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弁護士コラム

2021年04月15日
  • 交通事故・交通違反
  • 酒気帯び運転

酒気帯び運転と酒酔い運転は何が違う? 基準の違いや逮捕に至るケース

酒気帯び運転と酒酔い運転は何が違う? 基準の違いや逮捕に至るケース
酒気帯び運転と酒酔い運転は何が違う? 基準の違いや逮捕に至るケース

警察庁が公開している令和2年版の警察白書によると、令和元年中に起きた飲酒運転による交通事故の件数は3047件でした。件数としては19年連続の減少を記録したようですが、そのうち飲酒運転による死亡事故は176件でした。そのため、全国の警察が飲酒運転に対する取り締まりを緩めることはなく、発覚すれば厳しい刑罰が科せられるでしょう。

飲酒運転とは「飲酒のうえで車などを運転すること」です。道路交通法では「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」とに区別されています。適用される基準や刑罰が異なるため、どちらが適用されるのかは非常に重要な問題です。

このコラムでは、酒気帯び運転と酒酔い運転の違いやそれぞれが適用される基準、罰則について解説します。

1、酒気帯び運転と酒酔い運転の違い

飲酒運転は、道路交通法上では「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に区別されています。まずは「飲酒運転」の定義について確認しながら、酒気帯び運転と酒酔い運転を区別する基準をみていきましょう。

  1. (1)飲酒運転とは

    飲酒運転とは、一般的には「お酒を飲んで車やバイクなどを運転すること」と解釈されています。ただし、この考え方では正解とはいえません。

    道路交通法第65条1項は「何人(なんぴと)も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と明記しています。
    「酒気を帯びる」とは、身体にアルコールを保有する状態であり、その程度は示されていません。つまり、身体にアルコールを保有する状態での運転行為は一律に禁止されているのです

    お酒を飲んだあとでの運転はもちろん、アルコール度数が極めて低い飲料やアルコールを含む料理・菓子などを摂取したあとでも、道路交通法の定義に照らせば「飲酒運転」といえます。

  2. (2)酒気帯び運転と酒酔い運転を区別する基準

    たとえわずかな量であっても、飲酒によるものではなく料理や菓子などで摂取した場合でも、身体にアルコールを保有した状態で車などを運転すれば「酒気帯び運転」となります。ただし、料理や菓子などに含まれるアルコールを完全に避けるのは難しいので、道路交通法第117条の2の2第3号では「身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態」に限って罰則を科すことが規定されています。

    ここでいう「政令」とは、道路交通法施行規則第44条の3を指しています。同条によると「血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム、または呼気1リットルにつき0.15ミリグラム」が処罰の対象です。この基準値を超えて身体にアルコールを保有した状態で車などを運転すると「酒気帯び運転」として罰せられます。

    一方の「酒酔い運転」には、アルコールの保有量といった明確な基準が存在しません。道路交通法第117条の2は、アルコールの影響によって正常な運転ができないおそれがある状態を「酒に酔った状態」と定義し、酒に酔った状態で運転する行為を「酒酔い運転」としています。
    たとえば、酒気帯び運転の基準値に満たない場合でも、次のような状態が客観的にうかがえる場合は酒酔い運転と判断されるでしょう


    • まっすぐに歩けず、千鳥足になる
    • ろれつが回らず、正常な受け答えができない
    • 肌が紅潮し、目が充血している
    • 話すたびに強い酒臭がする
    など


    アルコールへの耐性は人によって異なります。アルコールの保有量が酒気帯び運転の基準以下でも酒酔い運転と判断されることがあれば、基準を大幅に上回る場合でも酒気帯び運転となることがあると考えておきましょう。

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2、呼気検査の流れや逮捕に至るケースとは?

