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弁護士コラム

2022年11月28日
  • 交通事故・交通違反
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飲酒運転でひき逃げ|問われる刑事責任と逮捕後の流れ

飲酒運転でひき逃げ|問われる刑事責任と逮捕後の流れ
飲酒運転でひき逃げ|問われる刑事責任と逮捕後の流れ

法律の規制が強化されたことで「飲酒運転」は以前に比べると減少傾向にあります。警察庁のまとめによると、令和3年中の飲酒運転による交通事故の件数は2198件で、前年比マイナス324件・マイナス12.8%でした。

こうした状況は交通社会にとって明るいニュースですが、それでも2000件を超える飲酒事故が発生している現実は看過できるものではありません。全国の警察は、繁華街や幹線道路を中心に、飲酒運転の取り締まり強化を続けています。

もし、飲酒運転で交通事故を起こしてしまえば、厳しい処分を受けるのは確実です。さらに、飲酒運転のうえで「ひき逃げ」をした場合は、逮捕を含めてさらに厳しい扱いを受ける可能性が高まります。

本コラムでは、飲酒運転で交通事故を起こしてひき逃げをしてしまった場合に問われる罪や刑事責任の重さ、逮捕された場合の流れなどを解説します。

1、「飲酒運転によるひき逃げ」は複数の罪に問われる

交通違反で問われる責任といえば「警察に切符を切られて点数がつき、反則金の支払いが発生する」というイメージが強いかもしれません。しかし、これは比較的軽微な交通違反に限った話です。

自動車やバイクの運転に関する行為でも、違反内容が悪質であったり、他人を死傷させたりすると犯罪として扱われることになります。ニュースや新聞などでは、たびたび飲酒運転の検挙やひき逃げ事故の発生が報じられていますが、「飲酒運転によるひき逃げ」は同時に複数の罪に問われるという点を覚えておきましょう

飲酒運転によるひき逃げで問われる罪は、次の3点です。

  • 人身事故を起こしたことに対する罪
  • 飲酒運転をしたことに対する罪
  • 被害者を救護しなかったことに対する罪


これらは、それぞれが別の罪であり、刑罰の重さも異なります。

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2、人身事故を起こしたことに対する罪

わざと交通事故を起こす人はいません。ほとんどの事故は、運転者の不注意やミスといった「過失」によって発生します。本来、過失による行為は罰しないというのが原則です。ただし、わざとではないとしても、相手を死亡させたり、ケガを負わせてしまったりといった重大な結果を生じさせてしまった場合は「自動車運転処罰法」の定めに従って処罰されます。

  1. (1)過失運転致死傷罪

    運転中の不注意やミスによって相手を死傷させてしまった場合は、自動車運転処罰法第5条の「過失運転致死傷罪」に問われます
    相手を死亡させてしまうと「過失運転致死罪」、負傷させた場合は「過失運転致傷罪」です。

    一般的な人身事故には本罪が適用されます。罰則は7年以下の懲役、もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。
    相手の負傷程度が軽いときは情状により免除できるという規定がありますが、飲酒運転によるひき逃げとなると情状の面が非常に悪いため、免除される可能性は極めて低いでしょう。

  2. (2)危険運転致死傷罪・準危険運転致死傷罪

    不注意やミスではなく、あえて危険を冒す運転によって人身事故を起こした場合は、自動車運転処罰法第2条の「危険運転致死傷罪」、または第3条の「準危険運転致死傷罪」に問われます

    全8類型の「危険運転」に該当する場合は「危険運転致死傷罪」です。相手を死亡させれば「危険運転致死罪」が、相手を負傷させると「危険運転致傷罪」が適用されます。
    飲酒運転によるひき逃げに関して危険運転致死傷罪が適用されるのは、同法第2条1項の「アルコールまたは薬物の影響により、正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」にあたる場合です。

    精神的、身体的能力がアルコールによって影響を受け、道路や交通の状況に応じ、障害を発見する注意能力、これを危険と認識し、回避方法を判断する能力、その判断に従って回避操作をする運転操作能力等が低下し、危険に的確に対処できない状態で自動車を運転すると、危険運転にあたります。罰則は、被害者を死亡させると1年以上で最高20年の有期懲役、負傷で済んでも15年以下の懲役です。

    また、事故の時点では正常に運転できる状態ではあったものの、途中でアルコールの影響が生じて危険運転と同様の状態になるおそれがあると判断された場合は、同法第3条が適用されます。飲酒運転でひき逃げをした時点では泥酔・酩酊(めいてい)とまではいえない状態でも、道路交通法が定める酒気帯び運転に該当する程度であれば本罪が適用されるのが定石です。

    本罪は、法律上は「危険運転致死傷罪」の別類型とされていますが、危険運転に準じるという意味で「準危険運転致死傷罪」と呼ばれています。被害者を死亡させた場合は「準危険運転致死罪」で15年以下の懲役、負傷させた場合は「準危険運転致傷罪」で12年以下の懲役が科せられることになります。

