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弁護士コラム

2024年02月27日
  • 性・風俗事件
  • 痴漢

痴漢で逮捕されるのはどのようなケース? 痴漢行為で問われる罪と罰則

痴漢で逮捕されるのはどのようなケース? 痴漢行為で問われる罪と罰則
痴漢で逮捕されるのはどのようなケース? 痴漢行為で問われる罪と罰則

令和5年(2023年)7月の刑法改正によって、旧来の強制性交等罪は「不同意性交等罪」へ、強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」へと変更され、処罰の対象となる行為の拡大や公訴時効の延長などの厳罰化がなされました。

性犯罪の厳罰化に伴い、世間から厳しい目が向けられているのが「痴漢行為」です。わが国の処罰法令には「痴漢罪」という犯罪は存在せず、状況に応じて法律が適用され、厳しい処罰を受けます。

本コラムでは、痴漢行為に適用される犯罪や成立要件、罰則の内容などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

令和5年7月13日に強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」へ改正されました。

目次

  1. 1、痴漢とみなされる行為とは
  2. 2、痴漢行為で問われる罪
    1. (1)不同意わいせつ罪
    2. (2)迷惑防止条例違反
  3. 3、痴漢の成立要件
    1. (1)不同意わいせつ罪が成立する要件
    2. (2)迷惑防止条例違反が成立する要件
  4. 4、痴漢で逮捕されるタイミング
    1. (1)現行犯逮捕される(刑事訴訟法第212条、同213条)場合
    2. (2)通常逮捕される(刑事訴訟法第199条)場合
  5. 5、逮捕された場合の影響
    1. (1)解雇や退学のおそれ
    2. (2)前科がついてしまう
  6. 6、痴漢の疑いをかけられたときに弁護士に相談すべき理由
    1. (1)示談交渉を依頼できる
    2. (2)取り調べに向けたアドバイスが得られる
    3. (3)自首のサポートが得られる
  7. 7、冤罪のときはどうすればいい?
    1. (1)「逃げる」のは得策ではない
    2. (2)明確に否認する
    3. (3)家族に連絡する
  8. 8、まとめ

1、痴漢とみなされる行為とは

「痴漢」とは、一般的には女性に対してみだらないたずらを仕掛ける男と解釈されています。痴漢の「漢」が男性を表す文字であるため、加害者が男、被害者は女性という構図が成立しているように見えますが、法律が痴漢行為を罰する場合は男女の別を問いません

痴漢とみなされるものには、次のような行為が挙げられます。

  • 被害者の身体をなで回す行為
  • 被害者の衣服や下着に手を入れて身体を触る行為
  • 被害者に性器を押し付ける行為


このほかにも、偶然を装って身体をぶつける、異性に近づいて匂いをかぐといった形態の痴漢行為があるほか、最近ではスマートフォンの通信機能を利用してわいせつな画像・動画を送りつける「エアドロップ痴漢」も痴漢のひとつの形態とされています。

痴漢行為は、ある種の「マナー違反」「モラル違反」のような捉え方をされてきました。加害者のなかには「異性を誘うような露出が高い服を着ているほうが悪い」と開き直る人や、「痴漢されて喜んでいる女性もいる」と勘違いをしている人も多く、マナーやモラルに訴えても被害が減少する気配はありません。

このような状況もあり、痴漢に対する社会の目は以前にも増して厳しくなっており、適用できる法律を駆使した取り締まりが強化されているという現状があります。

2、痴漢行為で問われる罪

わが国の処罰法令には「痴漢罪」という犯罪は存在しません。痴漢行為をはたらいた場合は、次の2つのいずれかに該当する可能性があります。



  1. (1)不同意わいせつ罪

    不同意わいせつ罪は、刑法第176条に規定されている犯罪です。


    【刑法第176条(不同意わいせつ)】
    次に掲げる行為または事由その他これらに類する行為または事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6か月以上10年以下の拘禁刑に処する。