飲酒運転の疑いがある場合は、警察官によるアルコール検査が行われることがあります。検査の結果や違反が疑われるに至った状況次第では、その場で現行犯逮捕されてしまうこともあります

警察官によるアルコール検査の流れや逮捕の可能性について確認しましょう。

  1. (1)飲酒運転の疑いがあれば「呼気検査」が行われる

    交通事故の現場や飲酒検問などの機会に飲酒運転の疑いがある場合は、警察官によってアルコール検査が行われます。
    酒気帯び運転は、血中あるいは呼気に含まれるアルコールの量を基準に判断しますが、血中アルコール濃度を測定するためには医療機関において医師が実施する必要があるため、警察官が実施するのは「呼気検査」になります。
    道路交通法施行規則第26条の2の2によると、呼気の検査は「検査を受ける者にその呼気を風船またはアルコールを検知する機器に吹き込ませることによりこれを採取」することが明記されています。

    飲酒運転が疑われる場合の呼気検査は拒否できません。風船を吹かない、手渡された風船を投げ捨てる、検知管を折るといった行為は、道路交通法第118条の2に規定されている「飲酒検知拒否罪」にあたります。その場で現行犯逮捕されてしまうおそれが非常に高く、3か月以下の懲役または50万円以下の罰金も科せられてしまうでしょう。
    飲酒検知拒否罪で逮捕されると、最終的には、強制採血によって血中アルコール濃度を測定されることにもなりうるので、飲酒運転の罪からも逃れられません。

  2. (2)事故を起こした場合は逮捕される可能性が高い

    飲酒運転を疑われるに至った理由が交通事故であった場合、逮捕される可能性が高くなります。とくに、車対車、車対歩行者といった人身事故の場合は、危険運転致死傷罪・過失運転致死傷罪が適用されるおそれがある内容であるため、その場で現行犯逮捕される可能性が非常に高いでしょう。

    一方で、単独による事故や検問など事故を伴わないケースでは、逮捕されず任意のまま在宅事件として扱われるケースも多数です。

  3. (3)過去に飲酒運転の前科・前歴がある場合

    過去に飲酒運転の前科・前歴があるからといって、必ず逮捕されるとは限りません。逮捕は被疑者の逃亡・証拠隠滅を防ぐための手続きであるため、前科・前歴がある場合でも素直に飲酒運転の事実を認めて飲酒検知に応じれば、逮捕されないケースもめずらしくないのです。

    ただし、以前に執行猶予付きの判決を受けて、まだその期間を満了していない場合は、新たな罪の刑罰次第で執行猶予が取り消されてしまいます
    飲酒運転が原因となって執行猶予が取り消されてしまう事態を防ぐために、逃亡・証拠隠滅をはかるおそれが高まるため、執行猶予の期間中であれば逮捕される可能性も高まるといえるでしょう。

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3、酒気帯び運転によって受ける処分

酒気帯び運転が発覚すると、刑罰に加えて行政処分も受けることになり、運転免許の停止や取り消しを受けてしまうことになります。さらに、飲酒運転で交通事故を起こせば、相手方に対する賠償責任も発生するため、社会的にも経済的にも多大な損害を被る事態になるでしょう。

  1. (1)刑事上の処分

    酒気帯び運転には、道路交通法第117条の2の2第3号の規定によって、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
    信号無視や駐停車違反などの、いわゆる「青切符」に該当する違反は「交通反則通告制度」の対象になるので、反則金を納付すれば刑罰は科せられません。
    ところが、酒気帯び運転は交通反則通告制度が適用されない「赤切符」に該当するため、たとえば窃盗罪や詐欺罪、傷害罪といった犯罪と同じように刑罰を受けることになります

  2. (2)行政上の処分

    酒気帯び運転が発覚すると、刑罰だけでなく運転免許に関する行政処分も受けます。運転免許には点数制度が設けられており、違反や事故に応じて点数が付加され、一定以上の点数に達すると免許停止や免許取り消しを受けるのです。