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3、飲酒運転に対する罪

道路交通法第65条1項は、すべての運転者について「酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と定めています。これが「飲酒運転」を禁止する規定ですが、飲酒運転はさらに「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に区別され、罰則も異なります。

  1. (1)酒気帯び運転

    身体に、血中1ミリリットルあたり0.3ミリグラム以上、または呼気1リットルあたり0.15ミリグラム以上のアルコールを保有した状態で自動車を運転すると、道路交通法第117条の2の2第3項「酒気帯び運転」です。一般的には、現場での検査が可能な風船を膨らませる方式の呼気検査によって測定されます。

    アルコールの分解能力には個人差がありますが、一般的にはビール中瓶1本の分解に早くても4時間程度、3本飲めば半日は分解できずに体内に残るといわれているので、酒量によっては時間をおいたつもりでも酒気帯び運転に問われるかもしれません。
    罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

  2. (2)酒酔い運転

    身体のアルコール保有量にかかわらず「酒に酔った状態」で自動車を運転すると同法第117条の2第1項の「酒酔い運転」です
    酒に酔った状態とは、いわゆる「酩酊(めいてい)」にあたる状態で、まっすぐ歩くことができない、直立姿勢で静止できない、視点が定まらない、ろれつが回らない、時計が読めない、直前の行動を説明できないといった点から判断されます。

    罰則は5年以下の懲役または100万円以下の罰金で、酒気帯び運転よりも厳しい刑罰が予定されています。

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4、被害者を救護しなかったことに対する罪

交通事故の当事者は、交通事故が発生したとき、直ちに車両の運転を停止して死傷者の救護にあたる義務が課せられています。これは、道路交通法第72条1項に定められた法律上の「救護義務」であり、自分のほうが優先道路を走行していた、相手が飛び出してきたなどの事情とは無関係です。

救護義務を果たさずにその場から走り去ってしまう「ひき逃げ」にあたる行為は、同法第117条の「救護義務違反」となります

単に救護義務を怠っただけなら同条第1項、その死傷が、当該運転者の運転に起因するものなら同条第2項の違反です。第1項が適用される状況なら5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられますが、飲酒運転のうえでひき逃げをした場合は第2項が適用され、さらに厳しい10年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられるおそれが強いでしょう。

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5、複数の罪が成立した場合は刑罰が重くなる

ここまでで、飲酒運転によるひき逃げは3つの犯罪に該当するということが理解できたでしょう。
すると気になるのが、複数の罪に問われる場合はどの程度の刑罰を受けるのかという点です。

たとえば、酒酔い運転にあたる状態で相手を負傷させてしまい、その場から逃げてしまうと、酒酔い運転・危険運転致傷罪・救護義務違反の刑罰がすべて合計されてしまうのかという不安が生じるでしょう。

飲酒運転によるひき逃げで罪を問われる場合は、まだ刑事裁判の結果が確定していない複数の罪として刑法第45条の「併合罪」という扱いになります。すべての罪について刑罰が合計されて科せられるわけではないものの、刑の加重によって厳しい処罰となることを覚悟しなければなりません。

  1. (1)懲役・禁錮の加重

    併合罪となる複数の罪について懲役・禁錮が科せられる場合は、法定刑がもっとも重いひとつの罪について、懲役・禁錮の上限が1.5倍に引き上げられます

    たとえば、準危険運転致傷罪と酒気帯び運転について懲役が科せられる場合は、準危険運転致傷罪の上限が12年、酒気帯び運転の上限が3年なので、準危険運転致傷罪の法定刑が1.5倍となり、最大18年の懲役が科せられます。

  2. (2)罰金の加重

    併合罪として複数の罪に罰金が科せられる場合は、その上限の合計額以下で処断されます
    たとえば、酒酔い運転と救護義務違反について罰金が科せられる場合、いずれも罰金の法定刑は100万円なので、合計額の200万円が上限です。

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6、飲酒運転によるひき逃げ容疑で逮捕された場合の流れ

飲酒運転によるひき逃げは、交通事故の類型のなかでも特に悪質な形態だと評価されます。飲酒運転のうえで人身事故を起こしているという危険な行為をはたらいているうえに、事故現場で死傷者を救護することもなく逃げているので、発覚すれば逮捕される可能性が極めて高いでしょう。

では、警察に逮捕されると、その後はどうなるのでしょうか?

  1. (1)逮捕による48時間以内の身柄拘束

    警察に逮捕されると、逮捕が執行された時点で直ちに身柄を拘束されて、自由な行動が制限されます。自宅へ帰ることも、仕事へ行くことも許されず、スマホや携帯電話も留置場で預けるので家族への連絡もできません。

    警察署へと連行されると、警察署内の留置場に収容されて取り調べがおこなわれます。
    特に、事故前後の行動について詳しく追及されるので「よく覚えていない」と供述しても厳しく問い詰められることになるでしょう。