    痴漢行為は、不同意わいせつ罪が適用されるおそれがあります。法定刑も6か月以上10年以下の拘禁刑が規定されているため、最長で10年という長期にわたって刑務所に収監されてしまう重罪です。
    罰金刑の規定がないという点でも厳しい処罰が規定されている犯罪だといえるでしょう。
    具体的にどのような行為および事由が不同意わいせつ罪にあたるかについては後述します。

  2. (2)迷惑防止条例違反

    痴漢行為の多くは、都道府県が定める「迷惑防止条例」が適用されます。

    迷惑防止条例は各自治体が独自に定める条例のひとつですが、最初に制定された東京都の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」をモデルに、全国の都道府県で施行されています。

    東京都の条例を例に、条文を見てみましょう。


    【東京都迷惑防止条例第5条(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)】
    何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、または人に不安をおぼえさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。
    • (1)公共の場所または公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上からまたは直接に人の身体に触れること。
      ※中省略
    • (2)前2号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所または公共の乗物において、卑わいな言動をすること。


    東京都の場合は、違反者に対して6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。迷惑防止条例の規定や罰則は自治体によって異なり、たとえば、福岡県では1年以下の懲役または100万以下の懲役に処するという罰則になっています。

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3、痴漢の成立要件

痴漢行為が犯罪として成立する要件を考えるには、刑法の不同意わいせつ罪、または都道府県の迷惑防止条例違反の成立要件に照らす必要があります。

  1. (1)不同意わいせつ罪が成立する要件

    上述のとおり、不同意わいせつ罪は、一定の原因によって、「同意しない意思を形成し、表明し、全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあることに乗じてわいせつな行為をした」場合に成立します。

    一定の原因とは、以下の8つの行為および事由、その他これらに類する行為または事由のことをいいます


    • 暴行もしくは脅迫を用いる、または被害者がそれらを受けたこと
    • 心身の障害を生じさせる、または被害者にそれがあること
    • アルコールもしくは薬物を摂取させる、または被害者にそれらの影響があること
    • 睡眠やその他意識が不明瞭な状態にさせる、または被害者がその状態にあること
    • 同意しない意思を形成し、表明し、または全うするいとまがない
    • 予想と異なる事態に直面させて、恐怖または驚愕(きょうがく)させる、または被害者がその状態に直面していること
    • 虐待に起因する心理的反応を生じさせる、または被害者がその状態にあること
    • 経済的または社会的の地位に基づく影響力による不利益を憂慮させる、または被害者が憂慮していること


    これらの行為および事由のうち、痴漢においては特に以下の3つの行為・状態が生じる可能性が高いといえます。


    ・暴行もしくは脅迫を用いる、または被害者がそれらを受けたこと
    (例)被害者を押さえつけたうえでわいせつな行為をする

    ・睡眠やその他意識が不明瞭な状態にさせる、または被害者がその状態にあること
    (例)電車で寝ている被害者に対してわいせつな行為をする

    ・同意しない意思を形成し、表明し、または全うするいとまがない
    (例)路上や満員電車などで被害者が、防ぎようがない、いわゆる不意打ちにわいせつな行為をする

    ・予想と異なる事態に直面させて、恐怖または驚愕(きょうがく)させる、または被害者がその状態に直面していること
    (例)被害者に対してわいせつな行為をし、被害者が極度に不安になったり強く動揺したりしている
  2. (2)迷惑防止条例違反が成立する要件

    東京都の迷惑防止条例を例に、痴漢行為で迷惑防止条例違反が成立するための要件は、次の4点です。


    • 人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせる行為であること
    • 公共の場所または公共の乗物内であること
    • 衣服の上または直接に人の身体に触れること、あるいは卑猥な言動をすること
    • 以上の言動をすることについて正当な理由がないこと


    公共の場所・公共の乗物における行為を対象としているため、たとえば自宅や会社のオフィス内でおこなわれた行為は迷惑防止条例違反には該当しません。

    また、迷惑行為防止条例違反は、衣服の上から人の身体に触れるだけでなく、直接人の身体に触れる場合にも成立するため、「服の上からなら迷惑防止条例違反、身体に直接触れたら不同意わいせつ罪」といった基準は正確ではありません。

