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盗撮は被害者に恐怖心や心の傷を与えてしまう犯罪です。盗撮をしてしまったのであれば、被害者の気持ちを推し量り、深く反省し、二度と同じ過ちを繰り返さないと誓うことが大切です。

一方で、重すぎる罰を受けることは避けるべきですので、何らかの対処が必要です。謝罪文だけで直接的に法律上の効果が生じるわけではありませんが、真剣に謝罪の意思を伝える手段として役に立ちます。謝罪文の作成にあたってはポイントや注意点が多数ありますので、弁護士へ相談して気持ちの伝わりやすい文章を書きましょう。

ベリーベスト法律事務所の弁護士が力になりますので、謝罪文の書き方や示談交渉でお悩みの方は、一度ご連絡ください。