    酒気帯び運転に対する行政処分は、身体に保有するアルコールの量によって異なります。


    【呼気1リットルあたりのアルコール保有量】

    • 0.15ミリグラム未満……点数の付加なし
    • 0.15ミリグラム以上、0.25ミリグラム未満……13点
    • 0.25ミリグラム以上……25点


    13点の付加で90日間の免許停止、25点では免許取り消しのうえで2年間の欠格期間が設けられています。

  3. (3)民事上の賠償責任

    飲酒運転が原因で相手の車を損傷させたり、相手の運転手やその同乗者にケガを負わせたりした場合は、民事上の損害を賠償する責任も負うことになります。
    車の修理費用、負傷者の治療費や入院費、慰謝料といった賠償責任を問われるうえに、飲酒運転が原因となれば自動車保険では補償されないことも多いので、経済的なダメージは計り知れないでしょう。

  4. (4)同乗者も責任を追及されることがある

    酒気帯び運転の車に同乗した場合は「自分が運転していたわけではない」と主張しても運転手と同じように責任を追及されることがあります。

    飲酒運転であることを知ったうえで同乗すれば「同乗罪」として2年以下の懲役または30万円以下の罰金に、車両を提供すれば「車両等提供罪」として3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
    また、同乗者や車両提供者も運転免許の行政処分(停止・取り消し)を受ける場合があります
    さらに同乗者が頼み込んだために飲酒運転に至った、車の提供を受けなければ飲酒運転をすることはなかったといった事情があれば、民事上の賠償責任も負うことになるでしょう。

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4、酒気帯び運転で逮捕されたときに弁護士に相談すべき理由

酒気帯び運転をしてしまい、警察に逮捕されてしまった場合は、ただちに弁護士に相談しましょう。

  1. (1)早期釈放に向けた弁護活動が期待できる

    酒気帯び運転が発覚してしまうと、外出先や仕事帰りの途中でも現行犯逮捕されてしまうことがあります。現行犯逮捕されると、その場で身柄を拘束され、帰宅や家族への連絡といった自由な行動が大幅に制限されるうえに、裁判官が勾留を認めた場合は逮捕から最長23日間は会社や学校へと通うことも許されません。

    弁護士に依頼すれば、定まった住居地で家族とともに暮らしている、定職に就いているといった有利な事情を主張して、身柄の早期釈放に向けた弁護活動が期待できます。

  2. (2)被害者との示談交渉を一任できる

    酒気帯び運転で相手が存在する事故を起こしてしまった場合は、被害者との示談交渉が重要です。
    相手の車を損傷させた、相手の運転手にケガを負わせてしまったといった状況があれば、損害賠償を含めた交渉を進めて、被害者から「処罰を求めない」という意思を引き出す必要があります。ただし、飲酒運転に対する社会の目は非常に厳しいため、被害者の許しを得ることは容易ではありません

    加害者となってしまった本人やその家族による交渉では相手にしてもらえないおそれがあるので、弁護士に交渉を一任するのが最善策となるでしょう。

  3. (3)執行猶予・刑の減軽の獲得が期待できる

    飲酒運転は社会的に強く非難される行為です。刑事裁判となった場合は、厳しい刑罰が下される可能性が高いでしょう。

    ただし、本人が深く反省しており更生が期待できる、被害者への賠償を尽くしており一定の責任は果たしているといった状況があれば、あえて厳しい刑罰を科すまでの必要はないと判断される期待も残っています。
    弁護士に相談すれば、真摯(しんし)に反省しているという心情を具体的に示すための方策についてアドバイスが得られるだけでなく、賠償などの責任を尽くしているという状況を検察官・裁判官に主張することが可能です。

    酒気帯び運転が事実であり、検察官による起訴が避けられない状況でも、適切な弁護活動によって執行猶予付き判決や刑の減軽といった有利な処分を獲得できる可能性が高まるでしょう。

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5、まとめ

飲酒運転に対する社会の目はますます厳しくなる一方です。全国警察も飲酒運転の根絶に向けて取り締まりを強化しているため、発覚すれば厳しい刑罰は免れません。免許停止・取り消しといった行政処分や被害者への損害賠償など、社会的・経済的なダメージも深刻です。逮捕される事態に発展した場合は、素早い身柄釈放を目指す必要があります。

酒気帯び運転で逮捕されてしまった場合は、交通事故・刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所までご相談ください。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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