4、痴漢で逮捕されるタイミング

痴漢行為が発覚すると、警察に逮捕されてしまうおそれがあります。どのようなタイミングで逮捕されるのかをみていきましょう。

  1. (1)現行犯逮捕される(刑事訴訟法第212条、同213条)場合

    現行犯逮捕とは、現に罪を行っている最中の者、現に罪を行い終わった者や罪を行い終わって間もない犯人に対する逮捕です。こうした犯人に対する逮捕は、犯人の取り間違いが起きるおそれが非常に低い類型であるため、警察官だけでなく被害者本人や目撃者による逮捕も認められています。被害者本人や目撃者による逮捕のことを「私人による現行犯逮捕」といいます(刑事訴訟法214条)。

    警察官による現行犯逮捕では犯行後ただちに身柄を拘束されます。そして、私人による現行犯逮捕では逮捕ののちに直ちに警察官へと身柄を引き継ぐことが必要です(刑事訴訟法214条)。

  2. (2)通常逮捕される(刑事訴訟法第199条)場合

    痴漢行為をはたらいても「その場で捕まらなければ逮捕されることはない」などと考えてはいけません。うまく逃げおおせたと思った場合でも、被疑者として特定されれば、後日になって逮捕状をもった警察官が自宅などを訪ねてきて通常逮捕されるおそれがあります。

    被害者や目撃者の供述、防犯ビデオカメラの映像、ICカード乗車券の利用履歴、DNAなどの鑑識資料、捜査員の張り込みや尾行といった情報をもとに、犯罪の被疑が固まれば裁判官が逮捕状を発付する可能性は高いでしょう。日数が経過したあとでも逮捕されてしまうことがあり得るのです。

5、逮捕された場合の影響

痴漢の疑いをかけられて逮捕されてしまうと、社会生活に多大な影響をおよぼします。

  1. (1)解雇や退学のおそれ

    痴漢行為の被疑者として逮捕されてしまうと、警察による逮捕から検察官が起訴するまでの間に最長で23日間の身柄拘束を受ける可能性があります。身柄拘束を受けている間は自由な行動が大幅に制限されるため、自宅に帰ることも、会社や学校へ通うことも許されません。

    長期にわたる身柄拘束で欠勤や欠席が続いてしまうと、会社や学校の規則によっては不利益な処分が下されるおそれがあります。刑事裁判で有罪判決を受ければ、解雇・退学を言い渡されてしまうおそれも否定できません。

  2. (2)前科がついてしまう

    痴漢行為が不同意わいせつ罪にあたれば拘禁刑(懲役)に、迷惑防止条例違反にあたれば懲役または罰金に処されます。拘禁刑(懲役)・罰金はいずれも「刑罰」にあたるため、有罪判決によって刑罰が言い渡されれば「前科」がついた状態になります。

    前科がついてしまっても、会社や学校、一般の人が他人の前科について調べる方法はありません。

    ただし、一定の職業に限っては「欠格事由」に該当してしまうため、その職に就くことができなくなります。たとえば、医師・看護師・教員・保育士・警備員・生命保険募集人などは、刑罰の執行終了から一定期間が満了しないとその職に就けません。すでにその職に就いている場合も資格の剥奪・停止を受けることがあるので注意が必要です。

    また、近年ではインターネットで逮捕・判決のニュースが公開されることも多いため、一般企業の採用や個人の結婚などに際して氏名からネット上の情報を参考にするケースが増えています。実名報道を受けてしまえば、私生活上の不利益は避けられないでしょう。

6、痴漢の疑いをかけられたときに弁護士に相談すべき理由

痴漢の疑いをかけられてしまったときは、直ちに弁護士に相談しましょう。

  1. (1)示談交渉を依頼できる

    弁護士に依頼すれば、加害者の代理人として被害者との示談交渉を進めることが可能です。真摯(しんし)に謝罪の意思を伝えたうえで慰謝料を含めた示談金を支払い、被害者の許しが得られて示談が成立すれば、検察官が不起訴処分を下す可能性が高まります。