    警察で取り調べなどを受ける時間は48時間です。逮捕から48時間が経過するまでに、逮捕された容疑者の身柄は検察官へと引き継がれます。

  2. (2)検察官による24時間以内の身柄拘束

    警察から検察官へと容疑者の身柄が引き継がれる手続きを送致といいます。
    送致を受理した検察官は、自らも容疑者を取り調べたうえで、24時間以内に釈放するか、身柄拘束を続けるなら勾留を請求しなければなりません。

  3. (3)勾留による最大20日間の身柄拘束

    検察官が勾留を請求し、裁判官が審査してこれが許可されると、勾留による身柄拘束の開始です。

    初回の勾留は10日間で、勾留が決定した身柄は警察へと戻され、検察官による指揮のもとで警察が捜査を進めます。初回の勾留期限が到来するまでに捜査が遂げられなかった場合は、一度に限り10日間以内の延長が可能です。つまり、勾留による身柄拘束は最低10日、最大で20日間になります。

  4. (4)起訴されると刑事裁判が開かれる

    勾留が満期を迎える日までに検察官が起訴すると、刑事裁判へと移行します。検察官が起訴した時点で容疑者の立場は「被告人」になり、刑事裁判が終了するまで勾留されるので、一時的に身柄拘束が解除される「保釈」が認められない限り、起訴されると身柄拘束の期間はさらに長期化するでしょう。

    刑事裁判の最終回では判決が言い渡されます。懲役・禁錮の実刑判決を受けてしまうと、そのまま刑務所へと収監されます。

    悪質性が高いと判断されると、懲役としては執行猶予が出せる刑の重さでも、実刑になることがあるため、油断してはいけません

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7、飲酒運転でひき逃げ事故を起こしてしまったら弁護士に相談を

言うまでもなく、交通事故は主に道路上で発生します。事故の目撃者や死傷者を見つけた発見者によって通報されるため、警察への発覚は免れられないと考えるべきです。

防犯カメラやドライブレコーダーの普及が進んだ現代では、詳しい解析によって車種・塗色・ナンバー・運転手の人相や風体まで把握されてしまうので「バレない」と過信してはいけません。飲酒運転でひき逃げ事故を起こしてしまった場合は、弁護士への相談を急ぎましょう。

  1. (1)被害者との示談交渉を依頼できる

    交通事故の処分を軽減するためには、被害者への謝罪と弁済を尽くす必要があります。
    真摯(しんし)な謝罪と十分な弁済を尽くせば、すでに民事的な責任を果たしているという情状を得られるので、刑事的な責任が軽減される可能性もあります。

    ただし、被害者との示談交渉は容易ではありません。多くのケースでは加入している自動車保険や自賠責保険による賠償に頼ることになりますが、被害者にも一定の過失があったり、被害者から過度の請求を受けたりするケースも少なからず存在します。
    また、そもそも自動車保険に未加入であれば、加害者自身で示談交渉を進めなければなりません。

    加害者に代わって示談交渉を尽くしてくれるのは弁護士だけです。交通事故の示談交渉を円滑かつ優位に進めるには、交通関係の法令、過去に起きた同様の事故における賠償額や過失割合など、さまざまな知識と経験が必要になるので、交通トラブルの解決実績が豊富な弁護士のサポートが欠かせません。

  2. (2)処分の軽減に向けた弁護活動が期待できる

    飲酒運転によるひき逃げは、交通事故の形態のなかでもとりわけ悪質性が高いと評価されます。検察官が起訴に踏み切れば、交通事故の事実がある以上、有罪となって厳しく処罰される事態を避けるのは難しいでしょう。

    しかし「事故を起こしてしまったことに気づかなかった」といったケースもあるかもしれません。事故を起こしたという認識がなかったと客観的に証明できれば、少なくとも救護義務違反の部分は不起訴処分となって責任を問われない可能性があります。

    また、被害者との示談成立、事故の再発防止に向けた運転免許証の返納や自動車の売却、断酒に向けた取り組み、家族による監督強化の誓約などがあれば、懲役に執行猶予が付されるなどの可能性も高まるでしょう。

    どのような対策を尽くせば処分の軽減が期待できるのかのアドバイスや、対策を尽くしているという事実を捜査機関や裁判官に伝えるためにも、弁護士のサポートは欠かせません

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8、まとめ

飲酒運転のうえで人を死傷させ、さらにその場から逃走してしまうと「飲酒ひき逃げ」事故として厳しい刑罰を科せられてしまいます。交通事故は、ほかの犯罪行為のように、被害者の届け出がなければ発覚しないようなものではありません。
たとえ被害者からの届け出がなくても、目撃者や発見者による通報でほぼ確実に警察による認知は避けられないので「誰にも見られていないからバレない」などと考えるのは危険です。

飲酒運転でひき逃げ事故を起こしてしまった場合は、解決に向けて積極的にアクションを起こす必要があります。被害者との示談交渉や処分の軽減に向けた対策には、弁護士のサポートが欠かせません。

逮捕による身柄拘束の回避や早期の釈放、不起訴処分や執行猶予などの有利な処分を望むなら、数多くの交通事件を解決してきたベリーベスト法律事務所にお任せください。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
刑事事件問題でお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所へお気軽にお問い合わせください。

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