    不起訴処分が下されれば、刑事裁判に発展することはないので刑罰を受けて前科がついてしまう事態を回避できます。身柄拘束も解かれるので、示談成立が早ければ早いほど社会生活への影響も最小限に抑えられるでしょう。

  2. (2)取り調べに向けたアドバイスが得られる

    これまでに警察の取り調べを受けたことがない方なら、取り調べという特殊な状況に萎縮してしまうでしょう。しかし弁護士に依頼すれば、適切な対処法や取り調べにおける注意点などアドバイスをもらうことができます。

    不利な供述を録取されないための対策や、事件を否認する場合には否認を貫くためのポイントなどについて、有効なアドバイスが得たうえで取り調べに臨むことができるでしょう。

  3. (3)自首のサポートが得られる

    痴漢行為をはたらいたが警察に認知されていない、相手が被害を申告しているのかが不明といった状況では、自首によって刑罰が減軽される可能性があります(刑法第42条)。弁護士に相談すれば、自首する際の警察署への同行を依頼できるほか、自首をした場合の見通しについてのアドバイスを受けられます。

7、冤罪のときはどうすればいい?

痴漢事件は、とくに「冤罪(えんざい)」の危険が高いといわれています。

冤罪とは、正確には「無実の罪で刑罰に処されてしまうこと」を指す用語ですが、現在では「無実の罪で疑いをかけられてしまうこと」という意味でも使われています。痴漢事件は、被害者の勘違いや思い込みによって逮捕されても、捜査機関や裁判官に被害者の供述を重視する傾向が強く、冤罪が発生しやすいという特徴があります。

やってもいない痴漢の疑いをかけられてしまった場合、どのように対応するのが最善策なのでしょうか?

  1. (1)「逃げる」のは得策ではない

    たとえ疑いをかけられたとしても、その場から逃げるのは得策ではありません。逃げてしまうと「逃亡または証拠隠滅のおそれがある」と評価され、逮捕の要件を満たしてしまいます。警察官や被害者・目撃者につかまれて身柄を押さえられても、決して逃走したり、逃げる気配をみせたりしてはいけません。

  2. (2)明確に否認する

    痴漢の疑いをかけられてしまうと、その場で警察官や被害者・目撃者などから「痴漢をしましたね?」と確認するような質問を受けることになるでしょう。無実の罪で疑いをかけられているなら、曖昧な返答をせず明確に「やっていない」と否認しましょう。

    逮捕の有無にかかわらず、警察が関与すると必ず取り調べがおこなわれ、供述調書が作成されます。完成した供述調書は、内容を読み聞かせられたうえで署名・押印を求められますが、取調官にとって都合のよい内容になっていないかをしっかりと確認することが大切です。

    「やっていない」と明確に否認する内容になっていないようであれば修正を求め、修正に応じてくれないなら署名・押印は拒否するべきです。供述調書が罪を認めるような内容になっていて、被疑者の署名・押印があれば、後の刑事裁判で「罪を認めていた」と評価されてしまう危険があります。

  3. (3)家族に連絡する

    無実の罪で疑いをかけられてしまったら、その場で直ちに家族に連絡を取りましょう。逮捕されてしまってからでは、家族への自由な連絡も認められません。
    あなたが帰宅しなければ家族も心配するはずです。あらぬ疑いをかけられている状況を察知した家族がただちに弁護士を呼んでくれれば、弁護士が現場に急行して逮捕の回避に尽くしてくれる可能性もあります。

8、まとめ

性犯罪の厳罰化を叫ぶ声が高まっているため、痴漢行為にも厳しい刑罰が科せられるおそれがあります。その場で現行犯逮捕されなくても、捜査の状況次第では通常逮捕される可能性があるため「うまく逃げおおせた」「その場では捕まらなかった」などと安心はできません。

痴漢行為をはたらいて逮捕されてしまった、無実の罪で痴漢の疑いをかけられており困っているなどの悩みがあれば、痴漢事件をはじめとした性犯罪事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。早期の身柄解放や重い処分を回避するには適切な対応が重要です。逮捕された場合には早急にベリーベスト法律事務所へご相談ください。

監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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